Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん男優列伝(155)木村功

2012-04-25 00:30:00 | コラム
23年6月22日生まれ・81年7月4日死去、享年58歳。
広島出身。


身代金受け渡しが迫るなか、「特急こだま」で眠ってしまい、
加藤武扮する先輩刑事に「慰安旅行に来てるんじゃないんだぞ」と注意を受ける若い刑事―たぶん黒澤の『天国と地獄』(63)が、自分にとっての木村功(きむら・いさお)さんとの初対面だったかと。

逆探知に失敗すると、「もう少し長く電話を続けてくれれば・・・」と(被害者が近くに居るのに)いってしまうような、少し配慮の欠けたヤンチャっぽい刑事でした。

まだ社会を世界を、ひとを知らない―黒澤はそんなキャラクターを木村さんに当てることが多く、その代表作が『七人の侍』(54)の岡本勝四郎役です。
三船扮する菊千代を「侍なんかじゃない!」と決めつけ、掟破りの恋までして・・・というキャラクターですが、勝四郎が受け手の視点を担っていることも確かで、ある意味では真の主人公だった、、、ともいえるのですよね。

ただ個人的に代表作を挙げるとするならば、同じ黒澤映画でも『野良犬』(49)のほうですね。
三船の対になるような復員兵の犯人役で、影があってひじょうに魅力的でした。


映画・テレビ・演劇のそれぞれでたいへんなキャリアを築いていますが、
とくに映画で「その力」を発揮したといわれています。
演劇の世界では劇団青俳の中心的人物として活躍しましたが、思想による対立などを繰り返し、また、倒産により多額の借金を抱えるなど苦労が多かったようです。

<経歴>

大学(文化学院文学部)在学中に演劇の世界に魅了され、様々な学生演劇に出演。このころ、のちに妻となる女優・邦枝梢と共演しています。

映画俳優デビュー作は、42年の『ハワイ・マレー沖海戦』。
山本嘉次郎に直接スカウトされたという、幸運なデビューでした。

44年に召集されて1年の海軍生活を経験。
しかし翌年の8月6日―故郷の広島を原爆が襲い、家族全員を失ってしまいます。
イタリア映画のネオ・リアリズム運動に影響を受けたというのも、こうした背景があるから、、、なのかもしれません。

46年―上京し俳優座に入団。
その数年後、『野良犬』撮影のため「痩せこけた俳優」を探していた黒澤に「発見」されることに。

山本嘉次郎といい、黒澤といい・・・
イケメンだからといって、すべてのものにチャンスがめぐってくるというわけではないはずですから、
木村さんが「なにか」を持っていたのでしょうね。
その「なにか」をちゃんと見抜く山本・黒澤の「目」も、すごいということですが。


代表作を、どどどっと。

49年…『悲歌』『野良犬』

51年…『愛と憎しみの彼方へ』『舞姫』
52年…日本映画の良心・今井正の『山びこ学校』、『生きる』『真空地帯』
53年…映画通のあいだで絶大な支持を受ける市川崑の怪作『プーサン』
54年…『七人の侍』『足摺岬』『愛と死の谷間』
55年…『人間魚雷回天』
56年…『彼奴を逃すな』『雪崩』
57年…今井正の初カラー作品『米』、『蜘蛛巣城』『警視庁物語 白昼魔』『純愛物語』
58年…『悪徳』『鰯雲』

60年…『第三の疑惑』
61年…『あれが港の灯だ』『宮本武蔵』
62年…個人的には川島雄三の最高傑作だと思う『雁の寺』、『考える葉』『山麓』
63年…『天国と地獄』『武士道残酷物語』『新選組血風録 近藤勇』
64年…『暗殺』『沙羅の門』『幕末残酷物語』
65年…岩下志麻が駒子を演じる『雪国』、『悪党』
67年…『錆びたペンダント』
68年…『樹氷のよろめき』『黒蜥蜴』

71年…『告白的女優論』
74年…『田園に死す』
76年…『おとうと』


ここに挙げた作品はすべて触れていますが、
「代表作」と記したように、映画の全キャリアというわけではありません。
すべてを挙げると、この3倍ほどの数になります。素晴らしい!


