
◎2019年11月4日(月)
駒岩多目的集会所駐車場(7:52)……モミジ現れる(8:31)……石尊山(9:38~9:41)……高田山(10:25~10:41)……998m標高点(11:45~12:01)……797.5m三角点(12:43~12:52)……林道(13:10~13:19)……車道(13:20)……四万温泉情報ポケット(13:41)……集会所駐車場(13:55)
足尾の山に行くか高田山にするかで迷っていた。気分的に今回は足尾の山に行きたくはない。先日、熊を二回も見てしまったからか。中之条町の高田山の紅葉のことは、ハイトスさんやら瀑泉さんのブログを見てそんなにきれいなのか、じゃオレも見てみたいなと思っていた。とにかく近年知ったスポットで、実は、でんさんのブログで知ってはいたが、中之条は同じ県内でも遠いイメージで、行くことはないなと記憶から流れ、山名だけは頭にはあった。本気になったのはいわばミーハー気分だ。
ともあれ、Googleで検索すると、ここ数日の高田山の紅葉記事はほとんどない。30日に行かれた方のヤマレコ記事が唯一で「もう少しという感じだった」とあり、掲載された写真は確かに淡いモミジだったし、出ていたのはそれ一枚きりだった。つまり、高田山の紅葉は盛りにはまだ早い。さりとて足尾の山に行くのでは渋々気分だ。足尾のどこに行くか。時期的にはせいぜい塔の峰の東尾根か笹ミキ沢の右岸尾根くらいしか紅葉のきれいそうなところは思い浮かばない。もっと今時の紅葉スポットの山を知っていればなぁと悔やんでも今さらのこと。足尾周辺の山しか知らないのではどうにもならない。栗駒山には行ったが、もう有名スポットの紅葉眺めもネットで写真を見れば十分。わざわざ出かけて見てみたいとまでは思わない。
出がけの直前まで悩み、去年行かれたハイトスさんのブログを改めて拝見した。11月3日だった。掲載写真の紅葉は結構見ごたえがありそうだ。今日は4日。ヤマレコの30日見物からわずか5日でああまでなるとは思えないが、それでも部分的にでも当たりがあればそれにこしたことはなく、ピーク時にハイカーぞろぞろではかなわない。きっときれいなのもあるさといった気持ちで中之条に向かった。おそらく、八割方はやはり早かったで帰ることになるかもしれない。今日は高田山の後は周辺の滝をいくつか回ることにしている。モヤモヤ感は滝見でカバーできると思う。そう願いたい。
6時に家を出て、高速を使って集会所の駐車場に着いたのは7時45分。その間に通り過ぎでバックを2回している。集会所もしかりだ。集会所には車が4台しか置けないという情報は知っていて、さらに先の温泉情報ポケットの駐車場に置くことになるだろうことは覚悟していたが、1台しかない。やはりなぁとがっかり半分。くどいが見頃の紅葉はまだ早いのだ。
準備をしていると軽トラが入って来た。地元の方だと思っていたら「モミジを見たくてね」とオッサン。ここにオレと同類がいる。最近のネット記事でどうこう言うと、そちらの世界にはあまり関心がないのか、見られればそれでいいといった感覚のようだった。ガツガツの期待よりもそれが正解かも。自分もまた早かった、遅かったで軽く済ませられればいいが。そういうわけにもなぁ…。ガソリン代、高速代、時間もかけてやって来ている。
(登山口は左手の坂を上って行く)

(白いポリ袋の中には塩入り小袋が入っている)

歩き出すと、実はどう行ったらいいのか知らず、そのまま四万温泉情報ポケットの方に向かおうとしたら、石屋さんの隣の三階建ての家のベランダからオバチャンの声がかかった。「そっちじゃなくて、手前を上に行くのよ! 道なりに行けば、登山口あるから。登山届書いてね」と。ご丁寧にありがとうございます。今日は、先日の足尾で失敗していたので、ただの地下タビではないスパ地下にしていた。アスファルトをひっかく音で気づいたのだろうか。オバチャンは布団干しをしていた。
指示にしたがってそちらに行くと、確かに<高田山・石尊山⇒>の標識はあったが、どこを見ても登山届らしきものはなく、その代わりにボックスにあったのは、役場が置いた食塩を入れた袋。説明板を読めば、ヤマビルが多いのでここにある10%の食塩水を靴とズボンに吹きかけろとあった。食塩水はなく、袋にあったのは食塩そのものだったわけだが、そこで一袋いただき、ズボンとタビに振りかけ、残りはザックに入れたが、ヒマなことに、家に帰ってからその袋の重さを測ると88gあり、振りかけ分を加えれば100gはあったようだ。ここで、ヤマビル除けには食塩水であることを知る。ナメクジみたいだ。
(舗装はすぐに切れて山道に)

(こんなのでも地味にきつい上り)

標識が続き、歩きに悩むこともない。舗装が終わると未舗装の山道。作業道兼用7か、分岐はあちこちにあるが、標識に従えばおかしなところには行かない。ただ、この歩道も次第に傾斜は地味にきつくなり、途中でストックを出してしまった。地図の破線路は一部、尾根伝いに記されているところもある。実際の歩道はクネクネと尾根を巻いている。尾根そのものは決して急には見えない。
どうも、駐車場で一緒だった軽トラのオッチャンのことが気になる。こちらは歩きが遅いから、どうせなら、さっさと先に行ってもらいたい。ジグザグのハイキング道を振り返ってもオッサンの姿はなく、どうも落ち着かない。突然現れたら自分の足のノロさが嫌になる。道はやがて植林だか針葉樹の中の九十九折りになっていく。紅葉の気配はまったくなし。
(鳥居)

(紅葉の気配はまったくない)

(ようやく出てきた)

(赤も加わるが、これではまだまだ先だ)

(こんなので今日は我慢かなぁ)

鳥居があった。石祠があるわけでもなく、<高田山2km>の標識が置かれている。この辺から植林に自然林が混じるようになる。だが、葉は緑のまま。見頃なら、ここからいきなり赤くなるのではないだろうか。徐々に標高を上げると、薄い黄色が見えてきた。下見のようなものだが、ようやくお祭り会場に近づいたか。比率としては緑がまだ半分あり、遠くに薄い赤がちらほらで、緑の中でくすぶっている感じだ。黄色はさらに淡過ぎる。
(次第に濃くなっていく。期待できそうだ。どうも前の樹が邪魔をする)

(だが、これだ)

(見上げての鑑賞しかないのかねぇ)

(やっと出てきたか)

(少し早いがきれいではある。これが深い赤味になったら不気味な世界になりそうだ)

(何も言えんわ)

(見上げて)

(結局、このアングルに落ち着く)

(少しアップで)

(もうコメント不要)

(同じく)

