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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚宙組大劇場公演「風と共に去りぬ」 Aパターン

2013-10-15 16:36:07 | TAKARAZUKA
2013年9月27日に初日を迎えた 宝塚宙組 宝塚大劇場公演、
「風と共に去りぬ」
出来れば初日に賭けつけたかったのですが、今回、A/Bの役替り公演とあって、両パターンを見比べたく、日時調整を慎重に検討し、東上しないバウ・コメディ「第2章」も観賞できる日程、ということで、
10月11日(金)13:00公演、Aパターン前半最終回と、Bパターン初日の2回目15:00公演を観て参りました。



遠征すると大劇場内のレストランフェリエの公演メニューや、大劇場ならではの雰囲気など色々と東京とは違う趣を味わえて、本当に楽しいですね^^
デザートのパンプキンムースには綿あめが!タラの綿花を表しているそうです・・・。さすがだわ・・・シェフの発想力に感嘆。


9年前に宙組の全国ツアー公演で上演されてから再演が途絶えていた「風と共に去りぬ」は1977年の初演以来、錚々たるスターによって再演されてきたという歴史ある大作。
=ちょっと古臭い、組子の大半はモブというのは仕方がないとして^^;
わたくしにとっては初「風共」。
和央ようかさんのバトラー、花總まりさんのスカーレットによるその9年前のDVDは観て予習はしているものの、生の舞台で観るのは初めてで・・無駄にドキドキしながら着席すると!
ざわめきと拍手に振りむくと3列目センターに星組TOPスター柚希礼音さんと同期で元・宙組のスター十輝いりすさん!その後ろに月組TOPコンビ、龍真咲さんと愛希れいかさんが!!
あの・・・1週間以内にあなたたちの東京公演見ていました!と言いたくなりましたが
これは舞台上の生徒さんたちも張り切るでしょうね!
更に無駄なドキドキを高めてしまった開幕前

宝塚グランドロマン
『風と共に去りぬ』

Based on
GONE WITH THE WIND by Margaret Mitchell
Copyright © by GWTW Partners LLC
原作/マーガレット・ミッチェル
脚本・演出/植田 紳爾 演出/谷 正純

[解 説]
 今なお世界中で多くの人に愛されているベストセラー小説であり、映画版の大ヒットでも有名な名作「風と共に去りぬ」を、宝塚歌劇がミュージカル化したのが1977年。南北戦争を舞台に繰り広げられるドラマティックでスケールの大きい舞台は好評を頂き、以来、これまでに幾度も再演を重ねてきました。公演回数1216回、観客動員数272万人を誇る宝塚歌劇の代表作の一つです。この大作が、99周年の記念すべき年に甦ります。(以上、公式HPより)


第一幕、銀橋をバトラー凰稀さんが渡る・・・「さよならは夕映えの中に」シュッとしてカッコいいバトラー。
憂いを秘め、黒塗りに髭にキレイに描いた濃い眉に横線で書き込まれたもみあげ、そしてさりげなく顎を割るラインも・・・。セリ下がる姿を惜しんでいる間もなく、紗幕の向こうにスカーレットの大きな(笑)ドレスが。
朝夏スカーレットは大きくてキレイで明朗な印象。南部の青年たちを引き連れての歌と踊り。スカーレットを挟んであっきー(澄輝さやと)ちー(蓮見ゆうや)。美青年揃いで華やか。

ここから、場面はメラニーとピティパット叔母さんがチャ―ルズ・ハミルトン未亡人となったスカーレットを迎えに行き、そこでレット・バトラーを迎えに来た彼の情婦ベル・ワトリングと役者が揃うアトランタ駅の場面に。
バトラーとメラニーが旧知でベルをメラニーが分け隔てなく遇し、スカーレットのアシュレ―への告白をレットが立ち聞いた、というところまでのあらましがわかるようになっています。
ここはベルのきたさん(緒月遠麻)が汽車の次に大きいこと(CSの番組で本人談)を確認できるシーン。

時は南北戦争中、まだ勝敗がハッキリしていない段階で、どこかのんきな南部の上流階級。
バザーで資金集めをしていますが、ここに行きたくてたまらないのが、蟄居すべき立場の未亡人スカーレット。
幕前で、スカーレットの分身、(スカーレットⅡ)が登場。
スカーレットが悩むと本心で行動するようにけしかけるこの無責任なアルタ―エゴを演じる純矢ちとせさん、朝夏さんとお顔立ちの系統が似ていて歌唱力が抜群なので、「私とあなたは裏表♪」と歌い踊るシーンも息がピッタリ。
素直でコケティッシュな朝夏スカーレットに天真爛漫な純矢スカーレットⅡは芸風も合っていますね。
南部のうるさ方の夫人たちに男役が2人。美人ですっかり上流マダムなエルシング夫人役の風羽玲亜さん、「これぞxx」という型台詞の力強さが流石演技派の天玲美音さん。そして、どの男役マダムよりも性格のきつそうな(ほめてます)大海亜呼さんの台詞回しの明確さに、婦人連の場面の古臭さがあまり気になりませんでした^^;
音楽が流れて袖でノリのりに腰を振るスカーレットを見ながら、夫人たちがあきれ果てる場面、朝夏スカーレットが活き活きとしていてカワイく思えるほど。
そう、まぁくんスカのキーワードは可愛さですね。強い眼力の美女なのに案外と単純で陽性で憎めないところが魅力です。

令嬢たちと踊る権利を青年たちに落札させるという趣向はひんしゅくを買いながらもメラニーの口添えで実行される運びとなり・・・。一番人気のメイベル嬢(伶美うらら)を競り落としたのはルネ(七海ひろき)。この2人、爽やかで麗しい美男美女カップルで、すなわちBパターンのスカⅠスカⅡという興味が人目を集めます。
続いてのファニー(すみれ乃麗)は恋人チャ―リ―(愛月ひかる)が63ドルで。
そこに響く声。「金貨で150ドル!」レット・バトラーの鮮烈な登場場面。
次は風共か・・・と話題になった当初、作品を知るヅカ友がこぞって、「かなめちゃんが、金貨で150ドル!って言うのね」とワクワクしていた理由がようやくわかりました^^
カッコいいです

休暇で戻った兵士たちを迎え旅立つ兵士を見送る人々。
ミ―ド博士(寿つかさ)のまだ幼い息子フィル(星吹彩翔)も。かわいいけれども優等生のもんち(星吹)ハリのある声のボーイソプラノで、ここミ―ド博士の親心が泣かせます。
アシュレ―も出征。
ただ一人気丈なスカーレットが広間で待ちかまえ、手作りの黄色いサッシュを彼の腰に巻きながらまたしても愛の告白。アシュレ―はスカーレットにメラニーを託し、彼女はその約束を忠実に守ります。

そして、後日。
病院の勤労奉仕に嫌気がさしたスカーレットのもとにレットが贈り物を携えての訪問。
美しい羽飾りのついた帽子に心浮き立つスカーレットの無邪気な様子を笑顔でながめるレットだが、結婚をめぐる価値観の相違がスカーレットを怒らせてしまう。一度は退散したレットが戻ってくると、調子よく鼻歌交じりに帽子を手にとり鏡に向かうスカーレットが。
このあたりの呼吸とテンポがとても良く、自然と笑いが。

資金集めの募金活動をする夫人たちに酒場のマダム・ベルがお金を渡そうとしますが、けがらわしいと相手にされず。プライドをかけてのひと悶着の末、道を譲らされ、屈辱のベル。
改めて、メラニーを訪ね、快く感謝と共に受け取ってもらえて愛国心を満足させることが出来て溜飲を下げるベル。
と同時にメラニーに対する絶大な信頼と尊敬が芽生えます。

