うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

石ころになった時間

2024年02月19日 | カズコさんの事

私はまるで、

石ころになったみたいな気がした。

 

おはようございます。

昨日は、ベランダに椅子を引っ張り出して、

母の髪を切ってやった。

 

「母さん、髪を切ろう」

そう伝えても、母はきょとんとするばかりだ。

髪を切るという事の意味さえ、母には、もう理解できない様子だ。

昔は、えらくお洒落だったくせに、

今は自分で髪を束ねることさえ、ままならない。

放っておくと、まるで落ち武者だ。

私は、その落ち武者の髪を落とすある種の儀式のように、

仰々しく腰を沈めて切り始めた。

次々と地べたに落ちる白髪の束に、母は、

「ほほぉ」

と珍しそうに声をあげた。

勢いだけで切り続けた挙句、私は

「よし!」

と声を掛けた。

仕上がりはガタガタで酷いものだ。

けれど、外へ向かって座る母とその背後に立つ私は、

どこを見るでもなく、けらけら笑った。

通りの道を行き交う人のことなんてお構いなしで、

私達は、いつまでもけらけらと笑いが止まらなかった。

 

母がどうして笑っていたのかは、分からない。

私も、何がそんなにおかしかったのか、自分でも分からない。

蹴飛ばされた石ころが転がるみたいに、私達は笑っていた。

それが、実に心地よかった。

昨日は、晴れでもなく、重苦しい曇りでもなく、

寒い訳でも、暖かい訳でもない日だった。

全てが曖昧で、石ころみたいに気楽だったからかもしれない。

 

いやほんとは、落ち武者に見えていた母の後ろ姿が、

一転、おかっぱ童子になったのが面白かったせいかもしれないな。

 

あやさん?

あなたも、もうお婆さんになったのよね?

あや「あやは、いつまでも、あやだかんね~」

そうね、いつまでも、ド転婆だもんね。

 

あや「おばおばおばちゃ~ん」

うんうん・・・うるさいわ~