Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

ダーリンとハニー

2015-06-25 05:38:44 | コラム
中学生のころ、ドスドスッと音を立てて歩くクラスメイトが居た。

結果、あだ名は「ドスドス」。

彼はそれが気に入らず、ドスドスっていわれるたびに「やめてくれ」と怒っていたが、やめろといわれるとやりたくなるのが中学生くらいの性悪さである、結局、卒業までそういわれ続けたんじゃなかったかな~。

自分は自分のことを「自分」という。
俺でも僕でも私でもなく。
感覚的には方言女子の「うち」に近いのだが、「うち」という子は可愛いけれど、自分が「自分」といっても、まぁ可愛げはないわな。

他者からは、まっき~と呼ばれている。
どこに行っても、そう呼ばれる。

うん、気に入っている。

小学校低学年のころは、光永(みつえい)から取って「みっち」と呼ばれていた。

3年か4年のころだったと思う、道徳の時間で「自分は、どう呼ばれたいか」を主張する授業があった。
「ドスドスくん」のような児童が居て、「ひとの嫌がるあだ名はやめよう」みたいな流れから始まった議題、、、だったかもしれない。
そこで自分は、「みっちはイヤじゃないけど、まっき~のほうがいい」といった。

それ以降、みんなそう呼んでくれるようになった。

モノカキを名乗っているので、ときどき「先生」と呼ばれることもある。

これ、なんかイヤなんだよね。
だから割と真面目な顔で「それはよしてくれ」と注意をする。

先生って多分に「馬鹿にしている、ようなところがある」呼びかただから。


知人友人の女子を、下の名前で呼び捨てにするのが好きだ。

彼女でもないのに。
そりゃもちろん「そう呼ばれたくない子」が居たら、やめるけど。

だが、あんまりそういう子は居ない。
「呼び捨て、平気?」と問うと、「うん、悪い感じはしない」と返ってくる。

では交際中の女子をなんと呼ぶかというと、冗談ではなくハニーと呼ぶ。

なんだろうね、外国映画の影響か。
そういうものに対する憧れがあるのだろうか。

「ハニーと呼ばれるの、イヤ?」
「イヤじゃないよ。照れるけど。でもなんか、新鮮でいいよ」

こっちからは、こう呼んでくれと指示することはない。
ないが、ハニー、ハニーと繰り返していると、自然にダーリンと呼んでくれるようになる。

これが、けっこううれしい。

なんだろうね、ラムちゃんの影響か。
そういうものに対する憧れがあるのだろうか。

・・・という話をすると、けっこうな割合で周囲が「軽く」引く。

恥ずかしくて、いえない。
部屋限定ならともかく、外ではいえない。
日本人だと違和感がある。

とか、なんとかいわれる。

まぁそうかもしれないが、気にしない。

自分の人生そのものが恥だと思っているからね、恥の上塗りの上塗りの上塗り…という具合に繰り返していけば、恥も誇りに変化していくものなのだ。

ほんとうか?

どうかは、分からないけれども。。。





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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(127)』

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それから

2015-06-24 05:53:36 | コラム
某日―。
天候が優れないので、「仕方なく」電車で現場に向かう。

ふだん電車に乗らなくとも、定位置は決めている。
ドア付近。

いや、でもちゃんと、乗降の際はいちど降りて妨げにならないよう気をつけているよ。
あの場所から、ゼッタイに動かないヤツも居るものねぇ!!

相変わらず電車では座らない。
体力維持? のためと、席を譲る際のアレヤコレヤが面倒だと思っているので、だったら最初から座らないよ、、、という考えである。

乗車時間が短ければ人間観察・美女観察を、長ければタブレットで読書する。

で、その日は短めだったので人間観察を。
すると、ある美少女に目が留まった。

私服の女子高生かなぁ、ややギャルっぽい格好をしているが、文庫本を読んでいる。
ブックカバーをしていないから、すぐになにを読んでいるのかが分かった。

自分の終生の愛読書、漱石作『それから』だったのである。

マジか!?

いまっぽい女子高生が、カバーをつけずに『それから』を読んでいる!!