メラニーが倒れ、アトランタに北軍が。ピティパット叔母(美風舞良)が恐慌状態に陥り、避難。
あおいさん(美風)のピティパットはとても上手。ただキャーキャーとヒステリックな老女ではなく、おろおろする様がなんともチャーミング。
メラニーのために呼びにやらせたミード博士(寿)が手術で手が離せない、と夫人を派遣。その火事場状態の博士、ワイシャツの腕まくりがなんともカッコよくさすが宙組組長さんと思いました^^
メラニーはおめでた。その事実に呆然とするスカーレット。タラにメラニーを連れて帰ろう。

進退きわまったスカーレットが頼るのはレット。
馬車を駆るレットが下手、上手に護身用のピストルをまかされたスカーレットとぐったりするメラニーそしてプリシ―が上手と分散し、それぞれがセルフで揺れて馬車の動きを表現する真ん中舞台上では、炎上するアトランタと逃げ惑う市民を厚みのあるコーラスと真に迫った演技とスピーディな動きで表現。
映画での見どころの一つを見事な緊迫感で描いた演出に拍手。
ここからタラまでは一本道だ。
スカーレットに馬車を任せ、南軍に参加するレット。
ここからは白いドレスシャツに白いベストとパンツ姿のレットが黒いリボンタイをゆるめ(レットが本気になるシーンでは必ずこのアクションが^^)軍隊の踊りに。
ベルばらのバスティーユのシーン同様、真剣な視線で身を低くしての動きに緊迫感が。見どころが続きます。
タラについたスカーレット。十字架の粗末な墓を守るのは・・・懐かしい乳母、マミー(汝鳥伶)です。
やはり汝鳥さんの存在感は物語に厚みを持たせてくれますね。

南北戦争が終わり、南軍は敗れる。
「南部魂」「ニュージェネレーション」と”南部の青年・令嬢たちの見せ場が続きます^^
パステルカラーのスーツ、ドレスに身を包んだ、北部と手を結んで復興の波に乗ろうと未来に輝く青年たちと、茶系の落ち着いた服装で、足を引きずり、盲目の眼で恋人に支えられ、昔を懐古する戦場の傷癒えぬ人々や価値観の違いに憤る年配者たちと。
それぞれの主張・思いが交錯する、ちょっとせつなくも若手スターがふんだんに投入されてワクワクもする場面です。
あの75ドル落札、出征の際には戻ったら結婚よと母親に言われていたルネとメイベルのカップルも、OLDジェネレーション組に。ルネ(七海)の視線が見えていない、いえ、記憶の南部の美しさしか見えていないということを登場時から表現できており、足を負傷した演技派のりんきら(凛城きら)、安定した演技の蓮見さんら、この青年たちの嘆きも見どころ。
一方若手はダンサー蒼羽りくちゃんをセンターに、若々しいダンスで眼を惹きます。新公では主演ですものね。がんばって、と心で声援(笑)

スカーレットはタラへ掛けられた重税を工面できずにアシュレ―に相談。
退役した彼は財産を失い、メラニーとともにタラに身を寄せていたのです。
スカーレットの度重なる愛の告白に心乱しながらも踏みとどまり、薪割りの手を休めて話を聴くも、具体的な解決策なく、ただただ戦争を悔やむ彼に失望するスカーレット。
ここ、出演者の誰よりも立派な体格を持つ悠未さんが不慣れな力仕事をさせてすまないと思わせるにはかなりの力技を必要とする場面。
悠未さんアシュレ―は頼りがいをみせてはなるまじと終始眼から力を抜いてふぬけた様子を見せていましたが、同時にスカーレットの憧れを掻き立てる貴公子風味も漂わせなくてはならない・・という難場面ですよね。
歌になると、俄然その歌声の良さで場面をしめてくれるのですが、見た目と役どころがピッタリ、ではないのが難しいなと思ったところでした。

今、お金持ちと言えば・・・レット!ひらめいたスカーレット。
で、急転直下、ヨーロッパへの新婚旅行から帰ったバトラー夫妻のお披露目設定。
ミード博士をはじめとするOLDジェネレーションの面々は儀礼上出席するが、北部からの新興勢力との同席に耐えられず中座。礼儀正しく見送り、その後の客あしらいも堂に入ったバトラーの大人の対応がステキ。

子供っぽいけれど目的を達成するバイタリティに富んだスカーレットはレットの資金で商売にも成功。
アシュレ―は彼女の店で働かせてもらっています。
ミード博士の誕生日プレゼントを選びにきた夫人に「博士はお洒落だから・・・」とオーデコロンをすすめ、器用に美しくリボン掛け。アシュレ―の繊細さを表す場面ですが、そうか、あのダンディーなミード博士、やっぱりお洒落な紳士認定なのねと(←そこ?)。
見回りに来たスカーレットに思い出話をするうちに盛りあがって手を取り合う姿をもっともうるさ型のご婦人連が目撃。
コミカルなナンバー「お聞きになった?」で町中に噂が尾ひれをつけて広がります。

バトラー邸にて。1人酔い潰れるレットとやめさせようとするマミーの攻防戦。
今や彼の良き理解者マミーの思いやりと、酔いながら嫉妬に苦しむ凰稀バトラーの鬼気迫る演技が見どころ。
居心地悪げにツンツンとするスカーレットと彼女に絡むレット。
アシュレ―を忘れさせてやると、2階の寝室へスカーレットを引きずるようにぐいぐい上がっていく彼ですが、あらがったはずみで階段を転げ落ちる彼女。
この場面DVものですが、全ての所作がベルばらの今宵一夜よろしく、一つ一つのポーズが決まって型として美しく、乱れる場面なのに姿は一瞬も乱れないという凰稀バトラーの矜持を観ました。

スカーレットの無事をメラニーから聞き、神に感謝するレット。
逆にその背後で崩れ落ちるメラニー。
町中の人がメラニーの無事を祈ります。
1人でも多くアシュレ―の子供が欲しかったのでしょう。弱い身体でもう子供は望めないはずだったのに・・・。
ベルも娼館の娘たち(花音舞ちゃんがモンテの酒場の女主人に引き続き酒場マスターになりつつありますね^^;)に冷やかされながらも、真摯に神に祈ります。
オヅキさんのベル、確かに軍艦のように大きくて、色っぽさも足りないけれど、嘘のない凛とした精神と情の深い思いやりに溢れた人間味が感じられ、レットが通い、女の子たちが慕うマダムとしてしっかりと成り立っています。
その彼女が上手で祈り、下手でスカーレットに看取られながら、バトラー船長に優しくしてあげて、アシュレ―を頼んだわと臨終の言葉を残してメラニーは言切れます。

控えの間で知らせを待つ男2人。
スカーレットがふらふらと姿を現すと、抱きとめようと一瞬踏み出し、そのまま前を素通りされてアシュレ―にすがるスカーレットを背後になんともいえない表情でスッと立ち去るバトラーが・・・切なすぎます。
そのアシュレ―はメラニーを亡くして抜けがら状態。

わたしが愛した凛々しい白馬の騎士アシュレ―はどうしたの?そんなのもとから自分で作り上げた虚像だったのよ。
スカⅡとの問答。本当に愛してくれたのは、そして自分が愛したのはレット。スカⅠ・Ⅱの意見が合って、スカⅡはスカⅠに吸収されます。

