
◎2020年10月25日(日)
21日の上毛新聞にみなかみ町の照葉(てりは)峡の紅葉が見ごろとの記事が出ていて、それだけなら、へぇー、そんなところがあるのか。来年でも行ってみようかで済ますが、5kmの区間で11もの滝を楽しめるとあっては、こちらもミーハー気分ですぐにでも行きたくなる。調べた。舗装した車道歩きで、その都度に河原に下りて滝見の形になるようだ。滝によっては、見下ろすだけのものもありそう。いくら紅葉をバックでも、沢通しでずっと行けるわけでもなく、魅力は半減だが、モミジと滝の組み合わせはなかなか出会えない。歩いて往復10kmも悪くはない。その都度に車を止めて滝を見るのでは面倒で面白みに欠ける。さらに調べる。この照葉峡を流れる川は木の根沢。その支流の大沢に大瀑という巨瀑があった。せっかくならこれも見たい。大して時間もかからないようだし。大瀑を見てから紅葉見物がてらのの十一滝めぐり。これが本日の予定。迷いなし。この「大瀑」だが、何と読むのかは知らないが、「ダイバク」ではなく「おおたき」かと思う。
事前に道路地図を見た。この照葉峡の先、片品方面に坤六峠があった。なるほど、照葉峡はそういうロケーションだったのか。坤六峠には強烈な思い出がある。13年前、高木の酔狂に付き合わされ、坤六峠から笠ヶ岳に向かった。熾烈なヤブで、中盤以降は背高のハイマツに身を没しての歩きになり、お互い、声をかけ合って進んだが、最後はハイマツの枝の上を歩く形になり、こんなのは二度とゴメンだと思ったものだ。坤六峠と聞けば、すぐにその時のことを思い出す。さらに下流には洞元荘があった。泊まった時のこと。坤六峠の件よりももっと以前だ。これも高木がらみの話。露天風呂があった。この先は記すまでもないことだが敢えて。深夜、月と星見の散歩に出かけた高木は浴衣の尻を泥んこにして帰ってきた。露天風呂にはバアサン以外にだれも入っていなかったそうで、それ専用の道がヤブの中にあったそうな。ヤブ蚊とアブにかなりやられたとこぼしていた。
出がけにネットで天気予報を確認。関東の朝は今季一番の冷え込み。みなかみの天気は10時くらいまで曇天で以降は晴れ。きれいな紅葉が楽しみだ。ただ、人のことは言えないが、新聞に出た以上は、観光客もかなりいるだろう。駐車できるかどうか気になった。後で考えると、問題はそんなところにはなかった。
二時間かけて現地に着いたのは8時近かった。幸いにもまだ混雑はしていず、林道近くの路肩に車を置いた。外に出た途端に感じたのは寒さ。車載の温度計は6℃になっていたし、さらに冷たい風が流れている。用心して厚手のシャツを着てきたが、さらにウインドパーカーを着こんでも寒い。10時までの我慢と、震えながら歩き出す。歩いていれば暖かくなる。ここで水が冷たいだろうことは考えてもいない。
(いきなりこれだった。照葉峡で)

(林道ゲート)

(木の根沢橋から。帰りにも撮ってしまう。スポットだった)

(林道で)

(アップ)

(林道から大沢)

8時出発。ピストンになるから、入渓時に沢靴に履き替えればいいと、ワークマンズックで歩き出す。すぐに林道ゲートの脇を通過。雲に覆われてはいたが、照葉峡の紅葉はまさに盛りで、駐車地に着くまでの間に何度も車を止めたくなって、後でゆっくり見ればいいと我慢したものだが、脇道の林道でも見どころは結構あり、林道に入ってすぐにある木の根沢橋から見る沢沿いの紅葉の具合もまたほど良く、帰りに陽あたりのなかで鮮やかなのが見られるだろうと期待する。
紅葉の林道をゆっくり歩いていくと、右手に大沢が見え出した。小滝があったり、深みがあったりで入渓にはまだ早い。ここで入渓したら泳ぐことになりそうだ。沢沿いの紅葉を楽しむ時間を延ばしたい気持ちもあった。歩き方が遅いのか、ちっとも身体は暖かくならない。
(大沢橋)

(橋の下の小滝)