明瞭なモミジが現れたのは標高820mからだった。ちなみに出発地点の標高は560m。ここから上がるに連れて赤が濃くなり、比率も緑を超えるようになった。つい足を止めてはきれいだなぁと感嘆しながらの写真撮りが長くなる。もう後続のオッサンのことは頭からいなくなった。
こんな調子で紅葉にうつつを抜かしながら歩いているが、自分の感覚で言うなら、盛りは一週間から十日後だろう。少なくなりかけても緑の葉がどうしても気になるし、鮮やかな黄色がまだ見えない。ついでにどうでもいいことを記す。紅葉した樹々は尾根上にある。だが実際に歩いて行く道は破線路よりも左にずれていて、杉だかヒノキで邪魔にならない紅葉を直近で見ようとすると、右手の尾根側に移動しないとならない。その尾根の右下は急斜面になっている。だから、歩道は尾根から外して付けられたのだろうが、普通なら、歩く斜面側にも見上げる紅葉があるはずなのに、ここは少ない。
決してケチをつけているわけではない。早過ぎるとはいっても十分に楽しめる紅葉だ。ましてここのところ急上昇中の紅葉スポットになっている高田山だ。盛りの時に来てみれば、横道に逸れずとも、歩く巻き道沿いでも紅葉を堪能できることになっているのかもしれない。その辺は、来年の盛りに再訪での確認ということになる。もちろん、その節はネット情報をしっかりと確認してからだ。今回参考にしたのはあくまでも昨年の紅葉だ。余談だが、この「再訪」。ここの紅葉に味をしめ、今年も見物に来た方に帰り道で出会った。後にそれは記すことになるが、これに自分の立場としては笑ってしまう。
(カーブして石尊山に向かう稜線が近づく)

(それでもやはり上はきれいだ。サンバのリズム調)

あれだけ賑やかだった紅葉も、石尊山(1049m標高点)が近づくと寂しくなっていく。葉を落としている樹が多いし、赤も茶系に変色し、黄色もまたあるにはあるが小ぶりで、陽にあたっているのに光ってもいない。それでいて青葉がまだあったりする。上はもう終わりのようだ。これもまたどうでもいいことだが、いわゆる「高田山の紅葉」というのは、実際には「石尊山の紅葉」であって、後でわかったが、高田山自体の紅葉に見られるものはさほどになく、大方の紅葉見物ハイカーが石尊山だけでピストン歩きになるのもうなずける。
おかしな講釈もこれまでにしておこう。早過ぎだったが、そのレベルではきれいだった。羅列した写真を見ればそれで十分。栗駒の紅葉は山肌。ここは樹々の葉だ。
(石尊山は間もなく)

(名残り惜しくて1)

(同じく2)

(石尊山の紅葉はもう終わりか。ちょっとがっかり。下の色づき次第だねぇ)

(石尊山のピーク)

(高田山に続く尾根)

北東から西に方向転換して稜線歩きになった。左下斜面はきれいだが、ここでも矛盾しながらも早いのかなと思ったりする。つまりわけがわからない。歩いている分には気持ちが良い。大きな岩が現れ、尾根は少し細くなる。目の前にやや急な上りが見えた。おそらくあそこが石尊山ピーク。その後ろに高田山に連なるピークがチラリと見える。
(石尊山山頂)

(山頂の石祠)

(山頂から1)

(山頂から2。榛名山くらいはわかる)

(高田山)

(高田山の斜面。色づきはある。あの南からの尾根を登っても意味はないだろう。きれいなのは石尊山側なのだから)

狭い山頂だ。石祠がある。下で見た鳥居の行き先はこれだったようだ。だれもいない。展望は良好。ほぼ360度。かつて登った山々も見えているはず。榛名山だけはわかる(笑)。狭い山頂だからか、切り立ったピークだからなのかあまり落ち着かない。高田山を見ると、確かに紅葉を楽しむにはわざわざ行くまでもない山のように思える。まして、この先は立入禁止のテープがあるはず。昨年、この区間で滑落事故があったようだ。だがここで引き返すのではただのハイキングで終わってしまう。
(テープをくぐる)

(まだあるじゃないか)

(またきりがなくなりそうだ)

(さっきと同じだが、近づくとそれなりにきれいだ)

(手前の尾根を下った)

確かにテープのガードはあったが、「キケン注意」はあったものの「通行禁止」の文字はなかった。つまりは自己責任。ハイトスさんのブログにも「細尾根っちゃ細尾根」とあった。テープを越える。
尾根はヤセ気味で、コブもいくつかある。最初のうちは気まぐれモミジもあったが、そのうちに消えた。途中、これどうやって登るんだいと迷う岩場もあった。落ち着いて景色を見るような気分にはなれない。ハイトスさんの記事にはロープ伝いもあったが、自分の記憶ではロープはなかったような気がする。
(高田山への登山道)

(少しばかり手こずった)

(こちら側にはこれがある)

(リンドウを見て。開いたのもあったがピンボケだった)

(高田山山頂。石尊山より広い)

(一等三角点標石)

三番目のピークだろうか。あそこが高田山のようだ。こちらにもテープのガードがあり、表に回ると「通行禁止」の札が付けられていた。石尊山側のは落ちて飛ばされたのだろう。
山頂にはだれもいない。ここまでだれとも会っていない。集会所にあった先着車の方はわらび峠に下っていったのか、もしくはただの駐車場代わりだったのか。殺風景な山頂だ。あるのは山名柱、三角点、なぜか赤い郵便受け、そして倒れた標識。標識を立ててみたが、根元から折れていて、立て直してもすぐに倒れた。この標識には「唐繰原へ」という指示板もある。これはわらび峠方面ということだろう。ここにある三角点は後で調べると一等三角点だった。
周囲はヤブの木立で展望は空のみ。だれもいないし、ここでおにぎりを食べてタバコに火をつけて一服。そこにオジサンが石尊山の方から登って来た。集会所で一緒だったオッサンではない。どこにでも、こういう掟破りハイカーはいるものだ。オジサンはまもなく石尊山の方に下って行った。
さて、ここからの定番はピストンで戻るか、車道歩きを厭わなければわらび峠方面ということになるが、自分はその真ん中の北尾根下りを選んだ。これまで、そんなところを歩いた奇特なハイカーがいたかどうかは知らない。せめて、人とは違った歩きをしてみたいという気持ちに加え、<四万の甌穴>を見てみたかったからだ。車で戻って見に行くよりはどうせ帰り道にある。
ルートとしては、これは結果とは違ってしまったが、ほぼ北にある998m標高点に下り、そこから東の尾根。先で尾根は北北東、北東、797.5m三角点のある南東に分かれるが、前二つのうちどちらかを選び、鳥居マークのある林道、または秋鹿という地区に下って車道(国道353号線)に出るというもの。その先に四万の甌穴がある。地形図を見る限り、高田山直下の1100mと1150mとの間が急そうだが、後は問題なしとみた。石尊山から来る途中で見た北尾根そのものはなだらかだった。問題はあるまい。だが、そう甘くもなかった。念のため、鈴をザックに吊るす。
(ヤブを越えて北尾根へ)

(いきなりこれだった)

(逆光で見えづらいが、これを下った。左はかなりの急斜面で下の谷間が深い。右は崩壊)

ヤブから出て少し下ると三方向の展望が開けた。予定尾根も見える。だが、何だこりゃ。左右の谷間が深すぎる。目の前の尾根はヤセている。平らなのは地形図の世界。尾根の突端はかなり脆そうだ。引き返すかととまどったが、とりあえずはストックを収納して様子見がてらに下ってみた。左下斜面はズルズルになっている。ガクガクしながら落ち着いたところで振り返る。尾根の西側は崩壊していたし、東側斜面の斜度は相当なもの。もう戻れる状況にはなくなっている。相変わらずのヤセ尾根を下る。つかむ灌木があるだけでもマシというもの。
(後になって気づいたが、このポイントにして間違っている。右尾根を下るべきなのに、隣尾根という感覚で撮っている)

(誤った尾根からトラバース)

