Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(153)

2016-02-09 07:35:36 | コラム
とれーにん「ぐ」→「ぐ」るーぷ(グループ)

ムダに群れるのは好きではないので、個を描き、孤独に苛まれ、ひとりでモヤモヤザワザワクドクドハァハァしているタイプの映画を愛でるわけだが、
じゃあ「ムダではない群れ」はどんな風か? というと、個々人の役割やキャラクターがはっきりと分かれていて、それらが掛け合わされることによって「結果」が導き出される・・・ちょっと都合がいいかもしれないが、映画にはそんな理想的なグループが沢山登場する。

きょうは、いくつかの代表的なグループを挙げて、自分がどのキャラクターになってみたいかを考えてみよう。


『グーニーズ』(85)

少年少女の冒険譚。

マイキー(ショーン・アスティン)…主人公、喘息持ち
マウス(コリー・フェルドマン)…ヤンキー風の調子乗り
チャンク(ジェフ・コーエン)…食いしん坊、肥満児
データ(キー・ホイ・クァン)…発明少年
ブランド(ジョシュ・ブローリン)…マイキーの兄
アンディ(ケリー・グリーン)…ブランドのハニー
ステフ(マーサ・プリンプトン)…アンディの友人

小学生のころの自分は「いかにも」チャンクだが、理想はデータ。
皆を救うシーンがあるし、格好いいから。

こちらのショットは、その同窓会。



『七人の侍』(54)

解説不要、世界の黒澤の代表作。

島田勘兵衛(志村喬)…個性的な侍を統率する頭脳派のリーダー
菊千代(三船敏郎)…調子乗りだが、主人公
岡本勝四郎(木村功)…最年少の浪人
片山五郎兵衛(稲葉義男)…ふだんは穏やかだが、勘兵衛の参謀役
七郎次(加東大介)…勘兵衛の古女房
林田平八(千秋実)…ユーモア担当
久蔵(宮口精二)…寡黙な剣客

何度観ても、久蔵に惚れる。




『ユージュアル・サスペクツ』(95)

冴えているのはオチだけじゃない、集団心理の力学を描いたサスペンスの傑作。

ディーン・キートン(ガブリエル・バーン)…元汚職刑事
ヴァーバル・キント(ケヴィン・スペイシー)…弁の立つ詐欺師
マイケル・マクマナス(スティーヴン・ボールドウィン)…スマートな強盗犯
フレッド・フェンスター(ベニチオ・デル・トロ)…マクマナスの相棒
トッド・ホックニー(ケヴィン・ポラック)…爆弾製造のプロ

虚言癖があったから笑、キントがいちばん似合うが、途中で死んでしまうフェンスターがいちばん「得する」キャラクターかと。
映画的にいって、ね。




『スターウォーズ』シリーズ(77~)

本コラムのテーマとは、ちょっとそぐわないけれども。

アナキン・スカイウォーカー/ダースベイダー…このシリーズの象徴
クワイ=ガン・ジン…アナキンを「発見」するジェダイ・マスター
オビ=ワン・ケノービ…師クワイに学び、初期三部作で活躍
ヨーダ…グランド・マスターの称号を「唯一」持つ
ルーク・スカイウォーカー…実質的な主人公
レイア・オーガナ…勝気なお姫様
ハン・ソロ…密輸業で生きる、格好いいならず者
チューバッカ…もふもふ
R2-D2…オペレート担当のドロイド
C-3PO…通訳用ドロイド

男らしいチューバッカに決定。
自分がレイアやったら、目も当てられないだろうからね。

あはは!!




『レザボア・ドッグス』(92)

QTタランティーノの存在を世に知らしめた、犯罪映画の佳作。

ミスター・ホワイト(ハーヴェイ・カイテル)…ザ・男気
ミスター・オレンジ(ティム・ロス)…潜入捜査官
ミスター・ブロンド(マイケル・マドセン)…踊る狂人
ミスター・ピンク(スティーヴ・ブシェミ)…計算高い皮肉屋
ミスター・ブルー(エディ・バンカー)…現場のメンバーのなかでは最年長
ミスター・ブラウン(QT)…おしゃべり担当

実際のキャラ的にはミスター・ブラウン、でもやってみたいのは踊る狂人だ(トップ画像)





あすのしりとりは・・・
ぐるー「ぷ」→「ぷ」ろぐらむ。

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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(154)』
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誰の伝記映画を観たいですか

