たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

足尾の向山のアカヤシオは不作だった。正直、わざわざ行くまでもなかった。

2023年04月25日 | 足尾の山
◎2023年4月19日(水)

 「向山」とはいっても俗称だろう。どの山に対しての「お向かい山」なのか。候補は中倉山と備前楯山しかあるまいが、古くから向山と言われていたとすれば、鉱山だった備前楯山だろう。いわゆる向山1251.1mには三角点があって、四等三角点の基準点名は「舟石」だ。ちなみに、中倉山は三等の「上向」、備前楯山は同じく三等の「有越」になっている。備前楯に南の遠下から登る途中に「有越山」というのがある。ここは三角点がないからわからないが、ちょっと北に1114.6mの三角点があって、ここは「古足尾」となっている。どうでもいいようなことを記した。山名にこだわる方もいるだろうから向山は「俗称」、「いわゆる」とした。以降は向山で通す。そもそも、基準点名の「基準」の根拠は何なのだろうかと思ったりはするが、ここでは深く調べる気はないし、役所仕事での命名だろうから、さして興味はない。
 その向山には何度か登ったことがある。最初は12年前にハイトスさんと一緒に登った出川源頭岩峰群巡りの終点としてだった。以降、舟石新道を歩いたり、塔の峰に行く途中で立ち寄ったりしているから、少なくとも4回は登っている。その向山がアカヤシオの隠れた名所だと知ったのは最近のことで、備前楯山の比ではないらしい。もっとも、備前楯のアカヤシオとて、さしたるものではないとは思う。この時季に向山に行ったことはなかった。
 ヤマップあたりの記事には、備前楯のアカヤシオは終わりかけとあったので、向山に慌てて行った次第だが、そもそも、備前楯の「終わりかけ」という表現自体が怪しい。昨年の5月3日に息子と備前楯に登った時は確かに終盤だったし、今年はどこも例年よりも咲きが早い。ネット記事で見る写真は、終わりというよりも、咲かずに終わったんじゃないのといった印象だった。現に、花が地面にかなり落ちている写真は見かけなかったし、咲いている花の隣の芽がすでに茶色になっていたりしていた。ど素人の考えだ。とにかく確かめに行くことにした。あわよくば、その見事らしい向山のアカヤシオに接してみたかった。順序としては向山。続いて備前楯。
 足尾に向かう間に、ちょっとしたシーンに出くわした。水沼駅近くで、桐生市議選に立候補した高校時代の同級生が、道行く車に向けてニコニコしながら手を振っていた。7時半頃だったから、時間的にまだ選挙カーには乗れず、一人での活動だろう。知り合いなら、ここで車を止め、頑張れとでも言うのが普通だろうが、車の流れが続いていたので、そのまま通り過ぎた。ニコニコ顔が、覗き込んだオレに気づく様子はなかった。三年ほど前に仲間内で飲んだことはある。早々にリタイアして、カヌー遊びをしたり、地域活動をしていると聞いていた。もっとも、太田市民であるオレに彼に投票する立場にはない。

(こんなに空いているのに、東京ナンバーが、わざわざ、オレの車の真横に置いた)


 舟石峠駐車場には車が5台ほどあった。途中から目の前を走っている車は東京ナンバーだった。はるばるご苦労さまといったところだ。数日前のヤマップだったかの記事に、シカの死骸が駐車場中央側の脇にあったということで、それを見たくもないので端に車を置いたが、つい探してしまったら目に入った。東京ナンバーからはジイちゃん4人組が準備万端で出てきて、早速、男体山をバックに感嘆しては記念撮影をして、すぐに備前楯に向かった。手際がいいものだ。こちらは、地下タビの履き替えに手間どっている。中敷きの指先がずれている。車から降りた時点で、すでに皆が登山靴を履き、スパッツを付けていた。もしかすると、登山靴で運転してきたのだろうか。

(この辺から取り付く)


(ピンクリボンに嫌な予感がしたが、心配するまでもなかった)


(色物はない)


(結構急だった)


 車道を少し本山側に下って斜面に取り付く。ルートとしては、向山手前の出川岩峰群のⅣ峰を経由する南東からの上りになる。舟石新道経由にすれば楽チンだろうが、南東から登った記憶が薄い。下りで使ったことはあったかもしれない。
 尾根型は明瞭ではないので適当に斜面を登ると、真新しいピンクのテープを見た。がっかりした。こんなところを歩く物好きもいるようだ。気にするほどでもなかった。テープは3本見ただけで、先はなかった。何の目印だったのだろう。

(岩峰群尾根に出た)