大沢にかかる大沢橋を通過。沢はここで左手になる。そろそろ入るか。ザックから沢靴を取り出す。あれっ、失敗した。沢タビを持ってきたつもりでいたが、白いポリ袋から出てきたのは踝の上が靴下状になっている沢タビの方で、踝上のガードが甘い代物。前に、これで石に足をぶつけては痛い思いをしていたので、これは使えないなと思っていた。これで行くしか仕方がない。ワークマンは大きな樹の下に置いた。
(大沢に入渓)

ヤブをこいで入渓。水の冷たさは想定外だった。まだ10月だしそんなに冷たくはないだろうと思っていた。知っていたら、靴下のままで沢タビを履くことはなかった。せめてネオプレーンソックスにする。冷たさに沢靴と靴下と足元の悪い条件が重なった。
歩きづらい沢だった。石がゴロゴロしていて、それを避けながら歩いていたら、水深が膝下だったのが腿までの深みを通らなきゃならない羽目になった。石に足をぶつけないように注意したからそうなった。
(ゴルジュ。右から巻く)

(覗き込む)

(ゴルジュに落ち込む小滝)

(復帰。ここは深かった。腿まで来た。もっと先で復帰すればよかった)

(ちょっときれいだったので)

(石がゴロゴロで歩きづらい)

(右から沢)

(奥に大瀑が見えてくる)

(少しアップ。右に別の滝が流れているのが見える。ここから光が強くなって、ろくな写真を撮れなくなった)

目の前にゴルジュが現れる。深く、先は水流の強い小滝になっているのが見える。ここは左岸上に逃げる。簡単に巻けたはいいが、巻き過ぎた。泥濘にはまって泥だらけ。その間、身体はブルブルと震えていた。すでに神経がおかしくなっていて、むしろ、濡れたままなら、水の中の方がまだましの状態になっている。
沢に戻って、泥を流す。続行。相変わらず歩きづらい。左岸側に沢が入り込む。様子を見に行く。その先は大きな石がゴロゴロしていて、見るからに歩きづらそうで美沢とは言いがたい。戻って先に行く。沢の奥にあっさりと滝が二本見えた。直進奥が大瀑だろう。左岸に落ちる滝もでかそうだ。歩き出してから45分。あっけなく着いてしまった。紅葉も、沢靴の障害もなければ、30分もあれば着く。
(左に滝が流れていた。これでは凡な滝だが、帰りに改めて眺めると、紅葉バックにきれいに見えた)

(右が左岸に落ちる滝。左に大瀑)

(右に左岸の落ち込みを見ながら先に行く)

(大瀑)

(大瀑はともかく、左岸滝が気になる)

(ここで左岸滝の全容)

(つい見とれて、大瀑のことは忘れかけている)

近づく。さっきは見えていなかった右岸に細い滝が岩伝いに流れている。その先の左岸の滝は不思議な滝だ。下は岩壁伝いに幅広く水が流れているが、見上げると、落ち口は狭く、下向きの扇形になっている。上部の水の勢いは強い。末広がりで段状になっているから、沢に落ち込むところの水流は五月雨というかシャワーになる。水量が多い時は、上部の流れの勢いはかなり凶暴に見えるかもしれない。
(ようやく大瀑が正面になる。ご覧のように、上に陽があって、すっきりした姿が撮れない。以下同だ)

(ただ、アングルを引いただけ。滝つぼは深そうだ)

(大瀑のすぐ左手にも岩落ちの、滝とは言えないまでも上からの流れ落ちがあった)

周辺の滝は後でゆっくりと見ることにして、大瀑に向かう。CSの滝だとネット記事には出ていて、その写真を見た時には、自分もそう思ったが、これはCS滝ではあるまい。滝の本体に角ばったでかい石が挟まっているわけではなく、手前の壁に引っかかっている。それはそうとして、運が悪かった。落ち口の真上に陽が出ていた。これでは逆光だ。まともな写真が撮れないだろう。
大瀑の近くまで行った。滝つぼの手前に枝葉が堆積しているところがあり、ここを渉るのにズボッと腰まではまったら、抜け出すのに大変だなと慎重に足を運ぶ。無事に越えた。目の前の滝つぼは深い。深緑色。見上げると、ここでも逆光。角度を変えても光が入る。光を避ければ、滝の主要部が隠れる。時間を変えれば、暗い滝になるだろう。落差は25mから30mとまちまちな表記があったが、少なくとも20mはある。水の落ちはかなり厳しく、飛沫がもろにあたる。写真をいくつか撮って、手前の左岸滝の前に逃げ戻った。何せ、ヘルメットもせず、ただの帽子かぶりで来ていて、あの挟まった石が転がって来るのではといった恐さがあった。
(大瀑がよく撮れないのではしょうがない。やはり、左岸の滝になってしまう)