レットに告げなくては!心満たされ、心急きつつ邸に戻ると浮かない顔でスーツケースを運ぶマミーが。
レット!ぼくは出て行くよ。
聞いて!君の言いたいことは顔に書いてある。
ウィルクスくんの虚像に気付いて僕の魅力を発見したということだろうが・・・もう遅い。
ごめんなさいと言えばもとに戻ると思っている子供の君にはわからないだろうが・・・壊れたものは戻らない。

ツンデレカップルの破局。重い言葉ですね。
スカーレットは直感で、今、自分にとって一番必要な男を選び、手に入れる。
レットはスカーレットをその美貌と生命力とピュアな正直さゆえに愛している。
スカーレットは自分に夢中な男を軽く見る傾向があることを見抜いたレットは素直に愛情表現をしない。
スカーレットはそもそも愛というものを真摯に考えたり味わったりすることがまだできていない。
・・・破局は来るべくして来たのでしょうか。

マミー止めて!言われてドアに立ちふさがるが、レットに見送らなくていい、と言われて道を譲るマミーのなんともいえない表情が・・・・。
ここで、初めて、舞台機構の活用が行われます。
盆が・・・・回った!!
もう、子供が初めて立って2~3歩歩いたくらいの感動?(笑)
それまで幕が上がって幕が下りて幕前の芝居があって・・・と紙芝居演出でしたから、3Dに驚きました^^;
玄関挟んで外にでたバトラーが「さよならは夕映えの中に」を。
冒頭に戻る、というわけですね。

宝塚には珍しくハッピーエンドではないこの作品ですが、
ここから怒濤のフィナーレ・ショー・タイム!

長くなりすぎたので別記事にしようと思います


福田美蘭展

2013-10-15 15:50:09 | ART
すでに終わっていますが、あまりに面白かったので記事として残しておきたく・・・。
上野の東京都美術館で、2013年7月23日から9月29日まで2カ月に渡って開催されていたこの美術展、
美術コレクターの知人宅で図録を見せてもらい、学芸員に知人の多い友人が、「ルーブル美術館展」が物足りなかったので、お口直し(笑)にたまたま見たらとても面白かった、などと聞き及んで、是非、会期中に・・・と思っていたのですが、訪れたのは9月27日と終了直前で^^;

それでも、間に合って良かった!と思える充実した内容でした。

福田美蘭氏(50歳)の父親はグラフィックデザイナーの福田繁雄氏。
ウィットとユーモアに溢れた洒脱な作品が思い浮かびますが、血は争えないと言いますかなんと申しましょうか・・・。
写実の圧倒的な技量に加えて、あらゆる角度から自分の心の赴くままに、現在過去未来を行き来して、アイデアをどんどん形にしていく力技と軽やかなフットワークに感嘆。



これは、震災後の海底をアサリの気持ちで描いた・・・という連作の一つ。
アサリにとってもストレスは多大だったろう・・・というミクロの視点から全体を想起させますね。
9.11のテロで失われたツインタワービルの窓の明かりを、夜空の星としてちりばめた「ニューヨークの星」。東日本大震災を報じる紙面を、心象を加えて描いた「春―翌日の朝刊一面」。赤飯の包装紙に描かれた南天を、イラク攻撃に使われた兵器に見立てた「日本もクラスター爆弾を持っているらしい」など、時事問題を捉えた作品も秀逸ながら、古典作品を捻ってその先やその背景を想像した作品群も。

黒田清輝が孫を膝に抱いて、その肖像画を描いている様子とか、見られすぎて疲れたのか、横になってくつろぐモナリザとか・・・^^;

美術作品のあたりまえをくつがえす発想の転換シリーズも。



これは、足で踏んでも良い作品。
後ろはちょうつがいで留められて、開けなければ見られない作品。
他にも冷蔵庫を開けると内部が重厚な油絵の歴史画になっていたり、天井の隅に収まるように作られた油絵作品と重厚な額、などなど。

パロディ的な意味でわたくしが一番面白く思ったのは、こちら。



群馬県立美術館蔵の2000年作品「リンゴとオレンジ」
美大受験の塾や通信教育で、添削を受けたセザンヌ・・・という発想がなんともウィットに富んでおり、「テーブルの位置が不安定」「リンゴの表現が甘い」などと駄目押しをして評価Bをつけているという大胆さ。
東京藝大出身の静物画家にとって、セザンヌは一つの理想形であり、そのコンポジションなどにアカデミックな議論を戦わせることが多いことを含んでみるとなんともシニカルで思わずニヤリとさせられてしまいます

それにしても、アイデアが豊富でしかもそれをサラサラっと走り書きのデッサンで表現するのではなく、スーパーリアリズムで古典作品から銭湯画まで再現してしまう画力をもって大作に仕立ててしまう・・・というのが彼女のエネルギーのただならぬものを感じさせて圧巻。
今回のような充実した回顧展はなかなかないと思いますが、これからも注目したい作家です





宝塚星組東京公演「REON!!Ⅱ」

2013-10-10 05:12:43 | TAKARAZUKA
2013年9月27日(金)~10月9日(水)
東京国際フォーラム ホールCにて開催されていた
宝塚星組公演、「REON!!Ⅱ」、終わりましたね^^

そして博多へ・・・
(10月16日(水)~10月28日(月))と続き、星担の友人たちはこぞって博多公演を楽しみにしているので
終わった感は薄いのですが・・・



東京で打ち止めのわたくしですが、もっともっと!と言うよりは、存分に楽しめた、ありがとう!という公演でした。

10月3日(木)の夜公演が初回観劇で、2階席一列目センターと言う、全体を把握するのにBESTな位置で。
この日はTOPスター柚希礼音さんのファンクラブの総見日で3階席は大盛り上がり。
2回目はDVD収録の8日15:30公演で、この日はキキちゃんを始め花組さんたちがいらして客席も華やか。
1階席前方で、客席降りも楽しめました。

この時期、星組は3グループに別れての公演で・・・。
ひとつは、このTOPスター柚希礼音スペシャルライブで東京国際フォーラムと博多座。
もう一つは娘役TOPの夢咲ねねちゃんと若手美人娘役早乙女わかばちゃんと専科の轟悠さん、もと星組組長専科の英真なおきさんの4人で演じるニ―ル・サイモン脚本の「第2章」
3つめが、3番手男役スター真風涼帆主演で梅田のドラマシティと東京青年館でのジキルとハイド。

「レオンⅡ」では、2番手紅ゆずるさんと柚希さんと同期の長身男役十輝いりすさん、新公主演のスーパー下級生礼真琴くんが大活躍。
紅さんは2番手らしく、自分が芯で、若手男役をバックに歌う場面もありますが、彼女のバラエティ的センスの高さを存分に活かしたフリートーク炸裂の「客席案内係のベニコさん」昭和のちびまるこちゃん一家のような柚希さんが自分の家族をテーマに歌うしんみりさせるハ―トウォーミングな場面「ちえちゃん」ではコミカルな父親をジェスチャーで、と「REONⅠ」で好評だったキャラクターを引き継ぐとともに、ベルばらパロディ場面では有名なフィナーレナンバー「薔薇タン(薔薇のタンゴ)」での女役に挑戦、と様々な魅力を発揮します。
十輝さんは、ベニコさんの先輩まさこさんとしておしとやかでおっとりとした女性の先輩姿がハマり、また「ちえちゃん」場面で前回は真風涼帆くんがおっとりと演じた和服に割烹着の母をこれまた美人で同じくおっとり優しい母として演じたかと思うと、長身美貌を活かして、柚希さんの女装?「レディ・レオン」の男性パートナー役もばっちり。
礼真琴ちゃんは・・・あらゆる重要な場面ではソロで歌いまくり(特にレディ・レオンの場面は上手すぎ!)、「心はいつも」の白いワンピースにロングの鬘で、同じくシャツとくるぶしを出した白いパンツ姿の柚希さんとのデュエットダンスをふたりとも裸足で爽やかに、ダンサーどおしの遠慮のない存分に伸びやかなダンスを魅せてくれて・・・しかも下級生離れした余裕感は一体何なんでしょうね、この人は!(褒めてます)

