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◎2013年12月22日(日)
保健農園ホテルフフ山梨先の駐車場(7:54)……旧道父恋し入り口(8:48)……大沢山頭(10:33)……小楢峠(11:06)……小楢山(11:25~11:51)……小楢峠から母恋し路(11:59)……林道出会い(12:33)……駐車場(13:18) ※雪道歩きにつき、タイムは参考まで。
小楢山(山梨市)は以前から行きたいと思っていた山だ。そのネーミングと富士山の眺望に魅かれていた。何やかやと、行く機会を先延ばしにしていたが、先日、あんぱんさんのブログを拝見し、コース上に石仏が点在しているのを知った。これは知らなかった。調べると、歴史的由緒もある山じゃないか。早速行きたかったが、付き合い山行が入ってしまったりでおあずけ。ようやく、ここで実現した次第である。ある程度の積雪は覚悟している。「ある程度」とは、せいぜいくるぶし程の予想でいる。
オーチャード・ヴィレッジ・フフは「保健農園ホテルフフ山梨」に改称していた。その先のゲート前の駐車場に車を入れる。前は柵になっている。東京ナンバーの車が一台。中にはだれもいない。すでに山に入っているようだ。北側に乾徳山が見えている。白い。小楢山はそれよりも300m低いから、雪はそれほどでもないだろう。悩みもせず、ゴム長にした。石割山で履いた長靴だが、トラブルもなく、導入はほぼ正解のままでいる。風は強くて冷たい。念のため、中敷カイロ、チェーンスパイク、杖を持参。中敷カイロは「ジョギングなど激しい運動での使用は避けてください」と記してあるが、山歩きではどんなものだろうか。
(駐車場先の林道ゲート。ここを開けて入る)
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(伐採地から富士山)
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柵を開けて林道歩き。すぐに二股になり、標識にしたがって右。伐採地に出る。富士山がきれいに見えている。雲もない。これは幸先がいい。先に、丸みをおびたこんもりとした山が見えているが、あれが小楢山だろうか。白くなっている。
(座頭塚)
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植林の中の林道は凍結していて雪も出てくる。ここは車が通っているようで、タイヤ痕の上を歩かない限り滑る心配はない。いつから降った雪かは知らないが、上り下り合わせて4人分くらいの足跡がある。右に座頭塚(石)を見る。三首の歌が記された標柱が立っている。由来板も添えられているが、下は雪に埋もれ、字そのものも読みづらい。かろうじて、戦国時代、信長の軍勢に追われた川上城主某が逃げ延びたまま行き方不明になり、妻が夫探しにこの地に来たものの、盲目となって、ここで迷って亡くなったと読みとれる。座頭塚の裏を見ると、戒名のようなものが刻され、昭和十年製。古いものではない。
(大山祇命碑と石祠)
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(布袋石と左に石仏)
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(その石仏。第一号)
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再び伐採地(といっても苗木が植えられている)に出て、また植林の中に入る。左に大山祇命の碑と石祠。石祠は大正。これは山の神だろう。続いて「水源林雑樹認?」と刻された石柱。林道の雪が多くなってきた。カーブにさしかかって布袋石。ここにも二首。そこに、本日最初の石仏があった。弥勒菩薩だろうか。そう思ったのは、布袋さんは弥勒菩薩の化身だと記されていたからだ。石仏に関心を持つ方はいないようで、雪の上に足跡はなかった。
林道がまた分岐する。左に行く。右手奥に開山碑があった。これは帰りにでも立ち寄るとしよう。解説板があったが、句読点がないため、詳細部の意味がどうにでもとれる。恵林寺の住職が昭和8年に「小楢山」を「古那羅山」に改名して、その碑を寺内に建てたが、その後、昭和39年にここに移して、喝を入れたというようなことだろうか。その先、右手に掘っ建て小屋が見えた。あれが造林小屋だろう。
(林道脇に父恋し路の入口)
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(石仏。逆光で失礼)
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左に木の階段があった。標識には「旧道父恋し入り口」とある。林道直進方向は「母恋し路」となっている。ここは父恋し路に入る。登ると早速、石仏。つい、この先、期待してしまった。先行者が一人いる。雪の上の足跡、昨日の代物にも見えるし、次のハイカーが忠実に先行者の足跡を辿っているようにも見える。下り向きはない。積雪は、予想通りのくるぶし程度。だが、ハイキング道は雪で隠れているため、この先行者のトレースとうるさいほどのマーキングテープは、初歩きの自分には助かる。
(林道が横断)
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(林道脇にあった案内板)
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すぐに林道に出た。引き続きは林道を挟んで向かい側だが、案内板があった。父恋し路、母恋し路のいわれが記されている。ここでも盲目になった妻が登場する。先ほどの座頭塚の後日談といったところだ。改めて父恋し路に入る。
(寛政年間の石仏。他の石仏の年代は確認できず)
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(達磨岩?)
