先日、日野図書館に立ち寄ったとき、ちょうど届いたばかりというこの本を頂戴しました。
図書館の近くにある「とんがらし地蔵」(別名「やんめ地蔵」)は、目の病に御利益のあるお地蔵様です。トウガラシがお供えされています。
明和3年建立(250年になります)の歴史あるお地蔵様で、いつのころからか、地域の方達が念仏講を行うようになっていました。年に二度。2月1日の「てんとう念仏」と10月23日の「おこもり念仏」。「てんとう念仏」は、お天道様がある日中に行われ、「おこもり念仏」は一晩こもってのものでした。
もともとは、講中の家に交代でお地蔵様をお迎えして行われていましたが、自治会館ができてからは、そこで。
数年前、見せていただきました。
年配の女性が中心に、鉦をたたき、念仏を唱えます。車座になり、大数珠を回しながら百万遍を唱えたり。
とてもとても興味深く拝見させていただきました。
昔は、女性達の息抜き(お茶のみ)の場にもなっていたのでしょう。
でも、自治会館が取り壊されることに伴い、この「講」は解散となったそうです。残念です。伝えていくことは、難しいのでしょう。「講」という江戸時代から続いた助け合いの組織は、町内会ともまたちょっと違い独特のものだったのだと感じます。ここは違うでしょうが、金銭もからむ場合もあり、それが相互銀行に変化したと聞いたこともあります。御嶽講、富士講など、信仰に基づいているという点も。むじん講(無尽か?)というのも聞いたことがあります。
話は少しずれましたが、記録しておくために、この本が編纂されたというわけです。
このように、ごくピンポイントに伝わっている伝承や民話など、とても興味があります。正直言って、そこから創作のヒントになる、自分がこれからやっていくべきは、この辺りなのでは? という気持ちも抱いています。
左側の写真は、鉦や大数珠など。
そのとき作った俳句は、
念仏の節そろはざる夜長かな あぶみ(句集『だだすこ』)
節がそろっていないのは、別にそれを悪いといっているわけではありませんので。
貴重な体験でした。