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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

ニコラ・ル・リッシュの「ボレロ」 ②

2010-08-18 10:30:58 | インポート
*編集画面の調子が悪いので、新規に記事を立てました。

まずは、「ギリシャの踊り」から・・・

東京バレエ団恒例の、夏のヨーロッパツアーの成果でしょうか。
潮騒の音をバックに、白い少し裾の広がったパンツ姿の男性と黒い背中が開いてフロントはボートネックの黒のレオタード姿の女性の群舞が静かに始動。
うっすらと日焼けした団員もいますが、最初から目を奪われたのが、男性ダンサーの充実。
「ギリシアの踊り」と言えば、この作品が踊りたくて東バに入団したようなものです、とかつて語ってくれたプリンシパルに就任まもなく若くして退団してしまわれた中島周さんの端正で伸びやかな音楽性豊かな踊りがまだ記憶に新しいので、正直、後藤さんがソロか・・・・という時点でテンションが下降気味だったのですが(ゴメンナサイ、後藤さん!)いやいやどうして、目を惹く男性ダンサーが舞台上に揃い踏み・・・で、楽しく観ることが出来ました。

まず、宮本さんと長瀬君の並びが新鮮。
ほっそりとしなやかな身体の線の美しさとどこか耽美的な雰囲気のある長瀬君と、かっちりとした造型で、着実な踊りを見せながらもどこかで失速しがちだった宮本さんが、この踊りでは、その緊張感を解くことなく、きれいに踊り切っていることに感心。

平野さんと高村さんのPDDは、東バ一の役者魂?(笑)を持つ平野さんと、すでにベテランの域に達しながらもキュートな役作りに定評のある高村さん、踊りの質や身体バランスがスゴク合う、というわけではないのですが、二人とも表情豊かであるというところに共通点が^^?

ハサピコお二人は華やかさと安定感でさすがはベテランプリンシパルの輝き。
木村さんと美香さんって、昔から、高岸さん斎藤さんペアの2番手どころで主役を務めていらしたベテランですが、あるときを境に大きく芸風がかわったように思います。
木村さんは、もともとテクニックに優れていて、端正でシュアな踊りに定評があったものの、どこか物堅い感じがつきまとっていましたが、どこかで殻を破られたようで、いい意味でのけれん味が出てきて、本当に観ごたえのあるダンサーです。
細身の若手が多い中、引き締まって陰影のある上半身にきれいについた筋肉は大人の存在感(?)を示してさすが、です。
吉岡さんは、その美貌、透明感は時に侵食されることなく不動なれど、エレガンスだけでない、何か個性的なものを、振付家、演出家の求めに応じて引きだして見せることのできる不思議な個性の持ち主。
今回は、長い手脚をきれいに見せた難しい技巧的なリフトをきれいに決めてくれました。

全体を通して印象に残ったのは、高橋竜太さん。
踊りに、振り、だけではない空気感や作品のスピリットを繊細にひとつひとつの動きに込めている感じと、長身ではないのですが細くて長い手足に華があり自然と目が行きます。
女性では、乾さん。もともとクールビューティで、着実な安定感のある踊りの彼女ですが、今回、皆と同じ衣装でも、どこか大人の女性らしいエレガントな雰囲気が漂って、今までよりも一層ムーブメントが洗練されていたように感じました。
今回、長いヨーロッパ・ツアーのあと、ということで、団員にも色々と経験や感じることがあって、それぞれ進化していらっしゃるのだろうな・・・と頼もしくさえ思えました^^

最後、また潮騒をバックに群舞で終わるところまで、ニコラの「ボレロ」のおまけか何かのようにあまり期待しないで観ていたのに、すっかり満足してしまいました^^
夏・太陽・風。。。って素晴らしい。
外の猛暑で、もう夏は結構・・という気分だったのが一新(笑)



休憩をはさんで「ドン・ジョバン二」

その場にはいない幻のドン・ジョバン二を思って、女性ダンサーたちが思い思いのソロを次々に繰り出します。
ヴァリ2の佐伯さんの伸びやかさ、4の西村さんのしなやかさはもとより、あまり好みではなかった(失礼!)奈良さんのスッキリした踊りのラインの爽快さが印象的でした。
ヴァリ6では翌週シムキンくんとの「ドン・キホーテ」で主役を務める小出さんが登場。
相変わらず手首から先のフォルムが美術工芸品のように美しい・・・。
ヴァリ3でお茶目な高村さんと艶やかな井脇さんが、お互い関係なく(笑)それぞれマイペースで(そういう振り、なんですが)踊っているのがステキ。
女性陣は全員揃いの短いフレアスカートつきのピンクのレオタード姿なのですが、時々、白いロマンティックチュチュのシルフィードが横切ります(笑)
これは完璧バレリーナ体型・お顔立ちの吉川留衣ちゃん。
ルグリ先生の公開レッスンでもシルフィードを指導され、ルグリ先生に舞台の上手から下手まで流れるようなリフト移動で本当の妖精のようだった彼女。
そのうち、本公演で、シルフィードの主役を観てみたいバレリーナさんでもあります。
リラックスしたムードの可愛らしくて楽しい演目。