(下は五月雨だが、これが主流だろう)

(振り返って大瀑。結局、こんな写真しか撮れなかった。大瀑を見に来てこれではなぁ)

気になることがある。この大沢にゲジゲジマークが3か所ある。ここは最初のゲジで、地理院地図には上流の2つ目の長いゲジの入口付近に滝マークがあって、そこに「大瀑」と記されている。その長いゲジは標高線の80m分を飲み込んでいる。次の3つ目のゲジに滝マークはなく、ここの最初のゲジにも滝マークはない。それでいて、ネットで調べる限りは、ここが大瀑としている。次の2番目のゲジの終点までは林道が続いているようだから、その2番目の滝マークをいずれは確認したいものだ。それが帰ってから余計に気になっている。
乾いた石に腰かけて大瀑と周辺の滝を見ながら一服。すぐに寒くなった。大瀑の印象としては不気味さ。滝自体が薄暗く、陽が上に出ていても、本体周辺はすっきり見えない。そして強い流れが垂直に落ち込んでいる。そしてあの挟まった角張った石。これが丸い石だったら、滝の印象も違ってくるだろう。自分には、むしろ、狂暴性を秘めていながらも下を見れば優し気な顔をした左岸の無名滝の方に魅かれた。
(先ほどの右岸の細い滝の上部。紅葉を入れられた)

(戻る)

(余計な写真だったかも。自分にはきれいな光景だった)

ずっといたかったが、大瀑頭上の陽はなかなか離れてくれない。戻ることにする。ただ、このまま戻っても、下半身はずぶ濡れ状態で寒い。身体はすっかり冷え込んでいる。車に戻って着替えても、果たして照葉峡の十一滝めぐりをする気になれるかどうか自信がない。何度も振り返っては帰路に就く。
(そろそろゴルジュになる)

(黄色を入れたが、鮮やかとはいえない)

(ゴルジュ上の小滝)

(そして改めてゴルジュ。ゴルジュとはいっても短区間の回廊だ。夏ならあっけないシュライダーで楽しめるかも)

(大沢橋が見え、ここから林道に上がる)

(林道歩き。陽があたっているが、まだ気まぐれ)

来たところをそのまま下る。ゴルジュの巻きは、巻き過ぎで失敗していたから、沢寄りに歩いたが、それでも泥んこになった。後で考えれば、別に沢を歩かずとも、ヤブを一瞬こいで、さっさと林道に出た方が正解だったろう。そうすれば、先のゲジゲジマークの滝マークを確認に行く気になっていたかもしれない。ただ、その気になっても、おそらくは寒くて行くまい。
ワークマン置き場に出る。足だけでも交換しようと、ザックから靴下を出そうとしたら、いくら探しても出てこない。仕方なく、ワークマンは袋に入れてザックに入れた。
(ナメが見えたので再入渓。以下、同じような写真が続く)


















さて、この大沢、大沢橋の下は滝になっていて、その上流から入渓したのだが、林道を歩きながら大沢を眺めていくと下流部にナメ続きが見えた。沢タビのままだし、ここままトレパンズボンに水をたっぷり含んでいたのでは、また水に入っても同じ。ナメの様子を見に行く。
(十分に楽しんで林道に戻る)

(林道歩きも飽きない。これでは身体の寒さは忘れている)

(まだ大沢エリア)

(これだもんね。歩きも止まる)

(盛りなんだか、まだなのか。光がないのでは何とも)

(黄色も活躍している)

(全山紅葉)

(振り出しに戻った。出だしの橋からの眺めを改めて)

(モミジを入れて。この程度にしておこう)

(ゲートを越えて。今日は終わりになってしまった。同時に寒さがぶり返した)

