ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

フラットパネルディスプレー総合技術展から日本の電機産業の行方を考えました

2011年10月27日 | イノベーション
 10月26日から3日間、横浜市のパシフィコ横浜会場で「FPD International フォーラム 2011」という液晶ディスプレーなどのフラットパネルディスプレー総合技術展が開催されています。

 液晶パネルをディスプレーに用いた液晶テレビは最近、液晶テレビがコモディティー(汎用品)化し、製品価格の下落が止まりません。最大手の韓国のサムソン電子でも、液晶テレビの事業収益が大幅に下落していると、新聞などが伝えています。このように日本の電気産業界にとって大きな節目といえる変革期のまっただ中に開催された「FPD International フォーラム 2011」は当然、注目を集めています。



 展示品から日本の電機メーカーの今後の行方を占うことができそうだからです。



 日本の大手液晶パネルメーカーであるパナソニックやシャープは、韓国や台湾の液晶パネルメーカーとの激しい事業競争によって、急速に事業収益を下げていると、新聞や雑誌などが報じています。

 例えば、シャープは2011年6月3日に液晶事業の構造改革として、液晶テレビ向けの大型液晶パネルの生産工場だった亀山第1と第2工場を、「需要が急増するスマートフォンやタブレット端末用の中小型液晶パネルを生産する工場に変える」と発表しました。液晶テレビ向けの液晶パネル事業では、製品価格が下落していない60型向けなどの大型パネルの製造に特化するとの戦略を打ち出しました。

 同様にパナソニックは液晶テレビ向け液晶パネルの主力工場だった姫路工場をタブレット端末用の中型液晶パネルを生産する工場に切り替える計画を進めていると、10月に入って新聞が報じました。パナソニックはテレビ事業そのものを大幅に見直す構造改革を進めているとも報じられました。日本の大手電機メーカーを支えてきたテレビ事業の根本的な見直しが進んでいることは間違いないようです。

 こうした中で、経済産業省主導によって官民の出資で設立された産業革新機構(東京都千代田区)は、ソニー、東芝、日立製作所の3社の中小型ディスプレー事業を統合する新会社であるジャパンディスプレイに2000億円を投資すると決め、大きな注目を集めています。今後、全世界でスマートフォンやタブレット端末用の小・中型液晶パネルの需要が急成長するとも見通しの下に、日本の液晶パネル事業を再生するために、同社に巨額を投資し、日本での液晶パネル事業を維持する計画のようです。

 3社の単純合算の見込み事業額からジャパンディスプレイの2012年3月期の売上高を推定すると、5700億円にのぼるそうです。この売上高規模を2016年3月には7500億円にまで成長させ、同時点までに株式上場を目指す計画といわれています。

 ジャパンディスプレイやシャープ、パナソニックの各社の液晶パネル事業の成否は日本の電機メーカー、そして日本の製造業全体の行方を大きく左右させそうです。