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「あなたにこれから先どうしたらいいという希望はありませんか」と聞いた。
「希望なんかないわ。なんでもあなたの言うとおりになるわ」
「漂泊―」
「漂泊でも好いわ。死ぬと仰れば死ぬわ」

代助はまたぞっとした。

「このままでは」
「このままでもいいわ」
「平岡君はまったく気がついていないようですか」
「気がついているかもしれません。けれども私もう度胸をすえているから大丈夫なのよ。だっていつ殺されたって良いんですもの」
「そう死ぬの殺されるのと安っぽく言うものじゃない」

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いま、朝日新聞で『それから』が再掲載中で、あらためてこの傑作と向かい合っているが、文章が表現が完璧に過ぎて、毎日毎日落ち込んでいる。
そうして、千円札紙幣に描かれた肖像画に手を合わせている。

ごめん、ちょっと嘘を吐いた。
でも、手を合わせたいと思わせるほどに、自分はこのひとのことが好きだ。


声をかけたかったし、向こうも応じてくれそうだと思ったが、いやいやこっちだって仕事中じゃないか。
(緒形直人と)話すきっかけがほしくて、わざわざ同じ宮沢賢治の文庫本を持ち歩いていたのは、『北の国から』の中嶋朋子だったねぇ。。。


話せなかったが、うれしい。
とにかくうれしいよ、現代っ子があんな風に『それから』を読んでくれるなんて。

というわけできょうは、いつも展開している映画の10傑のような感じで、本の10傑をやってみたい。
だいぶ前に載せたような気もするが、少し変化があったものでね、あらためて。


※小説・批評・漫画すべての本が含まれる


(1)『それから』(夏目漱石)

これを読んで、モノカキになりたいと思った。

(2)『山月記』(中島敦)

すぐ読み終わる短編だが、時間をかけてじっくり読みたい。

(3)『百年の孤独』(ガルシア・マルケス)

これ読んでもいないのに表現を語るな―と、先輩に強引に読まされた。

(4)『詩人ケン』(業田良家)

漫画と詩の融合。

(5)『悲しみよこんにちは』(フランソワーズ・サガン)

冒頭に尽きる。

(6)『大いなる助走』(筒井康隆)

愉快、痛快。

(7)『東大一直線』『東大快進撃』(小林よしのり)

後半の怒涛の展開は、『それから』に匹敵する。

(8)『映画辛口案内』(ポーリン・ケイル)

自分が初めて手にした批評集。

(9)『山の音』(川端康成)

『雪国』や『伊豆の踊り子』に比べて地味かもしれないが、深~~いテーマが宿っていて感動した。

(10)『黒い雨』(井伏鱒二)

記録文学の頂点に位置する作品かと。


※そういえばこのPVの男女も、「本」きっかけで出会ったんだよね




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初体験 リッジモント・ハイ(133)

2015-06-23 05:56:04 | コラム
随分前のアルバイトで、府中刑務所から出所してきたばかりのジイサンが相棒になったことがある。

「どのくらい入っていたんですか」
「6年だね。行儀よくしていたから、刑期がだいぶ短くなった」
「なんで入っていたんですか」
「裏切り者の腕を斬り落としたり、まぁ、いろいろあったんだよ」

うらぎりもの?

聞けば、元ヤクザさんだった。

あぁ、それで暑い日も長袖なわけね。
まだ背中に、ホリモノがあったのか。

それにしてもすごいね、裏切り者への制裁が。
北野武は「ヤクザにも守らなければいけない道理があるんだよ」といったが、そういうこと? なのだろう。




「刑務所のなかって、どんなですか」
「開き直れば、楽しいよ」
「楽しいんですか?」
「そりゃ外に比べれば不便も多いけど。女抱けねぇし」

いちどだけ、仕事中にこのひとと揉めたことがあって。
自分に非はないはずだからと、一歩も引かなかった。
そうしたらつかみ合いになり、腹に一発パンチを喰らう。

・・・・・。

動けなかった。
さすが、喧嘩慣れしているプロである。

自分も若かったのだろう、よくまぁムショ上がりの元ヤクザさんと喧嘩出来たよなぁ!!


旧友のAは、ある罪で黒羽刑務所(栃木)に服役した。
聞くと、独房には「あの」田代まさしと、スーパーフリー事件の主犯が居たそうだ。
後者は少し説明が必要か、十数年前に起こった、早稲田大学サークルによる複数のレイプ事件のことね。


この黒羽刑務所こそ、自分にとっての「生まれて初めての刑務所面会」の舞台である。

Aによると、黒羽は初犯のものを多く収容する刑務所なんだそうだ。
一時期は、「あの」押尾学も入っていたとか?

