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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

バルバラ・フリットリ ソプラノリサイタル2014

2014-06-05 14:07:11 | MUSIC
<バルバラ・フリットリ ソプラノ・リサイタル2014>
Barbara Frittoli Soprano Recital 2014



6月4日(水) 7:00 p.m. 東京オペラシティ コンサートホール

第1部 (Part 1)  7: 00 p.m. - 7: 55 p.m.

ドニゼッティ:歌劇『ラ・ファヴォリータ』 より 序曲 [オーケストラ]
DONIZETTI: La Favorite -Ouverture

デュパルク:「旅へのいざない」「悲しき歌」 
DUPARC: Invitation au voyage, Chanson Triste

ベルリオーズ:歌曲集「夏の夜」より第1曲「ヴィラネル」、第6曲「知られざる島」 
BERLIOZ: Villanelle, L'lle inconnue

マスカーニ:歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』 より 間奏曲 [オーケストラ]
Mascagni: Cavalleria Rusticana, Intermezzo

トスティ:アマランタの四つの歌
TOSTI: Quattro Canzoni d'Amaranta

-休憩20分-

第2部 (Part 2)  8: 15 p.m. - 8: 55 p.m.

モーツァルト:歌劇 『皇帝ティートの慈悲』 より
"おおヴィッテリア、今こそ~今はもう美しい花のかすがいを"
MOZART: La clemenza di Tito -Ecco il punto o Vitellia

マスネ:タイスの瞑想曲 [オーケストラ]
MASSENET: Thais -Meditation

マスネ:歌劇『マノン』 より "さよなら、小さなテーブルよ"
MASSENET: Manon -Adieu notre petite table

ヴェルディ:歌劇『アイーダ』 より "勝ちて帰れ"
VERDI: Aida -Ritorna vincitor

プッチーニ:歌劇『マノン・レスコー』 より 間奏曲 [オーケストラ]
PUCCINI: Manon Lescaut -Intermezzo

プッチーニ:歌劇『トスカ』 より "歌に生き、恋に生き"
PUCCINI: Tosca -Vissi d'arte

指揮:アレッサンドロ・ヴィティエッロ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

※既にお知らせしておりますとおり、当初発表しておりましたモーツァルト作曲、歌劇『ポントの王ミトリダーテ』より"恩知らずの運命の厳しさが"は、来日後、フリットリがオーケストラとのリハーサルを行いプログラム全体のバランスを考慮した結果、本人の意向により本曲目をプログラムから割愛することとなりました。なにとぞご了承のほどお願い申し上げます。


以上が本プログラム。
今回、「シモン・ボッカネグラ」アマーリア役での彼女を楽しみにしていたのですが、残念ながらリハーサル時に体調を崩されて降板。リサイタルは予定通り行われると知って、オペラ全幕で見られるのなら、リサイタルはいいことにしましょうとあきらめていたのが口惜しい・・と思っていたら、思いがけないお誘いが!
10列目サブセンターの下手席。とても見やすいお席での観賞が叶いました。

一幕目はゴールドっぽいクリームイエローのドレープドレスの下に黒いキャミソールをのぞかせたようなデザインのドレスで。黒の大きめなビジューネックレスでコーディネート。御自慢のボリュームのあるストレートの栗色のダウンヘアをハーフアップにしてのご登場。
繊細な声色で歌う歌曲もそれぞれに味わい深いものでしたが、やはりだんだんと調子を上げられて・・・。
2幕目では、黒の裾を長く引きずったノースリーブのロングドレスのインにキラキラ煌めくラインストーンがグラデについたタンクを重ねて胸元からウエストに掛けてドレープの入ったデザインのドレス姿。
一幕と同じ傾向のデザインで、よりドラマティックに装った歌姫はやはりオペラの演目で輝いて見えました。
アイ―ダの「勝ちて帰れ」の歌唱での歌の緩急ドラマチックなクレシェンド、表情の付け方、腕の動き全てが大劇場芝居で、あぁ、やはりこのヒトは大オペラのプリマドンナだ・・・・と実感。
その後のトスカも素晴らしく、万雷の拍手に応えてのアンコール、アドリアーナ・ルクブルールも圧巻。
「哀れな花よ」に続いての「私は創造の卑しい僕」。指揮者とのリラックスしたジェスチャーの掛け合いも楽しく。
彼女はどちらかというとスロースターターなのでしょうか。
予定時間が、終演9:20とありましたが、プログラムでは8:55くらいに終わる構成なので、アンコールは25分か・・・と予測していたのですが、この調子ならまだまだ続けて歌っていただけそうなくらい、声の伸びとオーケストラとのバランスは後半ほど良く思えました。
最後に歌ったのは20年前だから上手く歌えるかしら?と楽譜をお茶目な表情で確認しながらのラストはマスカ―二の歌劇「友人フリッツ」の「この僅かな花を」。

