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◎2019年5月6日(月)
世間では十連休ながらも、こちらは群馬のブラック弱小企業勤め。大手系列でもスバルの下請けでもない。2日はかろうじて休みだったが飛び石の連休。それでもまだましな方かもしれない。向かいのアパートのオバちゃんは、ダンナが単身赴任から戻って来ているというのに、月木の定休日以外も普通に朝五時半にパート仕事に出ていた。そんなことはともかく、連休中は出勤日を休みにして秋田の山に三泊四日で行くつもりでいて宿も予約していたが、今度は家庭事情で行けなくなってしまった。宿はキャンセル。改めて紅葉時期にでも休暇をとって出かけよう。
今年に入って、基本的に週一回の歩きを心掛けていた。これには、ブログ記事に出さない地元の金山歩きなんかも含めているが、骨折部の金属プレート外しの手術後にブランクが二回できている。この連休中にそれを埋め、できれば貯金もつくっておきたかった。そのため、近場を中心に短時間ながらもまめに歩くことになった。それで一応は帳尻合わせもできるだろう。
休みで帰って来ていた息子に山歩きをせがまれた。去年連れ出した赤城の黒檜山と駒ヶ岳の歩きはつまらなかったそうだ。もっと長時間歩ける山を求められ、具体的には榛名山エリアを所望されたが、そんな観光地に行けば、渋滞は覚悟。桐生の山で我慢してもらった。本人自身は山ならどこでもいいわけで、変化に富んだ長い歩きになればそれでいいらしい。できれば名のある山といったレベルだ。
予定は5日で、根本沢経由で根本山、熊鷹山を考えていたが、その前日に高校の同級生が集まっての飲み会をやり、翌日は二日酔いでそんな状況ではなかった。そこで翌6日に延期。息子もイレギュラーな休暇で7日に帰るからOKとのこと。ここで余談だが、飲み会の際、みんなやたらと他の同級生の消息を知っていて、何でそんなことまで知っているのかと聞くとFacebookを通じてらしい。そんなものに興味はまったくなかったが、酔いに任せて、同席の詳しいのにスマホを預けてセットしてもらった。どういう仕組みになっているのかいまだにわからない。人選も彼任せだった。すると、当日からうるさいほどのコメントが入り、何となくうざい感じで、早々にやめようかなと思ったが、しばらくは様子をみることにした。ハイトスさんからも友達承認が届いたのには笑ってしまったが、使い方もわからないのでは、お友達になったとて、自分から発信することはおそらくないだろう。メールで事足りる。この年で社交的になってもしょうがない。
さて、6日の天気予報はよろしくない。午後からは雨予定だ。変化に富んだ根本沢コースを歩き、あとは天気次第ということにした。この時点で、アカヤシオのことは、事前情報では数日前の満開で、期待はしていないし、まだ間に合うとも思っていない。
ここで親子間の趣向の違いだが、息子が登山をしたいというのは、あくまでも運動、体力づくりの延長であって、こちらのように、この時期ならアカヤシオの咲きっぷりを見たいなんていう趣向はない。ただ山を歩きたい。それだけだ。もっとも、自分が若い頃もそうだったが。
(沢コースに入る)
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(息子ははるか先を歩いている)
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(沢コースで自分の好きな風景のところ)
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息子は不死熊橋の先の岩混じりの急斜面をためらいもなく器用に登って行った。こちらが登りきると、100m先に息子の姿が見えた。足元には重々に注意して歩くようにと何度も伝えてある。子供でもない。登山道は整備されているし、コースミスをしたり、危ういスポットで一々アドバイスする必要もあるまい。息子は、先々で振り返ってはこちらの姿を確認して間をとっている。それを見るとつい早歩きになってしまう。放り出して視界から消えても困る。いつもの一人歩きとは違い、相手が我が息子とはいえ、こういう歩きはどうも好きではない。何だか迷惑をかけている気分にすらなってくる。アカヤシオも視界には入らないので、写真撮りで遅くなることはない。これが救いだ。
(普段よりも水が多い感じ)
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釣り人が三人入っていた。釣果を聞くと「まずまず」との返事。釣った魚は見えないのでだれでもやるキャッチ・アンド・リリースなのだろうが、これが自分のように釣りをしない人間にはどうにも不可解。自分の場合、子供の頃から釣れば食料になっていた。食べなかったのは小鮒くらいのもので、タニシやメダカと一緒に水槽で飼っては死なせていた。どうして釣針で痛めたうえで元に戻すのだろう。それが分からない。運が悪けりゃというかバカな一匹がこの三人に針を引っかけられる。イワナでもヤマメでも、塩振りで焼いて食べれば、最高のつまみにもおかずにもなるだろうし、イワナの骨酒は絶品だ。別に生態系を破壊するわけでもない。放すくらいなら痛い思いをさせずに魚影を眺めていればいい。こんなことを記せば、その筋の方には暴言だろうな。
(「鈴臺」というそうで、一昨年前に発掘されたらしい。紋章は「天狗のハウチワ」とか)
