新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

2月28日 その2 New York TIMESより

2025-02-28 15:19:38 | コラム
反トランプの面目躍如:

本日の午前中も寸暇を惜しんで、ジムのサロンで拾い読み。「今頃そんなことを言うか」と思わせられた記事もあったが「よくぞ書いてくれた」とささやかに評価した記事を紹介しよう。

Tariff(関税)の関連で:
北アメリカでもヨーロッパでも波紋を巻き起こしているtariffの問題点を指摘してあったのを初めて見た。いや、私以外にも取り上げた者が出たかというような話である。確か署名記事だった。

要点は「トランプ大統領は関税を払うのが嫌なら(と書き出して『払うのはアメリカ向けの輸出業者でも輸出国でもなくて、アメリカの輸入業者だ』という肝心の点を明らかにしていたが)アメリカに来て生産せよと公言するのは、アメリカの労働組合員のhigh wageとunskillfulな労働者の質という点を見落としている」なのである。

「今頃になって言うか」と批判するのには立派な根拠がある。その第一は何度も何度も繰り返して紹介してきたことで、1994年7月に当時のUSTRの長だったカーラ・ヒルズ大使が東京で「対日輸出を伸ばすためには品質の向上が必須。その為には労働者向けに初等教育を充実させることに加えて、識字率(literacy)を上げることだ」と公開の席で発言された故事だ。31年も前のことだから敢えて故事とした。

アメリカ連邦政府の上位の方がアメリカの製造業界が何故国際市場で劣勢に立っているかを承知しておられたという歴とした証拠だ。私はこのパネルディスカションの場にいて聞いていた。アメリカの製造業が空洞化してしまった最大の原因が、組合に圧されて上げたhigh wage(組合員は時間給だ)と労働力の質にあった。この頃にはトランプ氏は47歳だったのだから、知らなかったとは言わせたくない。

ウエアーハウザーの我が事業部は労働力の質の改善と向上なくしては、日本は言うに及ばず世界市場の#1シェアーホルダーになり得ないと、副社長の指令の下に全員で組合に「君らの働き質が向上すれば、製品の質も上がり世界の何処の競争相手(competitor)にも負けなくなり、君らの職も安定する(job security)のだから、これまで以上に努力してくれ」説いて聞かせていた。

私などは「日勤のシフト明けの午後4時から、夜勤明けの夜の12時から、深夜番明けの朝4時からと彼らに残業代を支給して、一日寝ずに“We know you guys are doing pretty good job but we ask you guy to make a little more effort in order to up-grade our quality. Then, our quality will surely be the world greatest and be the No. 1 share holder in the world. Thereby, your job will be secured.”という風に切り出したのだった。

アメリカ式は先ず褒めることから入って行くので、「君たちは良くやってくれていると承知しているが、もう一踏ん張りしてより良い仕事をして製品の質を上げてくれれば、レイオフなんて怖くないとなるのだから頑張って」と語りかけるのだ。彼らを貶してプライドを傷つけないことが肝心な点だ。

彼らに繰り返して語り掛けてみれば、英語が理解できていない者がいるのは見えてくるし、片言しか話せない東南アジアからのボートピープルが混じっているのも分かるのだ。アメリカはこのように移民を受け入れて職を与えていたのは良いことだったが、生産の現場には言葉も通じない者たちがいるような事態にもなっていたのだった。折角、懐の深さを見せたことの「コインの裏側」が出ていたのだ。

私が不思議で仕方がないことは「私のようにこういう現場を見て、経験して、アメリカの製造業の問題点を指摘し続けてきたのに、宮嶋茂樹氏風に言えば『学者センセイがた』は何故この点をはっきりと論じないのか」と思っている。要するに「トランプ大統領が言われることに従って、アメリカに生産拠点を移せば、如何なる壁にぶつかるかは明らかだから、トランプ氏は間違ったことを言っている」のではないか。