今回の体調不良の報と関連するのかはわかりませんが、時々眩しそうにされたり、チック症のように片頬を小刻みに動かされたり・・・という瞬間があり・・・。お声は万全でしたが、もしかすると本調子ではいらっしゃらないのかも。
オペラシティの上の方まで(そして後方上部のお客様にも配慮されていました)埋まった日本のファンのために無理をしてくださったのかもしれませんね

NBSのHPにインタビューが載っていたので一部を転載させていただきます。
>「わたしの声はピュアなリリコ。軽すぎることもなく、かなり暖かい音色のリリコです。リリコのなかでは、少し重めの役も歌える声質だと思います」
 これは2005年に滞在先のトリノでインタビューしたときの、フリットリの言葉だ。なんと冷静に的確に自分の声を把握し分析した言葉だろう。あれから10年近くが経過して、いまの彼女の声はスピントの役柄まで歌えるほど充分に成熟している。しかし賢明な彼女はつねに「純粋なリリコ」に戻れるベースを保ち続けている。

以上ですが、ミミなど可憐な娘のソプラノのイメージがある彼女、温かみのある知的にコントロールされた歌唱と声質で、もっと重めの役も面白いかも・・・と思っていましたが、今回もアイ―ダがとても良くて。
いつどの歌劇場公演で観てもファンの期待を裏切ったことのない彼女、今後も楽しみなDIVAです


マリア・ジョアン・ピリス ピアノリサイタル2014

2014-03-17 07:35:35 | MUSIC
マリア・ジョアン・ピリスのピアノリサイタルに行って参りました。

ポルトガルの女流ピアニスト、ピリスを聴くようになったのは、1996年のショパンのノクターン全集のCDから。
情感に溢れながらも、情緒に流されない端正さを保ちつつ、自然な軽快さも感じさせる新鮮なショパンに注目し、翌年の来日公演にも行った覚えが・・・。

今回は、そのピリス好きを知った友人が手配してくださったチケットで。
サントリーホールの大ホール、1階通路後ろのとても良いお席で観賞することが出来ました。



2014年3月7日(金) 19:00 開演

(曲目)
シューベルト: 4つの即興曲 D899, op.90
ドビュッシー: ピアノのために
シューベルト: ピアノ・ソナタ 変ロ長調 D960

(アンコール)
シューマン/森の情景から「予言の鳥」

久しぶりに観るピリスは、スカートこそタフタの渋いローズピンクのロングで演奏会仕様ではありましたが、飾り気のないグレーのショートカットヘアーにライトグレーのシンプルなクル―ネックのカーディガンジャケットのナチュラルなお姿。

登場してすぐに弾き始める様も、まったくテライのないピリスらしいスタイル。

シューベルトの即興曲、実は、わたくし自身がピアノを習っていて高校生でやめたのですが、その最後の発表会で弾いたのが2番。
内田光子氏の同曲を聴いた時も、メロディーラインの浮き立たせ方、テンポなど、彼我の違いに愕然とし、思わず楽譜を取り出して改めて弾きなおしたことがあったのですが、今回また、しみじみとアプローチの深さ、正確かつ軽快な連続したアルペジオの処理、曲の運び、繰り返し部分の変化の付け方など、おこがましい言い方ですが、自分が取り組んだことがあるからこその一音一音の彼我の違い、彼女の演奏のさりげない深さに震撼しました。
それを除いても、ピアノ・ソナタを含めて、シュ―ベルトの持つ、青春の苦悩と憧れ、森の中を散策して木漏れ日を感じるような癒し、そして死の予感と言ったドイツの黒い森に密やかに息づく抒情と厳しさのような感覚を呼び起こされる演奏は、そぎ落とされた中の充実を実感させてくれました。