それにしても遠い。
最寄り駅はJR那須塩原・・・って、もう旅行しに来た気分だよ!!

そこから随分と歩くので、タクシーを使う。

「黒羽刑務所まで」と伝えるのも、なんだかちょっと緊張したものである。

ただ運ちゃんは慣れたもので、「身内のかたですか、それとも友達が入っているの?」と話しかけてくれた。

「友達です」
「あぁ、そう。やっぱり、イヤなものでしょう、病院の面会とはちがうんだから」
「ですねぇ」

「あの、面会とかに詳しいんですか?」
「それほどでも・・・だと思うけど」
「誰も来てくれないから寂しい、あと出来ることなら差し入れにエロ本を持ってきてくれと頼まれたんですけど」
「うんうん」
「エロ本って、大丈夫なんですか」
「大丈夫だよ、たぶん看守も期待しているんじゃない?」
「(笑う)へぇ、そういうものなんですか」

この、エロ本の差し入れが可という情報は、堀江貴文が連載で明かすまでは「あまり」知られていなかったこと。

だから自分は大丈夫かなぁと思いながらも、リュックいっぱいにエロ本を詰め込んできたのである。

「え、そのなか、エロ本だらけ?」
「えぇそうです」
「・・・う~ん、それはどうかな。3冊まで! とか注意を受けるかもね」

そうなのか。
まるで、遠足のおやつは500円まで! みたいな感じだな~。

で、到着。
物々しい雰囲気を想像していたが、そんなこともない。
オウム以後とはいえ9.11が発生する前の出来事、、、というのもあって、それほど厳重な警備体制とも思えなかった。

面会そのものの絵は、映画やテレビドラマと同じだった。
囚人と一般人はガラス越しに会話をし、このふたりを少し離れた距離から係員が監視していると。

彼の第一声は、「エロ本、持ってきた?」だった。

・・・・・。

来てくれてありがとう! ではないんか!?

我ながら、素敵な友人を持ったものである。

自分は苦笑して「おぉ、リュックいっぱいにね」。

「―でもさっき、多くても5冊までだねって係のひとにいわれたよ」
「充分! それだけあれば充分だよ。ありがとう!!」

やっと、ありがとうのことばが聞けた。

「どう? なかの暮らしは?」
「思ったほど、つらくない」
「(苦笑)罪を償うためには、それなりにつらくないとダメなんじゃない?」
「まぁ、そうなんだけど」
「出てくるの、待っているから」
「ありがとう。親も、そうはいってくれなかった。初めていわれたから・・・泣きそうだよ」

そうそう、こういう会話を期待? していたんだよ。

「まっき~も、モノカキ続けるんだったら、いちどは入るべきだよ」

・・・・・。

そうかもしれないが、差し入れのエロ本を期待しなければならない時点で、自分には耐えられそうもない。


おわり。

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初体験 リッジモント・ハイ(132)

2015-06-22 05:45:44 | コラム
いろんなことしてきたつもりだが、刑務所に入ったことはない。

前科はありますよ、そりゃ・・・って、えばっていうことでもないが、実刑喰らうような重罪は犯していないっていうこと。

ナニゴトも経験、死ぬ前にいちどくらいは―と思うことはいろいろあるけれど、刑務所暮らしはいいや。


刑務所のなかのアレヤコレヤは、作者の実体験や経験者への取材をもとにした小説・漫画・映画が沢山あるので、「その空気」くらいは知ることが出来る。

意外と自由なんだなぁと思ったのは、『グッドフェローズ』(90)の囚人たち。
看守を手なずけ? 刑務所内でクスリの売買をしているし、料理も豪華だ。

尤も彼らはギャングなので、一般人がこんな待遇を受けることはないだろうが。

※トマトソースを作るジイサンが、スコセッシの実父





一般人が抱く刑務所のイメージは、やっぱり恐怖なのである。
そういう意味では、スパイク・リーの『25時』(2002)はリアリティがあった。

麻薬の密売で有罪判決を受けた主人公、ブローガン(エドワード・ノートン)。
映画は彼が収監される前の25時間を描くが、彼にとっての恐怖は、薄汚い男たちに犯されること。

身近でそういう経験をしたものが居るのか、それとも単なるイメージだけで怖がっているのか分からないが、彼は友人たちに「殴ってもらう」ことで顔を醜くして、レイプされることを防ごうとする。

いまでも、そんなことが起こる?
21世紀で?