(この「補點」が気になった)


 古い樹に巻き付いたテープは見たが、すべて無視して地図頼りに登る。とにかく高い所を目指せばよいだけのことで、岩峰群の尾根に乗れれば、向山に至る。これがまたきつい。樹に手をかけるとあっさりと折れた。左は岩場になっている。そちらを避けて右手を行ったが、岩場に移ったらむしろ楽だった。

(備前楯山。山肌にピンク色は見えなかった)


(アカヤシオが咲いてはいるが、本来なら、写真撮りの対象にもならない)


(これを登って)


(Ⅳ峰)


 岩峰のⅣ峰に着く。この間に見たアカヤシオは小さなもので、むしろ貧弱ともいえるものだった。それよりも気になったのは、『補点』と記された石標だった。三角点ではない。測量の石標だろうが、後でネットで調べても、画像は見かけたが、何の目印かはわからなかった。

(Ⅳ峰から改めて備前楯)


(岩峰群)


(御大にはまだ雪が)


(ここからでは下れない)


(中倉山。もう5年は行っていない。昔はオレのアイドル山だったが取り消した)


 Ⅳ峰からの眺めは良かったが、向山を眺めたところで、ピンクの花は見えない、まだ、本番は向山に着いてからだと思っている。ここからすんなりと向山には行けない。真下は岩壁。一旦下って、左から、鞍部に行けそうなところを探して下る。アカヤシオがちらほらと左側に見えた。期待はした。だが、近づいてみても、どうも見栄えがしない。花も小さく、ポツリポツリだ。何となく、この先の予想ができた。それでも少しの期待はあった。盛りの場所は向山の北西側だとのことだった。こちらは東側だ。鞍部から登り上げる。

(いよいよ、ここらからかなと期待をした)


(花づきが悪いねぇ)


(落ちた花を見かけたが、常に単数)


(そして消えた)


 登るに連れて、アカヤシオが出てきた。近づく。花には元気がなく、芽も黒くなっている。地面を見ても、落ちた花は見あたらない。花を咲かせずに、芽が死んでしまったかのようだ。その一株だけではなかった。周囲のアカヤシオもまた同じ状態だ。

(向山手前の小ピーク)


(復活はしたが、この茶色は何?)


(こんなものかよー)


(塔の峰を見て我慢する。いずれ山名板の点検に行かないと)


(これから盛りになるとはどうも思えない)


(こんな写真ばかり出しているのが情けなくなる)


(まぁ、これは何とか)


(袈裟丸だが、その手前の山肌にピンクの色合いは見えない)


(腰掛けて、ため息をついてタバコをふかす)


 山頂をうろうろした。見事といったアカヤシオは見かけないし、数そのものも少ない。三角点に腰掛けてタバコを吸った。ダメだったか。北西側を確認するのはこれからだが、三角点尾根に登り上げた時点で、その北西側はすでに眺めている。ピンクの塊は目に入らなかった。せっかく期待して来たのにすでにあきらめの境地。ここまで来たからには、ダメを確認するまでのこと。

(北西側を眺めても、この先にピンクはない)


(もういいや)


(ここからも北西側は一望だが)


(下る)


(未練たらたら)


(舟石新道に出てしまった)


(向山向かいの1200mピークにもピンクは見えない)


(舟石新道を先に行ってみたが、得るものもなく引き返す)


(見たのは、このミツバツツジだけ)


 北西に下ることはできない。崖になっている。尾根伝いに南西に下りながら尾根から外れては北西方面を眺める。ポツリポツリのアカヤシオを見かけて下るだけだった。
 手堅い濃厚なアカヤシオを見ることなく舟石新道に出てしまった。あきらめ切れないでいる。根拠もなく、熊の平の方までしばらく歩いた。ミツバツツジを一株見ただけ。熊の平の少し手前で戻ることにした。
 戻って、向山の南側向かいにある1200mピークを眺めたが、色気のあるものは見えない。迷った。どうせ帰るなら、このまま舟石新道歩きではつまらない。1200mピーク経由で下ってもいいが、安全に下ろうとすれば、南に向かうことになる。もちろん、崖マークは迂回するが、庚申山林道のゲートに出てしまう。それをやれば、上りの長い車道歩きがつらい。以前、強引に南東に下ったことがある。これだと、車道歩きが短くはなるが、下った直後がかなり危うかった。先で作業道だったらしき道型には出るが、それまではあてもなく感で歩くことになる。

(相変わらず落葉が深くて歩きづらい)


(車道が見えて)


(観察小屋)