傾斜がいくらか緩み、いくらか尾根幅も広がり、普通の細い尾根の形に近づこうとしているところでコンパスを見ると、あらぬ方向を指している。998m標高点に合わせて下ったが、GPSを見ると、北西の1034mに向かう尾根に乗っていた。このままでは林道に出るだけだが、途中に沢がある。右に正解尾根が見えている。この谷間のトラバースは厳しかったが、立木や丈夫な木の根に助けられ、からがらに尾根に復帰した。気づくのが早くてよかった。
(上は雑な感じの尾根)

(石尊山にはなかったいくらかきれいな黄色)

(赤も加わるが、北側は南に比べてくすんで見える。光の関係だろう)

この尾根、尾根の上はそんなものだから、薄い踏み跡がシカのか人間なのかは判然としないが、錆びた古い鉄索が巻かれて放置されていたりするから、かつては山仕事の人も入ったのだろう。それなりの紅葉も目にする。こちらは北側。石尊山の南側に比べたら、明らかに終わりつつあることがわかる。ただ、下って行くにつれて鮮やかな紅葉がポツンポツンと目を楽しませてくれるようになる。すでにこの時点で、普通の明瞭な尾根になった。もう危険な箇所はないだろう。
(正面に988m標高点ピーク)

目の前にピークが見えてきた。あれは998m標高点ピークだろう。改めて地図を広げる。そこで気づいた。その先の東側への下りは3プランあったことは前述したが、ここで捨て去った797.5m三角点経由のプランを再考してみた。広葉樹マークが続いている。予定の2つのプランともにそこにあるのは針葉樹マークだけだ。広葉樹の中を歩いた方が、薄暗い植林の中を下るよりもずっと良いに決まっている。ラッキーなら紅葉もダラダラと楽しめるかもしれない。
(まだ飽きてはいない)

(998mピークの下で)

(998m標高点付近)

(見上げてばかり)

ようやくきれいな黄色になりつつある葉を見て998m標高点に到着。ここはいくつかの尾根の合流点で、さして紅葉スポットになってもいず、展望もないがゆっくりできる。菓子パンを食べて一服。ふと、何だか自分がバカげなことをやっているなぁとあきれてしまう。早過ぎるとはいえ、あの石尊山の紅葉を、下りで、また別の角度から陽に照らされた状態で見る方がどれだけ賢かったかもしれない。今さら思ってもどうにもならない。どうせ、また来年も来ることになりそうだし。
(三角点を目指して。尾根型は明瞭だ)

(途中で1)

(途中で2)

(途中で3)

(良い感じの尾根歩き)

(まただ)

(下から)

コンパスを1、2案の分岐に合わせて東に下る。尾根分岐がいくつかあるが、三角点に至る尾根が本尾根のようだ。要注意は三角点から先だ。そのまま下ると、擁壁でもあるのか、等高線が70m分ほど消えている。三角点から先は北東に下って短い林道に出た方がいい。
期待するほどのレベルの紅葉ではないものの、尾根は一部、ヤブや枝の散乱で雑然としたところはあるが、尾根型は明瞭で障害もないので楽しめる。歩いている尾根の紅葉は、青葉を残したまま赤茶けてすでに終わったのもあれば、見るからにこれからというのもあって混在している。下に行くに連れ、明らかにこれからだなと見えるのが圧倒的になる。
尾根の分岐では特に紛らわしいところもなく、その都度にコンパスをセッティングしては下る。そのうちに、左手かなり下に原っぱのようなものが見え、そこを道が通っている。放牧場なのかもしれない。地図では谷間になっているが、下ろうとする林道の先にある何かの施設だろう。
(犬とシカが混ざったようなのがお座りをしているみたい。もしくはカンガルーか)

(こうなると、かなりしつこい)

(ここはわざわざ行かずとも右から巻けたのだが)

(下に原っぱが見えた。ここからはすんなりとは行けない。これでも切り立った斜面が続いている)

(少しうるさくなって)

(モミジを見ると)

(797.5m三角点)

(三角点のある斜面で。これがラストになる)

細い倒木や枯れた樹が目立つようになって797.5m三角点に到着。標石には四等三角点と記されてある。近くに古い薬莢が落ちていた。ハンターが入るようだが、入山してからこの方、シカの鳴き声もフンも見てはいない。さほどに獲物はいないと思われる。ここは尾根の途中にあり、あまり落ち着ける場所でもないので、石に腰かけ、頭上のモミジを眺めて一服して下る。
ここから進路が変わる。南東から北東へ。林道末端に狙いを定めようとしたが、どうもそちらは急斜面になっている。200mの下りだ。気は許せない。コンパスは右寄りにセットして下る。
(ほどなくヤブになった)

(下から。かなり急だ)

ほどなく広葉樹は消え、植林のヘリを下ることになった。これがまた急で、間伐も有るにはあるが、さほどに邪魔にはならず、むしろヤブがひどい。間伐の枝も加わり、身体も叩かれる。長い。叫びたくなったところでヤブはおとなしくなった。見上げるとかなりの急斜面だった。
急斜面はまだ続く。スパ地下で正解だった。普通の登山靴や地下タビだったら確実に滑る。ようやく平らになったところで、今度は5mほどの段差。終点はすぐそこだ。回り込んでみたが、段差は続いている。ストックを下に投げて両手をフリーにし、張り出した樹の根にしがみついて着地した。ロープを持参していたことはまるきし頭の中にない。
(林道に出た)

着地したところは作業道の跡で、それを行くと、目的の林道に出た。いや~しんどかったと、林道に出て一服。すぐ先は車道で、車の音が聞こえている。高田山の紅葉を楽しんだ後にこんなところを歩いたのがいるのかどうかは知らないが、高田山からこうして下ったのは何ともお目出度い。普通はやらないだろう。しかし、踏み出しとラスト部分がしんどかった。鈴を外し、ストックも収納する。
林道はすぐそこで間伐の堆積になっていて、先には行けないが、伐採地が覗いている。放牧地らしきところはその伐採地の下の平地のようだ。
(車道歩き)

(もっと広いススキエリアだったが、写真にするとたいしたものでもない。撮り方が下手なのだ)

(これも四万川の甌穴だろう)

車道に出る。四万の甌穴は駐車地とは反対方向に行かないといけない。群馬県の天然記念物になっているらしいが、自分が森吉山の麓の川で見た甌穴に比べたらたいしたこともないだろうと、勝手な結論を出してパス。この後も滝見の予定もキャンセル。というのも、妻から急用のメールも入っていたし。そのうち、松岩山にでも行った際に、甌穴も含め、まとめて周回することにしよう。
車道歩きは3kmもあるまい。まして下りになっている。奥に上れば四万温泉になる。そのためか、こんな国道でも交通量は意外にある。退屈はしない。ススキが原があれば見に行き、橋では下流の甌穴らしきものも覗き込んだ。沿線のモミジも真っ赤なのもある。ただ、スパ地下では舗装道も足が痛くなる。これだけは苦痛だった。車道を四万温泉に向かう車が通るたびにガナリ音がする。ここはメロディラインのようだ。聞こえる音楽はさっぱりわからない。メロディラインというのはそんなものだ。足尾に向かう途中の122号線にメロディラインがある。ここで流す曲は『うさぎとかめ』なのだが、速度50km以下では何の歌かはわからず、60kmでようやく曲名が浮かんでくる。ここもまたそんなものだろうが、脇を歩いている分にはただの騒音でしかない。
(四万温泉情報ポケット)