81年7月4日―食道がんのため死去、享年58歳でした。
映画の遺作は、78年の『渚の白い家』。

若過ぎますよね、スマートであったろう老人役なども見たかったのですが。


※なにもかもが、圧倒的。
「この米、おろそかには食わぬぞ」のシーンに触れるだけでも、207分という時間を差し出す価値はあると思う。





次回のにっぽん男優列伝は、木村拓哉さんから。

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明日のコラムは・・・

『10枚あれば、生きていける』


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にっぽん男優列伝(154)木下ほうか

2012-04-24 02:38:28 | コラム
64年1月24日生まれ・現在48歳。
大阪出身。

公式ブログ

よく見る顔なのに、よく目にする名前のはずなのに、そのふたつ―顔と名前―が、なかなか一致しない。
皆さんそれぞれに、そういうひとが存在すると思うのです。
一時期までの木下ほうか(きのした・ほうか)さんが、自分にとっての「そういうひと」でした。

日本映画のエンド・クレジットに触れるたび、
「あ、また木下ほうかってひとが出ている。どのシーンの、誰だろう」
と疑問に思い、作品を頭のなかで巻き戻してみたり、ビデオ・DVD鑑賞であれば再び冒頭からチェックしてみたり。

なんとなく、このひとのような気がする。たぶん、このひとだ・・・そんな風にして木下さんを意識した90年代末から数年後の21世紀―唐突といっていいほど映画作品が増え、
「あぁやっぱり、このひとだったんだ。もう覚えたぞ」と。

井筒和幸にはじまり中原俊、崔洋一、三池崇史、滝田洋二郎、マキノ雅彦、行定勲などなど、主に中堅どころから次々にオファーを受けているのですから、現場における評価が高いということでしょう。

木下さん、数年前までの非礼? を謝罪します。ごめんなさい。

<経歴>

80年―井筒和幸が脚光を浴びることになる『ガキ帝国』のオーディションを受け見事に合格、幸運な映画俳優デビューを飾る。

ただこのころ、木下少年はまだ高校生。
学業を優先し、大阪芸術大学を卒業後に再び活動を再開。

とはいっても俳優ではなく・・・
まずは芸人として吉本興業に入り、吉本新喜劇の舞台へ。
そういえば「お笑い」といわれても納得出来る器用な顔をしていますが、強烈なキャラクターの面々に囲まれ目立つことが出来ませんでした。
3年で新喜劇を脱退、自分を「発見」してくれた井筒和幸を頼って再び映画の世界へ―。

90年代前半に隆盛期を迎えたVシネマでキャリアを積み、
96年、井筒監督の『岸和田少年愚連隊』で久し振りにスクリーン復帰を果たす。

『マルタイの女』(97)、『あ、春』(98)、『金融腐食列島 呪縛』(99)、『陰陽師』(2001)。

当たり年は2002年で・・・
『竜二 Forever』、市川実和子のハダカが「なんだかとっても」生々しくて興奮する『コンセント』、宮崎あおいがまだ一部でしか注目されていなかったころの『パコダテ人』、『刑務所の中』と、連続して話題作に出演。

『ゲロッパ!』(2003)、『壬生義士伝』(2003)、
いま観返してみると色んな意味(沢尻エリカと高岡蒼佑、オダギリジョーが出ているわけだし)で感慨深い『パッチギ!』(2005)、
『いらっしゃいませ、患者さま。』(2005)、『燃ゆるとき』(2006)、個人的には現時点における最高傑作だと思う『寝ずの番』(2006)。
『大奥』(2006)、『スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ』(2006)、『パッチギ! LOVE&PEACE』(2007)、
マキノ雅彦にはたいへん気に入られているようで、『次郎長三国志』(2008)と『旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ』(2009)に連続出演を果たし、
近年も『板尾創路の脱獄王』(2010)や『毎日かあさん』(2011)、『月光ノ仮面』(2011)、『一枚のハガキ』(2011)、『極道めし』(2011)と好調をキープ。