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今度は寛政の石仏。雪の中にポツンといい感じ。「達磨岩→」の方に行ってみる。トレースはすぐに戻っている。先に行ってみたが、左手の尾根上に大岩があり、視界にはそれ以外の岩はない。あれが達磨岩だろうか。なんだ、といった感じで石仏のところに戻って、先に行く。
(4番目の石仏)
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(5番目の石仏)
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(そして6番目の石仏)
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(岩や大石が出てくる。雪の中では歩きづらい)
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この先、2つ並んだ石仏と単独の石仏を見た。それぞれ時代を感じさせる石仏で、雪の中で見るのも、いい風情だ。先行者は相変わらず石仏にあまり興味がないらしく、わざわざの足跡は付いていない。この辺になると、このコースの特徴なのか、雑木の中にゴツゴツした大きな石や岩場が出てくる。岩場を登り降りするわけではないので障害にはならないが、次第に急になってきて、雪の下の枯葉とあいまって結構滑るようになる。実は、石仏をさらに期待したのだが、これでお終りだったようだ。「ようだ」としたのは、雪が次第に深くなり、先行者のトレースを外せない状況になっていたためで、少なくとも視界の範囲内では石仏は目に入らなかった。
(首欠けの姫百合地蔵)
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(白雲の滝)
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大岩の下に首欠けの姫百合地蔵。由来板の文字は大方消えかけ、判読ができない。続いて、「白雲の滝 千体仏」の手書き標識。滝はこれだろう。今は水もかなり少ない。千体仏はどこにあるのか、きょろきょろしたが、それらしき石仏は見えない。標識があるのだから、どこかにあるのだろう。
(振り返ると、結構、急である)
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すでに積雪はくるぶしどころか、膝までになっている。ハイキングコースの道型は消え、先行者のトレースを追う歩きになっている。大石も連続し、うかつに踏み外すと石の間にすっぽりと足が抜けてしまう。履いているゴム長は丈が長く、入口部分もきつくなっているので、雪が入る心配はないが。
(このトラバース登りは唯一きつかった)
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(屏風岩)
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危うい感じのトラバースをして屏風岩に出た。積雪は膝を越えた。ここまで、着ているフリースと手袋に雪を付けまいとして、無理な姿勢で歩いてきた。結局はバランスを崩して転んでばかりでいたが、やせ我慢も限界で、とうとう杖を出してしまった。最初からそうして歩いていればよかったものを。先行者もこの辺からストックを使い始めている。アイゼンとかワカンを使ってはいない。同じように予想外の展開か。
(羅漢岩。これまでも含めて、それほどの特徴ある岩でもないのだが、名前がついている。名前がなければ敢えて掲載しない)
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(大沢山頭から)
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もう少しで尾根に出そうだ。上が明るくなっている。羅漢岩から数分で大沢山頭に到着。後は尾根通し。先行者のトレースとテープがなかったら、ここまで来られたかどうか。早々に戻って、母恋し路を歩いていたことだろう。富士山を見上げてほっとする。南アルプスの山々も見えている。あるいは、八ヶ岳も見えているかも。妙見山方面への標識があった。尾根伝いのようだが、昭文社マップにコース線は記されていない。
(幕岩。この岩は大きかった)
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一旦下って、幕岩。大きな岩だ。この岩に登れば、展望はすこぶるいいようだ。270度の展望とか。金峰山方面も拝めるらしい。登ってみたいところだが、雪が付いているのでは危険過ぎないか。先行者のトレースはそのまま巻いている。未練を残しながら巻いた。もっとも、どこから取り付けばいいのか、垂れているはずのクサリは、雪のためか目に入らなかった。
(小楢峠)
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(雪はさらに深くなる。トレースがなければラッセルだったかも)
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再び、雑木の中の登りになる。もう大きな石はない。気分のいい歩きが続くが、トレースを外すと腿まで入り込む。歩程がどんどん遅くなる。こんな深雪を長靴で歩くようになるとは予想もしなかった。ようやく小楢峠に着いた。一気に足跡が多くなる。右から母恋し路が入り込んでいる。この時期、母恋し路を往復する方が多いようだ。5人分くらいの足跡があった。トレースがあっても、歩きづらさに変わりはない。だれもが先行者のトレースに合わせて歩くから、深くもなるし、歩幅も狭くなる。左右にはみ出す足跡もない。
(小楢山山頂)
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(南アルプスの山々)
