神奈川県藤沢市にある慶応大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で開催されたパネルディスカッション「革新的起業家と革新的起業家支援に必要なものは何か」を拝聴しました。慶応藤沢イノベーションビレッジ(SFC-IV)設立5周年記念セミナー「革新的起業 起業家精神が未来を創る」として開催されたものです(当初は3月開催の予定でしたが、東日本大震災によって延期されました)。
パネルディスカッションには、慶応大学などの“学生”が創業したベンチャー企業の創業者である起業家4人が登壇しました。
カヤック(神奈川県鎌倉市)の柳澤(やなさわ)大輔代表取締役、パンカク(神奈川県藤沢市)の柳澤(やなぎさわ)康弘代表取締役社長、ユーザーローカル(東京都新宿区)の伊藤将雄代表取締役、Loico(神奈川県藤沢市)の杉山浩二代表取締役社長の4人です。
この創業者4人の会社は、すべてIT(情報技術)系の事業を展開しているのが共通点です。4社そろって慶応大学湘南藤沢キャンパスに隣接している慶応藤沢イノベーションビレッジに入居して起業したり、創業初期に入居した経緯を持っているそうです。現在も2社が入居しています(本社は別の場所に構えていて、当該企業のある部門が入居しているようです。実態は未確認です)。ユーザーローカルの伊藤代表取締役は早稲田大学を卒業生ですが、慶応藤沢イノベーションビレッジの支援を受けた経緯があります。他の3人は慶応大学の卒業生です。
4人そろってIT系ベンチャー企業として「他社が手がけていないオリジナリティーにこだわっている」といいます。自分たちがやりたいことが独自のサービスなどの事業として成立し、収益を上げることで継続性を確保しています。Webコンテンツ・制作などを事業化してるカヤックは社員が約130人規模と、立派な中小企業にまで育っています。同社の柳澤代表取締役は「自称、面白法人と名乗り、会社そのものがコンテンツだと思っている」と、独自性を表現します。
パンカクはスマートフォンのアプリケーションで国内・国外から注目を集めているベンチャー企業です。同社の柳澤代表取締役社長は「開発前にある仮説をきちんとつくり、仮説を実証しながら進めている」と、思い込みだけで突き進めないように工夫していると語ります。ユーザーローカルは各社のWebサイトのアクセス状況を可視化するソフトウエアを開発し、当該Webサイトのアクセス数向上策を解析する事業を展開しています。Loicoは素人でも簡単に操作できる動画編集ソフトウエアなどで注目されています。
各ベンチャー企業はクライアントが満足して対価を払う“製品”の事業化に手がけ、「ユーザーがお手ごろ価格と満足する価値を実現することに注力している」と、Loicoの杉山代表取締役社長は成功する秘訣を語ります。どの創業者も経営者を感じさせる発言が多く、エンジニアとしての独創性の自信と自己満足を前面に押し出すタイプではありませんでした。
このパネルディスカッションのコメンテーターとして登壇したのが夏野剛特別招聘(しょうへい)教授です。
事実上は、パネリストの4人の創業者や参加している学生などを諭すようなコメントが増え、結果として先生役になってしまい、夏野教授の授業になってしまいました。
なるほどなと感心した夏野教授のコメントは「今回パネリストに登場したベンチャー企業が、もし米国で起業していたら、資金調達で50億円ぐらいは簡単に集めてしまうだろう。その代わりに、資金を提供した方(エンジェルなど)は投資した企業に急成長することを強く求め、必要ならば経営陣を入れ替えるだろう」と、米国のベンチャー企業のあり方・仕組みを解説しました。
確かに、今回パネリストとして登壇した創業者は、4社ともに社長を続けています。米国ならば、企業の成長に従って、社長を含めて経営陣をその時点の規模に応じて最適化します。これに対して、日本では創業者が社長を続けてしまい、経営陣が入れ替わりません。こうしたことは、日本ではベンチャー企業を含め、多くの企業で経営陣の人材流動が起こらない一面を、夏野教授は厳しく指摘します。そして「日本の資本主義は甘やかしあっている」と辛口のコメントをします。
今回のパネルディシカッションを拝聴して、慶応大学の湘南藤沢キャンパスは学生がベンチャー企業を起業したくなる環境を整えていると感じました。ここまでの起業の環境を持つ大学は他には無いように思います。