右手の広い道路傍に大型バスと軽トラ、普通車の3台が見えた。まさかバスで高田山紅葉じゃないだろうなと思ったが、これは単にバスのドライバーが時間つぶしをしているだけのようで、タバコを吸い終わったら、さっさと下って行った。
ここが四万温泉情報ポケットであることを知る。集会所に置けない車はここに置くことになる。乗用車には二人連れが紅葉狩りからの帰りらしく、荷物の片付けをしている姿が遠目に見えた。このポケットはどんなものかと入ってみたが、ベンチがあって、ポスターが数枚貼られているだけ。ポスターは四万温泉の観光案内で、滝の遊歩道コースが記されたポスターを写真に収めた。
(どうでもいい古い石碑)

(びっくり仰天のハイトスさんご夫婦と別れる)

後は旧道に入ればいいだけのことだが、脇に何だか知らないが、古そうな石碑が2基ぽつんと置かれていたので、わざわざヤブに入って見る。文字もあるのか不明で、これではただの石としか思えない。
帰り支度中のご夫婦の脇を通った。不可解なことに、隣家のオジサンといった、いつも会っているような感じの方がいた。何でまたこんなところにと思い、半信半疑で自分の居場所を瞬時忘れかけたが、女性は紛うことなくおK3さんではないか。つまりは、男性はハイトスさんだった。ご夫婦もまたたそがれオヤジの出現にびっくりしていた。まして、車道をとぼとぼと運動着に地下タビを履いて歩いて来たのだから。まさに奇遇だ。
今日のお歩き状況を伺う。石尊山からのピストンだったそうだ。その先は「通行禁止」とあったので高田山には行かなかったとのこと。自分にはただのテープ巻きの「キケン注意」しか見えていない。おそらくはハイトスさんの見方が冷静で正しいようで、こちらは、意識的に「通行禁止」は見ないようにした姿勢でいたのかもしれない。
今日の高田山は、出がけのハイトスさん記事ではあったが、ハイトスさんもまた去年の歩き日に合わせていらしたようだ。「ちょっと早かった」で意見の一致はあった。お互いご満喫の顔であるわけがない。おK3さんは、お具合でも悪いのか、今日は本調子ではなかったとのことだ。
ハイトスさんはこれから四万温泉で一風呂とのこと。こちらは冷や汗はかいても、汗ですっきりしたい気分でもない。ここでお別れ。
(こんなのを見て)

(集会所に到着)

集会所には自分の車が一台だけ。残った水を捨て、着替えとはいっても足を地下足袋からスニーカーに変えるだけ。
今日の歩き、石尊山ピストン往復だけだったら、ただのハイキングで終わっていた。その分、まだ早いながらも下りでも紅葉を楽しめたはず。敢えてイレギュラーコースで下りはしたが、別に隠れた紅葉を満喫したわけでもないが、ネット記事には出ていない下り方で下っただけでも、自己満足な気分に浸ることはできた。来年、再訪するとすれば、おそらくは高田山までは行かずとも、石尊山ハイキングのピストン歩きで十二分に満足はできるだろう。
余計なことを記すが、おそらく、来週の半ばから再来週にかけてがベストかもしれない。それは、あくまでも高田山とおかしな北尾根歩きを除いてのことだ。
(本日の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
駒岩多目的集会所駐車場(7:52)……モミジ現れる(8:31)……石尊山(9:38~9:41)……高田山(10:25~10:41)……998m標高点(11:45~12:01)……797.5m三角点(12:43~12:52)……林道(13:10~13:19)……車道(13:20)……四万温泉情報ポケット(13:41)……集会所駐車場(13:55)
足尾の山に行くか高田山にするかで迷っていた。気分的に今回は足尾の山に行きたくはない。先日、熊を二回も見てしまったからか。中之条町の高田山の紅葉のことは、ハイトスさんやら瀑泉さんのブログを見てそんなにきれいなのか、じゃオレも見てみたいなと思っていた。とにかく近年知ったスポットで、実は、でんさんのブログで知ってはいたが、中之条は同じ県内でも遠いイメージで、行くことはないなと記憶から流れ、山名だけは頭にはあった。本気になったのはいわばミーハー気分だ。
ともあれ、Googleで検索すると、ここ数日の高田山の紅葉記事はほとんどない。30日に行かれた方のヤマレコ記事が唯一で「もう少しという感じだった」とあり、掲載された写真は確かに淡いモミジだったし、出ていたのはそれ一枚きりだった。つまり、高田山の紅葉は盛りにはまだ早い。さりとて足尾の山に行くのでは渋々気分だ。足尾のどこに行くか。時期的にはせいぜい塔の峰の東尾根か笹ミキ沢の右岸尾根くらいしか紅葉のきれいそうなところは思い浮かばない。もっと今時の紅葉スポットの山を知っていればなぁと悔やんでも今さらのこと。足尾周辺の山しか知らないのではどうにもならない。栗駒山には行ったが、もう有名スポットの紅葉眺めもネットで写真を見れば十分。わざわざ出かけて見てみたいとまでは思わない。
出がけの直前まで悩み、去年行かれたハイトスさんのブログを改めて拝見した。11月3日だった。掲載写真の紅葉は結構見ごたえがありそうだ。今日は4日。ヤマレコの30日見物からわずか5日でああまでなるとは思えないが、それでも部分的にでも当たりがあればそれにこしたことはなく、ピーク時にハイカーぞろぞろではかなわない。きっときれいなのもあるさといった気持ちで中之条に向かった。おそらく、八割方はやはり早かったで帰ることになるかもしれない。今日は高田山の後は周辺の滝をいくつか回ることにしている。モヤモヤ感は滝見でカバーできると思う。そう願いたい。
6時に家を出て、高速を使って集会所の駐車場に着いたのは7時45分。その間に通り過ぎでバックを2回している。集会所もしかりだ。集会所には車が4台しか置けないという情報は知っていて、さらに先の温泉情報ポケットの駐車場に置くことになるだろうことは覚悟していたが、1台しかない。やはりなぁとがっかり半分。くどいが見頃の紅葉はまだ早いのだ。
準備をしていると軽トラが入って来た。地元の方だと思っていたら「モミジを見たくてね」とオッサン。ここにオレと同類がいる。最近のネット記事でどうこう言うと、そちらの世界にはあまり関心がないのか、見られればそれでいいといった感覚のようだった。ガツガツの期待よりもそれが正解かも。自分もまた早かった、遅かったで軽く済ませられればいいが。そういうわけにもなぁ…。ガソリン代、高速代、時間もかけてやって来ている。
(登山口は左手の坂を上って行く)

(白いポリ袋の中には塩入り小袋が入っている)

歩き出すと、実はどう行ったらいいのか知らず、そのまま四万温泉情報ポケットの方に向かおうとしたら、石屋さんの隣の三階建ての家のベランダからオバチャンの声がかかった。「そっちじゃなくて、手前を上に行くのよ! 道なりに行けば、登山口あるから。登山届書いてね」と。ご丁寧にありがとうございます。今日は、先日の足尾で失敗していたので、ただの地下タビではないスパ地下にしていた。アスファルトをひっかく音で気づいたのだろうか。オバチャンは布団干しをしていた。
指示にしたがってそちらに行くと、確かに<高田山・石尊山⇒>の標識はあったが、どこを見ても登山届らしきものはなく、その代わりにボックスにあったのは、役場が置いた食塩を入れた袋。説明板を読めば、ヤマビルが多いのでここにある10%の食塩水を靴とズボンに吹きかけろとあった。食塩水はなく、袋にあったのは食塩そのものだったわけだが、そこで一袋いただき、ズボンとタビに振りかけ、残りはザックに入れたが、ヒマなことに、家に帰ってからその袋の重さを測ると88gあり、振りかけ分を加えれば100gはあったようだ。ここで、ヤマビル除けには食塩水であることを知る。ナメクジみたいだ。
(舗装はすぐに切れて山道に)