2016-02-08 00:10:00 | コラム
某日―。

映像編集の仕事をしている友人が試写場を貸し切って、新作映画『スティーブ・ジョブズ』の先行上映会を開いてくれた。

誕生日プレゼントだという。

(その粋な計らいに)泣きそうになるのを、感謝を大声でいうことによって「なんとか」誤魔化した自分。

映画はというと、さすがはダニー・ボイルの演出、語り口がリズミカルで、時間を忘れてしまう快作に仕上がっていた。
アップル創業者の光と影をあますことなく描き、単なる美談や苦労話に終わっていないところが素晴らしい。


映画にとって大事なのは「いつだって」脚本と編集のはずだが、伝記映画の場合は、その前に「俳優」が大事になってくる。

「そっくりさん」の芸を見るわけではないので、クリソツなひとを起用する必要はない。
かといって、ぜんぜん似ていないのも困る。
先日もマイケル・ジャクソンの役を非黒人が演じたために騒動になったが、「ある程度は」似ている必要もあり。

そういう意味では、マイケル・ファスベンダーは適役だったと思う。

8割方、似ているひとだから。
いや、8割方「似せた」というほうが適切か。
この「似せる」ということこそ、役者の実力なのだろう。





そこできょうは、誰の伝記映画を観たいかを考えてみた。

すでに映画化された人物も入っているが、だからそれは、その作品に満足出来なかったということである。


(1)伊能忠敬

歴史上、最も好きなひとなので。

偉大なことを成し遂げてはいるが、やっぱり狂ってますよ。
その狂いっぷりを描いてほしいのだが、加藤剛のバージョン(2001)では真面目に過ぎてねぇ。。。

(2)アルフレッド・ヒッチコック…トップ画像

性的に「完全に」おかしかった一面を、きっちり描いてほしい。

(3)ブルーザー・ブロディ

その最期も含めて、なかなかにドラマチックだから。



(4)黒澤明

駆け出しのころではなく、巨匠となり、さまざまな葛藤が生まれた後期を中心に。

三船、勝新との確執。
自殺未遂。
大作主義への傾倒。

描くべきことが沢山あって、180分は超えるだろうが。

(5)デヴィッド・ボウイ

もう、ハリウッドでは企画くらいは立ち上がっているのかもしれない。

(6)黒木香

死んだわけではないけれども。
(転落事故のニュースで、死んだと勘違いしたひと多し)

AVの歴史もからめて。



(7)チャールズ・チャップリン

リチャード・アッテンボローでも失敗してしまったが、切り口は悪くなかったと思う。

赤狩り時代に焦点を絞って描いてほしい。

(8)松田優作

ハリウッドであれば、当然のように映画化されているはず。

日本は、こういうことに対してフットワークが重過ぎる。

(9)フョードル・ドストエフスキー

ほとんど犯罪者のようなひとなので、そのあたりをスキャンダラスに。



(10)奥崎謙三

前半は『野火』のような展開、後半は実録タッチで。

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映画小僧による、音楽10傑

2016-02-07 00:10:00 | コラム
他ジャンル10傑シリーズ、最終日。

きょうは、音楽。

ある意味で映画よりも10傑を選出し難い・・・と、やってみて気づいた。

だって。
小説や漫画はページを繰る意思がないと先へ進めない。
映画やアニメーション、テレビドラマは観つづけなければ理解することが出来ない。

でも音楽は耳をふさがないかぎり、敢えていえば「勝手に」入ってくるものであって。

選択肢が無数に、際限なく増えていく、、、といえるものなんだね~。

さらにいえば。

(1)カラオケで好んで歌うもの
(2)BGMにしたいもの
(3)じっくり聴きたいもの

好きの種類がちがうじゃない?