また、今回の記念セミナー・パネルディスカッションは、パネル討論のシーンを動画撮影し、その動画を「USTREAM」で流し、その映像画像を会場にプロジェクターで映し出すという仕組みを取り込みました。同時に、ツイッターでのコメントも映し出すという仕組みも使っていました。IT技術を駆使したセミナーである点にも感心しました。
パネルディスカッションには、慶応大学などの“学生”が創業したベンチャー企業の創業者である起業家4人が登壇しました。
カヤック(神奈川県鎌倉市)の柳澤(やなさわ)大輔代表取締役、パンカク(神奈川県藤沢市)の柳澤(やなぎさわ)康弘代表取締役社長、ユーザーローカル(東京都新宿区)の伊藤将雄代表取締役、Loico(神奈川県藤沢市)の杉山浩二代表取締役社長の4人です。
この創業者4人の会社は、すべてIT(情報技術)系の事業を展開しているのが共通点です。4社そろって慶応大学湘南藤沢キャンパスに隣接している慶応藤沢イノベーションビレッジに入居して起業したり、創業初期に入居した経緯を持っているそうです。現在も2社が入居しています(本社は別の場所に構えていて、当該企業のある部門が入居しているようです。実態は未確認です)。ユーザーローカルの伊藤代表取締役は早稲田大学を卒業生ですが、慶応藤沢イノベーションビレッジの支援を受けた経緯があります。他の3人は慶応大学の卒業生です。
4人そろってIT系ベンチャー企業として「他社が手がけていないオリジナリティーにこだわっている」といいます。自分たちがやりたいことが独自のサービスなどの事業として成立し、収益を上げることで継続性を確保しています。Webコンテンツ・制作などを事業化してるカヤックは社員が約130人規模と、立派な中小企業にまで育っています。同社の柳澤代表取締役は「自称、面白法人と名乗り、会社そのものがコンテンツだと思っている」と、独自性を表現します。
パンカクはスマートフォンのアプリケーションで国内・国外から注目を集めているベンチャー企業です。同社の柳澤代表取締役社長は「開発前にある仮説をきちんとつくり、仮説を実証しながら進めている」と、思い込みだけで突き進めないように工夫していると語ります。ユーザーローカルは各社のWebサイトのアクセス状況を可視化するソフトウエアを開発し、当該Webサイトのアクセス数向上策を解析する事業を展開しています。Loicoは素人でも簡単に操作できる動画編集ソフトウエアなどで注目されています。
各ベンチャー企業はクライアントが満足して対価を払う“製品”の事業化に手がけ、「ユーザーがお手ごろ価格と満足する価値を実現することに注力している」と、Loicoの杉山代表取締役社長は成功する秘訣を語ります。どの創業者も経営者を感じさせる発言が多く、エンジニアとしての独創性の自信と自己満足を前面に押し出すタイプではありませんでした。
このパネルディスカッションのコメンテーターとして登壇したのが夏野剛特別招聘(しょうへい)教授です。
事実上は、パネリストの4人の創業者や参加している学生などを諭すようなコメントが増え、結果として先生役になってしまい、夏野教授の授業になってしまいました。
なるほどなと感心した夏野教授のコメントは「今回パネリストに登場したベンチャー企業が、もし米国で起業していたら、資金調達で50億円ぐらいは簡単に集めてしまうだろう。その代わりに、資金を提供した方(エンジェルなど)は投資した企業に急成長することを強く求め、必要ならば経営陣を入れ替えるだろう」と、米国のベンチャー企業のあり方・仕組みを解説しました。
確かに、今回パネリストとして登壇した創業者は、4社ともに社長を続けています。米国ならば、企業の成長に従って、社長を含めて経営陣をその時点の規模に応じて最適化します。これに対して、日本では創業者が社長を続けてしまい、経営陣が入れ替わりません。こうしたことは、日本ではベンチャー企業を含め、多くの企業で経営陣の人材流動が起こらない一面を、夏野教授は厳しく指摘します。そして「日本の資本主義は甘やかしあっている」と辛口のコメントをします。
今回のパネルディシカッションを拝聴して、慶応大学の湘南藤沢キャンパスは学生がベンチャー企業を起業したくなる環境を整えていると感じました。ここまでの起業の環境を持つ大学は他には無いように思います。
また、今回の記念セミナー・パネルディスカッションは、パネル討論のシーンを動画撮影し、その動画を「USTREAM」で流し、その映像画像を会場にプロジェクターで映し出すという仕組みを取り込みました。同時に、ツイッターでのコメントも映し出すという仕組みも使っていました。IT技術を駆使したセミナーである点にも感心しました。