TOP娘役がいない分、色々な男役が女装?してダンスのペアのお相手役を務めます。
ちえねねで人気を博している華やかなTOPコンビももう5年。何作も(再演=ロミジュリ、1,2=めぐりあいは再び)組んできた今、ちょっと離れて、新味を出す、と言う意味でも良い企画。

このショーのスタイリッシュな面を印象付けるOPENINGが素晴らしくフジイダイスケQUALITY。
豹柄衣装の男役がずらりと居並んで各々キメポーズで始まり、一気に客席のテンションが上がります。
宝塚を国際フォーラムで、というのは初めてらしいのですが、フォーラムの舞台は奥行きが狭い分、階段を少し設けて、背景にBASARAの時のように映像を映し出して変化と奥行きを出していく趣向。
舞台SETを置く芝居では配置が難しかったかもしれませんが、ダンスショーとしては、常に前面にスターがいて、客席との一体感がある感じで、この手のコンサートタイプの宝塚演目には悪くない会場だと思いました。
炎や水の映像が揺らめいて、豹柄衣装にブーツスタイルの男役がターンをキメ、セクシー衣装の娘役が登場して絡み・・・。

あ、娘役については、美女ポジの夢咲ねねちゃん、早乙女わかばちゃんがバウに、音羽みのりちゃんがドラマシティにとられてしまった関係で、全体的にちょっと薄くなっていますね・・・。
カワイ子ちゃんの綺崎愛理ちゃんがレオンを導く謎の少女・・・というポエムとともに白いドレスで場面場面の合間にヒラヒラと無言で舞って(綺崎愛理ちゃんの正しい使い方)いるのは良いとして、全回白華れみちゃんがカッコいいショーガールを金髪ショートボブでシャープに演じた「バ―レスク」の場面のセンターを務めた夢妃杏瑠ちゃんも上手いけどれみちゃんほどの華はなく、、、
その分、上級生歌姫ポジの音花ゆりちゃんがレオンくんと一曲踊っていたりもしますが、やはり音花さんには後方でしっかりとお歌を任せているのがよろしいかと・・・。

と、前回と比べてちょっとだけダウン?する場面もなきにしあらずで、お着替えの時間稼ぎか、メドレーで歌上手とはいえないヒトまで、最下級生に至るまで歌い継いでいる場面などは、ちょっと・・・苦しかったり・・・もするのですが、先の「心はいつも」のチエコトデュエダンのような神場面もあるので、全て均すと、
スタイリッシュで楽しくて親しみやすい星組らしいショー・コンサートだった!という感じでしょうか^^


オープニングは先述のとおり、THE豹柄でとてもカッコいい。
照明の効果か、ちょっとピンクっぽく見えるのもお洒落感満載で。
このヒョウの衣装好き。娘役のセクシーなのも好き。

1幕の記憶の少女(綺崎愛理)に導かれ・・・にポエムが付いていて、懐かしのショー「ボレロ」を思い出してしまいました 。

「ちえちゃん」は、母が十輝さんに変っただけで、相変わらずの家族構成で。
またかと思わないでもありませんでしたが、やはり心温まる歌と家族風景で、心地よい涙が。
ツーと^^;
夢妃杏瑠ちゃん率いるローズ・ピンク&黒の「バ―レスク」はレミちゃんの時にはブロードウェイ・ショーのゴージャス感とスピード感いっぱいでしたけど杏瑠ちゃんのバ―レスクはレトロなショー、という感じ。
悪くはないです全然。好みによるのかも。わたくしはレミちゃんのが好きでしたが。

続いて、一際引き締まったイイ女が・・・黒髪ショートに白くまぶしく光る銀ラメタキシードベストを素肌に着て黒いショーツとストッキングの鶴美舞夕さん。男役でも職人的にダンサーとしての精進を重ねた姿が神々しい彼女、プレーボーイ柚希さんのちょっかいをクールにいなしつつ、浮気は許さないわよ的なストーリー仕立てのショーダンスがカッコよくて観ごたえあり。
ただ、大の字リフトでの回転や鶴美さんのお衣装は前回と変わらない感じなので、せっかくダンサー2人の場面なのだから、全然違った演出&振付が観たかったかも。

そして登場、噂の、今回の目玉、「LADY REON」
まさかの柚希さん女役!
鬘は3種類で、わたくしが観た時は両方とも金髪ショート・ボブでショーガールらしくてステキ。
柚希さんも一番のお気に入りらしい。
あと、初日は藤井センセイ一押しの金髪ストレートロング。これは柚希さん的には「腕の筋肉の微妙な動きをおみせできなくなってしまうので・・・」とちょっと不本意なのだそう(笑)
GOLDのビスチェにショートパンツ、ブーツジャケットといった出で立ちで、なんといいますか・・・^^;
もちろん逞しくはあるけれど、一般人に比べると細いしスタイル抜群で、お顔だってキレイと言えると思うのですが、何でしょう、この何とも言えない力強いオ―ラ。ラメをふったデコルテからも筋肉がはりめぐらされた太腿からもムンムンとパワーが・・・。途中、パートナー役のまさこさん(十輝)がそのジャケットを剥いて肩が出るのですが、それも色っぽいというよりは・・・以下自粛^^;
初日にはあまりの驚きに客席から笑いが起きたとか・・・。
レオンくん的にはショックだったみたいで最後の御挨拶のときに「レディレオンのときにわらわないでください」とおっしゃったそうです。乙女心かしら。カワイイですね^^v
わたくしの感想は・・・バイオニック・ジェニーだわ・・・でした。

その後(前?)妖しいホストクラブ、となり、(ここ、赤いロングドレスの娘役が絡むのですが、驚くほどに美女がいなくて衝撃でした・・・ホストは皆カッコいいのに!)
あ、ホストクラブでカップルになっているのにレディレオンが登場して彼がそちらに釘付けになってしまい彼女が怒って帰ってしまったり嫉妬したり、ここ、小芝居がいっぱいあって楽しかったですv

このあと、レディレオンの代わりに紫タキシードのレオンくんが登場し男役たちとタンゴを踊る。
文句なしにカッコいい、MyFavorite場面。

続いて1人舞台に残った柚希さんが舞台中央に降り注ぐ雨にずぶぬれになりながらミュージカル「モーツアルト」のナンバー「影を逃れて」を熱唱。
紫タキシードは素晴らしい撥水加工が施されていることが分かる場面です・・・
・・・じゃなくて!
柚希さんが素晴らしい!ヘアスタイルもお化粧も気にせず、どんどん雨に乱れてそのなかで乱れて乱れて
心乱れる歌を歌う姿に圧倒されました。

もう一幕だけでも相当満足!
ありがとう!の気持ちで迎えた2幕。

2階席にまさこさん登場!
栗色のショートボブでベストとスカート、白ブラウスのフォーラムの客席案内嬢です。
食欲の秋ですね~何が食べたいですか?今、などとゆるゆると客席をいじりながらのご登場。
1階席にはべにこさんが。後輩案内嬢設定で、なりきっているのが可笑しい。
御約束のアヒルちゃんのようなレオンくんファンの少女設定の柚希さんも絡んでひとしきり客席で大騒ぎ^^

で、開演すると舞台はまさかのベルばらのOPENING!
琴ちゃんセンターの小公子で「御覧なさい」
例の金髪マッシュルームボブの前髪を少し横わけっぽくアレンジして子供っぽく可愛らしい振りで元気に歌う礼真琴ちゃんがカワイイことったら♪

そして薔薇タン!