ピリスがドビュッシー??というのも新鮮な、シューベルトに挟まれたドビュッシーの「ピアノのために」。
これは夢の世界のようなドビュッシーの幻想的な世界が突如目の前に繰り広げられ、クラクラと目眩を起こすような別次元で、心を解き放たれて遊ぶような夢の時間・・・
「プレリュード」「サラバンド」「トッカ―タ」
超絶技巧も彼女の手にかかるとかき鳴らされるハープの音色が聞こえてくるような木霊のようで、彼女のドビュッシーをもっと聴いてみたい!と渇望させられる演奏。

そしてアンコール曲がシューマン、というのも、つい最近舞台でシューマンとブラームスの愛と葛藤を描いた作品を観たばかり。。。ということもあって、その煌めきがなんとも感慨深く、人生の儚さと美しさと人の才能の結露が受け継がれることの意味など、諸々考えが宙を舞うようなラストの余韻を残して。
拍手の中ピリスは笑顔と深いおじぎをして その日、風邪の咳ひとつ演奏中にもらすまいと恐ろしい集中力を発揮していた満場の観客に応えて軽やかに去って行かれました・・・。

今年の7月で70歳になられるそうですが、これからも彼女の演奏を聴く機会を多く持てたら・・と願います。



ウィーンフィル・ニューイヤ―・コンサート2014

2014-01-12 20:13:33 | MUSIC
今年もよろしくお願い致します

年末年始のブログ放置が恒例になりつつあるここ数年・・・。
愛りく時代最後の宙組新公、「風と共に去りぬ」、通い詰めた東京公演の千秋楽レポなど、果たせなかった課題をそのままに、2014年が始まります。

お正月に欠かせないのはなんと言ってもウィーン・フィルのニューイヤ―コンサート。
今年はダニエル・バレンボイムの指揮と聞き及び・・・。
去年のワーグナーYearならいざ知らず、どんなものかしら?とちょっぴり心配していましたが、
フレンドリーで楽しいコンサートで、チャーミングなパフォーマンスも垣間見られ、やはり新年の明るい雰囲気を学友協会の大ホールから届けてくれました。


毎年楽しみにしている会場のフラワーアレンジメント。
今年はピンクの濃淡をメインに暖色系のバラやアンセリウムを散りばめて一段と華やかでした。

演目は・・・

「美しいエレーヌのカドリーユ 作品14」エドゥアルト・シュトラウス作曲

「ワルツ“平和の棕櫚”作品207」ヨーゼフ・シュトラウス作曲

「カロリーネ・ギャロップ 作品21a」ヨハン・シュトラウス父・作曲

「エジプト行進曲 作品335」 ヨハン・シュトラウス作曲
 これは中東和平に関心のあるバレンボイムならでは、の選曲ですね。
 隊商が近付いて去っていくまで・・・エキゾチックで良かったです。

「ワルツ“もろ人手をとり”作品443」ヨハン・シュトラウス作曲

「ポルカ・シュネル“恋と踊りに夢中”作品393」ヨハン・シュトラウス作曲

「喜歌劇“くるまば草”序曲」 ヨハン・シュトラウス作曲

「ギャロップ“ことこと回れ”作品466」ヨハン・シュトラウス作曲

「ワルツ“ウィーンの森の物語”作品325」ヨハン・シュトラウス作曲
 この曲で民族楽器のチターを演奏。お琴のように置いて弾くものなのですね。
 映画音楽「第3の男」で名前には馴染みがある楽器ですが、初めて実物を目にしました^^

「ポルカ・フランセーズ“大好きな人”作品1」ヨーゼフ・ヘルメスベルガー作曲

「ポルカ・シュネル“花束”作品188」ヨーゼフ・シュトラウス作曲

「歌劇“カプリッチョ”から 月光の音楽」リヒャルト・シュトラウス作曲

「ワルツ“ロマンチックな人びと”作品167」ヨーゼフ・ランナー作曲
 ここでバレエ挿入。
 今回の衣装デザインはヴィヴィアン・ウエストウッド。
 ワルツはきれいな色合いのドレスと燕尾服をイメージしてシンプルにまとめた男性の衣装がエレガント。
 最後、全員でポーズを決めたら、そのまま鏡に映った静止画が額に収まった壁の絵となる・・・という趣向。