最新作は、『おかえり、はやぶさ』(2012)。


本名「鳳華」を平仮名にしたことは、結果的には成功だった、、、のかもしれませんね。

まぁでも、「ほうか」って顔と名前が一致するまで、ひょっとしたら女性かもしれない―そんな風にも思った自分が居るわけですが汗


※この映画でも、印象的なキャラクターを好演。
新藤監督、『天声人語』にまで登場。もっと長生きしてください。





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3連続でいきます、
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にっぽん男優列伝(153)きたろう

2012-04-23 00:15:00 | コラム
48年8月25日生まれ・現在63歳。
千葉出身。

奇妙だけれど、可愛げのある公式サイト


まず最初に、特殊な状況―たとえば取材の仕事とか―ではなく、日常で「遭遇した」有名人を挙げてみます。

テリー伊藤・・・映画館で
鈴木京香・・・映画館で
谷亮子(「田村」亮子の時代)・・・映画館で
前田愛・・・映画館で
宮本和知(野球)・・・映画館で

ケンドーコバヤシ・・・居酒屋で
庵野秀明(映画監督)・・・居酒屋で
富永愛(モデル)・・・書店で
板野友美(AKB)・・・CDショップで

あと「顔は知っているけれど、名前は……」なひとが数人と、

最後に、きたろうさん。

きたろうさんには多摩市や町田市で、計4度ほど遭遇しています。
そのうち2度は同じ場所で、ゴルフ練習場でした。

自分はゴルフはやりませんが、前住居であったアパートの隣りが、きたろうさん気に入り(かな?)のゴルフ練習場だったのです。
駐車場はけっこう広く、自分は勝手にそこで縄跳びなどのトレーニングをしていたのですね。

縄跳び休憩時・・・
きたろうさんが通りがかり、なんとなくそうしたくなって軽く会釈してみたのです。
そうしたら「ごく自然に」返してくれた―そんなことがあって、きたろうさんを大好きになりました。

元々、こういう性格俳優は好きになるほうなのですけれどね。

<経歴>

芸名はそのまんまで、漫画『ゲゲゲの鬼太郎』より。
あんな風な髪型をしていて、チャンチャンコまで着ていたから・・・だそうです。

スカトロジー(糞尿趣味)の傾向があることを公言する、有名人では珍しいタイプ。
(いろんな意味で)引かれそうですが、この顔だから許される、、、のかもしれません。

だから自分も真似て、「ぶっかけ好き」を公言しているのです。(うそ。いや、好きなのはほんとうだけれど)

71年―所属していた劇団俳優座小劇場が解散、同志だった大竹まことや斉木しげる、風間杜夫などと劇団「表現劇場」を結成。

さらに79年―大竹、斉木とともにコント・ユニット「シティボーイズ」を結成、翌々年の『お笑いスター誕生!!』でグランプリを獲得し、知名度が急上昇する。

テレビや映画への「きたろう個人での」進出は、80年代後半から。

映画俳優デビュー作は、88年の『マルサの女2』。

『ゲンセンカン主人』(93)や「人面犬」を演じた『学校の怪談2』(96)など、「やはり」といっていいのか、特殊なキャラクターばかりを「嬉々として」演じています。

しかし、いわれるほど? ヘンテコな顔でもないのですよね。
だから個人的には、編集者を好演した『トキワ荘の青春』(96)のような演技を「もっと」見たいです。

ただ本人が望んでのことか、それとも「そういうオファー」しかこないのか、それ以降も端役的なポジションが続きます。
『7月7日、晴れ』(96)、『鉄道員』(99)、『降霊』(2001)、『RED SHADOW 赤影』(2001)、『笑う蛙』(2002)、『どろろ』(2007)、『全然大丈夫』(2008)などなど。

2009年―おそらく現時点における代表作といえる『南極料理人』に出演、気象学者(タイチョー)をユーモラスに演じました。
ちなみにこの映画を監督した沖田修一は、今後の日本映画を支えていく才人だと思います。

近作に、『森崎書店の日々』(2010)や『DOG×POLICE 純白の絆』(2011)。

インパクトを狙う「端役要員」というポジションはテレビドラマでも同様、
『池袋ウエストゲートパーク』(2000年、TBS)や『11人もいる!』(2011、テレビ朝日)で演じたキャラクターは、「あまり出番はないにも関わらず、強い印象を残す」というものでした。

