新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

1月21日は忙しかった #1

2025-01-22 06:48:21 | コラム
ST教授と定例の懇談会兼放談会:

トランプ大統領:
教授は冒頭アメリカの大手IT企業の経営者たちがトランプ次期大統領にあからさまに恭順の意を表して多額の献金をした事に、驚きを表しておられた。要するに「トランプ次期大統領の威力がそこまで凄まじいのか、あるいは慧眼の経営者たちは(ビル・ゲイツ氏は就任式にその姿は見えなかったが)トランプ政権下では如何に振る舞うべきかを見通したのかの何れであろう。

懇談会の時点では就任演説を聴いていなかったのだが、トランプ大統領が何を言い出すのかの大凡の見当はつくし、最早我々はトランプ大統領が何か新機軸を打ち出されようとも驚かないような免疫が備わってしまったので、今後の成り行きを見ていこうという辺りで落ち着いた。

自由民主党の劣化:
教授の意見は「要するに『政治資金規正法の収支報告書不記載問題』に対する、自由民主党とその所属議員たちの対処仕方の拙劣さから見えた質の低さ意に改めて失望させられた」という事なのだ。「隠すより現れる」と言われているのに、実態を隠すことに汲々となって遂に今日の惨状を招いたという指摘。そこに、新たに東京都議会の自民党も同じ問題を起こしていた。

自由民主党の幹部が最初から正直に説明しておけば、朝日新聞の「裏金」呼ばわりも生じなかっただろうにという事。この問題が示してしまったのは「党そのものの劣化だけではなく、議員の質にも疑問点が多々ある」と、教授も私も見ているのだ。

フジテレビ問題:
私はこの件が否応なしに示してしまった事は「この会社の経営陣の質に問題がある点」なのだが、あの記者会見における港社長の論評のしようもないほどの不適切な対応は、取り返しのつかない大失態だったのである。スポンサー様から反応がないとでも考えていたのだろうか。

近頃は何か企業体として失態を演じると、経営者(取締役)たちは自ら対処・対応に当たろうとせずに「第三者委員会や外部の有識者を招いて処理して真相を明らかにします」と、見事なほどの責任逃れを演じる。自社内で起こった事案の処理を他人に任せるという方法を、おかしいと思わない感覚がおかしいと気が付かないほど、経営者たちの質が劣化したのかと疑いたくなってしまう。

これらの事柄以外をも含めて、多くの話題を取り上げて懇談したが、上記の3点に最も時間をかけて意見を交換した充実の90分間だった。

アメリカ合衆国第47代目大統領ドナルド・トランプ氏

2025-01-21 07:55:12 | コラム
ドナルド・トランプ新大統領について思う事を:

本稿の趣旨としては「トランプ大統領の政策と方針についての論評はしていないつもりで行こう」なのである。

トランプ氏は日本時間では昨日になる20日に、第47代目のアメリカ合衆国大統領に就任された。これからトランプ大統領がアメリカをどのように統治して行かれるかは黙って見ている他ないと思うし、論評など烏滸がましいと思う。

付き合って見れば良い人なのに:
こういう見方はトランプ氏が未だ前任の前の泡沫候補呼ばわりされ、多くの(一部の?)知識人に嫌悪されていた頃の話である。NY在住のエコノミストEH氏が「個人的な知り合いであり、本当は良い人だ。だが、現在この街で迂闊にこんな事を言えば、後ろからナイフで一突きされそうな雰囲気」と語っていたのが忘れられない。誰にでも多面性があるという事らしい。

正直な人だと思う:
「歯に衣着せぬ」という言い方がある。これはそのままトランプ氏の発言に当てはまると思っている。即ち、トランプ氏は支配階層のアメリカ人の特徴であると受け止めている「社交辞令」か「お世辞」が言えない人のようなのだ。トランプ氏は何時も思い付いた事柄を本音で、何らの修飾語や形容詞もつけずに、其の儘剥き出しで言ってしまう正直な人だと思っている。

その発言がどれほど広範囲に波紋を広げるかなどは意に介していないようだとすら感じさせる。だが、もしかすると、波紋が広がっていく事が狙いではなかったのか、あるいは楽しんでいるのかと思わせる辺りが怖いのだ。

物事を深く考えているのかと疑わせる人:
これまでに数多くのアメリカの企業社会における能力が高い優れた経営者や管理職に出会ってきた。彼等には「良くそんな思い切った政策を打ち出せるものだ」と本当に感心させられた。だが、思い切った手を打てば、コインの裏側には失敗もあるのが当たり前。だが、彼等は思いきった手を打って玉砕するのではなく、万が一を考え抜いて彼等が“contingency plan”と呼ぶ、二の矢・三の矢を慎重に用意して事に当たるのが常道。

トランプ氏が中国を危険な存在と看做しているのだからこそ、dealとやらの一つの有力が武器になると信じておられる、60%もの関税(私は何故かこれをtariffと呼んだ人を知らない)をかけると主張されたし、この方針を撤回されるという話は聞かない。これほどの高率の関税で中国からの輸入品を減らし(減るのかな)輸入品の価格が大幅に上がった場合の事態を、何処まで想定されているのかと思う。

先日も触れておいたのだが、クリントン政権が中国・インドネシア・韓国・ブラジル等々の新興国からの高品質で低価格の印刷用紙の輸入に100%を超える関税で閉め出したが、需要が国産紙に戻ってこなかったし、折悪しく盛んになったインターネットに圧倒された印刷媒体が低迷し、印刷用紙の需要が減退して国内のメーカーが総崩れで、会社再生法の保護を申請する結果になったのだ。

