
頂上近くのお花畑・・・ウソのように風が凪いで
(つづき)
六合目まで登る途中で、下山してくる登山者とすれ違いましたが、
ほとんどの方が八合目で、強風と霧のために登頂をあきらめたそうです。
その中に、山頂まで登ったという夫婦がいました。
同年代のよしみでしょうか、
「突風がきたら身体を斜めにしてやりすごしなさい
・・・そうすれば、なんとか行けるものですよ」とエールを頂きました。
息子に先へ行ってもらい、頂上避難小屋で待ってもらうことに・・・。
六合目から八合目は、段差がきつく一番険しい登りでした。
喘ぎながら一歩一歩登って行くと、
シモツケ草、アザミ、フウロ、エーデルワイスに似た花が咲いていて、
目を楽しませてくれますが、写真を撮る余裕などありません。

八合目に着くと、そこは別世界でした。
話に聞いた通り、蟻地獄のようなすり鉢形のガレ場があり、
端に木道があるのですが、ロープが無く、突風と深い霧の海でした。
何人もの登山者がここで引き返していきました。
私たちもためらいましたが、息子が頂上で待っているはずです。
「行こう!」
「行きましょう!」
身体を低くして風の抵抗を少なくし、一歩を踏み出しました。
ロープのあるところまで辿りつき、そこからはロープを手繰りながら進みます。

風と霧と・・・数メートル先しか見えません。
厳しい自然の真っただ中に身を置いているのですが、
なにか映画のシーンのような、幻想的で、こんな体験は初めて!
後に続く人も、すれ違う人も無く、風の音が何かを試すように聞こえます。
何度も立ち止まり、身体を斜めにして突風をやり過ごしながら進みました。
その時、先に行く主人が誰かと話しているようです。
下山してきた息子でした。
「ここまで登って来たのなら、絶対山頂まで行くべきだよ!
六合目で待っているから・・・ガンバッテ」
そのエールで、またまた勇気と元気をもらいました。

「天国の道」
不思議なことに、ダイセンキャラボク(特別天然記念物)におおわれた木道は
ウソのように風が凪いでいて、クガイソウや小紫陽花が咲き乱れています。
霧の中に木道が天国を目指すように上へ続いていて
私たちだけがそこに居ました。
一瞬、二人で天国を目指しているような気がしました。
「ねぇ~!「天国の道」みたいね・・・サロマ湖のワッカみたい」
「このまま天国の道が続くのかしら?」
と思ったら、また突風と霧がひどくなりました。
頂上避難小屋の前を通り、すぐに大山山頂(1709m)に着きました。
「バンザァーイ!」
麓の阿弥陀堂であきらめかけたのがウソのよう・・・、
山頂まで押し上げてくれた、同行の2人に感謝です。

大山山頂の碑
名峰大山 風と霧と-1へ戻る
(つづき)
六合目まで登る途中で、下山してくる登山者とすれ違いましたが、
ほとんどの方が八合目で、強風と霧のために登頂をあきらめたそうです。
その中に、山頂まで登ったという夫婦がいました。
同年代のよしみでしょうか、
「突風がきたら身体を斜めにしてやりすごしなさい
・・・そうすれば、なんとか行けるものですよ」とエールを頂きました。
息子に先へ行ってもらい、頂上避難小屋で待ってもらうことに・・・。
六合目から八合目は、段差がきつく一番険しい登りでした。
喘ぎながら一歩一歩登って行くと、
シモツケ草、アザミ、フウロ、エーデルワイスに似た花が咲いていて、
目を楽しませてくれますが、写真を撮る余裕などありません。

八合目に着くと、そこは別世界でした。
話に聞いた通り、蟻地獄のようなすり鉢形のガレ場があり、
端に木道があるのですが、ロープが無く、突風と深い霧の海でした。
何人もの登山者がここで引き返していきました。
私たちもためらいましたが、息子が頂上で待っているはずです。
「行こう!」
「行きましょう!」
身体を低くして風の抵抗を少なくし、一歩を踏み出しました。
ロープのあるところまで辿りつき、そこからはロープを手繰りながら進みます。

風と霧と・・・数メートル先しか見えません。
厳しい自然の真っただ中に身を置いているのですが、
なにか映画のシーンのような、幻想的で、こんな体験は初めて!
後に続く人も、すれ違う人も無く、風の音が何かを試すように聞こえます。
何度も立ち止まり、身体を斜めにして突風をやり過ごしながら進みました。
その時、先に行く主人が誰かと話しているようです。
下山してきた息子でした。
「ここまで登って来たのなら、絶対山頂まで行くべきだよ!
六合目で待っているから・・・ガンバッテ」
そのエールで、またまた勇気と元気をもらいました。

「天国の道」
不思議なことに、ダイセンキャラボク(特別天然記念物)におおわれた木道は
ウソのように風が凪いでいて、クガイソウや小紫陽花が咲き乱れています。
霧の中に木道が天国を目指すように上へ続いていて
私たちだけがそこに居ました。
一瞬、二人で天国を目指しているような気がしました。
「ねぇ~!「天国の道」みたいね・・・サロマ湖のワッカみたい」
「このまま天国の道が続くのかしら?」
と思ったら、また突風と霧がひどくなりました。
頂上避難小屋の前を通り、すぐに大山山頂(1709m)に着きました。
「バンザァーイ!」
麓の阿弥陀堂であきらめかけたのがウソのよう・・・、
山頂まで押し上げてくれた、同行の2人に感謝です。

大山山頂の碑
名峰大山 風と霧と-1へ戻る