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八時過ぎの出発時点で駐車場には10台ほどの車があった。こちらの出発直前に二人連れが前を歩き出していた。車の大方が根本山あるいは釣りだとして、今、前に釣り人以外のハイカーの姿はない。やはり沢コースを歩く人は少ないのだろうか。そんなことを思っていると、単独氏が下ってきた。根本山を往復したにしては随分と早い時間帯だ。もう帰りですかと聞くと、雨になりそうだから途中から戻ることにしたとのこと。確かに、予報では午後から崩れることになっているが、撤退を決めるには早過ぎないか。おそらく他に用事ができたのか、用事を思い出したのか。少なくとも自分にこの沢コースは無理といった顔つきではなかった。
(籠堂跡。ここは四季を通じて同じ風景に見える)
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(男女坂の分岐)
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(以前、この側壁から角力場ヤセ尾根に向かった。緩そうに見えるが激斜面だ)
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息子はさっさと行っては休んでいる状態が続き、遺物を目にするようになり、石段を登ると男坂の鉄梯子が置かれた籠堂跡に出た。実はここで休みたかったが、散々待ち休んでいたらしい息子が石から腰を上げたので、従わざるを得なかった。
男坂、女坂の分岐。9時35分。ここでようやく息子を男坂の不動明王像見物に行かせてその間に休憩をとった。息子は穴を覗き込んでスマホ写真を撮っていたが、見終わるとさっさと戻ってきて女坂に向かい始めた。自分にはほとんど休憩にはならなかった。男坂を登れることは知ったようだが、看板にも「初めての方は女坂」と記されているし、その気はなさそうだ。これも余談だが、二回目以降に男坂を選択したところで、かなり手強いコースかと思うが。もっと危険というか無謀なことをして横の壁を攀じ登って角力場に向かった無鉄砲なヤツもいる。
(女坂の鉄梯子)
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(首欠け地蔵)
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(クサリ場を登って)
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(根本山神社)
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女坂ながらも、次第に危険ゾーンに入って行く。鉄梯子、ロープが出てきて天狗の石碑、首欠け地蔵。クサリ場を登って根本山神社に到着。だが、息子はすでに次の鎖場に取り付いていた。神社に寄らないのかと聞くと、興味がないとのこと。オレは寄るから気をつけて先に行けと伝える。
(ポツポツと出てくる)
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(予想外だった)
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(獅子岩)
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ここでアカヤシオが出てくるとは思わなかった。目の前のアカヤシオは七割方花を落としてはいるが、残っている花は大きいし、離れたところにあるヤツはまだ見頃。この周辺、切れたヤセ尾根で、結構ヤバいところなのだが、こういった見映えのするアカヤシオは大方が足を近づけるには無理なところに咲いているから、ズームで我慢するしかない。
鎖に取り付き、ちょっと上がると、これなら行けるかといった斜面にアカヤシオが咲いていて、それに気をとられてコース外しで写真を撮っていたら、いつの間に接近していたのかまったく気づかなかったが単独氏に抜かれてしまった。さらに上に行くと、下で釣り鐘を叩いている音が聞こえた。何だ、結構、沢コースを歩く人もいるんじゃないか。追っ手が迫ってきている感じでちょっとあせる。あせっても、周囲にはアカヤシオが咲いている。あせる事情が増えていく。獅子岩に登ろうとしたら、ちょっとバランスを崩し、岩をズルッとした。瞬間、地下足袋のスパイクで火花が散った。こういうのも地下足袋にはありか。恐くなって岩に登るのはやめた。
(嫌らしい登り)
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(奥社)
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こんなにクサリ場が長くて急だったっけと思いながら奥社に着いた。息子が待ちくたびれの状態で座り込んでいた。息子にしてみれば、オヤジが危ういところでのんびりと写真なんか撮っているからイラついてもくるだろう。顔つきに出ている。この辺は他人と違って無視できるから都合はいい。他人が同行だったら、足が痛いだの、つい見とれてしまってだのと苦笑いして取り繕う。
(奥社を過ぎてから。その1)
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(その2)
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(その3)
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(その4)
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(その5)
