新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

11月9日 その2 新聞整理袋の無料配布終了のご案内

2021-11-09 16:03:56 | コラム
「それなら紙袋に戻せば良いじゃないか」と言いたくなった:

今月に入って新聞販売店から掲題のようなチラシが新聞と共に配達された。環境保護対策に熱意を傾けておられた小泉進次郎前環境大臣の影響がここまでに至ったかと思いながら、チラシを読んでみた。配布終了の原因は「原材料と物流コストなどの影響が大きく、無料配布を中止せざるをない状況となりました」とあった。これまで配布されていたのは低密度ポリエチレンの袋だったのだが、環境保護対策には触れられていなかった。

OPECが原油の生産量を増やさないと決定したようだから、原料コストの上昇も理解できそうだし、トラック輸送の人材不足は深刻だと報道されているので止むを得ないことかと思わせられた。だが、嘗ては多色印刷を施された紙の袋が配布されているのだったから、新聞業界はそれでなくとも需要の減退に苛まれている製紙業界を潤すとの考え方が出来なかったのかと考えてしまった。

しかし、その先を読んでいくと取り敢えず希望される方には現在の袋20枚の最後の無料配布をするとの知らせもあった。そして、その後は

◆ビニール(新聞整理袋)50枚セット  ¥440(税込み)
◆無地紙袋(新聞整理袋)20枚セット  ¥550(税込み)

となるとも付記されていた。即ち、ビニール(PEだと思うが)は1枚¥8.8で、紙袋(クラフト紙か未晒しクラフト紙かは不明)は1枚¥27.5と高値なのだ。古新聞は回収されて原料に再生されるのだから、禁忌品となるビニール袋は選別して除去せねばならない手間がかかる。だが、紙袋ならばそのまま再生できるので経済的だと思うのだが、何故か紙袋の方が高価となっていた。それだけではなく、紙ならばプラスティックスとは異なって劣化して土になるので、環境に優しいのではないだろうか。

ここまで述べてきて、紙パルプ林産物業界の出身者としては「事、環境保護の問題となると、業界挙げての広報宣伝の努力にも拘わらず、未だに「ペーパーレス化」が環境保護に貢献するが如くに考えておられる業種もあるのは残念でならない。そうかと思うと、ストローを紙製にしたと誇らしげに喧伝する業種もあるのだ。大体「ストロー」とは、そもそも「麦わら」(=straw)だったものを合成樹脂に変えたのではなかったか。

世界全体で挙って紙からプラスティックス製品に置き換えておきながら、地球温暖化が騒がれるやプラスティックス製品が標的にされてしまった。その一方で、紙パルプ産業界は環境破壊者の如くに不当に非難されたかと思えば、ICT化とデイジタル化によって大幅な需要の衰退に苦しめられてきた。だが、新聞販売店は紙袋の価格をビニール袋の3倍以上の魅力がない線に設定している。ここでも「兎角この世はやり辛い」と言っても見たくなった。



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