石破首相は退陣すべきなのか:
私には未だ石破内閣を支持すべきか退陣を迫るべきか決めかねているのだが、世論は退陣/不信論で盛り上がっている感が濃厚。櫻井よしこさんは週刊新潮で退陣を迫っておられたし、産経新聞などは2日連続で北村晴男弁護士と経済評論家の上念司氏に強烈な辞任論を展開させていた。この動きが「世論」そのものではないのか。当の石破首相はAPECに出席され、幾つもの首脳会談を成し遂げておられた。
私は「石破首相、退陣すべき論」が盛り上がってくる訳は十分に承知しているし、あの一連の首相の言行不一致は芳しくないと思ってみてきた。だが、芳しくなく世論に袋叩きに遭った主たる原因は度重なる言行不一致であっても、何か致命的な失政をした訳ではないと思う。いや、首相として失政をするだけの時間は経っていないと思う。
この世では事は世論が求める方向には進まないものだという例は、政界だけにではなく今日までに無数にあったと思う。総理大臣が世論の動向に従って直ぐに辞めてしまったという話は、余り聞いたことがない、宇野宗佑総理の前例以外には。私は決して石破首相支持はではないが、もう少し「お手並み拝見」の時間を差し上げて経過観察しても良いのではと、大らかに考えても良いと思っている。
世論の中には石破首相を支持している訳ではないが「嘗てのように総理大臣が1年ごとに変わるような事態を再現させては世間体じゃなかった、世界体が悪くなりはしないか」という意見も出てきた。石破首相は信念を持って立たれたのだから、意地からでも世論に対抗して「目にもの見せてやろう」と、懸命になって総理大臣の職に取り組まれるだろう。だが、世論は「それが困る」と言いたいのではないか。
世論は「次の参議院選挙までにどれほど実績を挙げられるかだ」との見方のようだ。私は「それまでの間には『トランプ新大統領』との初会談があるだろうから、そこでどのような成果を挙げられるかで、石破茂首相とその内閣の命運が決まってしまう」と見ている。その結果がどうなるかは、兼原信克氏が指摘されたような「通訳の善し悪し」ではなく、石破首相の力量(実力?)如何にかかっていると見ている。