直木賞作家である篠田節子(しのだせつこ)さんの新刊「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」を、単行本のタイトルに引かれて購入しました。大型書店に行って書評などで興味を持った本をチェックしながら、たまたま目についた単行本「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」を衝動買いしてしました。
こうした買い方で、面白い本に出会うセレンディピティ(serendipity)を楽しんでいます。
タイトル「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」は、米国人作家のフィリップ・K・ディックが書いた、有名なSF小説の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のもじりです。映画「ブレードランナー」(1982年公開)の原作として有名な作品です。
この有名なタイトルをもじった小説は、これまでにも多数ありました。例えば、ミステリー作家の法月綸太郎さんの短編「ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?」などがあります。漫画やポピュラー音楽のタイトルにもあれこれ使われています。
何となく引かれて買った、この単行本「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」は、ハイテク技術に偶然遭遇した人類が受ける、予想を超える影響、運命などを題材としたものです。
この単行本は、中編の小説4編が収められています。以下、中身を書きます(もし、この本を今後お読みになる予定のある方は、この点をご了解ください)。
単行本のタイトルとなった「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」は、優れた人工知能の頭脳を持つサル型ロボットになぜかつきまとわれる若い女性の逃走劇です。サル型ロボットと書きましたが、見た目は、ゴム製のキャタピラで動く“ラジコンカー”なのだそうです。正体不明のラジコンカーがもたらすドタバタ劇です。
若い女性がたまたま入手したICチップを目指して、このラジコンカーが何回も若い女性に近づくというストーリーです。人類に近い類人猿のボノボの行動原理を模した人工知能が搭載されたラジコンカーは、ICチップを持つ女性がいる場所を、さまざまなWeb情報などから推論して、女性がいる場所に現れる話は、それなりの恐怖心をあおります。ただし、作家の篠田さんは、おそらく科学技術の知識はある程度までの方です。専門家ではないために、細部の理解に飛躍があり、適当な解釈と感じる部分があります。小説なんだから、それはそれでいいという判断もあるとは思いますが。
中編「エデン」はレアメタルを含むプラチナ鉱山までの道路(トンネル)を60数年かかってつくる話です。その鉱山は、厳寒の地で、かつ沼地に囲まれた地にあるため、工事作業者が60数年閉じ込められ、その間に生活する村をつくり、独自の文化を持つ集落の村になるストーリーです。最初の作業員から、その子供、その孫と世代が増え、変わっていく内に、自分たちは何のためにトンネルを掘っているのかを見失う話です。
その村人たちが独自の文化を育てた時に、目的のトンネルが完成し、その独自文化の村は解体されます。そんな村に途中から加わった主人公は、目的も分からないまま、トンネル掘り作業に従事に、家族を増やしていきます。なかなか面白い設定です。この謎解きが面白いのです。
この単行本の先頭に収められた「新海のELL」は、深海の底にあるレアメタルを含むプラチナ鉱山近くで育ったウナギを捕獲し、そのレアメタルやプラチナを採取する精錬事業を構築する話です。これを読むと、訳ありの安いウナギが食べられなくかもしれません。
レアメタルについて一般的な科学技術知識を持つ方は、こんな風に理解していると感じる部分がいろいろあります。この辺が、興味深かったです。
こうした買い方で、面白い本に出会うセレンディピティ(serendipity)を楽しんでいます。
タイトル「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」は、米国人作家のフィリップ・K・ディックが書いた、有名なSF小説の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のもじりです。映画「ブレードランナー」(1982年公開)の原作として有名な作品です。
この有名なタイトルをもじった小説は、これまでにも多数ありました。例えば、ミステリー作家の法月綸太郎さんの短編「ロス・マクドナルドは黄色い部屋の夢を見るか?」などがあります。漫画やポピュラー音楽のタイトルにもあれこれ使われています。
何となく引かれて買った、この単行本「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」は、ハイテク技術に偶然遭遇した人類が受ける、予想を超える影響、運命などを題材としたものです。
この単行本は、中編の小説4編が収められています。以下、中身を書きます(もし、この本を今後お読みになる予定のある方は、この点をご了解ください)。
単行本のタイトルとなった「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」は、優れた人工知能の頭脳を持つサル型ロボットになぜかつきまとわれる若い女性の逃走劇です。サル型ロボットと書きましたが、見た目は、ゴム製のキャタピラで動く“ラジコンカー”なのだそうです。正体不明のラジコンカーがもたらすドタバタ劇です。
若い女性がたまたま入手したICチップを目指して、このラジコンカーが何回も若い女性に近づくというストーリーです。人類に近い類人猿のボノボの行動原理を模した人工知能が搭載されたラジコンカーは、ICチップを持つ女性がいる場所を、さまざまなWeb情報などから推論して、女性がいる場所に現れる話は、それなりの恐怖心をあおります。ただし、作家の篠田さんは、おそらく科学技術の知識はある程度までの方です。専門家ではないために、細部の理解に飛躍があり、適当な解釈と感じる部分があります。小説なんだから、それはそれでいいという判断もあるとは思いますが。
中編「エデン」はレアメタルを含むプラチナ鉱山までの道路(トンネル)を60数年かかってつくる話です。その鉱山は、厳寒の地で、かつ沼地に囲まれた地にあるため、工事作業者が60数年閉じ込められ、その間に生活する村をつくり、独自の文化を持つ集落の村になるストーリーです。最初の作業員から、その子供、その孫と世代が増え、変わっていく内に、自分たちは何のためにトンネルを掘っているのかを見失う話です。
その村人たちが独自の文化を育てた時に、目的のトンネルが完成し、その独自文化の村は解体されます。そんな村に途中から加わった主人公は、目的も分からないまま、トンネル掘り作業に従事に、家族を増やしていきます。なかなか面白い設定です。この謎解きが面白いのです。
この単行本の先頭に収められた「新海のELL」は、深海の底にあるレアメタルを含むプラチナ鉱山近くで育ったウナギを捕獲し、そのレアメタルやプラチナを採取する精錬事業を構築する話です。これを読むと、訳ありの安いウナギが食べられなくかもしれません。
レアメタルについて一般的な科学技術知識を持つ方は、こんな風に理解していると感じる部分がいろいろあります。この辺が、興味深かったです。