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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

ParisOpera座「天井桟敷の人々」

2013-06-02 16:06:59 | BALLET
2013年5月30日(木)19:00~
東京文化会館にて

ParisOpera座バレエ団の来日公演「天井桟敷の人々」初日を観て参りました。

主宰がTBS、ということで、NBSとJapanArtsの2大プロモーターに主にお世話になっているわたくし、
チケット手配が出遅れて、どうしようかと迷っていたのですが、やはりシアラヴォラをハマり役の主演で観られる唯一のチャンスかも・・・といてもたってもいられず、行って参りました!
実はアニエスの日も観たかったのですが・・・。彼女も退団を間近に控えているので・・・でも、
このところ観劇がたてこみすぎてどうしても両方はムリだったのと、来年のNBS公演でもアニエス主演は観られそうなので、ジョゼが宛書きで指名した、という初演ペア、イザベル・シアラヴォラとマチュー・ガニオの日でみることにしました。

やはり、行って良かった!
あの往年の名画「天井桟敷の人々」のアルレッティの魅力・・・熟女の魅力と自由な精神のファムファタール ガランスの役に、白く発光する肌にとらえどころのない瞳、ブルネットの美脚の美女、シアラヴォラはピッタリ。
しかも、名優ジャン・ルイ・バローの演じた純情なピエロ、バチスト役に実生活でもパートナーだったことのある美青年マチュー・ガニオを持ってきたところが、バレエ団仲間のジョゼならではの絶妙な配役で・・・。

入り口でもらった配役表を観ただけですでに気分が高揚しました。


演出・振付:ジョゼ・マルティネス
Chorégraphie:José Martinez
元パリ・オペラ座エトワール。2011年9月よりスペイン国立舞踊団芸術監督/振付家
1969年スペイン生まれ。87年ローザンヌ国際バレエ・コンクールでスカラーシップ受賞、パリ・オペラ座バレエ学校に入学。88年パリ・オペラ座バレエ団入団。97年『ラ・シルフィード』のジェームスを踊ってエトワールに任命された。ノーブルな古典の王子役を得意とするほか、ピナ・バウシュ、マッツ・エックなどの現代作品でも活躍。2011年7月『天井桟敷の人々』の主役バチストを踊り、パリ・オペラ座を引退。現役時代から振付家としても活動していた。.

音楽:マルク・オリヴィエ・デュパン
Musique:Marc-Olivier Dupin

翻案:ジョゼ・マルティネス、フランソワ・ルシヨン
Adaptation:François Roussillon et José Martinez

美術:エツィオ・トフォルッティ
Décors:Ezio Toffolutti

衣装:アニエス・ルテステュ
Costumes:Agnès Letestu

照明:アンドレ・ディオ
Lumières:André Diot

管弦楽:(名古屋)名古屋フィルハーモニー交響楽団/(東京)シアター オーケストラ トーキョー


バチスト: マチュー・ガニオ(ステファン・ビュリオン)
ガランス: イザベル・シアラヴォラ(アニエス・ルテステュ)

フレデリック・ルメートル: カール・パケット(ABとも)
ラスネール: バンジャマン・ペッシュ(ABとも)
ナタリー: レティシア・ピュジョル(メラニー・ユレル)
モントレー伯爵: クリストファー・デュケーヌ(ヤン・サイズ)



東京文化会館の大ホールに入ると、柱に「OTHELLO」のチラシが貼ってあります。
「今夜初日、フレデリック・ルメートルの「オテロ」
ジャック・プレヴェールの脚本による、2幕のバレエ」という内容。

パリ・オペラ座で上演されたときの演出、休憩時間に会場内で劇中劇のように、芝居が上演されていた・・というのをきいていたので、これは見逃さないようにしなくては!と心に留めつつ・・・。

まずは一幕

街の雑踏。大道芸人、スリ。ひしめき合う人々。街角で、様々なことが同時に進行しています。
主役のピエロ=バチストがじっとそこにいて全てを観ています。

バンジャマン・ペッシュが耳元にカールした黒髪の怪しい男ラスネールを演じていて、これがクセの強い彼の演技にハマっている。万年ソリストのぺッシュがエトワールになったとき、あのリフトもろくに出来ない(失礼、でも何度もこれで失望していますので^^;)彼が主役級を演じて大丈夫なのだろうかといぶかしく思ったものでしたが、昔からソロや男性2人のデュオ(よくルグリ先生と踊っていた)では味のある演技をしていた彼に、この役はピッタリです。