(こんなのでも地味にきつい上り)

標識が続き、歩きに悩むこともない。舗装が終わると未舗装の山道。作業道兼用7か、分岐はあちこちにあるが、標識に従えばおかしなところには行かない。ただ、この歩道も次第に傾斜は地味にきつくなり、途中でストックを出してしまった。地図の破線路は一部、尾根伝いに記されているところもある。実際の歩道はクネクネと尾根を巻いている。尾根そのものは決して急には見えない。
どうも、駐車場で一緒だった軽トラのオッチャンのことが気になる。こちらは歩きが遅いから、どうせなら、さっさと先に行ってもらいたい。ジグザグのハイキング道を振り返ってもオッサンの姿はなく、どうも落ち着かない。突然現れたら自分の足のノロさが嫌になる。道はやがて植林だか針葉樹の中の九十九折りになっていく。紅葉の気配はまったくなし。
(鳥居)

(紅葉の気配はまったくない)

(ようやく出てきた)

(赤も加わるが、これではまだまだ先だ)

(こんなので今日は我慢かなぁ)

鳥居があった。石祠があるわけでもなく、<高田山2km>の標識が置かれている。この辺から植林に自然林が混じるようになる。だが、葉は緑のまま。見頃なら、ここからいきなり赤くなるのではないだろうか。徐々に標高を上げると、薄い黄色が見えてきた。下見のようなものだが、ようやくお祭り会場に近づいたか。比率としては緑がまだ半分あり、遠くに薄い赤がちらほらで、緑の中でくすぶっている感じだ。黄色はさらに淡過ぎる。
(次第に濃くなっていく。期待できそうだ。どうも前の樹が邪魔をする)

(だが、これだ)

(見上げての鑑賞しかないのかねぇ)

(やっと出てきたか)

(少し早いがきれいではある。これが深い赤味になったら不気味な世界になりそうだ)

(何も言えんわ)

(見上げて)

(結局、このアングルに落ち着く)

(少しアップで)

(もうコメント不要)

(同じく)

明瞭なモミジが現れたのは標高820mからだった。ちなみに出発地点の標高は560m。ここから上がるに連れて赤が濃くなり、比率も緑を超えるようになった。つい足を止めてはきれいだなぁと感嘆しながらの写真撮りが長くなる。もう後続のオッサンのことは頭からいなくなった。
こんな調子で紅葉にうつつを抜かしながら歩いているが、自分の感覚で言うなら、盛りは一週間から十日後だろう。少なくなりかけても緑の葉がどうしても気になるし、鮮やかな黄色がまだ見えない。ついでにどうでもいいことを記す。紅葉した樹々は尾根上にある。だが実際に歩いて行く道は破線路よりも左にずれていて、杉だかヒノキで邪魔にならない紅葉を直近で見ようとすると、右手の尾根側に移動しないとならない。その尾根の右下は急斜面になっている。だから、歩道は尾根から外して付けられたのだろうが、普通なら、歩く斜面側にも見上げる紅葉があるはずなのに、ここは少ない。
決してケチをつけているわけではない。早過ぎるとはいっても十分に楽しめる紅葉だ。ましてここのところ急上昇中の紅葉スポットになっている高田山だ。盛りの時に来てみれば、横道に逸れずとも、歩く巻き道沿いでも紅葉を堪能できることになっているのかもしれない。その辺は、来年の盛りに再訪での確認ということになる。もちろん、その節はネット情報をしっかりと確認してからだ。今回参考にしたのはあくまでも昨年の紅葉だ。余談だが、この「再訪」。ここの紅葉に味をしめ、今年も見物に来た方に帰り道で出会った。後にそれは記すことになるが、これに自分の立場としては笑ってしまう。
(カーブして石尊山に向かう稜線が近づく)

(それでもやはり上はきれいだ。サンバのリズム調)

あれだけ賑やかだった紅葉も、石尊山(1049m標高点)が近づくと寂しくなっていく。葉を落としている樹が多いし、赤も茶系に変色し、黄色もまたあるにはあるが小ぶりで、陽にあたっているのに光ってもいない。それでいて青葉がまだあったりする。上はもう終わりのようだ。これもまたどうでもいいことだが、いわゆる「高田山の紅葉」というのは、実際には「石尊山の紅葉」であって、後でわかったが、高田山自体の紅葉に見られるものはさほどになく、大方の紅葉見物ハイカーが石尊山だけでピストン歩きになるのもうなずける。
おかしな講釈もこれまでにしておこう。早過ぎだったが、そのレベルではきれいだった。羅列した写真を見ればそれで十分。栗駒の紅葉は山肌。ここは樹々の葉だ。
(石尊山は間もなく)

(名残り惜しくて1)

(同じく2)

(石尊山の紅葉はもう終わりか。ちょっとがっかり。下の色づき次第だねぇ)

(石尊山のピーク)

(高田山に続く尾根)

北東から西に方向転換して稜線歩きになった。左下斜面はきれいだが、ここでも矛盾しながらも早いのかなと思ったりする。つまりわけがわからない。歩いている分には気持ちが良い。大きな岩が現れ、尾根は少し細くなる。目の前にやや急な上りが見えた。おそらくあそこが石尊山ピーク。その後ろに高田山に連なるピークがチラリと見える。
(石尊山山頂)

(山頂の石祠)

(山頂から1)

(山頂から2。榛名山くらいはわかる)

(高田山)

(高田山の斜面。色づきはある。あの南からの尾根を登っても意味はないだろう。きれいなのは石尊山側なのだから)

狭い山頂だ。石祠がある。下で見た鳥居の行き先はこれだったようだ。だれもいない。展望は良好。ほぼ360度。かつて登った山々も見えているはず。榛名山だけはわかる(笑)。狭い山頂だからか、切り立ったピークだからなのかあまり落ち着かない。高田山を見ると、確かに紅葉を楽しむにはわざわざ行くまでもない山のように思える。まして、この先は立入禁止のテープがあるはず。昨年、この区間で滑落事故があったようだ。だがここで引き返すのではただのハイキングで終わってしまう。
(テープをくぐる)

(まだあるじゃないか)

(またきりがなくなりそうだ)

(さっきと同じだが、近づくとそれなりにきれいだ)

(手前の尾根を下った)

確かにテープのガードはあったが、「キケン注意」はあったものの「通行禁止」の文字はなかった。つまりは自己責任。ハイトスさんのブログにも「細尾根っちゃ細尾根」とあった。テープを越える。
尾根はヤセ気味で、コブもいくつかある。最初のうちは気まぐれモミジもあったが、そのうちに消えた。途中、これどうやって登るんだいと迷う岩場もあった。落ち着いて景色を見るような気分にはなれない。ハイトスさんの記事にはロープ伝いもあったが、自分の記憶ではロープはなかったような気がする。
(高田山への登山道)

(少しばかり手こずった)

(こちら側にはこれがある)

(リンドウを見て。開いたのもあったがピンボケだった)

(高田山山頂。石尊山より広い)

(一等三角点標石)

