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大作「秋郊」 いけばな小原流展にて
11月17日、お友達のTYさんが出品するというので
いけばな小原流展「古都・秋華」へいそいそと出かけました。
展示会場の祇園・ハ坂倶楽部(祇園甲部歌舞練場内)は
大正時代に建てられた国の有形文化財で、中へ入るのは初めてです。
来場者が多く二階会場へ行くのに入場制限があったそうですが、
大いに納得の風格ある建物でした。
TYさんが入口で待っていて、早速案内してくださいました。
広い会場はパートごとに秋に因む題名(秋興、秋趣など)が付けられ、
照葉、紅い実、洋花などを生けた作品が溢れています。
その中に「秋郊」という大作がありました。
中央に大樹が生けられ、遠山を望む郊外の景色でしょうか。
遠山の手前の大きな水盤に、思い思いの秋景が生けられています。
「秋郊」は28人の合作です。
全体の大景と個々の小景がしっかりと構成され、
見る場所によって印象が変わるという雄大な作品でした。
この空間を創りあげたプロデュース力と、パーツを受け持つ方の連帯感など
「いけばな小原流」の力量に感嘆しました。
「この場所で初めて、全体の構想と花と花器を知って生けるの」
とTYさん。門外漢の私にはこれも凄いことです!
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TYさんの作品(「秋郊」のパーツ)
写真がないのが残念ですが、
小原流家元・小原宏貴氏の作品が印象に残っています。
古典的な手法や花材を抜け出し、未来へ向かう熱い何かを感じました。
花材に使われていたバナナの花のせいかもしれません。
異色な花材と思うのですが、それが不思議と融和して、迫力のある作品でした。
茶席のある庭へ回わると、回遊式庭園になっていて、
池には鯉が泳ぎ、榎の大樹が色づき始めていました。
庭園の向こうにある茶室(広間)が立礼席になっていて、
祇園界隈の喧騒がうそのような別世界です。
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芸妓さんのお点前、舞妓さんのお運びで、薄茶を頂きました。
北野おどり以来、久々の華やいだ茶席です。
早めに並んだので次客席にてお点前をしっかり見ることが出来ました。
白魚のような指が動き、紅い帛紗を帯から取り出し、捌く様子は麗しく、
一幅の絵のように目に残っています。
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流れるような所作、しっとりと優雅なお点前(裏千家流)を拝見して、
見習いたいもの・・・と大いに刺激を受け、もう一度基本に戻って
「お稽古しなくっちゃ・・」です。
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庭の一隅に「如庵」という扁額のある茶室があり、外から見学しました。
国宝・「如庵」の写しではないけれど、甲部歌舞練場の奥にこのような茶室が
あることを知り、これも思いがけなく嬉しいお出会いでした。
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