ラスネールはスリ。彼は恰幅の良い紳士のポケットから金の懐中時計?を盗み、警官がガランスを誤認逮捕。
このときの衣装が、ダークレッドのベルベットの胴着に白いスカート、そのスカートにはウエストから放射線状に何本もの胴着と同じ色のリボンがあしらわれている斬新でとても映えるデザイン。さすがはエトワールにして何度も衣装デザインを任されているアニエス・ルテステュのセンスの良さ!
一部始終を観ていたバチストは台の上で、一部始終をパントマイムで説明してみせます。
ラスネールはこそこそと去り、ガランスは誤解が解けて自由の身に。
彼女がバチストに、お礼として一輪のバラを渡します。

恋に落ち、うっとりとするバチスト。
でも彼にはナタリーという許嫁が・・・。

大道芸での芝居が始まる。
ライオンの着ぐるみの男が喧嘩を売られて大乱闘に。観客が怒り出すが、興行主?主演男優? フレデリック・ルメートル(パケット)が代役を果たして事態を収拾。大喝采で観客大喜び。

バチストは彼に宿を紹介。そこの女主人に手を出すルメートル。彼は陽性のプレイボーイなのですね。

居酒屋で楽団が演奏しています。そこで踊るガランスと彼女をみつめるバチスト。
あら、あの時の・・・。2人は意気投合しブロンズの織物のベットカバーのかかったベッドだけがある簡素なガランスの部屋に入ります。カバーをとったベッドにバチストを座らせてちょっと待っていてね。次の間に入ったガランスが戻ってくると裸身にベッドカバーを巻きつけた女神のような姿。
艶やかなる誘惑。でも、純情なバチストはそこで帰ってしまいます。
肩をすくめるガランス。彼女にとって恋愛は自由に楽しむものなのに・・・。
そこにちゃっかりと入ってきたルメートルとねんごろになるガランス。

それを観ていた宿屋の女主人が嫉妬に狂ってガランスを告発。
窮地の彼女のもとに、訪ねてきたのはモントレー伯爵。
彼がガランスを救い、そのまま、彼女は伯爵のもとに身を寄せる身に。。。

一方ルメートルはバレエダンサーとして活躍。
その活躍する舞台を休憩時間に観ることが出来ました。
場所は東京文化会館入り口からクロークに降りて行く大階段のスぺ―ス。
あのチラシを通路で仮面をつけたアルルカン姿の人が配っています。急いでクロ―ク前を横切るとそこには同じ方向に向かっていくジョゼ・マルティネスと芸監であるブリジット・ルフェーブル女史!
ジョゼは現役時代のままのスラリとした体型で、お顔の色も良く、ダンサー時代よりも元気そう^^
階段と降りてから少しのスぺ―スにロープが渡されていて、その中にカールと、ジュリエットのような金髪ウェーブロングのダウンヘアで いくつにも分割された長袖マトンスリーブ赤いロングドレスのお衣装のデスデモ―ナ役のCharlotteLansonが踊ります。ドラマチックなシーン(多分嫉妬に狂ったオテロがデスデモ―ナを手にかけるまで)らしく、階段を上り下りし、手すりを伝い、何度もリフトのあるハードな振付。いつも通っている階段にデスデモ―ナが倒れ伏す・・・とても不思議な日常と非日常の交錯。
ロープの外は押すな押すなの大盛況でしたが、なんとか無事に終了。
拍手して、席に戻ると舞台の上ではジョゼが指揮してバレエ・レッスン中。
リハーサル、という趣向で、凝っています^^
でも予備知識なしでいらして普通に休憩するつもりでいらした観客の方は さぞとまどったでしょうね。

2幕が始まり、これは先程のリハーサルの本番の趣。
ここの振付もピルエットや連続フェッテでかなりハード。
ここにもカール・パケットくんは参加。
あの階段でのリフト満載の踊りの後で、本舞台でこれですから・・・。
知ってはいたけどカールくんは鉄人ですね!

モントレー伯爵が袖で観ています。彼の愛人となったガランスとのパドドゥ。
彼女の美しさをたたえる伯爵。でも、彼女の心は彼にはありません。

下手袖のつい立ての後ろで小学生低学年くらいの日本人の少年にしゃがんで目線を合わせたカ―ルが話しかけています。(正面席の観客からは見えない位置^^)子供の肩を両手でガシッとして送りだすと・・・
バチストと緑のベルベットのボンネットとドレスのナタリーが。
子供の両手を2人でつないで仲良し親子。
そう、バチストはナタリーと結婚して穏やかな家庭生活を営んでいる様子。
その子も結構踊れていました^^多分東京バレエ団付属学校の生徒さんで抜擢されたお子さんなのでしょう。
良い経験が出来て良かったですね可愛らしかったです。
そして、カールくん、あれだけハードに踊り続けて袖では子役の面倒まで見てあげて・・・
なんて良いヒトなのでしょう(知ってはいましたが^^)