三番目のピークだろうか。あそこが高田山のようだ。こちらにもテープのガードがあり、表に回ると「通行禁止」の札が付けられていた。石尊山側のは落ちて飛ばされたのだろう。
山頂にはだれもいない。ここまでだれとも会っていない。集会所にあった先着車の方はわらび峠に下っていったのか、もしくはただの駐車場代わりだったのか。殺風景な山頂だ。あるのは山名柱、三角点、なぜか赤い郵便受け、そして倒れた標識。標識を立ててみたが、根元から折れていて、立て直してもすぐに倒れた。この標識には「唐繰原へ」という指示板もある。これはわらび峠方面ということだろう。ここにある三角点は後で調べると一等三角点だった。
周囲はヤブの木立で展望は空のみ。だれもいないし、ここでおにぎりを食べてタバコに火をつけて一服。そこにオジサンが石尊山の方から登って来た。集会所で一緒だったオッサンではない。どこにでも、こういう掟破りハイカーはいるものだ。オジサンはまもなく石尊山の方に下って行った。
さて、ここからの定番はピストンで戻るか、車道歩きを厭わなければわらび峠方面ということになるが、自分はその真ん中の北尾根下りを選んだ。これまで、そんなところを歩いた奇特なハイカーがいたかどうかは知らない。せめて、人とは違った歩きをしてみたいという気持ちに加え、<四万の甌穴>を見てみたかったからだ。車で戻って見に行くよりはどうせ帰り道にある。
ルートとしては、これは結果とは違ってしまったが、ほぼ北にある998m標高点に下り、そこから東の尾根。先で尾根は北北東、北東、797.5m三角点のある南東に分かれるが、前二つのうちどちらかを選び、鳥居マークのある林道、または秋鹿という地区に下って車道(国道353号線)に出るというもの。その先に四万の甌穴がある。地形図を見る限り、高田山直下の1100mと1150mとの間が急そうだが、後は問題なしとみた。石尊山から来る途中で見た北尾根そのものはなだらかだった。問題はあるまい。だが、そう甘くもなかった。念のため、鈴をザックに吊るす。
(ヤブを越えて北尾根へ)

(いきなりこれだった)

(逆光で見えづらいが、これを下った。左はかなりの急斜面で下の谷間が深い。右は崩壊)

ヤブから出て少し下ると三方向の展望が開けた。予定尾根も見える。だが、何だこりゃ。左右の谷間が深すぎる。目の前の尾根はヤセている。平らなのは地形図の世界。尾根の突端はかなり脆そうだ。引き返すかととまどったが、とりあえずはストックを収納して様子見がてらに下ってみた。左下斜面はズルズルになっている。ガクガクしながら落ち着いたところで振り返る。尾根の西側は崩壊していたし、東側斜面の斜度は相当なもの。もう戻れる状況にはなくなっている。相変わらずのヤセ尾根を下る。つかむ灌木があるだけでもマシというもの。
(後になって気づいたが、このポイントにして間違っている。右尾根を下るべきなのに、隣尾根という感覚で撮っている)

(誤った尾根からトラバース)

傾斜がいくらか緩み、いくらか尾根幅も広がり、普通の細い尾根の形に近づこうとしているところでコンパスを見ると、あらぬ方向を指している。998m標高点に合わせて下ったが、GPSを見ると、北西の1034mに向かう尾根に乗っていた。このままでは林道に出るだけだが、途中に沢がある。右に正解尾根が見えている。この谷間のトラバースは厳しかったが、立木や丈夫な木の根に助けられ、からがらに尾根に復帰した。気づくのが早くてよかった。
(上は雑な感じの尾根)

(石尊山にはなかったいくらかきれいな黄色)

(赤も加わるが、北側は南に比べてくすんで見える。光の関係だろう)

この尾根、尾根の上はそんなものだから、薄い踏み跡がシカのか人間なのかは判然としないが、錆びた古い鉄索が巻かれて放置されていたりするから、かつては山仕事の人も入ったのだろう。それなりの紅葉も目にする。こちらは北側。石尊山の南側に比べたら、明らかに終わりつつあることがわかる。ただ、下って行くにつれて鮮やかな紅葉がポツンポツンと目を楽しませてくれるようになる。すでにこの時点で、普通の明瞭な尾根になった。もう危険な箇所はないだろう。
(正面に988m標高点ピーク)

目の前にピークが見えてきた。あれは998m標高点ピークだろう。改めて地図を広げる。そこで気づいた。その先の東側への下りは3プランあったことは前述したが、ここで捨て去った797.5m三角点経由のプランを再考してみた。広葉樹マークが続いている。予定の2つのプランともにそこにあるのは針葉樹マークだけだ。広葉樹の中を歩いた方が、薄暗い植林の中を下るよりもずっと良いに決まっている。ラッキーなら紅葉もダラダラと楽しめるかもしれない。
(まだ飽きてはいない)

(998mピークの下で)

(998m標高点付近)

(見上げてばかり)

ようやくきれいな黄色になりつつある葉を見て998m標高点に到着。ここはいくつかの尾根の合流点で、さして紅葉スポットになってもいず、展望もないがゆっくりできる。菓子パンを食べて一服。ふと、何だか自分がバカげなことをやっているなぁとあきれてしまう。早過ぎるとはいえ、あの石尊山の紅葉を、下りで、また別の角度から陽に照らされた状態で見る方がどれだけ賢かったかもしれない。今さら思ってもどうにもならない。どうせ、また来年も来ることになりそうだし。
(三角点を目指して。尾根型は明瞭だ)

(途中で1)

(途中で2)

(途中で3)

(良い感じの尾根歩き)

(まただ)

(下から)

コンパスを1、2案の分岐に合わせて東に下る。尾根分岐がいくつかあるが、三角点に至る尾根が本尾根のようだ。要注意は三角点から先だ。そのまま下ると、擁壁でもあるのか、等高線が70m分ほど消えている。三角点から先は北東に下って短い林道に出た方がいい。
期待するほどのレベルの紅葉ではないものの、尾根は一部、ヤブや枝の散乱で雑然としたところはあるが、尾根型は明瞭で障害もないので楽しめる。歩いている尾根の紅葉は、青葉を残したまま赤茶けてすでに終わったのもあれば、見るからにこれからというのもあって混在している。下に行くに連れ、明らかにこれからだなと見えるのが圧倒的になる。
尾根の分岐では特に紛らわしいところもなく、その都度にコンパスをセッティングしては下る。そのうちに、左手かなり下に原っぱのようなものが見え、そこを道が通っている。放牧場なのかもしれない。地図では谷間になっているが、下ろうとする林道の先にある何かの施設だろう。
(犬とシカが混ざったようなのがお座りをしているみたい。もしくはカンガルーか)

(こうなると、かなりしつこい)

(ここはわざわざ行かずとも右から巻けたのだが)

(下に原っぱが見えた。ここからはすんなりとは行けない。これでも切り立った斜面が続いている)

(少しうるさくなって)

(モミジを見ると)

(797.5m三角点)

(三角点のある斜面で。これがラストになる)

細い倒木や枯れた樹が目立つようになって797.5m三角点に到着。標石には四等三角点と記されてある。近くに古い薬莢が落ちていた。ハンターが入るようだが、入山してからこの方、シカの鳴き声もフンも見てはいない。さほどに獲物はいないと思われる。ここは尾根の途中にあり、あまり落ち着ける場所でもないので、石に腰かけ、頭上のモミジを眺めて一服して下る。
ここから進路が変わる。南東から北東へ。林道末端に狙いを定めようとしたが、どうもそちらは急斜面になっている。200mの下りだ。気は許せない。コンパスは右寄りにセットして下る。
(ほどなくヤブになった)

(下から。かなり急だ)