ロイヤル・バレエ「ロミオとジュリエット」6/27 ③

2010-07-11 23:19:31 | インポート
<第二幕>

第1場 市場

舞踏会の晩から、ジュリエットのことを思い続けているロミオ。
ベンヴォーリオとマキューシオが顔馴染みの娼婦たちといつものようにふざけていても彼一人は幸せそうに考え事をしています。 
細かく縮らせた赤毛を振り振り踊る娼婦役のラウラ・モレ―ラ、蓮っ葉なだけでなく、ちょっと気のいい情の深い感じが彼女ならではの味付けで絶品ですね。
いつもなら率先してふざけるロミオが大人しいので心配しますが、彼は彼女を引き寄せて、でもちょっと背伸びしてさりげなくチュッとおでこにキスします。
彼女のことが嫌いになったわけじゃないけれど、今はジュリエットに夢中なので・・という彼のキュートな意思表示。
結婚式の行列を観てもあぁ、自分とジュリエットなら・・と思ってしまう彼。
ジュリエットの乳母が手紙を手に登場。
ロミオを捜して回りますが、3人が入れ替わり立ち替わり、そのロミオは自分です!と名乗り出て見たり彼女をからかいます。ダメですよ、これは大切な手紙。直接ロミオさまに手渡さなくてはね!
最終的にちょっかいを出す二人の手を避けつつ手紙を受け取り、その場で読んであまりの嬉しさに乳母をセンターとして同心円を描くようにシェネで高速回転一周するロミオ。スゴイ!
なんというか。。。乳母を中心に身体が少しずつ外側に傾いて慣性の法則に従って自然とくるりと一周しているかのように見えるんです!あまりにそれが凄くて思わず会場から笑いが。

第2場 教会

秘密の結婚式を挙げる2人。僧ロレンスは二人の結婚が両家の和解につながることを願って協力を申し出ているのでした。
可憐な都さんのジュリエットは乳母を伴って登場。邪魔が入らぬよう、ひそやかに手早く誓いの言葉とキスでの結婚。

第3場 市場

ロミオはすぐに教会から市場に戻りました。
何事もなかったかのように・・。
ティボルトが現れ、モンタギューの一団を挑発します。
あぁ、言えないけれどももう僕と彼とは親戚なのか、とにこやかなロミオとそんな態度をいぶかしがるティボルト。
マキューシオが受けて立ちます。
二人の闘い。剣さばきが見事です。白熱する二人。
なんとかマキューシオが優位を保ち、ティボルトを軽く愚弄してから背を向けると・・・ちょっとこれは卑怯では?と思ったのですが背後から待てい、と追いかけてきたティボルトの剣が刺さった、という感じに。
おかしいな、いや大丈夫だ。。。大。。。丈夫なはず・・・だ・・・、
皆が注視する中、よろめいて死に至るマキューシオ。なかなかの演技巧者。最期にロミオにあいつと一戦交えてくれ、いいな、と剣を差し出し こと切れます。
ショックにうつむくロミオの脇を、まあ、仕方ないってことよと鼻で笑うように通り過ぎるティボルトに、悲しみにくれつつも衝動的に勝負を挑むロミオ。
かたき討ちは成功し、ティボルトが倒れると、ロミオは慌て、こんなはずでは・・・と運命の暗転を嘆きます。
その様子を建物の上から見てとったキャピュレット夫人が駆け下りてきて、ティボルトの亡骸を抱きしめ、その場に座り込み、地面をたたいては激しく慟哭します。
あまりの迫力にだれも何も言えず。
キャピュレット夫人のこの場の嘆きは、愛する甥っ子の死、というだけでなく、密かに愛人としていた彼の死に衝撃を受けたから・・とか色々は解釈がありますが、今日のジェネシア・ロサートの突き動かされるような激しさには圧倒され、理由はどうであれ、とにかく彼女にはそこまでの嘆きを表現する必然がある、と思わされるものでした。






TORINOフィギュアスケート世界選手権2010 男子シングル

2010-03-27 07:33:17 | インポート
パリオペの「ジゼル」レポも未だ途中ですが、フィギュアスケート世界選手権、まさにまっ最中。
そんな中,男子シングルの結果が出ましたね!
まず言わずにいられないこの一言・・・

高橋大輔選手、おめでとう~

イタリア、トリノの会場で、ニーノ・ロータの音楽にのってフェリーニ映画「道」の映像を彷彿とさせるストーリー仕立てのプログラム。
4回転フリップに挑戦するという果敢な姿勢もさることながら、後半ステップが荒く乱れることもなく丁寧に滑り切ったその演技!