それが個性でもあり、面白いところではあるのですけれどね。


最後にVシネマですが、AVファンに観てもらいたい作品がひとつ。
白石ひとみに朝岡実嶺、桜樹ルイと豊丸、さらに樹まり子も出演している『AV女学院 天使のパンツは校則違反』(92)です。
くっだらねー内容ですが、当時の人気AV嬢を拝めますし、きたろうさんは大して目立っていないけれど、主役は主役、、、のはずですから。


※なぜか、このPVに「ちょっとだけ」登場。





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ほんとうは折ってやりたい、、、けれども

2012-04-22 00:10:00 | コラム
けっこう前の『人志松本のすべらない話』、宮川大輔の番で・・・
「芸人ほっしゃん。」が泥酔し、後輩にしつこくからんだ、、、という話をしたことがある。

その後輩は空手の有段者で、ほっしゃん。は「蹴ってみろよ、蹴ってみろよ」と何度も迫り、
後輩が軽く蹴ると「ぜんぜん痛くないやん! 本気で蹴れっていうんだよ」としつこく挑発した結果、彼の「スイッチ」がONとなり、本気のハイキックを披露、それが見事に? ほっしゃん。の後頭部に当たってしまう。
ほっしゃん。は大の字になって失神、その状態でいびきをかき始めた―というのが、前半の展開だった。

演技も巧みな大輔のパフォーマンスによって実際に「すべらない話」となり、それを観ていた自分も大笑いした。
したのだが、と同時に、その後輩の気持ちがモノスゴ分かった。

居るんだ、ほっしゃん。みたいにからんでくるヤツが絶対に。
悪気がないのは分かる、酔っているんだし。
しかし。
有段者であることを「ひけらかす」タイプならともかく、格闘技に真摯に取り組んでいるものであればあるほど、ふだんは「それ」を見せようとしないはずで。

自分も呑み会で、たぶん30回くらいは「ちょっと腕十字、かけてみて」「三角締め、やってくれ」といわれたことがある。
軽くいうぶんにはなんとも思わないが、酔っ払いだからとにかくしつこい。

得意の愛想笑いで切り抜けてはいるものの、イライラしてしょうがない。
それが目上のひとであれば、あるほどに。

見世物じゃねーよ、って。

本気の腕十字で骨を折り、
腕を押さえぎゃーぎゃー騒ぐ泥酔者に『T2』のサラ・コナー(トップ画像)のように、

「人間の身体には全部で215本も骨があるの、1本くらいなによ!」

と、いってみたくもなるよ。


自分のような似非格闘家さえそんな感じなのだから、プロは日常茶飯事だろう。
いや逆に本気でやられる可能性もあるから、シロートはビビッてなにもいえないか。
そんなヤツだから、中途半端な似非にからんでくる、、、のかもしれない。

サブミッション(=かんたんにいえば、極め技)のアーティストと呼ばれる日本の格闘家、青木真也がきのう、米国で試合をした。
相手は数年前の大晦日に勝ったことのあるエディ・アルバレスで、その過去だけを参照すれば「負けるわけがない」試合ではあったが、
青木に負けてからのアルバレスのキャリア―試合そのものの数や、凌ぎ合い―は、明らかに青木よりもハードなものであり、「青木党の自分だけど、今回はまずいかも、、、」などと思っていた。

ら、悪い予感が的中したというか、たいした盛り上がりもみせず、あっさりと負けてしまった。

落ち込むと同時に、ケージのなかに入ってアルバレスと抱き合うハニーが数年前と同じ女性であったことに(なぜか)ホッとし、男前じゃないかアルバレス、おめでとう! と、賛辞を送る自分が居た。

複雑な思いを抱えたまま、その数時間には「ももクロ」の横浜アリーナ公演に出かけた自分・・・もどうかと思うが、
「ここぞ!」というときに負けてしまう青木へのバッシングは加速中で、さっき掲示板をサーフィンしてみたところ、青木のこれまでの言動に対する批判はともかく、嫁に対する悪口まであって気分が悪くなった。

一歩前進、二歩後退―がいつまでも続く青木だが、
アンチを含めて青木のことが気になってしょうがない格闘技マニアたちの、精神部分の骨をバッキバキに折ってしまうような「華麗で残酷な」米国での活躍を、いつか見てみたい。

やってくれよ、バカサバイバー!


