昨日は、会社を休んで、
両親と出かけた。
おはようございます。
父さんは、83歳になっても、しっかりしていて、
なんなら娘の私より記憶力も良いから、
父さんをちょろまかして、小銭を奪おうとしたって無駄だ。
幾つになっても、ケチなんだ。
いっぽう、母さんは、理解力や記憶力がめっきり低下した。
母さんも昔からケチだが、最近じゃ、
頼まれて買ってきてやった物の代金も払ったつもりでいる事が多いが、
それは、もしかすると、ボケている振りをしているだけかもしれない。
ちっくしょー!
そんな老夫婦が、
どうしても都会に出向かなければならない用事ができ、
私も、同行することになったという訳だ。
ここ数年の母さんは、不慣れな事に適応ができなくて、
混乱してしまう場面が増えてきた。
外食先で、突如、表情が消え、
「わしは、帰らないかんのや。」と呟きながら
カバンも持たずに店を出ようとして、でも出口も見つけられない、
などという事もあった。
その時は、
「じゃ、まずタバコ吸ってから、帰ろ?」と喫煙室に誘い、
そこで、笑い話を幾つかして、
「せっかくだから、美味いモノ食べて屁をこいてから帰ろ?」と落ち着かせた。
今回も、不慣れな場所への遠出だ。
ばっちりメイクをして、よそ行きの服を纏った母さんは、
やはり緊張しているように感じたが、
それを見守る私も、実は緊張するあまり、ブラジャーを着け忘れていた。
別に、そこは構わないさ。
たまにある事だ。
どうぞ、おかまいなく、だ。
ノーブラというだけで、不安定だというのに、
目的地に着いて歩き出したら、今度は靴底だ。
私の靴底が、また取れた。
またと書いたのは、まただからだ。
私は昔から、肝心なところで、靴底が取れるという、
そういう運勢を産まれ持ってきているのだ。
厳粛なお寺で、先祖の供養のため案内され、
神妙な面持ちで歩く私の足元が、
パッタコーンズリズリー、パッタコーンズリズリーっと
筆舌に尽くしがたい、ふざけた音を奏でていた。
そんな中、母さんはお役目を立派に果たした。
ちゃっかりトイレも探して歩いていく。
「おれも、おれも」とふざけた音を奏でながら、
後ろから追いかける娘が、さぞや恥ずかしかった事だろう。
母さんは、すごく早足だった。
その時の私の上半身は、ノーブラを誤魔化すため、
両手をグーにして、それを両胸に押し付けた格好だった。
上半身もふざけていた、という事だ。
考えてみたら、ほくろがやってきて、
実家に預けるようになってから、
母さんは、みるみる元気なしっかり者に戻っていっている。
たいしたもんだ。
だったらさ、
この前、私が立て替えた代金、払ってくんねーかな?
ねえ、母さん?
絶対、とぼけてるよな?
ほくろ「ばちゃんの首を噛み千切りゅじょ」
たれ蔵は、何気に、たまに、毒を吐くよな・・・