fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『さばくのジン』(新藤悦子ぶん/荒木郁代え)福音館書店

2018年02月28日 | 本の紹介
           「こどものとも」2017年3月号

 ジンというのは、イスラム世界で信じられている、目に見えない精霊なのだそうです。
 砂漠に住む民の子シャーは、ジンの恐ろしさを聞かされていました。でもケマンチェという楽器を弾けさえすれば、ジンはケマンチェが好きだから、おとなしくなるというのです。
 シャーは、まだケマンチェを上手に演奏できません。
 そしてキャラバンが新しい旅に出ることになり、シャーは具合の悪いおかあさんからケマンチェをたくされます。

 つらい砂漠の旅が始まりました。しかも、ある日、とうとうジンが現れるのです。

 3月号ということは、4月から1年生になる子たちへわたす絵本です。なるほど、砂漠を旅する民、魔物(精霊といっても鬼のようなおそろしい姿です)、ケマンチェという楽器。身近にはない世界を想像する力がついているということなのですね。
 茶色っぽい和紙に描いた一連の絵がとても上品です。絵本は絵と文章の合作。その絵が15画面もあるのですから、ぜいたくです。

 それにしても、世界中いろいろな民がいるわけですが、厳しい自然と接して生き抜いていく中、このような幻想的な生き物を創造し、伝えているのはどの国にでもあることなのですね。尊いことだなあと思います。