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(下には市街地が広がっている。右に大沢山頭)
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(富士山アップ)
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(大菩薩方面)
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(金峰山)
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小屋のようなものが先に見えた。休憩所か。あれが山頂だろう。そして、小楢山の山頂に着いた。広い。ここを錫杖ヶ原と呼ぶのだろうか。だれもいない。小屋に荷物を置いて、山頂をグルグルと回る。富士山の眺望は期待通りのものだった。石割山でがっかりだっただけに、今回はえらく満足。眼下に広がるのは山梨市と甲府の街並みだろう。一望の南アルプスの山々も真っ白。雪煙が巻いている。右手すぐに大沢山頭。丸太の山名標識にカメラを載せて富士山をバックにセルフ撮影。飽きない景色にしばらく時間をつぶした。しかし、ここからの眺望は乾徳山までがクリア。奥秩父の山々は樹間越しですっきりとはしないが、五丈岩だけは確認できた。幕岩に登らなかったことを後悔した。だが、登っていたら、今の自分があったものやら。
(チェーンスパイクを装着)
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休憩小屋に戻って、軽いランチ。そして、地図を広げて下山コースを確認する。予定では一杯水まで行き、小楢峠に戻るつもりでいたが、さっき、峠で確認したら、一杯水方面からのトレースはなかった。山頂から一杯水方面に向かう一人分のトレースはあったが、あるいは焼山峠に向かっているとも考えられる(※)。この積雪だ。ラッセルになるかもしれない。疑心暗鬼な歩きはやめて、このまま母恋し路を下るとしよう。用心して、ゴム長にチェーンスパイクを装着。足も大分冷たくなっているが、中敷カイロへの信頼は薄く、下りで使ったら火傷でもしかねない。適当な里山で試してみてからにしておこう。
(※)後日、ヤマレコで、前日、塩山駅から歩き出し、母恋し路を経由して焼山峠に向かい、そこから林道経由で塩山に戻った方がいたことを知った。一杯水方面へのトレースは、その方のものだったようだが、出で立ちはスニーカーまがいのウォーキングシューズにスパッツとのことで、これでラッセルもしたようだ。何ともはやである。
(下る)
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(母恋し路)
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(葉は落ちないままにからから)
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(あっさりと林道に出てしまった。父恋し路に比べて楽勝コースかも)
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小楢峠に一旦下り、母恋し路に入る。足跡がしっかりしていて、安心して下れる。九十九折れの道。昭文社マップでは沢通しになっている。沢の脇を通っている。「雨乞い沢」の標柱があった。どれがそれなのか、雪が覆っていてわからない。明るい植林を通って、あっ気なく林道に出てしまった。「登山道 母恋し路」の標識が置かれていた。あれっ、と思った。この間に石仏が1基あるはずであったのだが…。見逃してしまった。残念。
(あれが小楢山だと思うが)
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ここからは林道歩き。後方上に小楢山が見えている。1712mの標高は感じない。里山の風情だ。この林道は、父恋し路を横切っていた林道だろうか。その先は通行止めになっていて、左に分岐する林道を下ると、ほどなく、父恋し路に入る階段に合流した。改めて、階段上の石仏を見に行ったが、相変わらずの逆光で、写真はうまく撮れない。
(開山碑)
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開山碑に寄り道をする。チェーンスパイクを付けたままで正解であった。下りの足には、林道の路面の凍結が厳しい。これなら、スパ長でなくともすたすたと下れる。車が都合3台上がって来る。ハンターでもあるようだし、山林仕事のようにも見受けられる。あんな凍結の道路をよく上がれるものだ。下りは想像をしたくもない。考えてみれば、林道入り口の柵は、だれでも開閉自在で、その気になれば、部外者でも立ち入れるわけだ。
(駐車場に戻った)
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(駐車場から。左に乾徳山)
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駐車場に到着。出発時の東京ナンバーの車はすでになく、別の東京ナンバーの車が置かれていた。結局、だれとも出会うことがなかったから、この車の方は、自分の後ろでも歩いているのだろうか。それにしても、今日は、先行者のトレースがあったおかげで歩けたようなもの。本当に感謝している。
相変わらず風が強い。ベンチに腰かけて、風防を置いてラーメンを作って食べる。この付近もハンターがかなり入っているようで、風の音に混じって、銃声が時たま聞こえてくる。ようやく暖かくなって帰路につく。
ここから、あんぱんさんのように、140号線を秩父に向かう手もなくはないが、凍結路の運転には自信もなく、おとなしく中央高速を使うことにする。途中、恵林寺にでも立ち寄ろうかと思ったが、意外にも混んでいた。以前、来たこともあったのでここはパス。時間も早かったせいか、比較的スムースに圏央道に入ることができた。
