けだるい光の中でうっすらと目を開けたハートマン。冷静さは取り戻していたが体の熱さは冷め切らずにいた。胸の上で柔らかいものが向きを変え、つり上げたばかりの鮎のように跳ねてからみついてきた。
「起きたの?」
ついさっきまであれほど長い時間執拗に求め合い与え合ったことを忘れてしまったかのようにヘッドセットを求めるメイド。
「今度は何をするの?」
ほほに軽いキスをしてヘッドセットを受け取ると新しいバーチャルスペースへ飛んだ。
さっきまでの可愛いメイドの姿はなく、本来のCOS-MK惑星人の姿になっている。仲間が数人集まって手招きしている。海岸で見た少女たちに表情が似ている気がした。メイドだった一人がハートマンに鞭のような武器を手渡した。何気なく受け取るハートマンに流れ込んできたバーチャルイメージはさっきまでの温かく幸せなそれとは大きく異なったものだった。さあ早く、と誘うCOS-MK惑星人達。
だが、その後の数分でハートマンの笑いが消えた。握りしめた拳が小刻みに震え、あぶら汗がにじむ。硬直するハートマンに更に数分の時間が過ぎた。ヘッドセットはバーチャルスペースで繰り広げられるバイオレンスシーンを鮮明に映し出していた。
ハートマンは無抵抗のCOS-MK惑星人が受けるバイオレンスが何かのドラマの始まりかと思い興味を持ったが、ひとり、またひとりと嬲り殺される仲間をはやし立てながら執拗に繰り返される映像はそれを怒りに変えた。
「やめろー!もういい。」
バーチャルヘッドセットをかなぐり捨て、ハートマンは青ざめた顔で立ち上がった。
「何が言いたいんだ君は。僕にこうしろと言うのか。本当にこうして欲しいのか?」
「ハウ?」
なぜ怒っているのか分からないという表情のメイドを見て、ハートマンの脳裏にアドコピーが再びひらめく。
「そうだ、やっちまえ!貴方はスペシャルゴッド、やっちまえ!やっちまえ!」
その時ハートマンの頭の中でマグネシュームの閃光が炸裂した。一瞬全ての感覚が真っ白になり数分の一秒後、濃霧がつむじ風に吹き飛ばされるように鮮明になった。バイオリストコンピュータのメンテナンスが完了したのだ。ナノワームに犯された視床下部の組織が元通りに修復され、網膜に「機能回復」のサインが流れる。ハザードスワップシフトで待避していた彼の意識が完全に回復した。彼は「ただの観光客」から「任務を持ったハートマン」に戻ったのだ。
「そうか、俺は今GEALMAリゾートのPSオプションにいる。」 つづく
「起きたの?」
ついさっきまであれほど長い時間執拗に求め合い与え合ったことを忘れてしまったかのようにヘッドセットを求めるメイド。
「今度は何をするの?」
ほほに軽いキスをしてヘッドセットを受け取ると新しいバーチャルスペースへ飛んだ。
さっきまでの可愛いメイドの姿はなく、本来のCOS-MK惑星人の姿になっている。仲間が数人集まって手招きしている。海岸で見た少女たちに表情が似ている気がした。メイドだった一人がハートマンに鞭のような武器を手渡した。何気なく受け取るハートマンに流れ込んできたバーチャルイメージはさっきまでの温かく幸せなそれとは大きく異なったものだった。さあ早く、と誘うCOS-MK惑星人達。
だが、その後の数分でハートマンの笑いが消えた。握りしめた拳が小刻みに震え、あぶら汗がにじむ。硬直するハートマンに更に数分の時間が過ぎた。ヘッドセットはバーチャルスペースで繰り広げられるバイオレンスシーンを鮮明に映し出していた。
ハートマンは無抵抗のCOS-MK惑星人が受けるバイオレンスが何かのドラマの始まりかと思い興味を持ったが、ひとり、またひとりと嬲り殺される仲間をはやし立てながら執拗に繰り返される映像はそれを怒りに変えた。
「やめろー!もういい。」
バーチャルヘッドセットをかなぐり捨て、ハートマンは青ざめた顔で立ち上がった。
「何が言いたいんだ君は。僕にこうしろと言うのか。本当にこうして欲しいのか?」
「ハウ?」
なぜ怒っているのか分からないという表情のメイドを見て、ハートマンの脳裏にアドコピーが再びひらめく。
「そうだ、やっちまえ!貴方はスペシャルゴッド、やっちまえ!やっちまえ!」
その時ハートマンの頭の中でマグネシュームの閃光が炸裂した。一瞬全ての感覚が真っ白になり数分の一秒後、濃霧がつむじ風に吹き飛ばされるように鮮明になった。バイオリストコンピュータのメンテナンスが完了したのだ。ナノワームに犯された視床下部の組織が元通りに修復され、網膜に「機能回復」のサインが流れる。ハザードスワップシフトで待避していた彼の意識が完全に回復した。彼は「ただの観光客」から「任務を持ったハートマン」に戻ったのだ。
「そうか、俺は今GEALMAリゾートのPSオプションにいる。」 つづく