しばらく楽しんだ。深い淀みもかなりあったが、問題なく脇を通って行ける。きれいな紅葉見物もできた。だが、10時を過ぎても、空の一部が青くはなっているものの、陽は出てこないし、風は相変わらずだ。瀑滝では陽にいじわるされただけのことか。ナメが終わったところで林道に復帰し、車に戻った。10時42分。
とりあえず下半身の着替え。パンツにまで水は及んでいないが、ステテコの末端部が湿っぽい。ステテコの着替えはない。されど脱げば寒い。履いたままにした。靴下はやはり車の中にあった。
着替えている最中に、後ろに止まった車からオバチャンが2人出てきて、木の根沢寄りのヤブの中に入って行った。きれいなところでもあるのかなと思っていたら、じきに戻ってきて「あぁスッキリした」とのたまった。そういえば、ここに来るまでの間にあるのは車道と駐車できる路肩だけで、何かの建物もないし、公衆トイレもなかった。冷え込めば、自然にヤブに入って用足しになっても仕方がない。
しばらく、車のエンジンをかけて暖をとった。脇を車がどんどん通る。身体が暖かくなることはなかった。気温は7℃。これでは確実に風邪をひき、病院に行けば、また不快な思いをする。帰ろう。十一の滝は来年だ。そして、その時に地図上の大瀑を確認しよう。別にこの時季に合わせずともいい。ヤマヒルが活動する前にでも。
車で下る。予想どおり、観光客がわんさと歩いていた。対向車も多く、狭い道、そしてこんな所に止めなくてもいいのにと思うような所に車を置いてモミジ祭りに参加しているのもいる。道の真ん中を堂々と歩いているジジイもいるし、車の通行の邪魔になるところに三脚を立てて撮影しているオヤジもいた。車の擦れ違いに何度も神経をつかったことか。だが、皆んなすごいものだ。熱心に撮影している人、特に年寄りのカメラは一式何十万もするだろうなと思うようなものばかりだった。いつも思うが、年金生活であんな贅沢ができるのが不思議だ。手取りで20万円以上の年金をもらっている人はそうザラにはいない。現役時代の年収が2千万円でもあったら、かなりの蓄えもあるのだろう。それにしては着ている物はユニクロっぽい。余計な想像と観察だったか。
洞元荘を過ぎると道幅も普通になった。今度はとにかく熱い物を食べたい欲望に襲われた。身体は冷えたまま。ラーメン屋が見えた。あそこで食べようかと思ったら、見るからにその辺のラーメン屋よりは劣る店構えなのに、駐車場は満車。客は外で列をなし、店内は密状態になっていた。これでは入れない。結局、インターに入るまでの間に見つけたコンビニでホットコーヒーを飲んで暖まった。ここでようやく陽が出てきた。
照葉峡も、せっかくそれが目的で来たのだから、盛りのところを見たかった。残念。ちなみに、今回の大瀑見物だが、林道ゲートから入って出るまでの間、だれにも会うことはなかった。こういうところでは、脇道に入り込んだらそんなものだろう・
(大瀑への軌跡。こんなものだ)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
(付録。上毛新聞の10月21日付けの記事)