ボレロ!真っ赤なラメ衣装で踊る柚希・紅。
柚希さんは堂々と紅さんは緊張気味に。でも細身の美女で、金髪ショートのサイド髪飾りのスタイリングもお似合いで。

それにしても、植田大先生のベルばらをよくぞショーで使わせていただけたわね、ダイスケ・フジイ、GJと心の中で褒める(なにゆえ上から目線?)

このベルばらにはなんとエトワールまでついていて、紫りらちゃんが美声を聴かせます。
紫りらちゃんと言えば、「メイちゃんの執事」で大門役の礼真琴ちゃんが仕える少女(というか子供)で、宝塚離れした小ささとみっちりしたお顔と身体で礼真琴ちゃんがヒョイと肩に乗せるようにした記憶が・・・。
今はゴージャスなドレスでエトワール・・・胸熱


ちえこ、べにこ、まさこトークの流れで「レオンくんにやってほしい役」というファントークになり、
まずべにこが「僕は・・・出て行くよ」とまさかの風共。「さよーならーさよーならー」
サヨナラは夕映えの中にを朗々と。
まさこさんは「死ねばいい」
で、始まったお歌が・・・??これは・・・わざと?それとも・・・?
難しい曲とは知りつつも音程が凄いことになっていますけど?!

そしてそして・・・
レオンくんは・・・
ティボルト!キタ!!
「初めて女を知ったのは・・・」
今日こそその日。
はい、ちゃんとあの通り娘役をはべらしています^^

残念ながら著作権?故、同じ衣装をコンサートで使うことはまかりならぬらしく、他の作品の赤いお衣装で。
それにしても、この力強いティボルトの焦燥と熱情溢れる名曲が柚希さんのハスキーボイスにぴったりで!

その後はショーメドレー。
ノバボサから始まって、レオンくんが今までに出演したショーのナンバー全てをメドレーで、ということで、本当に全員が大車輪で色々な人が歌のパートを担って。
これは昔からのファンにはたまらないでしょうね!
わたくしは解りやすく「ボレロ」からテンションあがりました^^

そして客席降り。なんと、2階席上手に紅君、下手にまさこさん、そして3階に柚希 さんが!
1階は1階で若手が!もう、目が足りなくて大変!
席近くに来てくれたカワイイ笑顔の娘役さん 完全に逆光でお顔の判別が出来なかったのが残念でしたが。

そしてそして・・・
白いミディ丈のサンドレス姿のコトちゃんが出て来た!
「心はいつも」

なんとも胸キュンの裸足で海辺で若い2人のデート、的な素敵な素敵なデュエットダンス。
2人がシンメトリ―にジャンプしたり、ポーズ決めたりするので、男役娘役ともに同レベルのダンサーであることが求められる難曲ですが、琴ちゃん、きれいにシンメにみえるようにちょっと高めに飛んだり、調節しつつ、本当に合わせてきていました。
それでいて、視線や愛が溢れんばかりの笑顔や・・・もう・・・(泣)

観たかったレオンくん、観たかった琴ちゃん、観たかったデュエットダンスの姿、

男役としてキザる姿も様になりつつある琴ちゃんの、でも時々娘役的なダンス(ロミジュリの「愛」)や役(台湾公演)を振られると可憐でレオンくんとの並びも良く、ねねちゃんの後、娘役としてTOPに就任して、レオンくんとダンサーコンビとして伝説のカップルになってくれても良いかも・・・という妄想が今現実のものとして提示されて!

他にも、色々・・・。
黒スーツにオレンジフリルのブラウスの男役たち、麻央祐希ちゃんが黒髪ショートのかつらに大きなアシンメトリーな羽を背負ったダルマ(レオタード)に美脚で皆の間を練り歩いて階段上で揺れているだけで華やぐ場面とか、
背景の映像に幻想的な黄色の蝶々がひらひらする中、若手男役がカラフルなドレスでレオンくんを惑わす場面とか。ここ、しーらん(壱城あずさ)がリアルにツンデレのカワイ子ちゃんで・・・。
彼女は星男らしい押し出しのあるショースターですが、見た目が曲線的で小作りな可愛らしいお顔立ちなので、本当に女装?すると美少女になるのですよね。
あ、3日に客席にお姉さまがいらしていて、べにこさんに紹介されていらっしゃいましたが、しーらんそっくりのキレイなお姉さまでした^^
れんたくん(如月蓮)がレオンくんにねっとり絡むところ、本当は女性なのに::Newハーフのお姐さんにしか見えなかったのがスゴイ。
でも皆さん御綺麗でした。

で、気が付いたらもう、終わりに近づき皆黄色のVネックにサングラスをひっかけたプリントのツアーTシャツ姿になっていて(涼さんのデザインだそうです^^)Rising Sun?!

エグザイルの曲が今の星組にピッタリで、藤井センセイNICE選曲!

それにしても、やっぱり星組って楽しい。
ショースターレオンくん、
舞台化粧顔がとても好きなまさこさん、
今My一押し若手の礼真琴くん
新公ベンヴォーリオで評価されて今回結構センターで歌う場面をもらっていた夏樹れいちゃん、
緊張知らずの軽妙なトークでヅカを超えたスター性を感じる紅さん、
・・・目が足りません。

博多に行かれる方、期待なさってくださいね
わたくしは、ムラで風共A,Bパターンと
轟さんねねちゃんの「第2章」を観て参ります


宝塚月組東京公演「ファンタスティック・エナジー」 前楽

2013-10-08 06:10:00 | TAKARAZUKA
2013年10月6日11:00~
東京宝塚劇場にて。

男役の色気満載、月組の名物組長の越乃リュウさんの退団公演ですね。

グランド・レビュー
『Fantastic Energy!』
作・演出/中村 一徳



[解 説]
 「躍動」をテーマに、幻想的かつエネルギッシュなシーンを散りばめ、龍真咲率いる若さ漲る月組のフレッシュな魅力を歌、そしてダンスで綴るダンシング・ショー。

実は、このショー、4回観ています。「ルパン」は3回なのに・・・^^;
初日、チケットがまだある、と解った時点で、時間的に「ルパン」はムリだけれどショーだけなら観られる・・・とわかったので、駆けつけで。
2階席から観た群舞が華やかでエネルギッシュで驚いたのに加え、ちょっと独特の衣装センスが好みに合わないなぁ・・とも。贔屓のみやるりちゃん(美弥るりか)の出番が多いことを確認して、「これは通える」と確信。

リピートするうち、衣装デザインの好みに合わなさはだんだんと気にならなくなり、この賑やかでハイテンポ、熱量の高さを保ちつつ、歌える人が歌いまくり、常に総踊り!のこのショーが、だんだんと愛おしくなってきました。

極めつけはMy楽の前楽で、1列目美弥席(銀橋にスターが並ぶ場面で、もれなくみやるりちゃんが目の前にそそり立つ!)という幸運に恵まれたこと。(友会ありがとう

オープニングからマルチカラーの衣装で勢ぞろい!
TOP2人は白黒ですが、いかにもショー、という感じの派手やかさ加減。
中村先生のショーはベタにタカラヅカで、変り映えしないといえばしないのですが、常にある熱量を持って、ハイテンションの楽しさを届けてくれる良さはあります。