「ポルカ・マズルカ“からかい”作品262」ヨーゼフ・シュトラウス作曲

「ポルカ・シュネル“害のないいたずら”作品98」ヨーゼフ・シュトラウス作曲

「バレエ音楽“シルヴィア”から“ピチカーティ・ポルカ”」レオ・ドリーブ作曲

 バレエ音楽、で、やはりここはバレエが入りますが、このお衣装は随分と斬新な・・・@@
 ヴィヴィアン・ウエストウッドのアイコンとも言えるキュートなブリティッシュスタイルで。
 ウィーンフィルとも音楽とも関係ありませんが、なかなか可愛くて振りもコケティッシュで楽しかったです
 ロケ地はリヒテンシュタイン宮殿。振付はアシュリ―・ペイジ。
 今回、ルグリ先生はお姿を見せませんでしたが、最後のクレジットの最初に
 Viennes State Opera Ballet Ballet Director Manuel Legris,としっかりと入っていらっしゃいました。
 ダンサー達は、今回日本人ダンサーは抜擢されていなかったのですが、
 ルグリ先生のツアーに帯同してお馴染みのマリア・ヤコヴレワ、二―ナ・ポラコワ、キリル・クルラ―エフ、エノ・ぺシらの名前が・・・。

「ワルツ“ディナミーデン”作品173」ヨーゼフ・シュトラウス作曲
 このあと、指揮者のバレンボイム氏に花束が贈呈され、彼はそこから・・・ん?しっかりととめられていてなかなか引き抜けませんが・・・

解体された?花束から、一輪ずつお花を全ての女性団員に手渡す、というサプライズが^^


「ポルカ“憂いもなく”作品271」ヨーゼフ・シュトラウス作曲

「ポルカ・シュネル“カリエール”作品200」ヨーゼフ・シュトラウス作曲

「ワルツ“美しく青きドナウ”作品314」ヨハン・シュトラウス作曲

 恒例のワルツ。今回のペアはバレエダンサーにしてはちょっと趣が違うな。。と思いましたら、
 社交ダンスのペアなのですね。
 Kathrin MenzingerさんとVadim Garbuzov氏でした。
 
「ラデツキー行進曲 作品228」ヨハン・シュトラウス父・作曲
 この曲はアンコール扱いで、いつも、指揮者が観客のほうを向いて、手拍子を指揮する・・・のが常ですが、今回はそれもそこそこに、演奏中の楽団員1人1人のもとに近づいて、マエストロが握手して回る・・という異例の展開に。
手が離せない(笑)人には、楽器に触れたりして・・・。しかし、あの狭い空間で、あの大柄なバレンボイム氏が動き回るにはちょっと無理が・・・
とはいえ、皆笑顔の楽友協会大ホール、今年も良き年になりますように・・・

(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(指揮)ダニエル・バレンボイム

~ウィーン楽友協会から中継~

幕間の休憩時間に挿入される、NHKのスタジオゲストのトークと、特集コーナーについて。
近年、女優が雰囲気に酔いしれながら音楽評論家をよいしょするといった意味のない時間つぶしを苦々しく思っていたわたくしも大満足な通好みでいながら温かみのある、とても良い構成でした。
ウィーン国立歌劇場でもご活躍の和服姿のバリトン歌手の甲斐 栄次郎さんと音楽評論家の奥田佳道さんがご出演。
奥田さんによる今回のコンサートで取り上げられた楽曲についての解説も興味深く、甲斐さんはウィーン在住体験から、初めて楽友協会でニューイヤーコンサートを聴いた時の感想~天窓からの光が時間とともに移り変わる様とコンサートの時間の推移について~や独自の視点が感じられる歌劇場の写真など、豊かな感性が感じられ、好感が持てました

幕間で紹介された、日本とウィーンフィルの縁について、1959年11月のウィーンフィル来日公演の映像は興味深いものでした。当時は海外への渡航も制限があったでしょうし、本場のコンサートが今ほど身近な存在ではなかったでしょうから、聴衆の真剣な音楽に向き合う姿勢や感動に想いを馳せてしまいました。
また、ウィーン・フィルの選抜メンバーによる、東日本大震災の被災地への音楽による訪問の様子、現地の中学生との交流なども紹介されて、温かい気持ちになれました。


ベルリン・フィルのブルックナー交響曲第7番

2013-11-21 06:40:03 | MUSIC
2013年11月18日(火)19:00~
サントリーホール 大ホールにて

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 来日公演に行って参りました。



指揮:サイモン・ラトル

ブーレーズ:ノタシオン
Boulez : Notations

ブルックナー:交響曲 第7番 ホ長調 WAB. 107(ハース版)
Bruckner : Symphony No.7 in E major WAB. 107


フルトヴェングラ―、カラヤン、アバドと錚錚たる指揮者に導かれて音色を磨き上げてきた伝統のオーケストラ。
2002年就任以来、サイモン・ラトルが首席に就任して以来、来日公演も2004、2005、2008、2011年と常に絶賛を持って迎えられ、今回の来日公演はベルリン・フィルとしては通算20回目にあたるとのこと。

