僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

ママが忘れた

2006年06月17日 | 何でも掲示板
お勉強が一区切りしてブレイクタイムになりました。
みんなトイレに行って、さあもう一頑張りという時、お友達の一人が戻ってきません。どうしたんだろうね、とみんなが心配して様子を見に行きました。

「○○ちゃーん大丈夫?みんな待ってるよぅ。」

するとちょうどトイレの扉が開いて、当人がすっきりした顔で出てきました。どうやら大の方を一人で頑張ったらしく、水の流れる音が聞こえていました。
「すっきりした?そろそろ始めるよ」
と声をかけると、にっこりうなづいて手を洗い始めました。

きちんと丁寧に洗っています。少し時間は遅れてしまいましたが、洗い方をみんなの前で誉めて上げようと思いながら待っていました。やがて水道の蛇口をキュッと閉め、教室に戻りかけます。
「慌てなくてもいいよ、ちゃんと手を拭いてからね」
「うん」
と言ってポケットを探しました。反対側も探しました。

ハンカチがありません。

私に照れ笑いを見せてから小走りで教室に戻りました。そこでバッグの中を探します。この時点でもう手はほとんど濡れていないのですが、一応決まりごとですから拭きたいところです。隅々まで熱心に探します。そこで声をかけてみました。
「どうしたの、ハンカチがないの?」

「うん、ママが忘れた!」  つづく
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コテージ

2006年06月17日 | SF小説ハートマン
笑顔が待っていた。
ベッドメイキングの途中だったのか、向こう側にシーツを押し込もうと伸び上がり肩越しに振り向いた姿でじっと見つめている。他人が侵入しているというのに驚いたそぶりが全く無い。むしろ待っていたかのような表情だ。
「やあ、返事がなかったもんだから勝手に入っちゃってごめんね。」
「ハウ?」

ビロードのように深い光沢を見せる濃紺のミニスカートの上に、フリルのたっぷりとついた真っ白なエプロン、胸元のレースリボンに飾った小石ほどのレッドルビーがわずかに発光している。プレスの効いた、清潔感溢れるコスチューム。クリーニングソープの香りが漂うようだ。頭にはこれも真っ白なレースのメイドキャップがちょこんと乗っている。

見ているだけでドキドキしてしまうくらい愛らしく、しかもセクシーだ。
「メイドさんだね、他に誰かいるの?」
「ハウ?」
首を傾げて不思議そうな表情をしている。話しかける侵入者に少しも警戒している様子はない。
しかし言葉は通じないようだ。ハートマンは大きな身振りで外界と連絡する端末はないか訪ねた。
「ハウ、ハウ~。」
メイドはそう言って愛くるしい笑顔を惜しげもなく振りまきながら近付いてきた。   つづく
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