21日の上毛新聞にみなかみ町の照葉(てりは)峡の紅葉が見ごろとの記事が出ていて、それだけなら、へぇー、そんなところがあるのか。来年でも行ってみようかで済ますが、5kmの区間で11もの滝を楽しめるとあっては、こちらもミーハー気分ですぐにでも行きたくなる。調べた。舗装した車道歩きで、その都度に河原に下りて滝見の形になるようだ。滝によっては、見下ろすだけのものもありそう。いくら紅葉をバックでも、沢通しでずっと行けるわけでもなく、魅力は半減だが、モミジと滝の組み合わせはなかなか出会えない。歩いて往復10kmも悪くはない。その都度に車を止めて滝を見るのでは面倒で面白みに欠ける。さらに調べる。この照葉峡を流れる川は木の根沢。その支流の大沢に大瀑という巨瀑があった。せっかくならこれも見たい。大して時間もかからないようだし。大瀑を見てから紅葉見物がてらのの十一滝めぐり。これが本日の予定。迷いなし。この「大瀑」だが、何と読むのかは知らないが、「ダイバク」ではなく「おおたき」かと思う。
事前に道路地図を見た。この照葉峡の先、片品方面に坤六峠があった。なるほど、照葉峡はそういうロケーションだったのか。坤六峠には強烈な思い出がある。13年前、高木の酔狂に付き合わされ、坤六峠から笠ヶ岳に向かった。熾烈なヤブで、中盤以降は背高のハイマツに身を没しての歩きになり、お互い、声をかけ合って進んだが、最後はハイマツの枝の上を歩く形になり、こんなのは二度とゴメンだと思ったものだ。坤六峠と聞けば、すぐにその時のことを思い出す。さらに下流には洞元荘があった。泊まった時のこと。坤六峠の件よりももっと以前だ。これも高木がらみの話。露天風呂があった。この先は記すまでもないことだが敢えて。深夜、月と星見の散歩に出かけた高木は浴衣の尻を泥んこにして帰ってきた。露天風呂にはバアサン以外にだれも入っていなかったそうで、それ専用の道がヤブの中にあったそうな。ヤブ蚊とアブにかなりやられたとこぼしていた。
出がけにネットで天気予報を確認。関東の朝は今季一番の冷え込み。みなかみの天気は10時くらいまで曇天で以降は晴れ。きれいな紅葉が楽しみだ。ただ、人のことは言えないが、新聞に出た以上は、観光客もかなりいるだろう。駐車できるかどうか気になった。後で考えると、問題はそんなところにはなかった。
二時間かけて現地に着いたのは8時近かった。幸いにもまだ混雑はしていず、林道近くの路肩に車を置いた。外に出た途端に感じたのは寒さ。車載の温度計は6℃になっていたし、さらに冷たい風が流れている。用心して厚手のシャツを着てきたが、さらにウインドパーカーを着こんでも寒い。10時までの我慢と、震えながら歩き出す。歩いていれば暖かくなる。ここで水が冷たいだろうことは考えてもいない。
(いきなりこれだった。照葉峡で)

(林道ゲート)

(木の根沢橋から。帰りにも撮ってしまう。スポットだった)

(林道で)

(アップ)

(林道から大沢)

8時出発。ピストンになるから、入渓時に沢靴に履き替えればいいと、ワークマンズックで歩き出す。すぐに林道ゲートの脇を通過。雲に覆われてはいたが、照葉峡の紅葉はまさに盛りで、駐車地に着くまでの間に何度も車を止めたくなって、後でゆっくり見ればいいと我慢したものだが、脇道の林道でも見どころは結構あり、林道に入ってすぐにある木の根沢橋から見る沢沿いの紅葉の具合もまたほど良く、帰りに陽あたりのなかで鮮やかなのが見られるだろうと期待する。
紅葉の林道をゆっくり歩いていくと、右手に大沢が見え出した。小滝があったり、深みがあったりで入渓にはまだ早い。ここで入渓したら泳ぐことになりそうだ。沢沿いの紅葉を楽しむ時間を延ばしたい気持ちもあった。歩き方が遅いのか、ちっとも身体は暖かくならない。
(大沢橋)

(橋の下の小滝)

大沢にかかる大沢橋を通過。沢はここで左手になる。そろそろ入るか。ザックから沢靴を取り出す。あれっ、失敗した。沢タビを持ってきたつもりでいたが、白いポリ袋から出てきたのは踝の上が靴下状になっている沢タビの方で、踝上のガードが甘い代物。前に、これで石に足をぶつけては痛い思いをしていたので、これは使えないなと思っていた。これで行くしか仕方がない。ワークマンは大きな樹の下に置いた。
(大沢に入渓)

ヤブをこいで入渓。水の冷たさは想定外だった。まだ10月だしそんなに冷たくはないだろうと思っていた。知っていたら、靴下のままで沢タビを履くことはなかった。せめてネオプレーンソックスにする。冷たさに沢靴と靴下と足元の悪い条件が重なった。
歩きづらい沢だった。石がゴロゴロしていて、それを避けながら歩いていたら、水深が膝下だったのが腿までの深みを通らなきゃならない羽目になった。石に足をぶつけないように注意したからそうなった。
(ゴルジュ。右から巻く)

(覗き込む)

(ゴルジュに落ち込む小滝)

