23年6月22日生まれ・81年7月4日死去、享年58歳。
広島出身。
身代金受け渡しが迫るなか、「特急こだま」で眠ってしまい、
加藤武扮する先輩刑事に「慰安旅行に来てるんじゃないんだぞ」と注意を受ける若い刑事―たぶん黒澤の『天国と地獄』(63)が、自分にとっての木村功(きむら・いさお)さんとの初対面だったかと。
逆探知に失敗すると、「もう少し長く電話を続けてくれれば・・・」と(被害者が近くに居るのに)いってしまうような、少し配慮の欠けたヤンチャっぽい刑事でした。
まだ社会を世界を、ひとを知らない―黒澤はそんなキャラクターを木村さんに当てることが多く、その代表作が『七人の侍』(54)の岡本勝四郎役です。
三船扮する菊千代を「侍なんかじゃない!」と決めつけ、掟破りの恋までして・・・というキャラクターですが、勝四郎が受け手の視点を担っていることも確かで、ある意味では真の主人公だった、、、ともいえるのですよね。
ただ個人的に代表作を挙げるとするならば、同じ黒澤映画でも『野良犬』(49)のほうですね。
三船の対になるような復員兵の犯人役で、影があってひじょうに魅力的でした。
映画・テレビ・演劇のそれぞれでたいへんなキャリアを築いていますが、
とくに映画で「その力」を発揮したといわれています。
演劇の世界では劇団青俳の中心的人物として活躍しましたが、思想による対立などを繰り返し、また、倒産により多額の借金を抱えるなど苦労が多かったようです。
<経歴>
大学(文化学院文学部)在学中に演劇の世界に魅了され、様々な学生演劇に出演。このころ、のちに妻となる女優・邦枝梢と共演しています。
映画俳優デビュー作は、42年の『ハワイ・マレー沖海戦』。
山本嘉次郎に直接スカウトされたという、幸運なデビューでした。
44年に召集されて1年の海軍生活を経験。
しかし翌年の8月6日―故郷の広島を原爆が襲い、家族全員を失ってしまいます。
イタリア映画のネオ・リアリズム運動に影響を受けたというのも、こうした背景があるから、、、なのかもしれません。
46年―上京し俳優座に入団。
その数年後、『野良犬』撮影のため「痩せこけた俳優」を探していた黒澤に「発見」されることに。
山本嘉次郎といい、黒澤といい・・・
イケメンだからといって、すべてのものにチャンスがめぐってくるというわけではないはずですから、
木村さんが「なにか」を持っていたのでしょうね。
その「なにか」をちゃんと見抜く山本・黒澤の「目」も、すごいということですが。
代表作を、どどどっと。
49年…『悲歌』『野良犬』
51年…『愛と憎しみの彼方へ』『舞姫』
52年…日本映画の良心・今井正の『山びこ学校』、『生きる』『真空地帯』
53年…映画通のあいだで絶大な支持を受ける市川崑の怪作『プーサン』
54年…『七人の侍』『足摺岬』『愛と死の谷間』
55年…『人間魚雷回天』
56年…『彼奴を逃すな』『雪崩』
57年…今井正の初カラー作品『米』、『蜘蛛巣城』『警視庁物語 白昼魔』『純愛物語』
58年…『悪徳』『鰯雲』
60年…『第三の疑惑』
61年…『あれが港の灯だ』『宮本武蔵』
62年…個人的には川島雄三の最高傑作だと思う『雁の寺』、『考える葉』『山麓』
63年…『天国と地獄』『武士道残酷物語』『新選組血風録 近藤勇』
64年…『暗殺』『沙羅の門』『幕末残酷物語』
65年…岩下志麻が駒子を演じる『雪国』、『悪党』
67年…『錆びたペンダント』
68年…『樹氷のよろめき』『黒蜥蜴』
71年…『告白的女優論』
74年…『田園に死す』
76年…『おとうと』
ここに挙げた作品はすべて触れていますが、
「代表作」と記したように、映画の全キャリアというわけではありません。
すべてを挙げると、この3倍ほどの数になります。素晴らしい!