この幕開きからTOP娘役ちゃぴ(愛希れいか)がパンツ姿で登場して!
こういう演出が似合うのは長身でスタイルの良い娘役に限りますが、もと男役から転向した彼女にはピッタリ。
お芝居ではしとやかにふるまっていた彼女ですが、もともとの快活で爽やかな持ち味とダンス力がこのショーでは発揮されて、カッコいいことこの上なし。

ショー全体を通して、ちゃぴちゃんのスター力がここ数作でグンと上がってきたのを実感しました。
センターで踊れて、TOP男役を立てて幸せなカップル感を醸し出すこともできて、他のどのスターと組んで踊ってもそれなりに絵になって・・・。
歌えば歌声も美しく、スゴイ美人ではないけれどチャーミングな愛嬌のあるお顔立ちで・・・。
唯一、大人っぽい色香があるかといえばそこだけが微妙ですが、大人っぽいドレスは長身のスタイルの良さで着こなすこともできますし、それがまた初々しさや清潔感があると言うこともできますし。
なんだかこれからもっと大きな伝説の(白城あやかさん並に!)娘役スターに開花するところを観ているのではないか・・という気になりました。

まさきさん(龍)はまさきさんで、歌えるスターとして活かされ、銀橋1人渡りの場面では、愛らしく小首をかしげたり、手を差し伸べてウインクしたりで1列目のお客様をピンポイントで昇天させたり、ちゃんと(笑)正しく活用されて。

続く2番手場面では、専科の北翔さんがセンターに入り、サイドをかちゃ(凪七瑠海)とコマ(沙央くらま)が固めます。
バックは台も設置されて何層にも群舞が。
久しぶりに目の前でみるかちゃのキレのよい、伸びやかでスケール感のあるダンスを堪能。

次にTOPがダンス・・・の場面に。
うーん、まさきさんは敢えて踊らなくても良いのではxxx
もちろん、彼女の周りをちゃぴちゃんが4倍の運動量でくるくる回って絡んで大車輪の活躍。

ちゃぴちゃんセンターで娘役に囲まれて・・・の場面がSEXYで新鮮。
全員タコ足ドレス(スカート部分がフリンジ)で、ちゃぴちゃん白、娘役ホットピンク。
月組の娘役では萌花ゆりあちゃんが好きなので、つい彼女を観てしまいますね。
結構ベテランさんですが、スッキリした丸顔に大きな瞳のバレリーナタイプで。ピンクのスパンコールリボンをポニーテールにあしらっているのがカワイくて表情はクールに踊りは攻める、というバランスがとても好みです。
そんな娘役たちに囲まれてのセンターちゃぴちゃんが、一際スッキリ、背筋が伸びて、発光しているオーラ全開で!

中詰は一転して、ブラウンベージュ系の衣装に。
群舞はベージュサテンのフリルシャツにブラウンパンツ、スター格はブラウンスーツにみやるりちゃん(美弥るりか)、かちゃ(凪七瑠海)クラスではそのスーツにスパンコールをプラス。まさきちゃんはキンラメのジャケットに鮮やかなターコイズブルーのサテンシャツ(これはお似合い)という出で立ちで。

かちゃの上手せり上がりからスタート。
スパニッシュ系の音楽で、銀橋を使ってスターが次々に歌い継ぎ・・・。
越リュウ組長の歌、の場面あり。ちゃぴが伸び伸びと踊りまくり、花を添えて。
あまりない演出ですが、ここは退団仕様ですね。

歌い継ぎメドレーで印象的なのはマギーさん(星条海斗)の昭和ムード歌謡。
汗だくになって光りまくるお顔でねっとりとねっとりと歌いながら、全身を捻るマギーさんの濃厚さを堪能・・・というか、この場面を3回目の観劇時、至近距離で観て思ったことは「1年分のマギーさんを観てしまったな」(爆)

ここまで、大人数の群舞を従えての歌、という構成でちょっと単調?と思っていたら、雰囲気が一転。
キマシタ!耽美場面。
しかも!みやるりちゃんセンター!!
これで、いきなりこのショー名作認定(お手軽)
紅バラの精・・・という感じのスパニッシュ。
みやるりちゃん(美弥るりか)センターでかちゃ(凪七瑠海)とたまきち(珠城りょう)がサイドって良い並びと思いつつ、一点集中しすぎて周りを観れた試しがないのですけど(笑)
うっとりとした表情で歌う美弥ちゃんの横顔、そして銀橋を渡りつつ、横を向いてうつむくときの華奢な首筋が美しい・・・。
最後急に低くなる歌もきれいにこなし、ホッとしたところで、真打ちTTOPさん登場。
黒髪に赤いメッシュの鬘のバラの妖精王といったところでしょうか。倒れこむ人々の間を手にした紅バラの花束からポトリポトリと1本ずつ練り歩きながら落としていき・・・。
退団者へのトリビュート場面で、娘役退団者がその薔薇を拾って手にして立ち上がり、組長には手渡しし・・・。
熱狂的な踊りの場面、曲調がちょっと中近東風で円になってパセティックに踊りまくる・・・というのがトルコの旋回舞踊的イメージ?
エキゾチックで印象深い場面でした。

続いては若手銀橋。
オレンジ衣装のたまきち(珠城りょう)が安定の1人渡り。
このヒトのリアルな男の人っぽさや、頬骨の高い肉厚感のあるお顔立ちがあまり好きではなかったのですが、お顔立ちが記憶にあるよりもシャープになられて、動きも安定していることを確認。このショーであぁ、経験を積んで安定したスターさんとして完成したなぁと実感しました。バウの「月雲の皇子」上田先生の脚本の力も言われていますが、高評価で、自信もついたのでしょう。東上も決まりましたしね^^

そしてロケット。黄色に黒のアクセント。小さめのショーハットがかわいい。
センターの咲妃みゆちゃんの笑顔が可愛くて良いですね。
初日だけ怪我?で代役の子が踊っていましたが、2回目以降みられた、注目の大型新人、柚希さん以来のダンサー男役で注目の暁千星さんのソロダンスが。
フェッテしてジャンプしながらのフェッテを。
踊れるだけでなく、身長もあってお顔立ちも整っている方のようなので、今後が楽しみですね^^

フィナーレに娘役トップの銀橋。本舞台に大階段が設置されており、OLIVEの首飾りでまさおちゃん(龍まさき)とドレス姿の娘役たちとの場面。
まさきちゃんは白に淡いグリーンをあしらったふくふくしたガウン姿。
娘役のミントグリーンのドレスに合わせたのかも知れませんが、ここは普通に燕尾で良かったのでは?
そして、娘役のこのドレスが・・・微妙。
シンプルなスパゲティストラップの薄物ロングドレスなのですが、カットが悪いのか、補正の下着をつけづらいデザインだからか、やたらと上半身がゆるく見えてxxx
身体のラインがきれいに見えるのは萌花さんくらいで、他の娘役さんはぶかぶかっぽかったり、ウエストがないように見えたり・・・。
あとドレスのすそさばきもきれいではなかったですねxxx。
月娘頑張って!前半の元気いっぱい総踊り!のときは1人1人個性的で生き生きとしていて魅力的だったので、今後に期待!です。