2010年に、それまで30年間コンサートマスターを務めあげていらした日本人バイオリニスト、安永徹氏の後任として、1979年生まれの若き天才ソリストとして活躍していた樫本大進がコンマスに就任し、2011年に続いて今回もその姿を観られるのも話題の一つ。

http://blog.berliner-philharmoniker.de/
ベルリン・フィルのブログを発見。
今回の来日ツアーの様子がつぶさにレポされています。

樫本大進がコンマス、というのも、ですけど、首席フルートがあのエマニュエル・パユですからね・・・。
どれだけスター奏者軍団か・・・。

まずはブーレーズの「ノタシオン」
12のピアノ曲として作曲されたものの一部を管弦楽用に編曲されたものの演奏。
その5曲のうち、1「控えめに-幻想的に」、7「神官文字−遅く」、4「リズミックに」、3「大変控えめに」、2「とても生き生きと、かん高く」の順番での演奏でした。
こういう現代音楽をベルリン・フィルで、というのも珍しいプログラムですが、これでまずノックアウト。
引き締まった音の波が視覚出来る躍動感溢れる演奏。
技術的にいかに高いものを持ったオケであるかを実感。

そしてブルックナー。
実は生でブルックナーを通しで聴くのは今回が初めて。
一応、YTで予習(笑)をして行ったのですが^^

バイオリンのトレモロの音が美しすぎる・・・。
弦がパートごとに一つの楽器の音かと思うほど揃っていて音色が研ぎ澄まされている。
弦楽器は下手から1st、ヴィオラ、チェロ、2ndで、上手奥にコントラバス。
このコントラバス10本の視覚的迫力にもワクワクさせられましたが・・。
樫本大進はコンマスサイドに座っていました。

第1楽章、「ブルックナー開始」と言われる、弦のトレモロの弱音で、霧の立ち込める中から浮かび上がってくるような主題、という構成で。
12本のチェロが奏でる第1主題がまず美しすぎる。オーボエとクラリネットによる第2主題との対比とその主題が入れ換わる流れがうっとりさせられるような流れでした。木管と弦のバランスが絶妙。
後半からコ―ダに至るまでのダイナミズムが凄い。迫力があるオケ全体でのフォルテッシモなのですが、この強弱の落差とその直接襲いかかってくるがごとしの音の圧力が・・・しかもその和音に一点のくもりもないわけですからスゴイですね。
第2楽章はワーグナー・チューバで始まります。その音の透明感たるや。
続いて主題が弦で入り・・・。第2主題との対比が鮮やかでクライマックスに向けて疾走する音に心浮き立ちます。
ここのクライマックスで打楽器を入れて盛り上げるかあえて入れないか、というのは作曲家が残した譜面でその指示を消したものが、決定版なのかどうかという議論があり、指揮者によってどちらを採択するのかが、このブルックナー7番で常に話題になるところらしいのですが、今回は「ハース版」でしたが、シンバル、トライアングル、ティンパニが入っていました。
最後また、透明感のある天上界のようなホルンの響きが・・・。普段金管にハラハラすることの多い演奏に慣れた耳としては、この安定感と常に透き通るような正確で美しい響きの金管は驚異的に聞こえます。香り高いホルンとトランペットの響きにウットリさせられました。
第3楽章は弦の音が生き物のように躍動。ブルックナーってこんなに良いのか、と今までちゃんと聞いてこなかった自分を責めつつ、ベルリン・フィルの弦楽アンサンブルの妙を堪能。
フィナーレの第1主題は、軽快に始まるのですが、低音が加わって壮大なラストに向かっての盛り上がりがなんとも言えない音体験。ホール全体を包み込み動かすような攻めの音とその豊穣感。
コーダに入って一転、静寂とその最後の音の余韻。
さすがはサントリーホールの観客^^;。
身じろぎの音一つしない完璧な静寂が今夜のベルリン・フィルの演奏の素晴らしさを締めくくってくれました。