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(その6)
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(行者山。実はここから角力場方面のアカヤシオがきれいだったが、息子が寄り道を嫌がって見に行けなかった)
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さらに時間がかかって行者山。上がるにつれ、少しは落花させながらも元気な花をつけた株が増えてきていた。その間、息子は山頂でうろうろしていた。
今、10時20分。曇ってきてはいるが天気が崩れる気配はない。この時は大丈夫だろうと、予定どおりに熊鷹山まで行くつもりでいる。息子も歩き足りないだろうし。
(行者山の先。その1)
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(その2)
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(その3)
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(その4)
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(その5)
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(その6)
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(その7)
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(その8)
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(その9)
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行く手をアカヤシオが邪魔をする。これまでもそうだが、決して群生ではない。単発の間隔が短いといったところだ。ここで鳴神山のような群生でも見てしまえば、お祭り(瀑泉さんの言葉では、お祭りの上が「海」らしい)を見たんだからと、あとはすんなりと歩けるものだろうが、単発咲き続きはある意味嫌らしい。どうしても歩きは遅くなる。
植林に入り込み、ほっとして抜けると分岐。中尾根十字路という所らしい。左は根本山山頂、直進は熊鷹山、右は下り尾根道。息子がぼーっとして突っ立っている。これから山頂経由で熊鷹山に行くと言うと、もう待ちくたびれたから帰りたいとのこと。オヤジがこんなにノロノロ歩くことになるとは想像もしていなかったろうし、この先もこれが続いたら息子にはたまったものではない。
「オレ、ここで待っているから、オマエは山頂に行って来いよ」と、ここでようやく落ち着いて休憩。息子はさっさと山頂に向かった。事前のネット情報には、山頂にはアカヤシオがなかったとあった。行っても仕方がない。
(分岐の上で)
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雲が出てきて陽が隠れた。風も出てきて、脱いだウインドブレーカーを再び着た。タバコを吸いながらふと見上げると、段違いのところにアカヤシオ。見に行く。この分じゃ上も咲いているんじゃないかと山頂に向かおうとしたら息子が下ってきた。山頂に花は咲いていたかと聞くと咲いていたそうだ。きれいも、多かったもない。ただ「咲いていた」だけ。その先を突っ込んでもその先の表現を望むべくもない。それはともかくとして、山頂の方はここ数日の開花か。自分の目で確かめたいが、諸事情を考慮すれば、行きたくとも行けない。もういいだろう。
(下りでもしばらく足が止まる。その1)
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(その2)
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(その3)
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(その4)
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(その5。次第に遠ざかっていき、密度も薄くなる)
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下りに間違うようなところはない。オレを待たなくていいよと、息子を先に行かせる。林道に出たら右ではなく左に行けとだけ言った。
まだアカヤシオの余韻はしばらく続いたが、そろそろミツバツツジが混じってくる。こちらもまた見ごろになっている。やがてアカヤシオは消え、目に入るのはミツバツツジだけになった。ミツバも二種類に思えるところから、いずれかがトウゴクミツバツツジだろう。
(今度はこれ)
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(今が盛りか)
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(おしべが10本あるからトウゴクミツバツツジだろう)
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(石祠)