保健農園ホテルフフ山梨先の駐車場(7:54)……旧道父恋し入り口(8:48)……大沢山頭(10:33)……小楢峠(11:06)……小楢山(11:25~11:51)……小楢峠から母恋し路(11:59)……林道出会い(12:33)……駐車場(13:18) ※雪道歩きにつき、タイムは参考まで。
小楢山(山梨市)は以前から行きたいと思っていた山だ。そのネーミングと富士山の眺望に魅かれていた。何やかやと、行く機会を先延ばしにしていたが、先日、あんぱんさんのブログを拝見し、コース上に石仏が点在しているのを知った。これは知らなかった。調べると、歴史的由緒もある山じゃないか。早速行きたかったが、付き合い山行が入ってしまったりでおあずけ。ようやく、ここで実現した次第である。ある程度の積雪は覚悟している。「ある程度」とは、せいぜいくるぶし程の予想でいる。
オーチャード・ヴィレッジ・フフは「保健農園ホテルフフ山梨」に改称していた。その先のゲート前の駐車場に車を入れる。前は柵になっている。東京ナンバーの車が一台。中にはだれもいない。すでに山に入っているようだ。北側に乾徳山が見えている。白い。小楢山はそれよりも300m低いから、雪はそれほどでもないだろう。悩みもせず、ゴム長にした。石割山で履いた長靴だが、トラブルもなく、導入はほぼ正解のままでいる。風は強くて冷たい。念のため、中敷カイロ、チェーンスパイク、杖を持参。中敷カイロは「ジョギングなど激しい運動での使用は避けてください」と記してあるが、山歩きではどんなものだろうか。
(駐車場先の林道ゲート。ここを開けて入る)
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(伐採地から富士山)
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柵を開けて林道歩き。すぐに二股になり、標識にしたがって右。伐採地に出る。富士山がきれいに見えている。雲もない。これは幸先がいい。先に、丸みをおびたこんもりとした山が見えているが、あれが小楢山だろうか。白くなっている。
(座頭塚)
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植林の中の林道は凍結していて雪も出てくる。ここは車が通っているようで、タイヤ痕の上を歩かない限り滑る心配はない。いつから降った雪かは知らないが、上り下り合わせて4人分くらいの足跡がある。右に座頭塚(石)を見る。三首の歌が記された標柱が立っている。由来板も添えられているが、下は雪に埋もれ、字そのものも読みづらい。かろうじて、戦国時代、信長の軍勢に追われた川上城主某が逃げ延びたまま行き方不明になり、妻が夫探しにこの地に来たものの、盲目となって、ここで迷って亡くなったと読みとれる。座頭塚の裏を見ると、戒名のようなものが刻され、昭和十年製。古いものではない。
(大山祇命碑と石祠)
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(布袋石と左に石仏)
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(その石仏。第一号)
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再び伐採地(といっても苗木が植えられている)に出て、また植林の中に入る。左に大山祇命の碑と石祠。石祠は大正。これは山の神だろう。続いて「水源林雑樹認?」と刻された石柱。林道の雪が多くなってきた。カーブにさしかかって布袋石。ここにも二首。そこに、本日最初の石仏があった。弥勒菩薩だろうか。そう思ったのは、布袋さんは弥勒菩薩の化身だと記されていたからだ。石仏に関心を持つ方はいないようで、雪の上に足跡はなかった。
林道がまた分岐する。左に行く。右手奥に開山碑があった。これは帰りにでも立ち寄るとしよう。解説板があったが、句読点がないため、詳細部の意味がどうにでもとれる。恵林寺の住職が昭和8年に「小楢山」を「古那羅山」に改名して、その碑を寺内に建てたが、その後、昭和39年にここに移して、喝を入れたというようなことだろうか。その先、右手に掘っ建て小屋が見えた。あれが造林小屋だろう。
(林道脇に父恋し路の入口)
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(石仏。逆光で失礼)
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左に木の階段があった。標識には「旧道父恋し入り口」とある。林道直進方向は「母恋し路」となっている。ここは父恋し路に入る。登ると早速、石仏。つい、この先、期待してしまった。先行者が一人いる。雪の上の足跡、昨日の代物にも見えるし、次のハイカーが忠実に先行者の足跡を辿っているようにも見える。下り向きはない。積雪は、予想通りのくるぶし程度。だが、ハイキング道は雪で隠れているため、この先行者のトレースとうるさいほどのマーキングテープは、初歩きの自分には助かる。
(林道が横断)
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(林道脇にあった案内板)
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すぐに林道に出た。引き続きは林道を挟んで向かい側だが、案内板があった。父恋し路、母恋し路のいわれが記されている。ここでも盲目になった妻が登場する。先ほどの座頭塚の後日談といったところだ。改めて父恋し路に入る。
(寛政年間の石仏。他の石仏の年代は確認できず)
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(達磨岩?)