満場の拍手に後押しされて1位に輝いた結果も素晴らしいことなのですが、ジャンプ・スピンを織り込みながら、表現力のある高橋選手の資質を活かせるこのプログラムそのものも好きで・・。
いつかノーミスで、完成形を観てみたいものだと思っていた作品ゆえ、シーズン最終でこういった形で観ることができたのが何より^^。

終了後のインタビューで、また来年の世界選手権でも(東京開催!)金メダルを狙いたい、と意欲をみせてくれたのが、また嬉しい発言でした。
アスリートとして、表現者として進化を続ける選手ゆえ、まだこの先、どこまで限界を押し上げてくれるのか観ていきたいと今後の去就が気がかりだったのですが、ひとまずこれで安心して来シーズンを期待できそうです

日本人選手といえば、ジミ・へンドリックスのギターソロに合わせてジャンプも滑りもキレイに決めていた小塚くんのショート・プログラムも素晴らしかった。
TVで見逃した気になる演目はYouTubeでチェックしていたのですが、イタリアの放送でも、彼は20歳と若いけれども4年後には大きな大会の主役のひとりとなるだろうと絶賛されていました^^
それだけにフリーのジャンプの不調は残念なものがありましたが・・・。
ジャンプの不調と言えば、今シーズン安定感抜群だった織田君の不調がxxx
バンクーバー靴ひも事件のショックからまだ完全に気持ちがもどっていなかったのかしら。
来シーズンは気持ちを新たに頑張って欲しいです^^;

バンクーバーの上位陣が、ジョアニー・ロシェットを除いてほぼ勢ぞろいする女子の華やかさに比べると、男子は・・・

金メダルのライサチェク不参加、
銀のプルシェンコはドクターストップで休場、
4位のランビエールがプロ転向(クスン)
ギリギリエキシビション圏外になったジョニー・ウィアーは戦略を練り直す必要を感じ・・という理由にて欠場。
ジョニーくんはこのところノーミス自己ベストの好演技に対して得点が伸び悩む傾向があり、採点にブーイングのファンを大人の態度で押さえる度量を見せてくれていましたが、やはり内心思うところがあったのですねxx彼らしさを失わずに、また戻ってきてほしいです。

というわけで、若干体温低めでスタートした男子シングルでしたが、結果としては、高橋君の素晴らしい演技を観ることができて満足。
他にはバンクーバーでまさかの下位に沈んだブライアン・ジュベールの復活の兆しが見えたこと、
あとアメリカのアダム・リッポンの美しさのある演技など、(4:45からの生放送ゆえ、時折落ちながらの観戦で、しっかり全てを観たうえでの感想ではないところが心苦しいのですが)印象に残りました


パリ・オペラ座バレエ公演「シンデレラ」 ムッサン・ガニオ ②

2010-03-22 07:04:26 | インポート
「シンデレラ」、最終日です。
デルフィーヌ・ムッサンは一幕の灰かぶりでは、他の二人とは違って、グレーの布で髪を覆ってはいません。
大柄でエレガントな他の二人とは異なり、華奢で、でも芯のしっかりした清楚なイメージのデルフィーヌ、今まではシンデレラと異母姉たちは全く血のつながりを感じさせませんでしたが、彼女は背格好も似ているので、お父さんは同じなのね、という感じ。それだけに苛められている姿はどこか超然としていたアニエスたちよりも可哀そうだったかも・・・・

お父さんのスーツを戯れに着てのステッキタップはとてもきれいに音楽に乗って踊っていましたが、ちょっと地味?なのは敢えての比較で、致し方ありませんね。



変身してからは・・・楚々とした美人で、リフトされての登場も、空中を流れるように歩いて、重力を感じさせない軽やかさが魅力。
対するマチューは、アラン・ドロンをイメージした、という役作りで、お髭つき。
デルフィーヌが硬質で清潔感のある娘らしさをだしていて、マチューはちょっと背伸びして大人っぽく拵えているので、
実際の年齢差はあまり気になりませんでした。



ソロで踊る場面も、ジョゼのような圧倒的な王子オーラとまではいきませんでしたが、美しく整った容姿と呼応するように指先まできれいに行き届いた踊りに成長が感じられて、嬉しかったです。
3人のスターで好みを言わせていただけると、ジョゼの充実が印象に強く残りました。
それだけに、もう来年でエトワール定年!?と聞いて早すぎる!!今のほうが3年ほど前よりずっと良いのに!となんとも言い難い喪失感に襲われたのですが、NBSのパリオペブログで来年の次のシーズンまで出演予定あり、とフォロー記事(ありがとうございます)があり、ホッと一息・・・。



デルフィーヌの変身後は黒髪ショートボブが粋でステキ。
アニエスが圧倒的なクラス感とエレガンスで登場時からその場をオーラで満たし、マリ=アニエスが輝かしいスターオーラでうっとりさせてくれたのとはまた違った解釈。
繊細な踊りは、シンデレラがもとの灰かぶりの少女の心を持ち続けていて、まだこの華やいだ世界に驚いていて、その幸せを噛みしめている・・・という心の動きを静かに伝えていて、グッときます。
好みでいうと、長身エトワール2人の華にやっぱり惹かれてしまうのですが、ムッサンの持ち味が良く出ていて、彼女がこの作品でエトワール昇格を果たした、ということが良くわかる演技内容でした。



そして今回も大活躍のアグリーシスターズ&継母チーム。
何度見ても驚異ですよね。CUTEなはじけっぷりとギリギリのバランスを保ったステップの妙技、楽しませていただきました。Bravi!