fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『アテルイ』裏話⑤ 立ちはだかる『野心あらためず』

2021年02月17日 | 自作紹介
 後藤竜二の作品に、エミシと朝廷の争いを描いた『野心あらためずー日高見国伝』があります。
 光文社文庫 (新日本出版から出されたものを、あらたに文庫化したもの)
 アビという架空の少年を作り出し、彼の視点によるエミシ達、アザマロの物語になっています。
 アビは村全体が日向国(九州)に流されていた一族。鮫狩りをしながら、舟で北上し、ふるさとへ戻ります。
 道嶋大楯という朝廷の役人になった男の残忍さ。
 後藤さんの筆は、そこを容赦なく描いています。

 正直申し上げて、この本を最初の頃は、すんなりと読むことができませんでした(最初のころというのは、児童文学を書き始め、後藤竜二代表の「季節風」に入ったころ)。
 私自身が、アテルイを書こうと、いろいろ調べ、現地に足を運び、土地勘や登場人物の名前がようやく頭に入って、それから読んでようやく・・でした。
 悪いということではなく、そういう本だということ。すんなり読める本ではないということ。
 
 そして、アテルイは、後書きにちょろりと出しているだけ。
 どうして、後藤さんはアテルイを書かなかったんだろう。それは、たぶん、後藤さんはスーパーヒーローを書きたくなかったから。
 かな。
 でも、私は「アテルイ」を書きたいと思った。
 そして、書きながらずっと『野心あらためず』が念頭にありました。
 あるときからは、意識しないようにもしていましたが(矛盾しているようですが、そうしないと、書けなかったです)。
 後藤さんが、私の『アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士』を読んだら、どういったかな・・・。甘いなって言われるかな、なんて思うこともあります。それでも、読んでいただきたかった。
 
 『アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士』が出てから、ラジオ出演などもありました。そこで感じているのは、やはりまだまだ「アテルイ」の認知度は低いということです。東北出身で、歴史の好きな方は、かなり知っています。でも、そこをちょっとはずれると、まだまだ・・。
 アテルイの顕彰に一役かうことができたら、嬉しいです。
  
  
 どうぞ、子ども達も、大人も、かつて古代の東北に、このような不屈の精神を持った男がいたことを、かみしめていただきたく思います。 
 発売中です。ぜひ、お読みいただけますよう、お願いいたします。


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