まだ、
諦めちゃいない。
おはようございます。
真冬に花芽を伸ばした胡蝶蘭の蕾は、
4つとも小さいまま枯れてしまった。
「そりゃあ、そうだろう。」
私は、がっかりした訳じゃなく、むしろホッとした。
何もできずに、ただ見守り続けることほど虚しいものは無い。
小さな蕾を見守っていると、どうにも、
去年逝った、2匹の猫の姿が脳裏をかすめるのは、
あの虚しさに似ていたからだと、今更気付く。
やっと出会えたボロボロの猫と、まだ若いピカピカの猫。
これからだって時に、あっという間にしぼんでいった。
あの痛ましくしぼんでいく姿と、あの健気さと、あの可愛いらしさ。
あの美しさ、あの儚さ、あの逞しさ、
あの・・・ああ、きりがない。
「枯れてしまったのなら、そろそろ茎を切ってやろう。」
そのほうが株の負担が軽くなる。
そう考えながらも、切るに切れなくなっていた。
茎にへばりつく枯れた蕾を愛でるように、
凝りもせず見守っていたら、ある日気が付いた。
「あれ?茎が伸びてる。」
また数日後、
「めちゃくちゃ、伸びてきた?!」
そのまた数日後、
「おぉぉぉ、また蕾が着いてる!」
なんという健気さだ。
なんというど根性だ。
植物に詳しい人ならば、
「そりゃ、茎を切ってやらないせいだ。」
と言われてしまうだろう。
その通りなのだ、きっと。
株に、余計な負担を掛けてしまっている。
ごめんよ、蘭さん。
私はまだ、諦められない。
春みたいな気候のおかげで、さらに蕾は膨らみ続けている。
こうなったら、咲いてほしい。
咲かせてやってよ。
お願い、チャー坊。
お願い、たれ蔵。
私は、もうしばらく、この虚しさを手放せない。
さて、呑気な白族たちは眠いらしい。
春みたいで、眠いな。
好きなだけ、生きてよね。