He’s not a king.
これも署名記事だった。筆者は閣議に黒ずくめの服装をしたイーロン・マスク氏が参加して主役のようだったことも例に挙げて、憲法第Ⅱ条まで持ち出して、トランプ大統領の振る舞い方をあげつらうのだ。その締めのセリフがHe’s not a king.だったのだ。特に目新しい話題でもないが、つい先日はemperorと形容したかと思えば、本日はkingだったという点に興味を感じた。

NY Timesは何時もこういう論調なのは、十分以上に承知している。だが、トランプ大統領の辞書にはhigh wageとunskillful laborが抜け落ちてはいないかと気になった次第。

世の中にはこういう事もあるのだ

2025-02-28 07:30:27 | コラム
それだけの話なのだけど:

我が道を行く:
先日、昼前に高田馬場駅前でジムからの帰りのバス待ちをしていた。すると、目白方面から駅前を横断する道路を救急車が駅の方向にサイレンを鳴らして迫ってきた。すると、早稲田通りとの交差点で信号が赤になった。救急車は「赤信号を通過します」と何度も拡声器で知らせた。

だが、その交差点の横断歩道を、目の前の青信号(何故か英語はgreen lightだ)を見た買い物車を押した高齢と見える女性が、救急車には見向きもせず悠々と横断を始めたのだった、横断歩道の両端には歩行者が一斉に立ち止まっていても。この様子を見た数名がバス停の付近に立ち止まって「何だ。あの人は。救急車を止めてしまうとは」と囁きあっていた。

当方も救急車はどのように対応するかと見守っていると、交差点の途中で止まって女性の横断が終わるのを待ってから、サイレンを鳴らして進んでいった。その女性はさらに私が利用するバスが来ているのが見えたようで、慌てた様子もなくバスに乗り込んできた。しかも、私と同じところで降りて、同じ棟に入ってきたのだった。凄い人だと思ったが、全く知らない顔だった。ただ、これだけの話だが。

これは病気じゃないよ:
90歳になった頃から、背中を中心に全身の至る所が痒くなる現象に悩まされるようになった。特に、冬場の乾燥機期では最悪なのだ。リビングルームの私専用のテーブルの上には「リンデロンV」、「プロペト」、「ワセリン」、「馬油クリーム」等が所狭しとばかりに並んでいる。中でも「馬油クリーム」は何気なく最悪の背中に塗ったら効果があったようだったが、時と共に「効用逓減」となった。

今年の冬場は特に具合が悪いので先日、37年も診ていただいてきたSクリニックに大先生の出番の日に出かけて行った。先生は何も訴える前に何時ものように血圧を測られ、聴診器をあてて「うん。チャンと心臓は動いていて問題ない。ところで?」となったので、まずは背中を診ていただいた。

診断は「これは貴方の年齢では仕方がないことだ。内科的なものじゃない。うちは皮膚科ではないので保湿剤は置いていないから、掛かりつけの薬局にでも行って適当な保湿剤を買って手当てしなさい」だった。そして、結果として私のテーブルの上にはK社のNベアのクリームが増えることになった。それだけの話だ。

モーツァルトの効用逓減か:
毎朝ブログを更新する時には、ここ1年ほどの間はBGMにモーツァルトを流し続けてきた。そうすることで、アクセスが好調になるから。確かに、あの音楽は聞こえてくるだけでも安心感があり、衰えてきた頭も指先も好調に滑らかに動くのだった。だが、ここ2~3週間ほどアクセスは思わしくない。

浅墓にも、モーツァルトの有効期限が切れたかと思い込んで、対応策に英雄ポロネーズが入ったショパンに切り替えても事態は好転しなかった。そこで、問題をBGMのせいにするのは宜しくないと猛省して、今朝からモーツァルトに戻してみたし、取り上げる話題にも新機軸を打ち出したつもりなのだ。それだけの話だが。