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好みの問題だ。アカヤシオが消えたら、ツツジの鑑賞にさほどに時間をとられなくなった。ゆっくりと下っていく息子の後姿が小さく見える。が、すぐに消えた。石祠の前を通過したのが11時半。これから登るのか二人連れが休んでいる。
最後の植林に入る。クネクネと下る。もう目障りなものはない。足も自然歩きになる。また陽が出てきた。
(林道に出る。以前、何も考えずに右に行ったら、沢コースで戻ることになった)
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(左下に小滝を見て)
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(こんどはヤマツツジ)
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(これを見ると、いつもあの倒木、どうにかならないかと思ってしまう)
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(駐車場)
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(短時間ながらも楽しませていただきました。ありがとうございます)
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駐車場に到着。車は15台くらいに増えていた。根本山だけで終わらせた車は我々だけかもしれない。12時だ。4時間歩きだが、明日からは仕事だ。連休最後の歩きとしては手頃な時間だろう。息子は15分ほど待っていたらしいが、車の中なら、音楽を聞くなりして時間もつぶせたろう。
息子の運転という気安さもあり、梅田のラーメン屋入り、自分だけ生ビールを飲んだ。山の帰りにビールを飲むなんてことは、本当に久しぶりだ。4時間歩きでも暑さもあってか結構疲れた。助手席でうつらうつらしながら家路に就いた。
世間では十連休ながらも、こちらは群馬のブラック弱小企業勤め。大手系列でもスバルの下請けでもない。2日はかろうじて休みだったが飛び石の連休。それでもまだましな方かもしれない。向かいのアパートのオバちゃんは、ダンナが単身赴任から戻って来ているというのに、月木の定休日以外も普通に朝五時半にパート仕事に出ていた。そんなことはともかく、連休中は出勤日を休みにして秋田の山に三泊四日で行くつもりでいて宿も予約していたが、今度は家庭事情で行けなくなってしまった。宿はキャンセル。改めて紅葉時期にでも休暇をとって出かけよう。
今年に入って、基本的に週一回の歩きを心掛けていた。これには、ブログ記事に出さない地元の金山歩きなんかも含めているが、骨折部の金属プレート外しの手術後にブランクが二回できている。この連休中にそれを埋め、できれば貯金もつくっておきたかった。そのため、近場を中心に短時間ながらもまめに歩くことになった。それで一応は帳尻合わせもできるだろう。
休みで帰って来ていた息子に山歩きをせがまれた。去年連れ出した赤城の黒檜山と駒ヶ岳の歩きはつまらなかったそうだ。もっと長時間歩ける山を求められ、具体的には榛名山エリアを所望されたが、そんな観光地に行けば、渋滞は覚悟。桐生の山で我慢してもらった。本人自身は山ならどこでもいいわけで、変化に富んだ長い歩きになればそれでいいらしい。できれば名のある山といったレベルだ。
予定は5日で、根本沢経由で根本山、熊鷹山を考えていたが、その前日に高校の同級生が集まっての飲み会をやり、翌日は二日酔いでそんな状況ではなかった。そこで翌6日に延期。息子もイレギュラーな休暇で7日に帰るからOKとのこと。ここで余談だが、飲み会の際、みんなやたらと他の同級生の消息を知っていて、何でそんなことまで知っているのかと聞くとFacebookを通じてらしい。そんなものに興味はまったくなかったが、酔いに任せて、同席の詳しいのにスマホを預けてセットしてもらった。どういう仕組みになっているのかいまだにわからない。人選も彼任せだった。すると、当日からうるさいほどのコメントが入り、何となくうざい感じで、早々にやめようかなと思ったが、しばらくは様子をみることにした。ハイトスさんからも友達承認が届いたのには笑ってしまったが、使い方もわからないのでは、お友達になったとて、自分から発信することはおそらくないだろう。メールで事足りる。この年で社交的になってもしょうがない。
さて、6日の天気予報はよろしくない。午後からは雨予定だ。変化に富んだ根本沢コースを歩き、あとは天気次第ということにした。この時点で、アカヤシオのことは、事前情報では数日前の満開で、期待はしていないし、まだ間に合うとも思っていない。
ここで親子間の趣向の違いだが、息子が登山をしたいというのは、あくまでも運動、体力づくりの延長であって、こちらのように、この時期ならアカヤシオの咲きっぷりを見たいなんていう趣向はない。ただ山を歩きたい。それだけだ。もっとも、自分が若い頃もそうだったが。
(沢コースに入る)
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(息子ははるか先を歩いている)
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(沢コースで自分の好きな風景のところ)