(復帰。ここは深かった。腿まで来た。もっと先で復帰すればよかった)

(ちょっときれいだったので)

(石がゴロゴロで歩きづらい)

(右から沢)

(奥に大瀑が見えてくる)

(少しアップ。右に別の滝が流れているのが見える。ここから光が強くなって、ろくな写真を撮れなくなった)

目の前にゴルジュが現れる。深く、先は水流の強い小滝になっているのが見える。ここは左岸上に逃げる。簡単に巻けたはいいが、巻き過ぎた。泥濘にはまって泥だらけ。その間、身体はブルブルと震えていた。すでに神経がおかしくなっていて、むしろ、濡れたままなら、水の中の方がまだましの状態になっている。
沢に戻って、泥を流す。続行。相変わらず歩きづらい。左岸側に沢が入り込む。様子を見に行く。その先は大きな石がゴロゴロしていて、見るからに歩きづらそうで美沢とは言いがたい。戻って先に行く。沢の奥にあっさりと滝が二本見えた。直進奥が大瀑だろう。左岸に落ちる滝もでかそうだ。歩き出してから45分。あっけなく着いてしまった。紅葉も、沢靴の障害もなければ、30分もあれば着く。
(左に滝が流れていた。これでは凡な滝だが、帰りに改めて眺めると、紅葉バックにきれいに見えた)

(右が左岸に落ちる滝。左に大瀑)

(右に左岸の落ち込みを見ながら先に行く)

(大瀑)

(大瀑はともかく、左岸滝が気になる)

(ここで左岸滝の全容)

(つい見とれて、大瀑のことは忘れかけている)

近づく。さっきは見えていなかった右岸に細い滝が岩伝いに流れている。その先の左岸の滝は不思議な滝だ。下は岩壁伝いに幅広く水が流れているが、見上げると、落ち口は狭く、下向きの扇形になっている。上部の水の勢いは強い。末広がりで段状になっているから、沢に落ち込むところの水流は五月雨というかシャワーになる。水量が多い時は、上部の流れの勢いはかなり凶暴に見えるかもしれない。
(ようやく大瀑が正面になる。ご覧のように、上に陽があって、すっきりした姿が撮れない。以下同だ)

(ただ、アングルを引いただけ。滝つぼは深そうだ)

(大瀑のすぐ左手にも岩落ちの、滝とは言えないまでも上からの流れ落ちがあった)

周辺の滝は後でゆっくりと見ることにして、大瀑に向かう。CSの滝だとネット記事には出ていて、その写真を見た時には、自分もそう思ったが、これはCS滝ではあるまい。滝の本体に角ばったでかい石が挟まっているわけではなく、手前の壁に引っかかっている。それはそうとして、運が悪かった。落ち口の真上に陽が出ていた。これでは逆光だ。まともな写真が撮れないだろう。
大瀑の近くまで行った。滝つぼの手前に枝葉が堆積しているところがあり、ここを渉るのにズボッと腰まではまったら、抜け出すのに大変だなと慎重に足を運ぶ。無事に越えた。目の前の滝つぼは深い。深緑色。見上げると、ここでも逆光。角度を変えても光が入る。光を避ければ、滝の主要部が隠れる。時間を変えれば、暗い滝になるだろう。落差は25mから30mとまちまちな表記があったが、少なくとも20mはある。水の落ちはかなり厳しく、飛沫がもろにあたる。写真をいくつか撮って、手前の左岸滝の前に逃げ戻った。何せ、ヘルメットもせず、ただの帽子かぶりで来ていて、あの挟まった石が転がって来るのではといった恐さがあった。
(大瀑がよく撮れないのではしょうがない。やはり、左岸の滝になってしまう)

(下は五月雨だが、これが主流だろう)

(振り返って大瀑。結局、こんな写真しか撮れなかった。大瀑を見に来てこれではなぁ)