ほどなく広葉樹は消え、植林のヘリを下ることになった。これがまた急で、間伐も有るにはあるが、さほどに邪魔にはならず、むしろヤブがひどい。間伐の枝も加わり、身体も叩かれる。長い。叫びたくなったところでヤブはおとなしくなった。見上げるとかなりの急斜面だった。
急斜面はまだ続く。スパ地下で正解だった。普通の登山靴や地下タビだったら確実に滑る。ようやく平らになったところで、今度は5mほどの段差。終点はすぐそこだ。回り込んでみたが、段差は続いている。ストックを下に投げて両手をフリーにし、張り出した樹の根にしがみついて着地した。ロープを持参していたことはまるきし頭の中にない。
(林道に出た)

着地したところは作業道の跡で、それを行くと、目的の林道に出た。いや~しんどかったと、林道に出て一服。すぐ先は車道で、車の音が聞こえている。高田山の紅葉を楽しんだ後にこんなところを歩いたのがいるのかどうかは知らないが、高田山からこうして下ったのは何ともお目出度い。普通はやらないだろう。しかし、踏み出しとラスト部分がしんどかった。鈴を外し、ストックも収納する。
林道はすぐそこで間伐の堆積になっていて、先には行けないが、伐採地が覗いている。放牧地らしきところはその伐採地の下の平地のようだ。
(車道歩き)

(もっと広いススキエリアだったが、写真にするとたいしたものでもない。撮り方が下手なのだ)

(これも四万川の甌穴だろう)

車道に出る。四万の甌穴は駐車地とは反対方向に行かないといけない。群馬県の天然記念物になっているらしいが、自分が森吉山の麓の川で見た甌穴に比べたらたいしたこともないだろうと、勝手な結論を出してパス。この後も滝見の予定もキャンセル。というのも、妻から急用のメールも入っていたし。そのうち、松岩山にでも行った際に、甌穴も含め、まとめて周回することにしよう。
車道歩きは3kmもあるまい。まして下りになっている。奥に上れば四万温泉になる。そのためか、こんな国道でも交通量は意外にある。退屈はしない。ススキが原があれば見に行き、橋では下流の甌穴らしきものも覗き込んだ。沿線のモミジも真っ赤なのもある。ただ、スパ地下では舗装道も足が痛くなる。これだけは苦痛だった。車道を四万温泉に向かう車が通るたびにガナリ音がする。ここはメロディラインのようだ。聞こえる音楽はさっぱりわからない。メロディラインというのはそんなものだ。足尾に向かう途中の122号線にメロディラインがある。ここで流す曲は『うさぎとかめ』なのだが、速度50km以下では何の歌かはわからず、60kmでようやく曲名が浮かんでくる。ここもまたそんなものだろうが、脇を歩いている分にはただの騒音でしかない。
(四万温泉情報ポケット)

右手の広い道路傍に大型バスと軽トラ、普通車の3台が見えた。まさかバスで高田山紅葉じゃないだろうなと思ったが、これは単にバスのドライバーが時間つぶしをしているだけのようで、タバコを吸い終わったら、さっさと下って行った。
ここが四万温泉情報ポケットであることを知る。集会所に置けない車はここに置くことになる。乗用車には二人連れが紅葉狩りからの帰りらしく、荷物の片付けをしている姿が遠目に見えた。このポケットはどんなものかと入ってみたが、ベンチがあって、ポスターが数枚貼られているだけ。ポスターは四万温泉の観光案内で、滝の遊歩道コースが記されたポスターを写真に収めた。
(どうでもいい古い石碑)

(びっくり仰天のハイトスさんご夫婦と別れる)

後は旧道に入ればいいだけのことだが、脇に何だか知らないが、古そうな石碑が2基ぽつんと置かれていたので、わざわざヤブに入って見る。文字もあるのか不明で、これではただの石としか思えない。
帰り支度中のご夫婦の脇を通った。不可解なことに、隣家のオジサンといった、いつも会っているような感じの方がいた。何でまたこんなところにと思い、半信半疑で自分の居場所を瞬時忘れかけたが、女性は紛うことなくおK3さんではないか。つまりは、男性はハイトスさんだった。ご夫婦もまたたそがれオヤジの出現にびっくりしていた。まして、車道をとぼとぼと運動着に地下タビを履いて歩いて来たのだから。まさに奇遇だ。
今日のお歩き状況を伺う。石尊山からのピストンだったそうだ。その先は「通行禁止」とあったので高田山には行かなかったとのこと。自分にはただのテープ巻きの「キケン注意」しか見えていない。おそらくはハイトスさんの見方が冷静で正しいようで、こちらは、意識的に「通行禁止」は見ないようにした姿勢でいたのかもしれない。
今日の高田山は、出がけのハイトスさん記事ではあったが、ハイトスさんもまた去年の歩き日に合わせていらしたようだ。「ちょっと早かった」で意見の一致はあった。お互いご満喫の顔であるわけがない。おK3さんは、お具合でも悪いのか、今日は本調子ではなかったとのことだ。
ハイトスさんはこれから四万温泉で一風呂とのこと。こちらは冷や汗はかいても、汗ですっきりしたい気分でもない。ここでお別れ。
(こんなのを見て)

(集会所に到着)