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息子は不死熊橋の先の岩混じりの急斜面をためらいもなく器用に登って行った。こちらが登りきると、100m先に息子の姿が見えた。足元には重々に注意して歩くようにと何度も伝えてある。子供でもない。登山道は整備されているし、コースミスをしたり、危ういスポットで一々アドバイスする必要もあるまい。息子は、先々で振り返ってはこちらの姿を確認して間をとっている。それを見るとつい早歩きになってしまう。放り出して視界から消えても困る。いつもの一人歩きとは違い、相手が我が息子とはいえ、こういう歩きはどうも好きではない。何だか迷惑をかけている気分にすらなってくる。アカヤシオも視界には入らないので、写真撮りで遅くなることはない。これが救いだ。
(普段よりも水が多い感じ)
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釣り人が三人入っていた。釣果を聞くと「まずまず」との返事。釣った魚は見えないのでだれでもやるキャッチ・アンド・リリースなのだろうが、これが自分のように釣りをしない人間にはどうにも不可解。自分の場合、子供の頃から釣れば食料になっていた。食べなかったのは小鮒くらいのもので、タニシやメダカと一緒に水槽で飼っては死なせていた。どうして釣針で痛めたうえで元に戻すのだろう。それが分からない。運が悪けりゃというかバカな一匹がこの三人に針を引っかけられる。イワナでもヤマメでも、塩振りで焼いて食べれば、最高のつまみにもおかずにもなるだろうし、イワナの骨酒は絶品だ。別に生態系を破壊するわけでもない。放すくらいなら痛い思いをさせずに魚影を眺めていればいい。こんなことを記せば、その筋の方には暴言だろうな。
(「鈴臺」というそうで、一昨年前に発掘されたらしい。紋章は「天狗のハウチワ」とか)
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八時過ぎの出発時点で駐車場には10台ほどの車があった。こちらの出発直前に二人連れが前を歩き出していた。車の大方が根本山あるいは釣りだとして、今、前に釣り人以外のハイカーの姿はない。やはり沢コースを歩く人は少ないのだろうか。そんなことを思っていると、単独氏が下ってきた。根本山を往復したにしては随分と早い時間帯だ。もう帰りですかと聞くと、雨になりそうだから途中から戻ることにしたとのこと。確かに、予報では午後から崩れることになっているが、撤退を決めるには早過ぎないか。おそらく他に用事ができたのか、用事を思い出したのか。少なくとも自分にこの沢コースは無理といった顔つきではなかった。
(籠堂跡。ここは四季を通じて同じ風景に見える)
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(男女坂の分岐)
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(以前、この側壁から角力場ヤセ尾根に向かった。緩そうに見えるが激斜面だ)
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息子はさっさと行っては休んでいる状態が続き、遺物を目にするようになり、石段を登ると男坂の鉄梯子が置かれた籠堂跡に出た。実はここで休みたかったが、散々待ち休んでいたらしい息子が石から腰を上げたので、従わざるを得なかった。
男坂、女坂の分岐。9時35分。ここでようやく息子を男坂の不動明王像見物に行かせてその間に休憩をとった。息子は穴を覗き込んでスマホ写真を撮っていたが、見終わるとさっさと戻ってきて女坂に向かい始めた。自分にはほとんど休憩にはならなかった。男坂を登れることは知ったようだが、看板にも「初めての方は女坂」と記されているし、その気はなさそうだ。これも余談だが、二回目以降に男坂を選択したところで、かなり手強いコースかと思うが。もっと危険というか無謀なことをして横の壁を攀じ登って角力場に向かった無鉄砲なヤツもいる。
(女坂の鉄梯子)
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(首欠け地蔵)
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(クサリ場を登って)
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(根本山神社)
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女坂ながらも、次第に危険ゾーンに入って行く。鉄梯子、ロープが出てきて天狗の石碑、首欠け地蔵。クサリ場を登って根本山神社に到着。だが、息子はすでに次の鎖場に取り付いていた。神社に寄らないのかと聞くと、興味がないとのこと。オレは寄るから気をつけて先に行けと伝える。
(ポツポツと出てくる)
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(予想外だった)
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(獅子岩)
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ここでアカヤシオが出てくるとは思わなかった。目の前のアカヤシオは七割方花を落としてはいるが、残っている花は大きいし、離れたところにあるヤツはまだ見頃。この周辺、切れたヤセ尾根で、結構ヤバいところなのだが、こういった見映えのするアカヤシオは大方が足を近づけるには無理なところに咲いているから、ズームで我慢するしかない。