気になることがある。この大沢にゲジゲジマークが3か所ある。ここは最初のゲジで、地理院地図には上流の2つ目の長いゲジの入口付近に滝マークがあって、そこに「大瀑」と記されている。その長いゲジは標高線の80m分を飲み込んでいる。次の3つ目のゲジに滝マークはなく、ここの最初のゲジにも滝マークはない。それでいて、ネットで調べる限りは、ここが大瀑としている。次の2番目のゲジの終点までは林道が続いているようだから、その2番目の滝マークをいずれは確認したいものだ。それが帰ってから余計に気になっている。
乾いた石に腰かけて大瀑と周辺の滝を見ながら一服。すぐに寒くなった。大瀑の印象としては不気味さ。滝自体が薄暗く、陽が上に出ていても、本体周辺はすっきり見えない。そして強い流れが垂直に落ち込んでいる。そしてあの挟まった角張った石。これが丸い石だったら、滝の印象も違ってくるだろう。自分には、むしろ、狂暴性を秘めていながらも下を見れば優し気な顔をした左岸の無名滝の方に魅かれた。
(先ほどの右岸の細い滝の上部。紅葉を入れられた)

(戻る)

(余計な写真だったかも。自分にはきれいな光景だった)

ずっといたかったが、大瀑頭上の陽はなかなか離れてくれない。戻ることにする。ただ、このまま戻っても、下半身はずぶ濡れ状態で寒い。身体はすっかり冷え込んでいる。車に戻って着替えても、果たして照葉峡の十一滝めぐりをする気になれるかどうか自信がない。何度も振り返っては帰路に就く。
(そろそろゴルジュになる)

(黄色を入れたが、鮮やかとはいえない)

(ゴルジュ上の小滝)

(そして改めてゴルジュ。ゴルジュとはいっても短区間の回廊だ。夏ならあっけないシュライダーで楽しめるかも)

(大沢橋が見え、ここから林道に上がる)

(林道歩き。陽があたっているが、まだ気まぐれ)

来たところをそのまま下る。ゴルジュの巻きは、巻き過ぎで失敗していたから、沢寄りに歩いたが、それでも泥んこになった。後で考えれば、別に沢を歩かずとも、ヤブを一瞬こいで、さっさと林道に出た方が正解だったろう。そうすれば、先のゲジゲジマークの滝マークを確認に行く気になっていたかもしれない。ただ、その気になっても、おそらくは寒くて行くまい。
ワークマン置き場に出る。足だけでも交換しようと、ザックから靴下を出そうとしたら、いくら探しても出てこない。仕方なく、ワークマンは袋に入れてザックに入れた。
(ナメが見えたので再入渓。以下、同じような写真が続く)


















さて、この大沢、大沢橋の下は滝になっていて、その上流から入渓したのだが、林道を歩きながら大沢を眺めていくと下流部にナメ続きが見えた。沢タビのままだし、ここままトレパンズボンに水をたっぷり含んでいたのでは、また水に入っても同じ。ナメの様子を見に行く。
(十分に楽しんで林道に戻る)

(林道歩きも飽きない。これでは身体の寒さは忘れている)

(まだ大沢エリア)

(これだもんね。歩きも止まる)

(盛りなんだか、まだなのか。光がないのでは何とも)

(黄色も活躍している)

(全山紅葉)

(振り出しに戻った。出だしの橋からの眺めを改めて)

(モミジを入れて。この程度にしておこう)

(ゲートを越えて。今日は終わりになってしまった。同時に寒さがぶり返した)