やはり世界最高峰の演奏は違う。
そんな贅沢な音体験をさせてくれた、ベルリン・フィル@サントリーホールでした



N響定演 トゥガン・ソヒエフ&べレゾフスキ―

2013-11-16 04:03:51 | MUSIC
2013年11月15日(金)
19:00~

NHKホールにて。

珍しく、N響の定期演奏会に行って参りました。
お目当てはヨーロッパで話題の若手指揮者、トゥガン・ソヒエフ。
本当は20日、21日のサントリーホールでのBプロで、チャイコフスキーの交響曲第5番も聞きたかったのですが、さすがに人気指揮者、これはN響会員のBプロ会員の方で埋め尽くされて、一般には回ってこないですね^^;

とはいえ、今宵のCプロもロシアン・プログラムで色々と興味深かったです。

今回のお目当ては若き俊英トゥガン・ソヒエフ。
1977年10月21日北オセチア生まれの36歳。
このところ、この年頃の話題の指揮者の演奏に接することが続いていて、(1975年生まれのハーディングとか、更に若いドゥダメルとか)新世代の才能に触れてみたい、ということと、あとは、やはり好きなプロコフィエフがお目当てで^^


2008年からトゥールーズ・キャピトル国立管音楽監督。就任以来、同オーケストラの急成長の立役者となり、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、N響など世界中の一流オーケストラに客演を続け、現代の若手指揮者の中でも屈指の存在である。テミルカーノフらに師事し、マリインスキー劇場をはじめ世界各地のオペラハウスでも数多く指揮している。2012/13年シーズンからベルリン・ドイツ響の音楽監督に就任、というのがプロフィール。

- NHK交響楽団 第1767回 定期公演 -

Conductor Tugan Sokhiev
Piano    Boris Berezovsky
Concertmaster 篠崎史紀


ボロディン/交響詩「中央アジアの草原で」
Aleksandr Borodin(1833~1887)
”In the Steppes of Central Asia" musical picture

ゆったりとした曲調で心地よくスタート。8分ほどの短い作品なので、まずは腕慣らし?
オペラ「イ―ゴリ公」が代表作のボロディン1880年の作品。
プログラムによると、ボロディンは実は化学者だったという驚きの情報が@@


ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18 (31')
Sergei Rakmaninov(1873~1943)
Piano Concerto No.2 c minor op.18

Ⅰ Moderato
Ⅱ Adagio sostenuto
Ⅲ Allegro scherzando

相変わらずクールなべレゾフスキ―。
本当に技術力の高いヒトで、この難曲をいともたやすく軽々とそしてサラサラと弾いてのける。
ソヒエフは・・・もしかして、もう少し歌わせたかった?


プロコフィエフ/交響曲 第5番 変ロ長調 作品100(45')
Sergei Prokofiev
Symphony No.5 B-flat major op.100

Ⅰ Andante
Ⅱ Allegro marcato
Ⅲ Adagio
Ⅳ Allegro giocoso

1944年夏。他の芸術家とは逆ルートで1936年にヨーロッパからロシアに帰ったプロコフィエフは、1940年代半ばに国民的作曲家として大成功を収め、1944年に完成された4作品―「ピアノソナタ第8番」この「交響曲第5番」、バレエ「シンデレラ」、音楽を担当したエイゼンシュタインの映画「イワン雷帝」―に対して、1946年にスターリン国家賞第1席の同時受賞という栄誉の極みに達する・・・という、この作曲家の代表作。

・・・うーん。この、ソ連の偉大さを示す?壮大にして何もかもが力強く主張するかのような第1楽章の終わりに、そこはかとない不安を感じたのはわたくしだけでしょうか^^;
いえ、それはオーケストラや指揮者の問題ではなく、作品自体に対する感想、なのですが^^;
この若干の違和感のような感覚は最後までぬぐえませんでしたが、
第2楽章のスケルツォはバイオリンの早くて軽いパッセージが漣のように寄せて返す美しい響きに魅せられ、思わず座り直すほど。オケ全体を走る波がうねり、まさに体感する音楽の妙。
最終楽章のラストの盛り上がりとコーダのまとめ方の鮮やかさもまた、圧巻でした。

ロシア人指揮者とピア二ストを迎えたN響が真摯に取り組んだロシアン・プログラムとしては成功だったかと。
あとは作品に対する個人的な好みの見解に帰する感じでしょうか^^;
今回ご一緒させていただいた友人がBプロにも行かれるそうなので、ご感想を伺うのが楽しみです