たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

クタクタ山行・浅草岳

2009年07月26日 | 新潟県の山
◎2009年7月25日(土)―1人

 新潟の山は、あと、守門岳と浅草岳には登ってみたかった。一日で最短ルートで2つ歩くことも可能なようだが、それでは味気ない。4月に行って失敗した守門岳は後回しにし、浅草岳に行くことにした。4時半に家を出て、田子倉の駐車場に着いたのが7時15分。雨が降っていたら、しばらく待って、回復の見込みがなかったら戻るつもりでいたが、どんよりながらも、雨の心配はなさそうだ。広い駐車場には地元ナンバーが1台きり。地元といっても、もうここは福島県なのだが。線路を挟んだ向こう側にも2台。ところで、近くの田子倉駅、周囲何キロと、民家はないのに、登山客以外、だれが利用するのだろう。

 浅草岳にはいろいろなコースがあるようだが、1~2時間程度で登れるネズモチ平や桜ゾネからのコースは最初から敬遠した。短ければ、それなりに人も多いだろうし、達成感もない。鬼が面山に興味があったが、ここを歩けば、足下の山そのものを見ることが出来ない。谷越しの田子倉ルートなら、左に鬼が面山を見ながら歩ける楽しみもあるのではないか。敢えてこのルートにした所以。しかし、遠い。登山口まで、ネズモチ平に向かう分岐からさらに10km以上は国道を走ったような気がする。

 7時半出発。昨夜はかなり雨が降ったようだ。登山道は泥んこになっている。間もなく木道。この木道、距離は短いが、靴をある程度は汚さないだけマシだ。沢を2回渡る。いずれも傾いた橋がかかっている。水量は多い。2つ目の橋を渡って、迷ってしまう。手前の沢を上って行ってUターン。奥の沢沿いも違う。何ということはない。正面のヤブっぽいところに入り込むと、すぐに道があった。この間、平らな石に乗っかり滑って転んでしまう。道には水が流れている。ここからしばらく樹林帯の中を歩く。8時10分、最後の水場。まだ40分しか歩いていないのに、いつもより、何だか疲労が大きい。雨上がりの曇り空。ムシムシしているし、風はまったくない。もう28℃になっていて、汗ふきの手拭いはびしょびしょ。絞ってしまう。先日新調したDバッグは、背当ての部分が汗で汚れ始めている。8時20分、「熊の爪」の表示。その後、クマさんはやって来ないのか、爪の跡はかなり古い。

 ブナ林の薄暗い中をずっと登る。いつになったら解放され、からっとした尾根上に出るのか。風がないから、汗もダラダラと流れ続ける。枯葉に覆われた登山道。枯葉の下は粘土質。その隙間に雨が入りこんでいるためか、頻繁に滑る。最初のオジサンをつかまえる。カーブの少し見晴らしのあるところで、上半身、シャツ1枚になっている。風がないから、こんな格好していても涼しくもないだろう。「暑いですね」。「いつになったら、林から抜けられるんでしょうね」。「私も、ここは初めてだから」。先に駐まっていた車は福島ナンバーだった。情報通かなと思っていたけど、期待は裏切られた。曲がりくねった道がずっと続く。樹林帯から抜ければ、風通しの良さをすごく期待している。傾斜もきつくなる。頻繁に休む。この発汗は尋常じゃないなぁ。水は2リットル持って来た。もう300mlは飲んでいる。また、手拭いを絞る。

 ようやく、左右の開けた尾根道になるが、九十九折れの上り道が続く。期待した風は出てない。それどころか、ガスで何も周囲は見えない。そろそろ、正面に山頂と左に鬼ヶ面山が見えるはずだが、周囲は何も見えない。何だか、予期に反して、うっとうしい山歩きになってしまった。新潟県側は晴れていたけど、福島側は曇っていた。今日の天候では登山口の選択に失敗したかな。

 9時、小ピークを迂回する。これが剣ヶ峰だろうか。表示がないので分かりづらい。9時7分、「鬼ヶ面眺め」。前を1人歩いている。同じ速度のようだから、敢えて抜かない。こちらもスローペースになっている。立ち止まって、汗を拭う回数がめっきりと多くなっている。ボーっとして歩いて間に雲が一気に消えていた。雲の上に出たようだ。ようやく、左に鬼が面山。すごい山肌と岩。下には雪渓。これを見られただけでもいいや。写真はこの時に撮った。正面に浅草岳も見えてきた。左側に前岳。標高差は400mくらいのもの。あと一頑張り。といっても、気力が伴わない。田子倉湖は相変わらず雲の下。