鎖に取り付き、ちょっと上がると、これなら行けるかといった斜面にアカヤシオが咲いていて、それに気をとられてコース外しで写真を撮っていたら、いつの間に接近していたのかまったく気づかなかったが単独氏に抜かれてしまった。さらに上に行くと、下で釣り鐘を叩いている音が聞こえた。何だ、結構、沢コースを歩く人もいるんじゃないか。追っ手が迫ってきている感じでちょっとあせる。あせっても、周囲にはアカヤシオが咲いている。あせる事情が増えていく。獅子岩に登ろうとしたら、ちょっとバランスを崩し、岩をズルッとした。瞬間、地下足袋のスパイクで火花が散った。こういうのも地下足袋にはありか。恐くなって岩に登るのはやめた。
(嫌らしい登り)
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(奥社)
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こんなにクサリ場が長くて急だったっけと思いながら奥社に着いた。息子が待ちくたびれの状態で座り込んでいた。息子にしてみれば、オヤジが危ういところでのんびりと写真なんか撮っているからイラついてもくるだろう。顔つきに出ている。この辺は他人と違って無視できるから都合はいい。他人が同行だったら、足が痛いだの、つい見とれてしまってだのと苦笑いして取り繕う。
(奥社を過ぎてから。その1)
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(その2)
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(その3)
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(その4)
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(その5)
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(その6)
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(行者山。実はここから角力場方面のアカヤシオがきれいだったが、息子が寄り道を嫌がって見に行けなかった)
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さらに時間がかかって行者山。上がるにつれ、少しは落花させながらも元気な花をつけた株が増えてきていた。その間、息子は山頂でうろうろしていた。
今、10時20分。曇ってきてはいるが天気が崩れる気配はない。この時は大丈夫だろうと、予定どおりに熊鷹山まで行くつもりでいる。息子も歩き足りないだろうし。
(行者山の先。その1)
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(その2)
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(その3)
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(その4)
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(その5)
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(その6)
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(その7)
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(その8)
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(その9)
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行く手をアカヤシオが邪魔をする。これまでもそうだが、決して群生ではない。単発の間隔が短いといったところだ。ここで鳴神山のような群生でも見てしまえば、お祭り(瀑泉さんの言葉では、お祭りの上が「海」らしい)を見たんだからと、あとはすんなりと歩けるものだろうが、単発咲き続きはある意味嫌らしい。どうしても歩きは遅くなる。
植林に入り込み、ほっとして抜けると分岐。中尾根十字路という所らしい。左は根本山山頂、直進は熊鷹山、右は下り尾根道。息子がぼーっとして突っ立っている。これから山頂経由で熊鷹山に行くと言うと、もう待ちくたびれたから帰りたいとのこと。オヤジがこんなにノロノロ歩くことになるとは想像もしていなかったろうし、この先もこれが続いたら息子にはたまったものではない。
「オレ、ここで待っているから、オマエは山頂に行って来いよ」と、ここでようやく落ち着いて休憩。息子はさっさと山頂に向かった。事前のネット情報には、山頂にはアカヤシオがなかったとあった。行っても仕方がない。
(分岐の上で)
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雲が出てきて陽が隠れた。風も出てきて、脱いだウインドブレーカーを再び着た。タバコを吸いながらふと見上げると、段違いのところにアカヤシオ。見に行く。この分じゃ上も咲いているんじゃないかと山頂に向かおうとしたら息子が下ってきた。山頂に花は咲いていたかと聞くと咲いていたそうだ。きれいも、多かったもない。ただ「咲いていた」だけ。その先を突っ込んでもその先の表現を望むべくもない。それはともかくとして、山頂の方はここ数日の開花か。自分の目で確かめたいが、諸事情を考慮すれば、行きたくとも行けない。もういいだろう。