ただ10傑となると、どうしたって(3)に重きを置いてしまう。

以下の10傑もそのとおりに選出したので、ひじょうに偏りが出来ちゃった・・・って、それはいつも同じか苦笑


(1)『クリープ』(レディオヘッド)

俺は、うじ虫だから―。

イケてないアンちゃん、諦念と自虐の歌。




(2)『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』(ザ・ローリング・ストーンズ)

これで自分は、ロックを知った。

そして惚れた。

完落ちです。

(3)『春夏秋冬』(泉谷しげる)

♪ きょうですべてが終わるさ きょうですべてが変わる きょうですべてが報われる きょうですべてが始まるさ ♪

この詩に元気づけられたひと、どのくらい居るだろうか。 




(4)『Edge』(perfume)

Perfumeが、アイドルからアーティストに「はっきりと」変貌した作品。

(5)『悲しみよこんにちは』(斉藤由貴)

カラオケの3周目は、これにすると決めている。

(6)『悪女』(中島みゆき)

詩情、詩情、ですなぁ。

これほど映像が浮かび上がる曲も珍しい。

(7)『Burn』(ナイン・インチ・ネイルズ)

学生を終えて以降、最も打たれたバンド。

(8)『モルヒネ』(椎名林檎)

♪ あたしの脳のなかで麻薬物質は、とめどなくとめどなく排出されゆき
あたしはひたすら、唾液を吐き捨てる
密やかな密やかな行為に専念していました ♪

(9)『難破船』(中森明菜)

明菜であればどの曲だっていいのだけれど、敢えて情感漂う本作を。




(10)『木綿のハンカチーフ』(太田裕美)

切ない曲だが、こんな風に想われたかったなぁ、、、と。

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『誰の伝記映画を観たいですか』
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映画小僧による、漫画10傑

2016-02-06 03:59:32 | コラム
きょうと、あすで「●●10傑」シリーズもおわり。

きょうは、漫画篇。


小学校の文集、将来の夢の項で「漫画家」と書いた。
たいした絵心もないクセしてね。

夢なんだからいいじゃん! と開き直りつつ、実際に習作を描いてみた。
本コラムで何度か記している、『キャプテン翼』のパクリ『キャプテン隼』である。

サッカーボールの「まる」は描けるが、模様? の五角形/六角形が上手に描けない。
ゴールネットを描くのが面倒くさい。

結果、2ページくらいで試合終了。
教室や家の背景を描くのがダルいので、すべて人物のアップで済ます。

・・・・・向いていないのだろうね笑


小説家も漫画家も仕事そのものは地味なはずだが、漫画家は「なんとなく」華やかなイメージがある。

仕上がったものが、「文字の羅列」「躍動する絵」であることのちがいだろうか。


去年公開された日本映画『バクマン。』は、会心の出来だった。

「ぜんぜんちがう!」という、現場を知っている立場からの意見もあったが、子どもたちに憧れを抱かせるには充分な魅力に溢れていたと思う。

子どもたちの将来の夢で、映画関係が出てくることは皆無だからね。
文化系? の代表として、漫画家さんに頑張ってもらわないと!!


漫画のコマ割りは、映像でいう編集。
映画は脚本と編集で7割が決まるとされているので、映画小僧も学ぶべきところが多い。

以下の10傑は、そのあたりも考慮したものです。


(1)『東大一直線』『東大快進撃』(小林よしのり…トップ画像)

最終回へとつづく数エピソードは、ほとんど異次元の展開。

このひとの画力は年々レベルアップしているが、これはデビュー作であり、連載開始当初は「なんだ、この下手な絵は。インクのシミか?」と批判されたそうである。

(2)『詩人ケン』(業田良家)

四コマ大河『自虐の詩』ばかりが評価されるので、敢えてこちらをチョイス。

いちばんこころに響いた詩を、引用します。

「命より大切なものはない

命より大切なものは何もないのだ

命が生きてくために生きている

理想や目標は

地面に手を付き命乞いをしなさい

命は本当にかけがえのないものだから

ずっと

いきてゆくことです

そのかわりと神は言った

おまえたちに空っぽをあげよう」

(3)『リバーズ・エッジ』(岡崎京子)

惚れた女の子に薦められた。



交通事故に遭った岡崎さんを、未だ待ちつづけているひとは多いことだろう。

(4)『ブラック・エンジェルズ』(平松伸二)

自転車のスポークでひとを殺すっていうアイデアがね。



自分のチャリ愛は、ここからだろうか。

(5)『まいっちんぐマチコ先生』(えびはら武司)

いまじゃ発禁扱いかもしれないが、自分にとっての性の目覚めである。

(6)『オイスター・ボーイの憂鬱な死』(ティム・バートン)

元々はアニメーターだったバートン、ときどき新作漫画も読みたいです。

(7)『オーイ・メメントモリ』(しりあがり寿)



ゆる~い描線で、哲学をやっている。

(8)『プロレススーパースター列伝』(梶原一騎:原作、原田久仁信:画)