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今度は寛政の石仏。雪の中にポツンといい感じ。「達磨岩→」の方に行ってみる。トレースはすぐに戻っている。先に行ってみたが、左手の尾根上に大岩があり、視界にはそれ以外の岩はない。あれが達磨岩だろうか。なんだ、といった感じで石仏のところに戻って、先に行く。
(4番目の石仏)
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(5番目の石仏)
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(そして6番目の石仏)
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(岩や大石が出てくる。雪の中では歩きづらい)
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この先、2つ並んだ石仏と単独の石仏を見た。それぞれ時代を感じさせる石仏で、雪の中で見るのも、いい風情だ。先行者は相変わらず石仏にあまり興味がないらしく、わざわざの足跡は付いていない。この辺になると、このコースの特徴なのか、雑木の中にゴツゴツした大きな石や岩場が出てくる。岩場を登り降りするわけではないので障害にはならないが、次第に急になってきて、雪の下の枯葉とあいまって結構滑るようになる。実は、石仏をさらに期待したのだが、これでお終りだったようだ。「ようだ」としたのは、雪が次第に深くなり、先行者のトレースを外せない状況になっていたためで、少なくとも視界の範囲内では石仏は目に入らなかった。
(首欠けの姫百合地蔵)
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(白雲の滝)
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大岩の下に首欠けの姫百合地蔵。由来板の文字は大方消えかけ、判読ができない。続いて、「白雲の滝 千体仏」の手書き標識。滝はこれだろう。今は水もかなり少ない。千体仏はどこにあるのか、きょろきょろしたが、それらしき石仏は見えない。標識があるのだから、どこかにあるのだろう。
(振り返ると、結構、急である)
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すでに積雪はくるぶしどころか、膝までになっている。ハイキングコースの道型は消え、先行者のトレースを追う歩きになっている。大石も連続し、うかつに踏み外すと石の間にすっぽりと足が抜けてしまう。履いているゴム長は丈が長く、入口部分もきつくなっているので、雪が入る心配はないが。
(このトラバース登りは唯一きつかった)
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(屏風岩)
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危うい感じのトラバースをして屏風岩に出た。積雪は膝を越えた。ここまで、着ているフリースと手袋に雪を付けまいとして、無理な姿勢で歩いてきた。結局はバランスを崩して転んでばかりでいたが、やせ我慢も限界で、とうとう杖を出してしまった。最初からそうして歩いていればよかったものを。先行者もこの辺からストックを使い始めている。アイゼンとかワカンを使ってはいない。同じように予想外の展開か。
(羅漢岩。これまでも含めて、それほどの特徴ある岩でもないのだが、名前がついている。名前がなければ敢えて掲載しない)
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(大沢山頭から)
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もう少しで尾根に出そうだ。上が明るくなっている。羅漢岩から数分で大沢山頭に到着。後は尾根通し。先行者のトレースとテープがなかったら、ここまで来られたかどうか。早々に戻って、母恋し路を歩いていたことだろう。富士山を見上げてほっとする。南アルプスの山々も見えている。あるいは、八ヶ岳も見えているかも。妙見山方面への標識があった。尾根伝いのようだが、昭文社マップにコース線は記されていない。
(幕岩。この岩は大きかった)
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一旦下って、幕岩。大きな岩だ。この岩に登れば、展望はすこぶるいいようだ。270度の展望とか。金峰山方面も拝めるらしい。登ってみたいところだが、雪が付いているのでは危険過ぎないか。先行者のトレースはそのまま巻いている。未練を残しながら巻いた。もっとも、どこから取り付けばいいのか、垂れているはずのクサリは、雪のためか目に入らなかった。