集会所には自分の車が一台だけ。残った水を捨て、着替えとはいっても足を地下足袋からスニーカーに変えるだけ。
今日の歩き、石尊山ピストン往復だけだったら、ただのハイキングで終わっていた。その分、まだ早いながらも下りでも紅葉を楽しめたはず。敢えてイレギュラーコースで下りはしたが、別に隠れた紅葉を満喫したわけでもないが、ネット記事には出ていない下り方で下っただけでも、自己満足な気分に浸ることはできた。来年、再訪するとすれば、おそらくは高田山までは行かずとも、石尊山ハイキングのピストン歩きで十二分に満足はできるだろう。
余計なことを記すが、おそらく、来週の半ばから再来週にかけてがベストかもしれない。それは、あくまでも高田山とおかしな北尾根歩きを除いてのことだ。
(本日の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
昨年知った高田山ということはないでしょう。
少なくとも2016年以来、毎年私の記事にコメントをいただいております(笑)
紅葉のタイミングは気温の推移によって変わってしまうので難しいです。
2016年は、1週間前はとてもきれいだったのに アッという間に落葉してしまいその違いに驚かされたものです。
高田山の紅葉ハイキングは、クラブツーリズムでも企画されています・・・。
一日違いでは,さすがに緑が多いようだし,来週半ばからという,たそがれオヤジさんの見立ては,正しいように思いますヨ。
ちなみに,登山届を出す場所は,岡田石材店さんの玄関横です。
それにしても,高田山に飽き足らず北尾根とは,よく思いつきますネェ。足尾や安蘇の勝手知ったる山域ならまだしも,滑落事故が多いと評判だし,とても自分では,バリルートなど目が向きませんヨ。
それにしても肝心の紅葉,どうやらたそがれオヤジさんもお気に召されたようですネ。
ハイトスさんは,昨年,自分とニアミスだったのですが,今年は,たそがれオヤジさんとお会いしたとはネェ(笑)。確かに,此処の紅葉は赤が多くて見事なだけに,ハイトスさんが,このところ毎年のように足を運んでおられるのも,頷ける気がいたしますヨ。
いや~。これはまた失礼いたしました。記憶も蘇りましたよ。その部分の文章を少し書き直しました。
私も、足尾も含めて近くの山にしか行かないので、つい、同県内の中之条は長野に行くような感覚になっていて、忘れていましたよ。でも、高速を使えば、意外と近いものですね。今度は、その先の松岩山にでも行くつもりでいます。その際はモミジを入れた滝も見たいものです。
しかし、高田山の紅葉も、真っ盛りでもそれほどでもとは思っていましたが、一部区間ではありながらもなかなかのものですね。見ごたえありです。ブログの中にも記していましたが、盛りなら、かなりきれいで、毎年行きたくなりましたね。
クラブツーリズムですか。そうなると、どんどんメッカになりそうで、平日に休んでゆっくり鑑賞になりそうですね。
私の行った前日に四万のチョイ滝巡りですか。まだブログにはアップされていませんね。早いとこ見たいですよ。
四万のチョイ滝もさることながら、あちら方面が気になって、今度は松岩山にでもと思っていたら、世立八滝というのが目に付きました。八滝すべてを回れるとは思いませんが、四万よりもそちらが気になっています。
あと、赤城鈴ヶ岳のトマの滝ですかね。きれいな紅葉をバックにした写真を撮れれば満足ですが、今日、この時間にこんなことをしているのも、妻の母の具合が悪くて、一人で遊びに行くのもどうかなと自重している始末で、果たして見に行けるのやら…です。平日休暇で出かけるなら、妻も文句は言わないでしょうけど。
ところで、高田山の北尾根の下りですが、よく思いつくなと言われても、答えようがないところで、普通、道から外れた歩きをしている者なら、ちょっと風変わりなルートも含めてみたいなとだれでも考えるものでしょう。これが、同伴者があれば別ですけどね。
まして高田山の紅葉には少し早かった。それでおしまいではもったいなくて、つい、マニアックルートを考える気持ちがあり過ぎた。そんなところです。真っ盛りなら、何も考えず、おそらく高田山までも行ってませんよ。
なるほど北尾根はちょっとだけスリルがあったようですね。
丁度良いスパイスだったのではないでしょうか。w
自分の方は今週は取引先のコンペが二つも入ったので先ほどようやく記事をアップしました。
また暇なときにでも見てやってください。
高田山はいろんな人とバッタリやニアミスが多いのですが、まさかたそがれさんと会うとはねぇ。w
それにしても今回の出で立ちはばっちりと決まっていましたね。
最初から藪尾根を歩くつもり満々だったからですかね。
藪尾根スタイルとは恐れ入ります。実は栗駒山も八甲田もあの格好ですわ。まぁ、あれが私の定番スタイルといったところですよ。
確かに高田山ピストンではおもしろくもない。さりとてわらび峠を抜けての林道、車道歩きではしんどい。それで思いついたのが今回のルートですが、石尊山のモミジ狩りだけで済ますようなハイカーには、まったく参考にもならない歩きでしょう。
スパイス的には、ちょっと苦い味が加わったといったところです。
ハイトスさんのお歩きは後で拝見しますね。
色づきには早かったようですが赤いのが多いですね。しかし青いのもこの後色づいたのかどうか。今年はどうも稜線は落葉してるのに支尾根に入ると綺麗な紅葉とか台風・大雨の影響でどこか色づき具合がチグハグな気がしています。
下山の北尾根からのルート、序盤の土斜面みたいな所さえすぎればあとは中々楽しめそうですが写真で見る限りは行きたくないですね(笑)。知らなかったらそのまま進みますが、事前に知ってしまうと隣の尾根を大分下ってからあれこれして・・・とルートを考えてしまいます。逆に南尾根はどうなんだろうかと良からぬことも気になりますが。
ハイトスさんの記事の見出しだけ見て記事を読んでいなかったので、皆高田山に行ってるんだなあ程度に思ってましたがたそがれさんと会っていたとは(笑)。お二人とも群馬県民とはいえ、こんなところで会うとは思いませんよね。
返信が遅れました。遅れた分、高田山の紅葉もまたすでにピークは過ぎ、先週が見頃だったようです。今や、あそこは群馬県民の新たな紅葉スポットですよ。隣のオジサン(ハイトスさん)と会ってびっくりしたくらいですから(笑)。
高田山の南尾根ねぇ。私も高田山に向かいながら、その手もあるなと思ったりしましたが、あっけなく終わりそうなので北に下りました。もっとも、甌穴も見たかったからですが。ああいう人出の多い山でマニアックをやっても、結局は自己満足で終わって、どんなものかなぁと思っています。
今年の紅葉は冷え込みがなかったからきれいではないといった話をよく聞きますが、この定説はどんなものでしょう。きれいなところは冴えなくて、これまでどうでもよかったところがかなりきれいになっているような話を聞く。気まぐれなアカヤシオと同じですよ。ただ、曇天でモミジを見て「今年はダメだ」と言う人もいれば、晴天で「最高」だったと思う人もいる。まぁ、いろいろですね。
前日光で熊ですか…。いまや足尾はどこも熊の縄張りだらけですね。この時期はエサ探しに夢中で、食べている時には、周囲の気配にはまったく鈍感なようですが、たまたま目を合わせでもしたら、かなりやばいとのこと。しばらくは木の実が多そうな広葉樹の森には入らない方が賢明でしょう。
「でんさん」という方からよくコメントをいただくものですから、当初、このコメントを拝見して混乱してしまいました。
踵の骨折ですか。それはお気の毒に。私の傷病名は「左足関節脱臼骨折」というもので、具体的には内踝と外踝の骨折でした。あくまでも私の場合という前提で記させていただきます。なお、骨折手術は昨年の8月。抜釘手術は今年の3月です。その間6か月半です。
固定具を外し、松葉杖から開放されたのは手術のほぼ1か月後。その間、整形外科のリハビリに通いましたが、やることは左右の脚の上げ下げ、エアマッサージ、全身マッサージの3種類。マッサージは機械頼りで、果たして効果があるのか疑わしいものでしたが、金属が踝に埋め込まれている以上、無理なこともできず、自分でやったリハビリは歩くことだけでした。踝の曲がる角度も左足がかなり悪かったですね。痛みはさほどに残りませんでしたが。
問題は抜釘手術後でした。リハビリメニューは同じもので、通院はやめて、もっぱらタオルで足先を引っ張ったり、曲げたりしました。これは今でも続けています。
「問題は」と記したのは、左足をかばった歩きをするために、どうしても右足に負担がかかってしまう。これが続いて坐骨神経痛になり、常に腰が痛い状態になりました。三か月ほど整骨院に通ってマッサージを受けても痛みは消えない。結局、ペインクリニックで硬膜外ブロックで痛みは消えましたが、これで解決したわけではなく、単に坐骨神経痛が治ったというだけのことです。
今でも、走ったりジャンプすることはできません。できないというよりも恐いのです。ようやく左足首の曲げられる角度はほぼ右足と同じになりましたが、歩きながら、痛みはないものの、どうしても違和感のある歩きになる。抜釘手術をしたのに、異物がまだ足に残っているような気分ですかね。それと、足底筋膜炎のような症状が残っています。
骨折が完治するまで三年かかると言う方もいますが、常に足のキズのことが頭から離れない状態がいつまで続くのか。まったく嫌になりますよ。
抜釘手術は早めに受けられることをお薦めします。そして、負傷していない方の足に負担がかからないように注意する。アドバイスとしてはそんなところでしょうか。
踵と踝では違いもあるでしょう。あくまでもこれまで記したのは私の踝の場合です。進行、進展ともに人それぞれです。
でんさんの、とりあえず、今の状態からのご回復を願っております。