※そんな、きのうの試合。
ほんとうはモノスゴ強いのに、これでは強さが伝わらない・・・というのが、つらい。




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小僧は、待ってるぜ。

2012-04-21 00:15:00 | コラム
そういう世界だ、そういうものだ―といってしまえばそれまでだが、
企画や制作ニュースは耳に入ってくるのに、いっこうに完成品として発表されない映画が多い。

橋本忍が10年走り回って完成に漕ぎつけた『砂の器』(74)や、
何度も撮影が中断されたスコセッシの『最後の誘惑』(88)、
キューブリックの映画なんて「なにも起こらなくても」完成が遅いし、

映画ファンは陽の目を見ることを信じて待つほかはない、、、のかもしれない。

たとえば黒澤の『生きる』(52)のハリウッド版は、どうした。
トム・ハンクスが主演で、監督もジム・シェリダンと決まっていたにも関わらず、
『幸福の黄色いハンカチ』(77)や『Shall we ダンス?』(96)のリメイクのほうが先に出来ている。

同じ黒澤のリメイクでいえば、『天国と地獄』(63)だって気がかりだ。
当初はスコセッシが監督するはずだったが製作総指揮にまわり、監督はマイク・ニコルズに決定・・・というニュースが飛び込んできたのが既に3年くらい前なのである。

その逆に、制作ニュースを目にした数ヵ月後には公開されるという「加速系? の映画」もある。

時代の流れとして「いましかない!」と思われる内容であったり、
子役ティーンエイジャーの「フレッシュな魅力」を焼きつけるためであったりするもの―が多いと思うが、後者のケースが『キャリー』(76)のリメイクだろう。

現在、急ピッチで撮影中らしい。
監督は佳作『ボーイズ・ドント・クライ』(99)のキンバリー・ピアーズ、
キャリーの狂信的な母親に贔屓女優のジュリアン・ムーア、
そしてヒロインのキャリーに、やはり自分が推すクロエ・グレース・モレッツ。(トップ画像)

クロエはまさに「いまが旬」の女優ではあるが、キャリー役にはちょっとキュートに過ぎる気もする。
あの役は「どんくさく」なければいけないし、異性を惹きつけるようなところがあってはいけないはず。
演技力やメイクでカバーするのかもしれないが、少し不安。

不安といえば、彼女がウィノナ・ライダーやジュリエット・ルイス、ソーラ・バーチのようになるのではないか、、、というのもある。
彼女らに共通するのは、10代後半~20代前半にかけて、少しエッジの効いた作品で大活躍していた、ということ。

才能があるのは確かなのに、なぜか20代後半から伸び悩んでいる。
そうならなかったのがキルスティン・ダンストやクリスティーナ・リッチで、彼女らとのちがいはどこにあるんだろう・・・と思う。

頑張ってくれ、クロエ。


さてもうひとつ、
ずぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・・・・・・・・
っと、待っている映画がある。

遠藤周作の傑作『沈黙』を、スコセッシが映画化する企画だ。

このニュースを初めて目にしてから現在まで、自分は原作小説を何度読み直したことだろう。

どのシーンを削り、また、どのシーンを変えるのか―初見でそれを理解出来るよう、完全にマスターしようとしているのである。

ニュージーランドのロケハンは終わっている、はず。
オーディションもおこなわれ、キャスティングも決まっている、、はず。
調査のためにスコセッシが長崎に行った、、、はず。

それなのに。
あぁ、それなのに。

『シャッター アイランド』(2009)の次がそうだ、
『ヒューゴ』(2011)の次こそそうだ、、、といわれても、続報はぜんぜん聞かれない。


ガッデム!!

まぁしかし。
なにをしているかも分からないテレンス・マリックや小栗康平に比べたら、
次々に新作を放ってくれるのだから、「期待しがい」、そして間違い、、、ではなく「待ちがい」があるってもんだ。


というわけでスコ爺よ、
小僧は、待ってるぜ。





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