とは思うが、閉ざされた世界である。
泣き喚いても、その声は外には届かないのだ。

『ショーシャンクの空に』(94)のアンディも犯された。
レイプの罪で捕まった『ケープ・フィアー』(91)のマックスでさえ、犯されている。

彼はいっていたでしょう、
「あんたに想像出来るかい? 毛むくじゃらの男たちに押さえつけられる感覚が」と。

日本では、刑務所内のイジメは描かれることはあるが、レイプなどが描かれることはない。
実際にあるのかないのかは、ちょっと調べようがないが。


繰り返すが実刑を喰らって囚人生活を送ったことはない。
ないが、面会に行ったことはある。

2度ほど。

というわけで初体験シリーズ、今回のテーマは「初めての、刑務所面会」でいってみる。

ただ相手は罪を償い、すでに社会復帰した友人である。
痒いところまで手が届く「表現ではない」ことだけは、勘弁してもらいたい。

映画における印象的な面会のシーンを挙げろ―と問われれば、瞬時に挙がるのはふたつ。

『天国と地獄』(63)のラストと、『ミッドナイト・エクスプレス』(78…トップ画像)の、哀しい哀しい自慰のシーンである。

山崎努が揺らす金網の音はいつまでも耳に残るし、


「夏は暑くて寝られない。冬は寒くて寝られない!!」



自慰を始めた主人公に放つ恋人のヒトコト、「あぁ慰めてあげたいわ!!」は強烈だった。


さて、自分が生まれて初めて刑務所の面会に行ったのは、いまから15年ほど前のことである―。


つづく。

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だっく、だく。

2015-06-21 05:38:03 | コラム
汗っかきである。

この時期、ちょっとしたことですぐに「だっく、だく。」になる。

気をつけて「ゆっくりめ」に動いているつもりだし、制汗スプレーも持ち歩いている。
しかし、それらがまったく効果を示さない、、、いや示せないほどに汗をかく。

坊主頭だからね、長髪よりも汗は目立つ。
頭皮に、雫となった汗が光っている―というと爽やかな感じがしないでもないが、高校球児でもあるまいし、41歳の汗は間違いなく臭い。
いや女子高生の汗だって臭いのは臭いが、青春の汗は青春というだけで価値がひとつ乗っかる。

チューネンの汗になんか、価値はないのである。

こんなんで女子に嫌われたらかなわん、だからバッグには2~3枚のTシャツを入れておくことも。

冬より夏のほうが「断然」好きだが、ここだけが悩みどころかなぁ。


とはいえ。
汗も涙も、さらにいえば放尿も脱糞も、もっといえば射精も潮吹きも、生きている証なのである。

それらを放出・分泌し、ひとは活き活きとする。

ほんとうか?

まぁ、自分のなかではほんとうだ。

こんなこというと引く女子も居るわけだが、好いている女子であれば、その汗でさえいとおしい。

で、脇の下を舐めさせてくれという。

そこだけはイヤ、と返される。

なんで?

だって汚いから。

お前の身体で、汚いところなんかないよ。

あるもん。

ないよ。

あるって。

だから、ないんだよ。

・・・という、阿呆みたいな問答が繰り返される。


なに?

もういい?

そうですか、失礼しました。


というわけできょうは、映画のなかで特に印象的だった汗の描写の5傑を展開してみよう。


(1)『野良犬』(49)

刑事がピストルを盗まれたのは、いまでいう猛暑日だった。

唱歌『蝶々』が流れるクライマックスは、何度観ても鮮烈である。



(2)『狼たちの午後』(75)

快晴、しかし銀行のなかはジメッとしていて、気持ち悪い汗をいっぱいかきそうだ。



(3)『恐怖の報酬』(53)

大金を手に入れるために、危険な仕事を請け負う男たち。

貧乏と汗というのは、ワンセットなのかもしれない。

(4)『ミッション:インポッシブル』(96)

汗がたらりと。

このショットだけ、デ・パルマらしかったなぁ。



(5)『ドゥ・ザ・ライト・シング』(89)

あの暴動は、1年で最も暑い日に起こったのである。


※ちなみに次点は、今夏公開の日本映画『野火』。
観ていないから次点にしたわけだが、汗だらだらであることが、予告編だけでも想像出来る。




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