池田さんは、『坂のとちゅうの図書館』(さ・え・ら書房)でデビューされましたが、その続編です。
『坂のとちゅうの図書館』は、春菜という女の子が図書館で物語と出会うというストーリーでした。春菜はあけぼの住宅という自立支援施設に入るのですが、竜司もまたそこにいた子です。中に竜司は図書館の雑誌を盗んでしまうというエピソードが入っていました。春菜がそのことに気付き、竜司は返却ボックスに入れるというやりかたで雑誌を返します。そして、春菜とは特にやりとりがあるわけではなく、引っ越してしまいます。
竜司はどうなるのかな。と気になっていたところ、このたびはその竜司を主人公として、きちんと描いてくれました。
よかった。(ほっ)
竜司もまた母と二人で生きています。春菜もそうでしたが、本と出会うことによって人生が変わるかもしれない。本当にそうなのです。私達物書きは、本にはその力があると信じているんです。
竜司は、グループでの自由研究発表をするため、本でいろいろなことを「調べる」ようになります。本というのは本当にいろいろな世界を私達に示してくれる、導いてくれるものだなと改めて思います。図書館は宝物がぎっしりと詰まった場所、そして誰でも無料で利用できるのです。
物語の登場人物は、誰一人として意味なく存在はしていないということが、この2冊によって示されてもいます。一人一人が自分の人生を生きているのです。