猫の代わりに・・・

まずは、告知致します！

私、おかっぱは、

このたび、ヤングマガジンの表紙を皮切りに、

おかっぱ改め、「鶴野　舞」　という名で、

グラビアアイドルに専念します。

 

おはようございます。

嘘なんですが、

鶴舞公園には、本当に行ってきました。

ここは、名古屋のお花見スポットとして有名な公園なのです。

 

という事は・・・

私は、ご機嫌なナンバーを聞きながら、

桜を愛でたい。

そして、瞬きのような、この春の一瞬一瞬を残したい。

そう、思った。

 

良く晴れた昼下がり、職場の人々に見送られながら、

「じゃ、お先に失礼します」と言ったか、言わなかったか、

いずれにせよ、社を勢いよく、飛び出した。

カバンの中には、白いタオルとサングラス、

相棒の一眼と、ＣＤウォークマン、

そして、もちろん、ご機嫌なナンバーだ。

重さにしたら、おそらく、お米5キロ程のカバンを肩に、

私は電車に乗り込んだ。

 

平日の昼下がりにしては、駅に居る人の数が多くて驚いたが、

（ははーん、皆、ずる休みして、花見に行くんだな）と、

自分を棚に上げて、不敵な笑みを浮かべた。

そして、ホームにやって来た電車の扉が開いた瞬間、

（だったら、オレに座らせろ）と言わんばかりに、

また自分を棚に上げて、競うように座席に座った。

 

私には、落ち着いて考える時間が必要だったからだ。

鶴舞公園での、撮影の構図を考える時間が。

幸い、今回は急きょ、友人と現地で会う事になった。

そうなると、友人にも撮影の協力を仰げる。

期待に胸が膨らむ私のテンションは、急上昇した。

（あぁぁ、座ってらんない！ポーズの練習したい）と、

体がうずくが、

人目も憚らず小走りで取った、座席から立つわけにもいかず、

現地で聞こうとしていたＣＤウォークマンの電源を入れた。

 

やっぱり、ご機嫌な音楽だ！

湧いてくる、アイデアが湧いてくるぞ！

 

「インスタ風　何気ない日常」

 

「舞い降りた、フェアリーの羽」

決まりだ。

これで行こう！

 

そうイメージして、やって参りました、初めての鶴舞公園。

「そっか、初めてなんだね？じゃ、案内するよ」と

言ってくれた友人の、その言葉の語尾も聞かず、

走り出した私の、作品です。

 

「晴れてるんだよね？」

雲ひとつ無い、晴れた昼下がりにしては、暗くないですか？

 

「桜は？」

松ぼっくりです。

 

「いや、桜は？」

これは、何ですか？

 

「こっちを向いて」

向かない。

 

「ねぇ、こっちを向いてよ」

向かない。

 

「ねぇってば・・・」

無視するなー！

 

ここでようやく、走り続けた私と、追いついた友人は、

会話ができるようになり、

「ねぇ、おかっぱちゃん？逆光だけどいいの？」と聞いてくる。

「あぁ、はっはっは。これもありかな？って。

逆に面白い写真になるかな？ってね」と、

完全な上から目線で答えて、シャッターを切った。

 

「面白いか？」

これ、面白いか？

 

一旦、休憩しようとベンチに座ると、

「なんか、凄いね。

おかっぱちゃん、本格的にカメラやってるんだね」と

感心しきりの友人に、私は、

「こういうカメラ、持ったこと、ある？」と、

これまた、上から目線で、カメラを渡した。

友人は「おっもーい。すっごーい。」と驚いてくれた。

そんな友人を前に、私は、カバンの中の白いタオルを

手でまさぐりながら、言葉を探した。

「あ・・・のさ・・・」

その時、友人が、

「あそこの人、見て！友達、引いてるよね」と。

その視線の先には、

おちょけたポーズでカメラの前に立つ、若者がいた。

 

無理だ！

この人の前で、タオルをほっ被りして、ポーズ取れねー。

こうなったら、せめて隠し撮りをするしかねー。

桜の前で、変顔してる自分をでっかいカメラで

隠し撮りするしか、ねーんだ。

 

そう覚悟した私は、ベンチに座ったまま、

さりげなくレンズを自分に向けてると、

「おかっぱちゃん？」と、友人が不思議がり、

 

「どした？」

作品「どした？」が撮れた。

 

もう、こうなったらばと、私は、ついに、

「あのさー、ちょっくら自撮りしてくらー」と

叫びながら、走り出した。

（変顔、桜、変顔、桜、変顔・・・）と心で繰り返しながら

走っても走っても、友人は追いかけてくる。

「おかっぱちゃーん、どうしたのー？」と、猛然と追いついてくる。

（こいつ、足はえー！）

 

干からびた池に逃げ場を阻まれた私は、

友人が追い付く寸前に、シャッターを切った。

 

「もう、いい」

もう、いいですよね？

 

ちなみに、

その後、私が笑いながら、

「これ見て～ＣＤウォークマンだよ」と言うと、

「あっ、おかっぱちゃん？ｍｐ３って知らない？

今はね、そういう便利なデバイスが」って、熱心に教えてくれた。

本当に親切で、良い友を持ったと、泣きそうになったけど、

撮れた写真は、1枚も、見せられねーと、思ったのであった。