81年7月4日―食道がんのため死去、享年58歳でした。
映画の遺作は、78年の『渚の白い家』。
若過ぎますよね、スマートであったろう老人役なども見たかったのですが。
※なにもかもが、圧倒的。
「この米、おろそかには食わぬぞ」のシーンに触れるだけでも、207分という時間を差し出す価値はあると思う。
次回のにっぽん男優列伝は、木村拓哉さんから。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『10枚あれば、生きていける』
広島出身。
身代金受け渡しが迫るなか、「特急こだま」で眠ってしまい、
加藤武扮する先輩刑事に「慰安旅行に来てるんじゃないんだぞ」と注意を受ける若い刑事―たぶん黒澤の『天国と地獄』(63)が、自分にとっての木村功(きむら・いさお)さんとの初対面だったかと。
逆探知に失敗すると、「もう少し長く電話を続けてくれれば・・・」と(被害者が近くに居るのに)いってしまうような、少し配慮の欠けたヤンチャっぽい刑事でした。
まだ社会を世界を、ひとを知らない―黒澤はそんなキャラクターを木村さんに当てることが多く、その代表作が『七人の侍』(54)の岡本勝四郎役です。
三船扮する菊千代を「侍なんかじゃない!」と決めつけ、掟破りの恋までして・・・というキャラクターですが、勝四郎が受け手の視点を担っていることも確かで、ある意味では真の主人公だった、、、ともいえるのですよね。
ただ個人的に代表作を挙げるとするならば、同じ黒澤映画でも『野良犬』(49)のほうですね。
三船の対になるような復員兵の犯人役で、影があってひじょうに魅力的でした。
映画・テレビ・演劇のそれぞれでたいへんなキャリアを築いていますが、
とくに映画で「その力」を発揮したといわれています。
演劇の世界では劇団青俳の中心的人物として活躍しましたが、思想による対立などを繰り返し、また、倒産により多額の借金を抱えるなど苦労が多かったようです。
<経歴>
大学(文化学院文学部)在学中に演劇の世界に魅了され、様々な学生演劇に出演。このころ、のちに妻となる女優・邦枝梢と共演しています。
映画俳優デビュー作は、42年の『ハワイ・マレー沖海戦』。
山本嘉次郎に直接スカウトされたという、幸運なデビューでした。
44年に召集されて1年の海軍生活を経験。
しかし翌年の8月6日―故郷の広島を原爆が襲い、家族全員を失ってしまいます。
イタリア映画のネオ・リアリズム運動に影響を受けたというのも、こうした背景があるから、、、なのかもしれません。
46年―上京し俳優座に入団。
その数年後、『野良犬』撮影のため「痩せこけた俳優」を探していた黒澤に「発見」されることに。
山本嘉次郎といい、黒澤といい・・・
イケメンだからといって、すべてのものにチャンスがめぐってくるというわけではないはずですから、
木村さんが「なにか」を持っていたのでしょうね。
その「なにか」をちゃんと見抜く山本・黒澤の「目」も、すごいということですが。
代表作を、どどどっと。
49年…『悲歌』『野良犬』
51年…『愛と憎しみの彼方へ』『舞姫』
52年…日本映画の良心・今井正の『山びこ学校』、『生きる』『真空地帯』
53年…映画通のあいだで絶大な支持を受ける市川崑の怪作『プーサン』
54年…『七人の侍』『足摺岬』『愛と死の谷間』
55年…『人間魚雷回天』
56年…『彼奴を逃すな』『雪崩』
57年…今井正の初カラー作品『米』、『蜘蛛巣城』『警視庁物語 白昼魔』『純愛物語』
58年…『悪徳』『鰯雲』
60年…『第三の疑惑』
61年…『あれが港の灯だ』『宮本武蔵』
62年…個人的には川島雄三の最高傑作だと思う『雁の寺』、『考える葉』『山麓』
63年…『天国と地獄』『武士道残酷物語』『新選組血風録 近藤勇』
64年…『暗殺』『沙羅の門』『幕末残酷物語』
65年…岩下志麻が駒子を演じる『雪国』、『悪党』
67年…『錆びたペンダント』
68年…『樹氷のよろめき』『黒蜥蜴』
71年…『告白的女優論』
74年…『田園に死す』
76年…『おとうと』
ここに挙げた作品はすべて触れていますが、
「代表作」と記したように、映画の全キャリアというわけではありません。
すべてを挙げると、この3倍ほどの数になります。素晴らしい!
81年7月4日―食道がんのため死去、享年58歳でした。
映画の遺作は、78年の『渚の白い家』。
若過ぎますよね、スマートであったろう老人役なども見たかったのですが。
※なにもかもが、圧倒的。
「この米、おろそかには食わぬぞ」のシーンに触れるだけでも、207分という時間を差し出す価値はあると思う。
次回のにっぽん男優列伝は、木村拓哉さんから。
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『10枚あれば、生きていける』