(小楢峠)
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(雪はさらに深くなる。トレースがなければラッセルだったかも)
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再び、雑木の中の登りになる。もう大きな石はない。気分のいい歩きが続くが、トレースを外すと腿まで入り込む。歩程がどんどん遅くなる。こんな深雪を長靴で歩くようになるとは予想もしなかった。ようやく小楢峠に着いた。一気に足跡が多くなる。右から母恋し路が入り込んでいる。この時期、母恋し路を往復する方が多いようだ。5人分くらいの足跡があった。トレースがあっても、歩きづらさに変わりはない。だれもが先行者のトレースに合わせて歩くから、深くもなるし、歩幅も狭くなる。左右にはみ出す足跡もない。
(小楢山山頂)
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(南アルプスの山々)
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(下には市街地が広がっている。右に大沢山頭)
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(富士山アップ)
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(大菩薩方面)
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(金峰山)
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小屋のようなものが先に見えた。休憩所か。あれが山頂だろう。そして、小楢山の山頂に着いた。広い。ここを錫杖ヶ原と呼ぶのだろうか。だれもいない。小屋に荷物を置いて、山頂をグルグルと回る。富士山の眺望は期待通りのものだった。石割山でがっかりだっただけに、今回はえらく満足。眼下に広がるのは山梨市と甲府の街並みだろう。一望の南アルプスの山々も真っ白。雪煙が巻いている。右手すぐに大沢山頭。丸太の山名標識にカメラを載せて富士山をバックにセルフ撮影。飽きない景色にしばらく時間をつぶした。しかし、ここからの眺望は乾徳山までがクリア。奥秩父の山々は樹間越しですっきりとはしないが、五丈岩だけは確認できた。幕岩に登らなかったことを後悔した。だが、登っていたら、今の自分があったものやら。
(チェーンスパイクを装着)
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休憩小屋に戻って、軽いランチ。そして、地図を広げて下山コースを確認する。予定では一杯水まで行き、小楢峠に戻るつもりでいたが、さっき、峠で確認したら、一杯水方面からのトレースはなかった。山頂から一杯水方面に向かう一人分のトレースはあったが、あるいは焼山峠に向かっているとも考えられる(※)。この積雪だ。ラッセルになるかもしれない。疑心暗鬼な歩きはやめて、このまま母恋し路を下るとしよう。用心して、ゴム長にチェーンスパイクを装着。足も大分冷たくなっているが、中敷カイロへの信頼は薄く、下りで使ったら火傷でもしかねない。適当な里山で試してみてからにしておこう。
(※)後日、ヤマレコで、前日、塩山駅から歩き出し、母恋し路を経由して焼山峠に向かい、そこから林道経由で塩山に戻った方がいたことを知った。一杯水方面へのトレースは、その方のものだったようだが、出で立ちはスニーカーまがいのウォーキングシューズにスパッツとのことで、これでラッセルもしたようだ。何ともはやである。
(下る)
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(母恋し路)
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(葉は落ちないままにからから)
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(あっさりと林道に出てしまった。父恋し路に比べて楽勝コースかも)
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小楢峠に一旦下り、母恋し路に入る。足跡がしっかりしていて、安心して下れる。九十九折れの道。昭文社マップでは沢通しになっている。沢の脇を通っている。「雨乞い沢」の標柱があった。どれがそれなのか、雪が覆っていてわからない。明るい植林を通って、あっ気なく林道に出てしまった。「登山道 母恋し路」の標識が置かれていた。あれっ、と思った。この間に石仏が1基あるはずであったのだが…。見逃してしまった。残念。
