新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

スポーツの練習法を語ろう

2024-01-18 07:25:25 | コラム
日本式の練習とトレーニングの仕方を考え直す時か:

少年野球のコーチはアジリティの練習から入っていた:
これはアメリカでの事である。つい最近見たYouTubeには、カリフォルニア州に移住した小学校の児童が地元の野球ティームに加入して、早速練習に参加した時の画が出ていた。プロだとかのコーチはチャンとアジリティから始めていた。私はごく当たり前の事だと受け止めたが、我が家の近所の公園では熱心な指導者の下で少年たちが野球の練習をしている。そこではほんの時々、アジリティの訓練の如き動作をしているのを見かける程度。

私は「およそ本格的にスポーツをやろう(やらせよう)とするのだったら、基本としてアジリティの訓練は欠かせない要素だ」と聞かされている。「聞かされている」という理由は、私が昭和20年に中学に入って蹴球部に入った頃には「アジリティの訓練」などは存在しないどころか、そんな考えなどは全く存在しなかった。そこで、DCマガジンというサイトに「アジリティとは」を解りやすいように解説してあったので引用してみよう。

>引用開始
Agility(アジリティ)とは、敏捷性を意味する英語です。スポーツにおける敏捷性は、体を速く動かすだけでなく、スピード変化や方向転換に対して素早く反応する能力を指します。アジリティトレーニングとは、素早く動いたり反応したりできるよう敏捷性を高めるために、体をコントロールする練習のことです。

アジリティトレーニングは「計画性アジリティトレーニング」と「反応性アジリティトレーニング」に大別されます。両方のトレーニングを取り入れると、お子さんの運動神経が良くなるかもしれません。
<引用終わる

私はアメリカの少年野球のコーチが目指していたのは「野球の技を教え込む前に、技が出来るようになる基礎の体を作り上げておこう」だと解釈している。話は飛躍するかもしれないが、一度弱体化した日本大学アメリカンフットボール部・フェニックスを3年で復興させた橋詰功氏は、アメリカのオクラホマ州立大学で習得されたコーチ学に基づいて、ウエイトトレーニング等を重視する体作り優先の方式の練習で、短期間に甲子園ボウルに出場するまで復活させた。私はこういう方式を敢えて「アメリカ式合理的且つ科学的な練習法」と呼んでいる。

ダルビッシュ有は言った:
そこにまた、昨日だったか「サンスポ」がMLBに10年以上も在籍してアメリカ式練習法を消化して認識しているダルビッシュ有のインタビューを載せていた。ダルビッシュはそこで堂々と「日本の野球コーチは勉強不足」と指摘していた。上記に引用した少年野球のコーチが先ずアジリティの訓練から入った事を脳裏においてお読み願いたい。

>引用開始
WBCで日本球界にいる若い選手たちと接して何か感じたことは 「今回WBCを見て思うのは、ちょっと指導者と選手の溝が深いということですね。今の指導者は(現役の時に)『走れ』『投げ込め』と言われ、殴られ、水を飲めない時代だった。精神的に我慢して我慢して、やっと今のポジションを勝ち取った人たち。とにかくコーチに『これだ!』って言われたら『はい!!』の時代だったじゃないですか。そのまま年齢を重ねてコーチになって、その方法しか知らない。でも、そのやり方だと選手たちに響かない。その反応を見てイライラする。僕が若いときよりも、今の若い選手の方が頭が良いです。時代が進んでいるのもあると思うんですけど、どうしても(指導者と選手の考えに)乖離(かいり)があって、選手たちが指導者を信頼しきれない状態になっているのかな」 

旧態依然とした指導者が少なからずいる 「それだけ自分に対しての自信もちゃんと持っているし、それは良いところなんですよ。精神論とか、自分がやってきたことに対する自信とか、厳しいときに乗り切る力を持っている人たち。ただ同時に、物事を論理的に考えて、この選手はどうやって(育成するか)1年間を考えるのは、あんまり得意じゃない世代というか」 ――科学的に証明されていることを分かろうとしない指導者がいる。(以下略)
<引用終わる

私は何もアメリカ式練習法を礼賛して、日本式の血と汗と涙の訓練を批判しようというのではない。何度か取り上げた事で「それほど体格と体力に恵まれていた訳でもない錦織圭君が、フロリダにあるIMGアカデミーで訓練されれば、テニスの世界ランキング上位にのし上がるまで成長し上達できたのだ。大谷翔平はそもそも凄い素質がある類い希な逸材だったのだ。それが、MLBに行って更に鍛え上げられれば2度もアメリカンリーグのMVPを取れた2-wayの選手になったではないか。

結び:
私が密かに危惧している事は「恐らくダルビッシュはNPBの監督・コーチからは指弾されるか、不届き者という批判の対象になりはしないか」なのだ。嘗ては、我が国の選手たちは体格に劣っても敏捷性や頭脳的な面が優れているので、世界でも活躍できる選手が出ていた。だが、今や我が国のバスケットボールやヴァレーボールの選手たちを見れば、体格や身長でもそれほど劣勢ではなくなってきている。

そこで、今こそ、彼らアメリカ人たちにトレーニングと練習法とを積極的に取り入れて、あらゆる分野で、あらゆる面で、彼らに勝るとも劣らない選手たちを養成していく時ではないかと思っている。大谷翔平を見よ、八村塁を見よ、北口榛花を見よと言いたい。久保建英だってあの体格でスペインのリーグを代表するような選手になったではないか。