紹介されているエピソードの半分が「ガセ」っぽいが、面白いから許す。



ページが擦り切れるほどに読み込み、そして、その週のプロレス中継に備えたものである。

(9)『洗礼』(楳図かずお)

美醜というテーマをホラーのタッチで描き、同テーマを扱う小説や映画以上のインパクトを残している。

(10)『キン肉マン』(ゆでたまご)

アニメーション版も、漫画版も最高。

本作に出会えたというだけで、自分の少年期も悪くなかったと思えるほどである。





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映画小僧による、小説10傑

2016-02-05 00:10:00 | コラム
再び、映画小僧による「他ジャンル10傑」シリーズを。

なにも考えずに始めたのだが、意外と好評(ほんとう?)なので、このまま続けていこうと思う。

きょうは、小説。

「本好き」ではあるが、「活字中毒」というほどでもない。
ただ映画の世界、しかも「脚本」「批評」を志している以上、先人が著したものを読むのは「義務」みたいなものだろう。

だから、同世代のなかでは「読んでいるほう」だとは思う。


いろんなアルバイトを経験してきたが、どの職場でも「ひとりは居る」のが、音楽を志す男子女子だった。

次いで、舞台俳優。
さらに、ボクサー。
なかにはオペラ歌手の修行中・・・なんてひとも居たが、モノカキ修行中というひとには、なかなか出会わない。

短期もあわせると40ちかいアルバイトのなかで、モノカキ修行(僧)は2人しか居なかった。

自分は大小様々な文学賞の受賞結果すべてをチェックすることを習慣にしているが、それは、ひょっとしたら彼・彼女の名前が載っているかもしれない、、、と思っているから。

残念ながら、受賞結果の名前を見て歓喜したことはない。

あいつは、なにをやっているのかしら。

・・・って、向こうは向こうで、シナリオコンクールの結果を見て「あいつ、なにやってんのかな」と思っているのかもしれないが。。。


以下の10傑は、自分が25歳までに読んだ小説である。
そう限定したわけではなく、25歳以降に読んだもののなかで、これを超えるものがなかった―だけのことである。


(1)『それから』(夏目漱石)

終生の愛読書。

教科書に載っている『こころ』より、こっちのほうが真に迫っている・・・と思う本読みは多いとされている。

「食うために」働かなければならなくなった代助が、家を飛び出していくラスト数十行―自分は初めて、「文章を読んで鳥肌を立てた」。

(2)『山月記』(中島敦)



見るからに天才。

(短編に漢詩を組み込んでいるからか)全文が教科書に載っているが、一文字も無駄のない作品なので、じっくりじっくり味わいながら読みたい。

(3)『家畜人ヤプー』(沼正三)

世紀の変態小説。

ヘンタイではなく、変態。



変態過ぎて、読み手の想像力がついていかないのだ。

(4)『悲しみよこんにちは』(フランソワーズ・サガン)

冒頭の一文に尽きる。

この冒頭に惚れ込み、知り合いのA子はフランスまで行ったそうである。

(5)『壁』(安部公房)

不条理小説の最高峰。

高校生のころ、1ヶ月ごとに作家を変えて代表作を読んでいく・・・というような読書スタイルを敢行、この月は悪夢ばかり見ていた気がする笑

(6)『大いなる助走』(筒井康隆)

文学賞そのものを皮肉って、痛快。

なんらかのコンクールに出品したことあるひとは、ぜひ読んでみて。



(7)『沈黙』(遠藤周作)

スコセッシの映画化の話を聞かなければ、ひょっとしたら読んでいなかったかもしれない。

あらためて、自分の基準は映画にあるのだなぁ! と思った。

(8)『百年の孤独』(ガルシア・マルケス)

21歳のころ、『ヤプー』を読んでいたら、先輩から「じゃあ、これも読んでみて」とプレゼントされて読んだ小説。

そのときは、息子さんが映画監督になるなんて想像もしてなかった。

(9)『杜子春』(芥川龍之介)



すべての短編を読んだが、これがいちばん完成度が高いと思う。

アニメーションにしても、成功するのではないかしら。

(10)『山の音』(川端康成)

『雪国』でも『伊豆の踊り子』でもなく、自分はこれを選ぶ。

なんてことない物語ではあるのだが、ひじょうに味わい深いから。


※漱石と映像は相性が悪いが、これは奇跡的にうまくいっている




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『映画小僧による、漫画10傑』
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