バチストの演じる芝居。自殺未遂の男。
内面に悩みを抱えている彼とかぶる内容に幸せ家族は表面だけ・・・とわかります。
彼の心はまだガランスにあるのです。

モントレー伯爵の舞踏会。
貸衣装屋で光沢のあるグレーの衣装をあつらえて、バチストもやってきます。
ガランスと再会。
皆が踊る中、2人も一緒に踊ります。
ひそやかにキスをする2人にスポットライトが。ラスネールの悪意。意趣返しか。
逃げ出す2人。裏切りに思わず声を上げるモントレー伯爵。バレエなのに生の苦痛の叫び声がショックの大きさを伝えます。

2人は夜を共に過ごし、元のガランスの部屋のベッドにいます。
先に目覚めたガランスがベッドを離れるとバチストも目覚め、引きとめます。
美しいシアラヴォラと更に美しいマチュー。
大きくはだけたシャツの胸元のボタンを留めて、ズボンのファスナーを上げてボタンを留めてベッドを離れるのがやけにリアルですが、いやらしさはありません。自然なだけ。
一度ベッドに戻りますがまた離れるガランス。
また今度は首元までボタンをとめてサスペンダーに腕を通して身仕舞しながらまた引きとめるバチスト。
どうでも良いことですが、いつも胸元をはだけたりUネックのレオタ―ドタイプの衣装の時に見える、甘い端正なマスクからはちょっと想像できないワイルドな胸毛が今回はきれいに処理されていました。
役に合わせたのでしょうか?
なんとも甘く切ない男女の心の寄りそい、そしてすれ違う様が存分に表現された美しいパドドゥ。
真紅のビスチェドレスが白い肌に映えて、なんともゴージャスでなまめかしいシアラヴォラに観惚れました。

2人の居所を突き止めたのはあのラスネール。
彼はナタリーを引き連れて部屋の扉を開きます。
ベッドにいる2人をみて大きくゆがむナタリーの表情。元気でカワイイイメージのレティシア・プジョル、上手さは相変わらずですが、顔をゆがめたり驚いた表情をするとおでこに皺が・・・^^;これからも主役級を努めていただかなくてはならないのですから、もう少しお手入れを・・・^^;
ガランスは静かに出ていきます。
バチストにはそのガランスしか見えていません。
ナタリーを一顧だにせず、すぐにガランスを追いかけます。

外では、ちょうどカーニバルのさなか。
白い衣装の群衆がコンフェッティや銀のクラッカーを振りまいてとても美しい。
特にとても高い位置まで打ち上げられたクラッカーのリボンの軌跡が喧騒の群衆の上にとても立体的に映えて本当にキレイな舞台です。
群衆の中、スッと真っすぐに前を観て歩き去るガランス。その彼女の姿を見失わないようにと思いつつ、群衆にはばまれて思うように進めないバチスト。
部屋で慟哭するナタリー。

映画のラストシーンそのままの余韻を残したラストでした。



が、その余韻を楽しむ間もなく湧きおこる拍手。
コールド、ソリスト、主役級と主要ソリスト、3列でのカーテンコール。
その最後の主役級グループの端にいたのは、もしやヤン・サイズ?

TBS(あるいはプロモーターのチケットスペースのこだわりか?)主宰の公演の特徴で、これは歓迎すべきことなのですが、配られる配役表がとても充実していて、スタッフならメートル・ド・バレエからマッサージ師まで帯同してきた全てのスタッフ、CASTならば場面毎の全てのダンサーの役名と本名が列記されていて、とてもありがたい。
おかげで、この作品のメートル・ド・バレエ(バレエマスター)が往年の名脇役ダンサー、リオネル・ドラノエで、バレエ教師として彼のパートナーである元エトワールのデルフィーヌ・ムッサンが帯同していることがわかって嬉しかったり、1幕で2人の巡査の1人がベテランソリスト、ヤン・サイズだったりすることがわかって思わずテンションが上がりました。

そのときにはなぜヤン・サイズがこんな端役で?と思ったのですが、翌日のBパターンの配役をみて納得。
モントレー伯爵だったのですね^^

つくづくBパターンも観たかったこと・・・と思いましたが・・・。
それにしても劇場空間を非常に有効に活用し、映画のエッセンスをここまで舞踊作品・舞台作品に表現し切ることのできる力量に、ジョゼの非凡な才能を観ることができ、シアラヴォラとマチューの時分の花を存分に味わうことができて・・・愛するオペラ座バレエ団からヌレエフ世代の名エトワールが去っていく昨今に、なんともいえない喪失感を感じていたわたくしに、希望を与えてくれた舞台でした







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