6月8日(水)19:00から、
メトロポリタン・オペラの2011Japan Tour、東京初日公演を観に、NHKホールへ行って参りました。
プッチーニ「ラ・ボエーム」
全4幕
指揮: ファビオ:ルイジ
演出・美術: フランコ・ゼフィレッリ
衣装: ピーター・J・ホール
照明: ギル・ウェクスラー
舞台監督: J.ナイテン・スミット
マルチェッロ: マリウシュ・クヴィエチェン
ロドルフォ: ピョートル・ぺチャワ
コッリ―ネ: ジョン・レリエ
ショナ―ル: エドワード・パークス
べノワ: ポール・プリシュカ
ミミ: バルバラ・フリットリ
パルピニョ―ル: ダニエル・クラーク・スミス
アルチンドロ: ポ-ル・プリシュカ
ムゼッタ: スザンナ・フィリップス
巡査部長: ジェイソン・ヘンドリックス
税関の役人: リチャード・ピアソン
児童合唱: TOKYO FM少年合唱団
上演時間(約3時間)
第1幕40分(転換5分) 第2幕20分 (休憩25分) 第3幕25分 (休憩25分) 第4幕30分
今回のMETは震災&原発事故の影響が直前になって現れ=出演者の怒涛のキャンセル、どうなることかとハラハラしましたが、多分大変な努力と調整の結果として、この日の舞台、ミミ役のアンナ・ネトレプコのキャンセルを、「ドン・カルロ」のヒロイン エリザべッタ役のバルバラ・フリットリを持ってくることによって、このプロダクションの呼びものであるスターの格を落とすことなく調整できた、という力技。
開演前に異例のMET総裁の挨拶が。
震災のお見舞いと、出演者変更のお詫びと、こんなときにこそ芸術で心を癒してほしいという使命を帯びて今回の公演に臨んだ・・・という内容。
わたくしは、この「ラ・ボエーム」、ご多分にもれず、①アンナ・ネトレプコを観たい、というモチベーションがまずあっての観賞でしたが、他に②「ラ・ボエーム」というオペラ自体が好きだから③ゼフィレッリの演出なら、その世界に存分に浸れるであろうという信頼感 も理由で。
結果としては、とてもよい舞台で、もう、一幕のロドルフォとミミの自己紹介アリアでもう、涙ボロボロ・・・
フリットリのミミ、持ち役だけあって 透明感のある声、繊細な表現の出来る彼女の歌唱に役柄が合っていて、本当に美しくも悲しいミミでした。
くせのない正統派美人の彼女、ネトレプコよりもミミらしいミミかも。
とはいえ、お針子というよりは王妃様のほうがお似合いな感じですが・・・^^;
ネトレプコは同じ美人でも、華やかな妖艶系なのでムゼッタのほうが似合いそうですものね^^;
詩人ロドルフォのぺチャワ、わたくしはこの人、初見でしたが、伸びやかな良く通る声のテノールで、大変聴いていて心地よい。演技も上手い。
親友である画家のマルチェッロのクヴィエチェンとは、事前のインタビューでポーランド系どうしなので気持ちが通じる、舞台が楽しみ、と言っていた通り、とても芝居の間や掛け合いの呼吸が良くて、さすが、でした。
マルチェッロの恋人、派手で気の強い、でも心根の優しいイイ女ムゼッタのスザンナ・フィリップス、若いアメリカ人ですが、活き活きと演技も可愛らしくて役にあっていたと思いますもうひと癖あってもいいかな?若いので今後に期待。
哲学者コッリ―ネ、ジョン・レリエは背が高くがっしりとしたハンサムですが、バスのアリア、脇役では唯一のソロ曲「古い外套よ」を、深い慈愛と地の底から響くような本当に低い声で歌い上げて圧巻。
最初と最後の、パリの屋根裏部屋での貧しさの中、希望を持った若者たちの青春群像、第2幕の舞台の上下にぎっしり人を詰めたクリスマスの夜の喧噪、第3幕、病を知り、別れ話を切り出すミミとロドルフォのしっとりとした小雪のちらつく公園の場面の美しさ・・・
ゼフィレッリの演出はやはり、安心して観られますね。
プッチーニのオペラは、「トゥーランドット」しかり「蝶々夫人」しかり、その旋律の美しさで破綻した物語をうやむやにしてしまう(笑)きらいがありますが、この「ラ・ボエーム」は誰しもが胸に秘めた、若き日の思い出、戻らぬ青春の輝きとその意味=貧しいながらも夢を持った青年たちの、ミミを失うことで知る、青春の終わり(哲学者コッリ―ネは人一倍そのことを知っていて、だからこそ最後のアリアが胸に迫るのです)をテーマにしており、普通の若者の恋に 普通の言葉と何よりも美しい旋律で寄り添う画期的な日常性とともに、非常にオリジナリティのある傑作として、いつの日にも心に直球で入ってくる名作だと思います。
この日の観客は、この状況で来てくれてありがとう・・・的な要素があって前のめったのか、ネトレプコ目当てのミ―ハ―さん(わたくしもそうですが^^;)が多かったのか、スコアを知らない(?)人が多く、曲が終わっていないのにフライング拍手をする場面が目につき、ちょっとハラハラしましたが、出演者は手ごたえを感じたのかカーテンコールでの表情は皆さま晴れやか^^。
特にスザンナ・フィリップスがひとりずつのカーテンコール時に、大きな拍手をもらって、掃けるときにカーテンの陰に入るや否や小さくガッツポーズを取っていたのが微笑ましかったです
最後に、健康上の理由でキャンセルになったジェームス・レヴァインの代わりに指揮者を務めたファビオ・ルイジの正確で緻密な解釈には、さすがの安定感を感じました。オケも特に後半は良かったです