(下りでもしばらく足が止まる。その1)
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(その2)
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(その3)
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(その4)
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(その5。次第に遠ざかっていき、密度も薄くなる)
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下りに間違うようなところはない。オレを待たなくていいよと、息子を先に行かせる。林道に出たら右ではなく左に行けとだけ言った。
まだアカヤシオの余韻はしばらく続いたが、そろそろミツバツツジが混じってくる。こちらもまた見ごろになっている。やがてアカヤシオは消え、目に入るのはミツバツツジだけになった。ミツバも二種類に思えるところから、いずれかがトウゴクミツバツツジだろう。
(今度はこれ)
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(今が盛りか)
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(おしべが10本あるからトウゴクミツバツツジだろう)
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(石祠)
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好みの問題だ。アカヤシオが消えたら、ツツジの鑑賞にさほどに時間をとられなくなった。ゆっくりと下っていく息子の後姿が小さく見える。が、すぐに消えた。石祠の前を通過したのが11時半。これから登るのか二人連れが休んでいる。
最後の植林に入る。クネクネと下る。もう目障りなものはない。足も自然歩きになる。また陽が出てきた。
(林道に出る。以前、何も考えずに右に行ったら、沢コースで戻ることになった)
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(左下に小滝を見て)
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(こんどはヤマツツジ)
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(これを見ると、いつもあの倒木、どうにかならないかと思ってしまう)
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(駐車場)
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(短時間ながらも楽しませていただきました。ありがとうございます)
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駐車場に到着。車は15台くらいに増えていた。根本山だけで終わらせた車は我々だけかもしれない。12時だ。4時間歩きだが、明日からは仕事だ。連休最後の歩きとしては手頃な時間だろう。息子は15分ほど待っていたらしいが、車の中なら、音楽を聞くなりして時間もつぶせたろう。
息子の運転という気安さもあり、梅田のラーメン屋入り、自分だけ生ビールを飲んだ。山の帰りにビールを飲むなんてことは、本当に久しぶりだ。4時間歩きでも暑さもあってか結構疲れた。助手席でうつらうつらしながら家路に就いた。
今回,記事を拝見して,根本山でもこんなに咲くのだと,改めて知ることが出来たので,来年の候補の一つにさせていただきますワ。
息子さん,さすがに足が早いですネ。まぁ,うちなんて昔からファミリーハイクで,毎回,親父は置いてけぼりを食っていたし,山頂到着が息子より遅れること40分後なんていうのはザラだったから,待ち過ぎて「身体が冷え切った」くらいの文句しか今もって出ませんヨ。それに,親父の威厳で,親父の歩きたいように歩くことになってますしネ(笑)。
それはさておき「鈴臺」,此れは何処にあったんでしょう?完全に見落としていたところで,また,改めて沢コースを歩く理由が出来てしまいました。
「鈴臺」は二基の石祠が並んだすぐ上にあります。コース上です。水中から引き揚げたのが一昨年ですから、おそらく昨年歩いた際にも目についていたはずですが、どうも記憶がありません。解説板で気づいたくらいですから、この解説板の設置が最近なのか…。
私も根本山とアカヤシオとのイメージが結びつかず、咲いているにしても、本道ではない派生尾根周辺かと思っていましたが、意外でした。神社からおそらく山頂まで続いています。ただ、山頂には行かなかったので確認はとれていません。この分では、熊鷹山方面にも賑やかだったろうなと思うと、息子を連れて来たことを悔やんでいます。こういう咲き具合ではどうしても足が止まり、路線から踏み外して先に先にと行きたくなりますからね。息子の待ちくたびれた顔を想像するだけで、のんびりと構えていることができませんでした。ここに、瀑泉さんのように、奥さんでも同行していたら、息子はカミさん任せともなるでしょうが、二人ではどうにもなりません。
行者山から角力場方面はアカヤシオの塊が見えていました。すくなくとも、あれを見なかったことだけでも残念です。