 結局、舟石新道歩きになった。ここもまた花そのものを見ることはなかった。鳥獣観察小屋が見えたので、舟石新道から離れ、車道上の石に腰掛けて休んだ。水を飲んで大福を食べた。地元で職を探して務めた最初の会社では、農家の女性が何人かいて、やたらと大根やキャベツ、白菜、ネギが回ってきたものだが、今の会社では菓子だらけ。客から菓子折りが届くと、係の女性が人数分に分け、最初はグーやらアミダになる。オレは元から菓子は食べないから、オレを外してくれと言いたいが、仕方なく付き合う。おそらく、オレはその間、ずっと無表情だろう。おかげで食べない菓子はたまる一方で、日持ちがしそうなのは山歩きでの非常食になってしまった。大福もまたその一つだ。案外おいしかった。

(駐車場に戻った)


 暑くなっていた。改めて備前楯には行く気はしなかった。がっかりするだけのような気がするし、疲れもした。駐車場に戻る。駐車場には6台の車。ジイちゃんたちの東京ナンバーの車はすでにない。シカの死骸の前に置いている車があったので、幸いに死骸を見ずに済んだが、その車の方は、まったく気づかずにあそこに置いたのだろうか。この陽気では臭いもきついだろうに。
 それでも2時間半は向山を成果もなくほっつき歩いていたようだ。もうしばらくすれば、高いところでは、季節外れの雪にやられていないアカヤシオを見られるだろうか。

(口直しで小滝の里に寄る)


(ここも色鮮やかできれいとは言い難かった)


 後日談だが、23日に利平茶屋から篭山に行って周回した。飽かないアカヤシオ続きだった。アカヤシオのトンネルもあった。あくまでも一般歩きのコースだ。これを体験してしまったら、追いかけもそろそろ終わりでいいかなと思ったりもした。

※今回の写真はうざったいものばかりで失礼。

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4 コメント

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Unknown (みー猫)
2023-04-26 07:42:34
たそがれさん、おはようございます。
残念な確認だったのですね。でも赤城で堪能されたようで良かったじゃないですか。いつもアタリだと、自分を含めた読者も、指をくわえるばかりですから(笑)船石新道探索もいつかやろうと思ってすっかり忘れてました。
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あかやしお (雪田爺)
2023-04-26 17:37:11
こちら、とてもお久です.
追っかけてますね.あちらこちらの記事、楽しく拝見させていただいてます.良いとこもあったり、そうでない所も・・ こうしてみると、どこも一様に咲き誇りっつー訳でもないんですね.
昨日、夕日岳に行って来ました.三つ目から山頂に続く道で丁度見頃でしたよ.又、帰路薬師岳方向に100m程行って見てみましたら、こっちの方に多く咲いている感じでした.これも、今日の雨でどうなる事やらですが.
塔の峰は旬を狙って今年も行くつもりですが、いつが良いのか、この気候で読む事が出来ません.
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みー猫さん (たそがれオヤジ)
2023-04-27 18:33:10
みー猫さん、こんにちは。こんなつまらない記事にわざわざ。
そうですよね。みー猫さんには向山の具合はいつ頃でしょうかねなんて聞きましたしね。
確かに、他人様のアカヤシオ堪能の記事を見かけては、うらやましく思い、もう遅いなと思ったりしています。こちらは毎度のことです。
舟石新道探索ですか。どうでしょうか。散々歩いていると、果たして自己満足で終わりじゃないかなと思ったりもします。ブリキマークが頼りで、踏み跡もかなり薄くなって、紛らわしいところもかなりありますが、今回の熊の平からの下りでは、ぼんやりして歩いていたせいか、そのブリキマークが少なくなったような気がします。元からその部分だけは少なかったのかどうも記憶にはないですが、外した痕跡もありましたから。
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雪田爺さん (たそがれオヤジ)
2023-04-27 18:34:15
雪田爺さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
雪田爺さんもアカヤシオ追っかけでしたか。だれかの記事に、薬師岳のアカヤシオは「最高」と形容して記されていましたね。どうも想像しにくいのですが、そんなこともあるし、去年良かったから今年もというわけにはいきませんね。
塔の峰とは渋いですね。塔の峰もさることながら、庚申山と塔の峰との合流点あたりがすごいですよ。ただ、今年はどうだか。
自分にはそこいらの山、つまりは具体的に赤城山のことですが、赤城山で派手なアカヤシオを見てしまいましたから、今度は渋いところでも歩いて、一人、ニヤニヤしながら楽しむのもいいかなと思っております。
もちろん、その選択肢には塔の峰もありますけどね。
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