メトロポリタン・オペラの2011Japan Tour、東京初日公演を観に、NHKホールへ行って参りました。
プッチーニ「ラ・ボエーム」
全4幕
指揮: ファビオ:ルイジ
演出・美術: フランコ・ゼフィレッリ
衣装: ピーター・J・ホール
照明: ギル・ウェクスラー
舞台監督: J.ナイテン・スミット
マルチェッロ: マリウシュ・クヴィエチェン
ロドルフォ: ピョートル・ぺチャワ
コッリ―ネ: ジョン・レリエ
ショナ―ル: エドワード・パークス
べノワ: ポール・プリシュカ
ミミ: バルバラ・フリットリ
パルピニョ―ル: ダニエル・クラーク・スミス
アルチンドロ: ポ-ル・プリシュカ
ムゼッタ: スザンナ・フィリップス
巡査部長: ジェイソン・ヘンドリックス
税関の役人: リチャード・ピアソン
児童合唱: TOKYO FM少年合唱団
上演時間(約3時間)
第1幕40分(転換5分) 第2幕20分 (休憩25分) 第3幕25分 (休憩25分) 第4幕30分
今回のMETは震災&原発事故の影響が直前になって現れ=出演者の怒涛のキャンセル、どうなることかとハラハラしましたが、多分大変な努力と調整の結果として、この日の舞台、ミミ役のアンナ・ネトレプコのキャンセルを、「ドン・カルロ」のヒロイン エリザべッタ役のバルバラ・フリットリを持ってくることによって、このプロダクションの呼びものであるスターの格を落とすことなく調整できた、という力技。
開演前に異例のMET総裁の挨拶が。
震災のお見舞いと、出演者変更のお詫びと、こんなときにこそ芸術で心を癒してほしいという使命を帯びて今回の公演に臨んだ・・・という内容。
わたくしは、この「ラ・ボエーム」、ご多分にもれず、①アンナ・ネトレプコを観たい、というモチベーションがまずあっての観賞でしたが、他に②「ラ・ボエーム」というオペラ自体が好きだから③ゼフィレッリの演出なら、その世界に存分に浸れるであろうという信頼感 も理由で。
結果としては、とてもよい舞台で、もう、一幕のロドルフォとミミの自己紹介アリアでもう、涙ボロボロ・・・
フリットリのミミ、持ち役だけあって 透明感のある声、繊細な表現の出来る彼女の歌唱に役柄が合っていて、本当に美しくも悲しいミミでした。
くせのない正統派美人の彼女、ネトレプコよりもミミらしいミミかも。
とはいえ、お針子というよりは王妃様のほうがお似合いな感じですが・・・^^;
ネトレプコは同じ美人でも、華やかな妖艶系なのでムゼッタのほうが似合いそうですものね^^;
詩人ロドルフォのぺチャワ、わたくしはこの人、初見でしたが、伸びやかな良く通る声のテノールで、大変聴いていて心地よい。演技も上手い。
親友である画家のマルチェッロのクヴィエチェンとは、事前のインタビューでポーランド系どうしなので気持ちが通じる、舞台が楽しみ、と言っていた通り、とても芝居の間や掛け合いの呼吸が良くて、さすが、でした。
マルチェッロの恋人、派手で気の強い、でも心根の優しいイイ女ムゼッタのスザンナ・フィリップス、若いアメリカ人ですが、活き活きと演技も可愛らしくて役にあっていたと思いますもうひと癖あってもいいかな?若いので今後に期待。
哲学者コッリ―ネ、ジョン・レリエは背が高くがっしりとしたハンサムですが、バスのアリア、脇役では唯一のソロ曲「古い外套よ」を、深い慈愛と地の底から響くような本当に低い声で歌い上げて圧巻。
最初と最後の、パリの屋根裏部屋での貧しさの中、希望を持った若者たちの青春群像、第2幕の舞台の上下にぎっしり人を詰めたクリスマスの夜の喧噪、第3幕、病を知り、別れ話を切り出すミミとロドルフォのしっとりとした小雪のちらつく公園の場面の美しさ・・・
ゼフィレッリの演出はやはり、安心して観られますね。
プッチーニのオペラは、「トゥーランドット」しかり「蝶々夫人」しかり、その旋律の美しさで破綻した物語をうやむやにしてしまう(笑)きらいがありますが、この「ラ・ボエーム」は誰しもが胸に秘めた、若き日の思い出、戻らぬ青春の輝きとその意味=貧しいながらも夢を持った青年たちの、ミミを失うことで知る、青春の終わり(哲学者コッリ―ネは人一倍そのことを知っていて、だからこそ最後のアリアが胸に迫るのです)をテーマにしており、普通の若者の恋に 普通の言葉と何よりも美しい旋律で寄り添う画期的な日常性とともに、非常にオリジナリティのある傑作として、いつの日にも心に直球で入ってくる名作だと思います。
この日の観客は、この状況で来てくれてありがとう・・・的な要素があって前のめったのか、ネトレプコ目当てのミ―ハ―さん(わたくしもそうですが^^;)が多かったのか、スコアを知らない(?)人が多く、曲が終わっていないのにフライング拍手をする場面が目につき、ちょっとハラハラしましたが、出演者は手ごたえを感じたのかカーテンコールでの表情は皆さま晴れやか^^。
特にスザンナ・フィリップスがひとりずつのカーテンコール時に、大きな拍手をもらって、掃けるときにカーテンの陰に入るや否や小さくガッツポーズを取っていたのが微笑ましかったです
最後に、健康上の理由でキャンセルになったジェームス・レヴァインの代わりに指揮者を務めたファビオ・ルイジの正確で緻密な解釈には、さすがの安定感を感じました。オケも特に後半は良かったです