あ!そんな感想をふきとばすような次なる場面は黒燕尾!
階段TOPから、左右対称に降りてくる人影が・・・。
V字型に降りてきて、外のラインをキメ、あとから中を埋めていくという流れがキレイ。
この逆三角形のTOP、先端に上手脇でガウンを脱いで黒燕尾になったまさきちゃんが入る、という流れですが、それを迎える体制で、先端部に位置するのが北翔さんとるりかちゃん(!)であることに幸せを噛みしめる。
まさきちゃんが掃けて、スタークラスの男役が残って、トップ娘役を迎える場面。
この場面の演出GJ。
まず、かちゃと絡んできれいにポーズを決め、 マギーのふところに飛び込んでのいきなりリフト。
高い位置でのリフトで安定の回転。
乗るのが上手いちゃぴと大柄なマギーさんのコンビネーションは抜群できれい。
丁寧に降ろされたちゃぴを迎えるのはみやるりちゃん。
ここでまたきれいに組んでポーズを決めて。
この場面ちゃぴちゃんとの絡みはなかったですけれど、残っていたのはコマとたまきち。
この5人が今の月組の「スター」ということですね^^

そして、デュエットダンスに・・・。
流れるような装飾のロイヤルブルーグラデのお衣装でシンプルな大人っぽいラインのドレスのちゃぴがまさきちゃんを観る笑顔がとてもかわいくて幸せな気持ちに。王道のデュエットダンス、でした。

前楽のお席の位置が、ショーの後半、みやるりちゃん(美弥るりか)の銀橋場面でもれなく目の前にるりかちゃん、のわたくし的神席で。
幸せなショー、幸せなタカラヅカ時間、でした。(退団挨拶みたい)

次の大劇場公演が楽しみです。和物ショ―・・がちょっと心配ですが(笑)軽いお芝居とショーと和物ショーの3本立て。その前に1月の若手バウには是非行かなくては!




宝塚月組東京公演「ルパン」 前楽

2013-10-07 04:07:23 | TAKARAZUKA
2013年10月6日(日)11:00、
東京宝塚劇場にて、前楽を観て参りました。

3回の観劇で、初日から1週間後、楽の1週間前、そして前楽と3回観て、
お席が17列目、3列目、1列目(!)とどんどん近くなっていったせいもあるのかもしれませんが、
初見で???としっくりこない感じのあった舞台が、2回目でグッとそれぞれの役の完成度が増し、
3度目で、正塚センセイワールドが完成したな、と感じました。




ミュージカル
『ルパン -ARSÈNE LUPIN-』

モーリス・ルブラン作「ルパン、最後の恋(ハヤカワ・ミステリ刊/ハヤカワ文庫近刊)」より
脚本・演出/正塚 晴彦

[解 説]
 フランスの人気小説「アルセーヌ・ルパン」の作家モーリス・ルブラン没後70年となる2012年に発見され話題となっている「ルパン、最後の恋」をいち早くミュージカル化。1921年、パリのイタリア大使館の舞踏会に出席していたレルヌ大公の令嬢は、屋敷からの連絡で急遽呼び戻される。レルヌ大公が謎の死を遂げたのである。悲しみにくれる令嬢は、自身の思いがけない出生の秘密を知り、国際的陰謀の渦に巻き込まれることになる。彼女の4人の親友の一人こそ、アルセーヌ・ルパンその人だった。永遠のヒーローは、如何にしてこの窮地を救うか……。姿なき強敵との死闘が幕を開ける。 (公式HPより)

アルセーヌ・ラウール・ルパン  龍 真咲
カ―ラ・ド・レルヌ  愛希 れいか
*~*~*
■カ―ラの4人の後見人
アルベール・ド・サヴリー大佐(実はルパン) 龍まさき  
ドナルド・ドースン  凪七 瑠海
ヘアフォール伯爵   美弥 るりか
ウィリアム・ロッジ  煌月 爽矢

■人殺し3人組(ルパンの配下に)
ドゥーブル・チュルク  綾月 せり
フィナール  光月 るう
プス・カフェ  紫門 ゆりや

■カ―ラの婚約者とその秘書とその手下
オックスフォード公エドモンド  宇月 颯
トニー・カーベット  沙央 くらま
エメット  鳳月 杏

■ルパンの乳母とその夫
ビクトワール・エルヌモン  飛鳥 裕
ヘリンボ―ン  越乃 リュウ

■ルパンを追う警察と予審判事
ジュスタン・ガニマール  星条 海斗
フラヴィ  憧花 ゆりの

■ルパンの手下(子役)
ジョゼファン 珠城 りょう
マリ・テレーズ 咲妃 みゆ

■ルパンの伝記作家
モーリス・ルブラン  北翔 海莉


物語はルパンが回想録を記す作家ルブランに最後の恋とその恋を巡る陰謀と冒険を語る・・・というスタイルで構成されており、作家ルブランはルパンの語る出来事を目の当たりにして、一喜一憂。
常に舞台にいるが、彼の姿を観て交流できるのはルパンのみ。
人間的に悩み、ハラハラしながらルパンの冒険譚を促し、共感する。

ルパンは、美意識の高い義賊で、社会活動家としての一面も。
スーパーヒーロー設定で、常に自分を律して乱れたところを見せることはないクール・ガイ。

そんな彼が唯一心許して本音を吐露するのが、乳母とその夫。
ある意味一本調子のルパンがほぼ舞台に出ずっぱりで、ルブランに語るかルパンの影と称する10人相当の黒マント黒シルクハットの群舞に囲まれて踊る。
主人公に感情移入してその立場で観ると、あまりの平坦なト―ンと全体の照明の暗さに思わず睡魔に襲われることもあるかも?

そんな彼を取り巻く人々が物語を動かしている,という視点で観ると、俄然いきいきと舞台が動き出します。



見どころの一つは、社会事業家ルパンがスラムで浮浪児たちを組織して道路建設に当たらせるところ。
「道路を作ろう」
場面冒頭のソロ、蓮つかさ、咲妃みゆの歌声が美しく、コーラス、群舞が活き活きとしています。

個別に感想を。

■アルセーヌ・ラウール・ルパン(アルベール・ド・サヴリー)  龍 真咲
細くてシュッとしたスタイルにグレイッシュ薄紫サテンの燕尾服とシルクハットとか、ブルーのシルクスーツ、黒い軍服など、金髪に映えてお衣装は全てとても良くお似合い。
この作品の実験的な試みとして、歌と台詞が突然切り替わる・・という手法が使われていますが、歌・台詞が入り乱れる構成が適用されるルパン、ルブランの2人が際立って歌唱力のある人たち故、それが成功しています。
台詞からその同じキーで歌に流れてオケの音に乗っていく・・・というスムースさはこの2人ならでは。さすがです。
ただ、そのせいか、セリフのリズムがメトロノームで刻んだかのような不思議な一定のトーンを崩さず、しかも台詞初めに母音を挿入する「まさき節」がそれに加わるため「ゥあな-たを失うことになるかも、しれぬぁいからです 」という感じ?
この語りのクセと常にク―ルな佇まいが周囲から浮き上がり、初見では違和感でしたが、次第にそれがクセになる?という・・(笑)
 
■カ―ラ・ド・レルヌ  愛希 れいか
対してリアルな演技で、アルベールを愛する芯の強い令嬢として、しっかりと存在していたちゃぴ(愛希)。
ロザリー(ベルばら)、サリー(ミ―マイ)と、健気な庶民の娘役が似合っていたので、貴族の令嬢役はどうかしら?と心配していましたが、長身にドレスが似合い、背筋を伸ばして、自ら愛を告白する、聡明で行動力もある現代的な令嬢を好演。
ラストシーンでの白と紺にラベンダーピンクのサッシュをあしらったドレスが、ルパンのブルーのスーツと並んだ時の色彩設計がとてもきれいで、お似合い感が増していました^^