(あれが小楢山だと思うが)
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ここからは林道歩き。後方上に小楢山が見えている。1712mの標高は感じない。里山の風情だ。この林道は、父恋し路を横切っていた林道だろうか。その先は通行止めになっていて、左に分岐する林道を下ると、ほどなく、父恋し路に入る階段に合流した。改めて、階段上の石仏を見に行ったが、相変わらずの逆光で、写真はうまく撮れない。
(開山碑)
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開山碑に寄り道をする。チェーンスパイクを付けたままで正解であった。下りの足には、林道の路面の凍結が厳しい。これなら、スパ長でなくともすたすたと下れる。車が都合3台上がって来る。ハンターでもあるようだし、山林仕事のようにも見受けられる。あんな凍結の道路をよく上がれるものだ。下りは想像をしたくもない。考えてみれば、林道入り口の柵は、だれでも開閉自在で、その気になれば、部外者でも立ち入れるわけだ。
(駐車場に戻った)
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(駐車場から。左に乾徳山)
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駐車場に到着。出発時の東京ナンバーの車はすでになく、別の東京ナンバーの車が置かれていた。結局、だれとも出会うことがなかったから、この車の方は、自分の後ろでも歩いているのだろうか。それにしても、今日は、先行者のトレースがあったおかげで歩けたようなもの。本当に感謝している。
相変わらず風が強い。ベンチに腰かけて、風防を置いてラーメンを作って食べる。この付近もハンターがかなり入っているようで、風の音に混じって、銃声が時たま聞こえてくる。ようやく暖かくなって帰路につく。
ここから、あんぱんさんのように、140号線を秩父に向かう手もなくはないが、凍結路の運転には自信もなく、おとなしく中央高速を使うことにする。途中、恵林寺にでも立ち寄ろうかと思ったが、意外にも混んでいた。以前、来たこともあったのでここはパス。時間も早かったせいか、比較的スムースに圏央道に入ることができた。
どうもこの時期になると、富士山を近くで見たくなりますね。それも、雪が少々あれば最高です。
今回は、予想外の積雪ではありましたが、楽しめましたよ。ちょっと時間が短かすぎた感はありますが。
トレースと目印がなければ、どうでしたでしょうか。まして初めての山でもありますし。
雪の時期は、私には、夏道の一般道を歩くに限りますよ。
山梨百名山ですけど、基準はどうなのか、富士山ばっちり山が山梨の百名山になっている気がしないでもないのですが。
今回は素晴らしいですね。
雪も丁度よい具合ですんなり歩きよりはちょっと刺激有りで良い具合かと。
もっとも踏み跡が無ければ初めての不案内なルートの真っ新な雪面歩きは目印などが無いと少々不安ではありましょうが。
山梨百名山なのですね。
小楢山はHIDEJIさんに先行してしまいました。もっとも、小楢山よりも、乾徳山の方が魅力はあるかもしれませんが。
ただ、見た目は、乾徳山もかなり雪があったと思いますよ。
小楢山はガツガツ登る山ではないですね。晴れ間の中をゆっくりと探索といった風情が似合う山です。石仏はみんな品が良くていいですよ。もっとあったらなぁと、少々残念でしたが。
長靴の歩きやすさは、いかにフィットしているかに尽きます。中で足もふやけることを考えれば、小さすぎず、そして、大きいと登りの苦痛がたまりません。スパイクが付くと、岩場ではちょっと危ないところもあります。自分からお薦めはしませんが、やはり一長一短ですよ。
奥武蔵の短時間歩きなら、問題なしです。
長靴で7時間越えの雪道歩きとは恐れ入ります。
奈良部山の後はどこに行かれたのかと、いつも気になって拝見してはおるのですが…。早めに記事アップをお願いしますよ。
大方、半端でないところをお歩きになったものと拝察いたします。
これからは、長靴歩きは里山に限ります。登山靴に泥がつくのを気にしながら歩くよりも、気にせずに平然と歩けるところはいいですが、深雪ではあまりメリットなしです。
絞るほどの濡れ具合ですか。私も水気を含んだ靴下になっていましたが、あと2時間も歩けば、そうなっていたでしょうね。
明日、たまたま用事で休むことになりましたから、短時間ですが、桐生の山を中敷カイロを突っ込んで歩いてみます。