しばらく楽しんだ。深い淀みもかなりあったが、問題なく脇を通って行ける。きれいな紅葉見物もできた。だが、10時を過ぎても、空の一部が青くはなっているものの、陽は出てこないし、風は相変わらずだ。瀑滝では陽にいじわるされただけのことか。ナメが終わったところで林道に復帰し、車に戻った。10時42分。
とりあえず下半身の着替え。パンツにまで水は及んでいないが、ステテコの末端部が湿っぽい。ステテコの着替えはない。されど脱げば寒い。履いたままにした。靴下はやはり車の中にあった。
着替えている最中に、後ろに止まった車からオバチャンが2人出てきて、木の根沢寄りのヤブの中に入って行った。きれいなところでもあるのかなと思っていたら、じきに戻ってきて「あぁスッキリした」とのたまった。そういえば、ここに来るまでの間にあるのは車道と駐車できる路肩だけで、何かの建物もないし、公衆トイレもなかった。冷え込めば、自然にヤブに入って用足しになっても仕方がない。
しばらく、車のエンジンをかけて暖をとった。脇を車がどんどん通る。身体が暖かくなることはなかった。気温は7℃。これでは確実に風邪をひき、病院に行けば、また不快な思いをする。帰ろう。十一の滝は来年だ。そして、その時に地図上の大瀑を確認しよう。別にこの時季に合わせずともいい。ヤマヒルが活動する前にでも。
車で下る。予想どおり、観光客がわんさと歩いていた。対向車も多く、狭い道、そしてこんな所に止めなくてもいいのにと思うような所に車を置いてモミジ祭りに参加しているのもいる。道の真ん中を堂々と歩いているジジイもいるし、車の通行の邪魔になるところに三脚を立てて撮影しているオヤジもいた。車の擦れ違いに何度も神経をつかったことか。だが、皆んなすごいものだ。熱心に撮影している人、特に年寄りのカメラは一式何十万もするだろうなと思うようなものばかりだった。いつも思うが、年金生活であんな贅沢ができるのが不思議だ。手取りで20万円以上の年金をもらっている人はそうザラにはいない。現役時代の年収が2千万円でもあったら、かなりの蓄えもあるのだろう。それにしては着ている物はユニクロっぽい。余計な想像と観察だったか。
洞元荘を過ぎると道幅も普通になった。今度はとにかく熱い物を食べたい欲望に襲われた。身体は冷えたまま。ラーメン屋が見えた。あそこで食べようかと思ったら、見るからにその辺のラーメン屋よりは劣る店構えなのに、駐車場は満車。客は外で列をなし、店内は密状態になっていた。これでは入れない。結局、インターに入るまでの間に見つけたコンビニでホットコーヒーを飲んで暖まった。ここでようやく陽が出てきた。
照葉峡も、せっかくそれが目的で来たのだから、盛りのところを見たかった。残念。ちなみに、今回の大瀑見物だが、林道ゲートから入って出るまでの間、だれにも会うことはなかった。こういうところでは、脇道に入り込んだらそんなものだろう・
(大瀑への軌跡。こんなものだ)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
(付録。上毛新聞の10月21日付けの記事)

やはりこうして拝見しても,大瀑より左岸の滝の方が,目を惹かれますネ。
それはさておき,さすがに10月後半ともなれば水は痺れるような冷たさでしょう。冷え性の自分には耐えられそうもありませんワ。
其れと,地形図の大瀑について書かれた記事は見たことがありませんネ。是非,先鞭をつけていただきたいと思いますヨ。
照葉峡の滝は,彼此25・6年前ですが,家族旅行で紅葉シーズンに訪ねたことがあります。確かに紅葉は綺麗だったケド,滝は小滝だから何だこんなモノかと思うかも知れません。
大瀑、やはり瀑泉さんはまだでしたか。事前に、瀑泉さんのブログに検索はかけたのですが、見あたりませんでしたから、かなり以前にいらしたのかなと思ったりもしていました。
あの大瀑、行くとなるとそれだけでは時間的に持て余しですから、他の滝もいくつかあわせた方がよいし、朝の時間帯は、陽があたる頃は避けた方がよろしいかと思います。大瀑もさることながら、隣接した左岸の扇形の滝はどうしても気になります。大瀑が奥に入り込んで見られない分、結構、立派な滝だし、見る価値はありますね。
滝マークの大瀑については、いずれ確認に行きます。今回の大瀑は逆光タイムでしたから、また行かなきゃと思ってもいますし。
瀑泉さんのおっしゃるとおり、10月末ともなると、水も冷たいものですね。ちょっと甘かったです。今年の夏は暑かった。山には行く気が起きず、せめて沢、滝にでもと思っていたのですが、ヤマヒルにやられてから恐怖症になり、動きが鈍くなる11月頃からボチボチ再開のつもりでしたが、これではダメですね。せめて、霧降の滝の上段だけでも見に行きたいとは思っていますが。
照葉渓の件、やはり、こんなモノかでしたか。冷たい沢上がりに身体をブルブルさせてまで徘徊しなくてよかったかなと思っています。まして、いくら紅葉がきれいでも、下りられる沢床にはだれかかしらいて撮影に没頭しているし、そんなのが撮った写真に写っていたのでは、きれいな紅葉も台無しですからね。一人で楽しんだ大沢の紅葉で十分です。