■後見人チーム

□ドナルド・ドースン  凪七 瑠海
月組初登場。あごひげとメガネをつけて、ミステリアスで冷酷な黒幕を。最後ルパンに対峙するキーパーソンという美味しい役どころを、初回観た時には演じきれていないというか、役として軽すぎる感じを受けたのですが、2回目には、ルパンとライバルながら、違う道を行く・・・という同格の存在であることをしっかりと示して観ごたえのあるラストにつなげてくれました。ハリのある歌声で押し出しが強いのも良い感じ。小顔で細身の長身が宙組では少年ぽく見えて役柄が限られる印象がありましたが、若い月組では大人っぽい役でもさほど違和感がないかも。今後にも期待です。

□ヘアフォール伯爵   美弥 るりか
カ―ラを取り巻く後見人4人の中で唯一、後見人らしい仕事を貴族的な品格を持って遂行したヒト。
落ち着いた声質が活かされて、カ―ラの出自を語る長い説明台詞に説得力がありました。
見た目も麗しく、常に周囲を気遣ってエレガントにふるまう姿と、何事も直截的な表現を避けて教養ある人物として練られたセリフがすんなりハマって魅力的。
後見人の任を解かれてルパンに別れを告げに来るシーンで、カ―ラとの恋をさりげなく後押しする場面の押しつけがましくない人間的な温かみがなんとも爽やか。
星組から異動して、2番手、3番手どころを務めてきましたが、凪七さんの異動で、(同期で成績が凪七さんの方が上なので)一歩退いた感もあり、ファンとしてはちょっぴり心配なところでもありますが・・・^^;
それぞれの魅力を花開かせて切磋琢磨してほしい・・と思っております。

■人殺し3人組(ルパンの配下に)

フィナールがリーダー格で、ツイードジャケットにストールを胸元にあしらった着こなしも、黒髪オールバックに映えて魅力的。誰だろうと後でチェックして、ベルばらのダグー大佐で脚をガクガクさせる演技で目を惹いた、光月るう氏であることがわかって驚きました^^; 彼女、役者ですね。
役どころとしては、正塚芝居に欠かせない「酒場で絡む男たち」で、必ず、声を荒げて絡み、クールな主人公にあっさりと片付けられて逃げるor子分にさせられる、という御約束の展開ですが^^;
プス・カフェ(紫門 ゆりや)はチャーミングなへたれ、 ドゥーブル・チュルク(綾月 せり)は力自慢のドジと役どころがはっきりとしていて、3人とも好演。

■カ―ラの婚約者とその秘書とその手下

□オックスフォード公エドモンド  宇月 颯
なんだかとっても残念な人xxx。
秘書のトニーに「家族の中でも持て余し者だった彼をおれが一人前の男にしてやった」的なことを言われてしまっているちょっと挙動不審で、血筋的に国王候補の可能性があると言われても、議会から不信任案を突き付けられそうな頼りなさで・・・。最初から、カ―ラのためを思って行動している設定の後見人たちが彼を推すのが解せなく、カ―ベットの死の後は上流階級に必須の自制心がまるで観られない乱れっぷりを社交界の人々の前でさらすという失態も。カ―ラの言う「年月は嫌悪感を強めもする」という台詞に合わせた演技設定なのかもしれませんが、もう少し基本は魅力的な男性、という線を崩さない方が、カ―ラのルパンへの思いも引き立ったのでは・・?

□トニー・カーベット  沙央 くらま
黒い野望を秘めた悪人。
浅はかな小悪党なれど、それを自覚して実行する怖さがあり、平坦で自虐的な台詞に一抹の色気も感じられて、彼女ならではの役作り。
「ミーマイ」では脇に退いた感がありましたが、次の全ツ「仁」では、美弥さんを差し置いて(?)雪組では2番手である早霧せいなさんの役である坂本竜馬役を射止め、巻き返しか?と。
正2番手を置かない体制の月組では、凪七、美弥、沙央の3つ巴でしばらくハラハラさせられそうですね。

□エメット  鳳月 杏
横柄なカ―ベットの手下なれど、へいこらするのではなく、更に余裕感を持って、クールに命令を受け止めていなす感じが魅力的。この人も、静止画よりも、演技で魅力を発揮するタイプですね。何気に注目しています。

■ルパンの乳母とその夫

□ビクトワール・エルヌモン  飛鳥 裕
もと雪組組長、そして月の次期組長に・・という飛鳥さん。乳母ながら男前なぶっきらぼうな中に愛情をにじませる絶妙の距離感が良い感じ。チョイ悪スタイルででも人の良さそうな旦那さまに愛されている奥さんにしては乳母CAPに地味な茶系のブラウスとロングスカートの衣装がちょっと違和感。

□ヘリンボ―ン  越乃 リュウ
ルパンの怪盗としての活動をサポートする発明品を生み出す、研究班?
生産性はあまり高そうではなく、ビクトワ―ルとの関係は完全に女性上位な感じなれど、可愛げと色気のある旦那で、ルパンにも遠慮なく接する、癒しキャラ。
この公演で退団の月組名物お色気組長の最期の役としてはカジュアルすぎる気がしないでもありませんが・・・
印象に残る役なので良しとしましょう(上から目線でスミマセン)

■ルパンを追う警察と予審判事

□ジュスタン・ガニマール  星条 海斗
ルパン3世なら銭形警部ポジ。
ルパンの宿敵を自任し、ルパン逮捕に夢をかけるが、今回はあっさりと姿を現したルパンの協力者としての役割を担わされて、不本意な気持ちに1人で葛藤。
このシリアスで暗いト―ンの作品中、客席の笑いを着実に引き出す力技はさすがマギーさん(星条)。87期万歳。

□フラヴィ  憧花 ゆりの
ガニマ―ルに対する時だけ強気の男口調。スタイリッシュなターバンを合わせたグリーンのドレスに大きな書類カバンでパリでただ一人の女性予審判事を軽妙に演じて、良いコンビぶりを発揮。
憧花さんは上品なキャラを崩さずに笑いをとれるところがステキ。

■ルパンの手下(子役)

ジョゼファン  珠城 りょう
マリ・テレーズ  咲妃 みゆ
あまり見せ場なし。マリ・テレ―ズのフランス版コケコッコ―の鳴き真似が上手すぎる。
新公コンビゆえ、ヒーローヒロインの近くでお勉強、というポジ。これが普通です(だから、星組の礼真琴君のロミオ+本公演役変わりは異常^^;)

■ルパンの伝記作家

モーリス・ルブラン  北翔 海莉
いなくても良い役では・・・と散々言われつつも、前例のない、難しい立ち位置を自ら模索して、しっかりと存在感を出してきたところが流石の北翔さん。
もともと、ルパンのコロス、という名称でのルパン・ダンサーズが彼の心情をあらわす役どころで若手が大量に投入されていますが、スタイリッシュなダンスシーンであるだけで、別段内面を表してはいないような・・・??
寧ろ、ポーカーフェイスのルパンに、人間味溢れるルブラン氏が突っ込みを入れてくれることでルパンの物語が進む・・・という構成でなりたっていると感じました。
こうして立ち位置を勝ち取っていく、北翔さん、リアル年配役が似合うVISUALでのTOPはどうかしら?という懸念はあれど、魅力的な役者さんであることは間違いありません。
今後の動向が気になりますね。

HappyEndで、舞台・美術がセンス良く、音楽も独特のニュアンスがあって、キャッチーな主題歌こそなかったですが、わたくしはなかなか面白いと思いました。
ただ、完成形になるまでに時間がかかったのが、新作ならではの難しさで・・・再演されるかどうか微妙ですね^^;