 9時15分、「熊合せ」。陽が出てくると、気温も上がる。もう30℃を超えている。依然、無風。街の中で、カンカン照りの中、延々と続く坂道を歩いているのに等しい感じ。日陰に入っても、涼しさはない。前を歩いているオッサンもバテているのか、それとも、後ろにつかれるのか嫌なのか、「お先にどうぞ」と、先に放たれた。景色は素晴らしいくらいに広がる。遠く燧ヶ岳が双耳を立てている。越後三山、未丈が岳、荒沢岳、平ヶ岳。あれが巻機山かな。自分の登った山だけは分かる。ちょっと休憩してパンを2個。水で流し込む。今までの手拭いは絞った後に頭にかぶる。下山時に使うつもりでいた、もう1枚の手拭いを出す。ポケットに入れていたから、こちらもかなり汗で濡れている。今日、こんなに汗をかくとは予想もしていなかった。

 ここからも長い。相変わらず九十九折れの道。立ち休みの回数が多くなった。足の両股も痛くなってきた。ようやく山頂10時30分。3時間もかかってしまった。あの歩き方では仕方がない。2時間を想定していた。たくさんのトンボが飛んでいる。もう何十年の前、会津駒ヶ岳に行った時も、山頂がトンボだらけで、いまだに会津駒というと、トンボのイメージが強い。ここも会津の山。山頂には桜ゾネから登って来た2人組と単独がいた。北側の景色も広がった。ただ、山の名前が分からない。前岳方面には木道が続いている。あっちが雰囲気も良かったかも。田子倉湖もようやく見えた。ここじゃ悪いと思い、向かい側のピークに行ってタバコを吸う。疲れているためか、全然、おいしくない。食欲もさほどなく、おにぎりを押し込み、水で流し込む。そうしないと、腹に入らない。一等三角点のある山頂に戻る。その後、新潟側から4人登って来た。オレの前を歩いていたオッサンも到着。かなりいかれた顔付きになっている。

 2人組に聞かれた。「福島側からですよね?」。「えぇ」。「天狗の庭あたりの景色はどんな感じでした?」。「えっ?」。同じ福島ルートでも、ブナ平新道のことを言っているのだろう。知らないものは知らない。1人で来たオバサンが携帯をかけてうるさい。その内容は、家族らしい相手への、買い物や、布団を取り込む依頼であった。聞きたくなくとも聞こえる。いいご身分だね。山頂に11時までいて下山する。山頂も、風が全然なかった。ジリジリと暑く、気温も32℃あった。

 下りは、岩場もまだ濡れていて、滑りに要注意。今朝のシャツ1枚のオジサンに出会う。この方もクタクタ顔。かなり股が痛くなってきた。日陰で休んで、石に腰掛けて足を伸ばすが、その姿勢が悪いのか、かえって痛くなって、立ち休みスタイルになる。この方が、足の痛みは感じない。水を飲んでは汗をダラダラかく循環の悪さ。間もなく1リットルを空けそうだ。「熊合せ」でオバサンが2人休んでいる。距離はまだあるか?と聞かれたから、あと1時間半くらいかかるんじゃないですかと答えた。さらにウンザリした顔になってしまった。別にオレが悪いわけではない。この無風と高温の中で歩くのがいけないのだ。続いて単独2人。そのうちの1人はいきなり、「蛇がいますか?」と聞いてきた。過去に手痛い思いをしたことがあるのだろう。しばらく下ると、道をふさいで、中年男女が寝そべっている。変なことをしていたら、通れないなと思っていたが、近づいたら、本気で寝ているようだ。わざと足音を鳴らしたら、男がびっくりして起き、女を起こしにかかった。女は寝ぼけていた。あの2人、山頂はとうにあきらめたな。でも、よく、日陰とはいえ、あんな暑いところで寝られるものだ。

 最後の水場12時27分。冷たい沢の水をがぶ飲み。顔と手も洗った。しばらく、座っていたが、立ち上がったら、ちょっとした目眩があった。熱中症じゃないのか。歩こうとしたら、下の方で、バリバリと機関銃を撃っているかのような音が聞こえ、やがてメリッ、バリッ、ドーンと、地響きとともにすごい音が聞こえた。木が倒れたのだ。最初、熊でもいるのかと思って、立ちすくんでいた。見に行ったら、太いブナが根こそぎ倒れていた。雨で土壌が緩んでいたためだろうか。木も暑さバテかね。

 12時56分、ようやく駐車場。どえらく長く感じた山歩きも終わった。すぐに車に入り、エアコンを全開にして涼んだ。車は1台増えていただけ。これにバイク1台。この登山口からは自分を入れて9人入ったはずだが。単独が5人、あとは2人組だから、向かい側の駐車場にある1台を加えても、車4台、バイク1台というのはどういうことだろう。他にも駐車場があるのか。バイクは鳥甲山がある地名のものだったから、おそらくはデポ用だろう。どうでもいいけど、台数と入山者の数のアンバランスが気になった。只見線利用もあり得るか。

 帰りは無性に風呂に入りたかったが、看板が出ていたので、脇道に逸れて8Km走って行ってみたら、そこはつぶれたホテルだった。また戻り、看板を見ながら走ったが、なかなか見あたらず、もう小出に入っていた。町の中を走りながら探すのも面倒で、そのまま家に戻った。越後三山も関越からよく見えた。この時期、山に行くなら、やはり短時間ルートが正解だね。

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