如何なる準備態勢を整えておくべきか:
我が国ではトランプ氏の再選が確定したところでは、祝福する声よりも各方面で、それに伴う不安材料が取り沙汰され始めていた。即ち、我が国が色々な点で困難な事態に直面する事になりそうだと言う事。それに加えるに、石破首相のトランプ氏の相性を懸念する見方もまた多かった。特にゴルフが出来るかとの不安があったが、首相は慶応高校時代にはゴルフ部所属だったので、心配ないとの説も聞こえた。
東国原英夫士などは「トランプ氏はもう次期大統領を目指す必要がなくなったから、やりたい事を思い切りやってくるだろう。例えば、アメリカファーストを徹底して標榜されているのだから、台湾有事などの際には日本は自力で戦って国を守れと言うだろう」とまで予測して見せた。何分にも前任期中にはアメリア駐留軍の経費負担の更なる増額を言い出していた実績があるお方なのだ。
関税:
関税問題だが、トランプ氏は「私の辞書には関税という最高に美しい字が載っている」と言っておられたとか。要するに、中国だけではなく、我が国からの輸入にも15~20%をかけるとまで言及された。
トランプ氏は前任期中には「関税とは輸出国が負担する」という誤った認識をしておられたし、今回のキャンペーン中にも中国だけではなく我が国その他にも掛けて、財政的な負担をかけてやるとの意向を示しておられた。未だに学習しておられないのだ。
先ほど不慣れなAIを活用して確認してみたところ、トランプ氏は「関税は輸出国が負担する」と思い込んでいるとの見方を否定していなかった。トランプ氏は以前から目の敵にしてきたメキシコからの輸入の車には100%と言明されたので、日本車にも適用される事になると、自動車産業界を悩ましている。
トランプ大統領との交渉では:
石破首相はトランプ大統領との正式な交渉の席に座れば、このような誤認識に基づいた政策を撤回させるだけの説得力がある議論を展開して頂きたいものである。国際的にして自国の命運がかかるような重大な交渉をする場合には、容易に崩される事がない確固たる論旨を組み立てて、対峙しない事には、目的の達成は困難な事になってしまうし、説得できない事態さえ生じるかも知れない。
アメリカではトランプ氏の方針の通りに輸入品に高率の関税をかければ、国内の物価が上昇するだろうし、日本では円安が進むので、対日輸出不振になって行くだろう。トランプ大統領はその事態を回避すべく、日本に対しては更なる別種の圧力をかけるだろうと、専門家筋が懸念を表明していた。
トランプ氏に理論や理屈が簡単に通用するかしないかは容易には見通せないが、アメリカとの折衝では「落とし所を探るとか、双方の主張を足して二で割るかのような議論をしてはならない」のが鉄則なのである。我々というか、彼等アメリカ人の交渉事には「勝つか負けるか」の結果したしかあり得ないので、少しでも譲歩したら即ち負けになる。この辺りは文化比較論の範疇に入るだろう。
手前事で恐縮だが、そういう交渉の席に付く経験をして、怖れる事なく自社の主張を展開できるようになるまでには、経験が「慣れと度胸」が自然に身に付けさせてくれた。「経験が必須である」と痛感した。その「慣れ」も「度胸」も一朝一夕には身につかない点が難しい問題なのだ。石破首相が恙なくトランプ大統領と腹蔵なき意見を交換出来る、故安倍元総理のような間柄を築き上げる事を願うものだ。
現時点では、トランプ氏が何時如何なる新規の政策を打ち出して、それに基づく新たにして厳しい要求を突きつけてくるかの見通しは不明だろう。予見できる事は「トランプ氏は前任期中でも予測不可能で、受け入れ乃至は実行が容易ではない要求を突きつけてきた」実績がある。そういう大統領であると充分に認識して、可能な限りの備えをしておく事が、石破内閣と自民党にとっての焦眉の急になるのだろう。