山梨から見るすそ野まで広がる富士山は最高ですね。
抜けるような青空と白のコントラストといい、石仏もそそられます。
踝くらいの積雪であれば行ってみたい気もしますが。。。
それと長靴というのは寒さはさておき歩き易いのでしょうか。すごく気になります。
一応,休憩込み7時間強の歩きでしたが,実際,雪を踏んでいたのはそこまでではありませんでした。
「雪道は5時間歩きが限度」とは,妥当な線でしょうネ。
爪先の冷えは如何ともしがたいものがあるし,下山して靴を脱いだら,絞るほど靴下が濡れてましたから。
やはり冬は,雪山でも対応できる登山靴が必須ですかネェ。。。
雪山と思って行けば消化不良だし、大したことはないだろうと見くびって出かければ、予想外の積雪に驚きといったところです。
まずは、こんな山で雪山体験をしてみたらいかがでしょうか。石仏あり、富士山もきれいだし、条件もいいですよ。
山梨県も北側になると、富士山もなかなかのものです。お試しください。
そうですね。土曜日の朝、地元から見える袈裟丸方面と赤城が真っ白になったのを見て驚きました。これまでは、せいぜい浅間山くらいなものでしたから。
雪山といったって、私の場合、真似事ですから、大したところには行けはしませんよ。
富士山は、この程度の見え方が手ごろですね。下を遮っている山があって、中腹から上を顔出ししているといった案配のが。
これが、上州や下野あたりからでは小さすぎて。秩父あたりからの富士山も好きな大きさです。
どこの山も先週だいぶ降雪があったようで日光方面も真っ白になってました。
裾野まで丸見えの富士山よりこのくらいの見え方がお気に入りなんですね(笑)
今回は年賀状用にと思って行ったわけでもなかったのですが、結果的に、ズブの素人にしても、富士山画像でしたら事欠かない写真は撮ってきました。
みー猫さんもご存じのように、長靴の限界は知れたもので、雪道ではせいぜい5時間歩きが限度でしょう。足も汗をかきますから、自然に靴下も濡れてくる。そして冷たくなる。悪循環の典型です。
ホカロンでのカバーも考えられるのですが、狭い密室で、むしろ危険性を帯びてしまったらどうしようもありません。そこで、中敷タイプを見つけたのですが、次回は桐生の山あたりで試してみたいと思っております。
ぶなじろうさんは小楢山のこと、詳しくはご存じなかったようで。私もまた、同じようなものでしたが、名前から来るイメージだけでも、以前から行きたいと思っておりまして、ようやく実現の運びとなった次第です。一応、山梨百名山になっているようですね。
いろいろと伝説、歴史を秘めている山のようで、「古那羅山」は夢窓国師が命名したとか。
紅葉もきれいなようですから、機会がありましたらぜひ。雪がなかったらあっさりと登れるはずです。
本題に入りましょうか。チェーンスパイクはモンベル製です。私はアマゾンで買いましたが、割引はありません。
http://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=1129612
をご参照ください。爪は10本付いていて、着脱はあっけらかんです。スグレ物とは言いづらいですが、チェーンの絡みもなく、ちょっとした低山や凍結路では重宝しています。高下駄は今のところ、経験はありません。ただ、落葉の深いところを歩いてしまうと、かなり拾いますね。凍結路でのザクザク感は、たまんないですよ。
靴底がしっかりしているようですね。チェーンスパイクとの相性も良さそうです。深雪も問題ないとなればあとは防寒性・・・たそがれさんをしてラッセルに誘うような快適さなら二重丸ですかね(笑)・・・年賀状はとても良いのが出来たようですね。
ナンダ、たそがれさんも雪の中を歩いていたんじゃぁないですか!
小楢山は名前だけは知っていましたが、場所はと聞かれれば、?・・・でした。
さすがに、山梨まで行くと富士山も堂々としていますね。↑にもあるように、青と白がいい感じです。
チェーンというものを初めて見ましたです。高下駄製造機にはならないのでしょうか?そうであれば、とても欲しいのですが、登山用品店で売っているのでか?道具に疎いもので・・・。
雪景色が続くのが楽しみと申されましてもね…。体力、気力で自ずと限界があるというもので。
ただ、内心、雪が深くなるに連れてほくそ笑んでいたことは確かでして、ラッセルの真似事もしてみたいものだと思いはじめてもおりましたよ。
やはり、雪山からの富士山の眺め、いいですね。白のおかげて、空の青さが一層映えますよ。先日の石割山からの富士山は、あれ、一体何だったのでしょうか。石仏の一つや二つもあれば、また感慨も違ってくるものなのですが。何もなかったですねぇ。
さて、予定では、しばらくは茶褐色の世界が続くかと思います。ご容赦を。
石仏も歴史があり、楽しめたのが感じます。
これからは、雪景色が続くのが楽しみです。