問題点は「輸入を高率の関税で閉め出せば、国産品に需要がどれほど戻ってくるか」という事までを見極めておく必要があるのではないのかという事。

マスコミが騒ぎ立てている既に打ち出された政策:
不法移民の強制送還は、私は良い事だと思っている。アメリカ中何処の大都市に行っても、単純反復労働のような職種にはスペイン語を話す者たちが圧倒的に多い。オバマ元大統領は不法の流入者に英語の試験をして合格すれば大罪を許したとか。バイデン前大統領も寛容策だった。トランプ氏がこれを継承する訳がない。

私はここ新宿区百人町/大久保に雲霞の如くに増殖しているモズレムを中心にしたアジア系の者たちが増えている流れを嫌う論調を展開しても、何処からも賛同して貰えないのが残念だと思っている。根拠はこの流れは決して良い傾向とは思っていないのだから。

だが、インバウンド様を崇め立てる政府は一向に玉石混交ではなくて、石ばかりが入ってくる入国者の管理方式を改めようとはしない。この界隈に巣喰う連中が我が国の税収の一助になるとは到底思えないのだと、何回非難した事か。

石破政権もトランプ新大統領に倣って「外国人の国外追放/退去」(=deportationというのだと、トランプ氏から学んだ)の策を講じて欲しいものだ。

グリーンランドの買収も「対中国」と「対ロシア」の自国のsecurityを考えた時に、誤った考え方ではないと思う。だが、トランプ次期大統領の頃の表現は、余りにもそのものズバリの剥き出しで、デンマークの首相の感情を害していた。トランプ氏も政治家になろうというのならば、もう少し社交辞令の使い方を学習しておくべきだっただろう。

我が副社長と交渉の方法として申し合わせて使った喩えは「反対されそうな厳しい事を申し入れる時には“糖衣錠“(sugarcoating)のように甘く感じさせる言い方で行こう」だった。

カナダを51番目の州にしようという件については、既に触れた。私が不安に思う事はトランプ大統領が「カナダの国王がチャールス三世である事」を何処まで尊重しておられるかである。次は「カナダからの輸入に高率の関税をかけて貿易赤字削減に成功した事のコインの裏側に何があるか」に、何処まで考えが及んでいるのという疑問なのである。

結び:
「何だ。批判ばかりではないか」と言われるだろう。私としてはトランプ大統領が打ち出された政策と方針の裏側に何があるのかを考えて見ただけに過ぎない。徹底した事前の調査と熟慮の上で思い切った策を打ち出され、contingency planまで準備されているのだと考えている。因みに、contingencyとは「予期せぬ事が起きる」という意味だ。

久しぶりにスポーツを論じてみよう

2025-01-20 07:36:30 | コラム
駅伝競走の最盛期に思う:

昨19日にも都道府県対抗の男子駅伝競走を、NHKが地デジ放送の1チャンネルで中継していた。言いたくもなるが、フットボールのライスボウルはBSだったのに。ウインタースポーツの端境期であるとは言え「何と言う偏向か」と、長年のフットボールの良き理解者でありファンでもある当方は怒っている。

駅伝に話を戻そう。四連覇を果たした長野県代表の高校生が素晴らしい走りをしたようだが、アナウンサーは「早稲田大学進学が決まっている」とまで言って褒め称えた。私のような昭和一桁生まれには俄に理解できない事なので、現在では1月に既に進学先が決まるような仕組みが出来ているのだ。

世界でも冬場には駅伝競走が盛んになるとは寡聞にして聞いていないが、我が国では関東大学の箱根駅伝を頂点にして襷をリレーする駅伝が盛んであり、テレビ各局が競って中継放映してくれている。当方は「我が国には男女を問わず、これほど高い長距離走の能力/才能を備えた者たちが多いとは考えた事もなかった。

しかも、高い走力を備えた若者たちはその才能を活かして大学でも競技を続けるか、実業団に入って大先輩たちに鍛えられて超一流の走者に成長するとか、オリンピックを目指して厳しい(のだろう)練習を経験していくのだ。本稿の趣旨は、その事を批判しようというのではない。詳細は後述するが、その模様を眺めていて、時には「勿体ないな」と感じる事があるという話だ。

21世紀の今となっては「その昔に」と振ってから入らなければならないかもしれないが、プロ野球界に金田正一(1933年生まれで2019年に86歳で亡くなった)という400勝という大記録を立てた名投手であり大投手である人がいた。この大投手が二言目には「走れ、走れ。走って走力をつけて、足腰を鍛える事が野球の中でも投手としての基礎体力を固める最上の練習法である」と言って指導していた。

この理論と実際は正しいのである。特に野球のようにフットボール系とは違って、全選手が試合中に走り続けていなければならない事はないので、金田正一が言うように常に走る訓練が必要になるのだ。これだけの説明では納得できないという方は、試しにサッカー、ラグビー、アメリカ式フットボールの試合を見て欲しい。ボールと関係がない選手たちも立ち止まる事なく常に走っている事が解る。

言いたい事は「走力を鍛えたから名選手になれた訳ではない選手」は幾らでもいる。例えば立教大学で強打者として広く知られジャイアンツに入ってからご存じの大打者になった長嶋茂雄選手は「気が付けば足も速かった」のである。立教大学で砂押監督に走れと指導されたと聞いた事もないが、天与の素質の中に基礎体力としての走力もあったので、猛練習に耐えて大打者に成長したのだろう。

他には「大谷翔平君を見よ」と言いたい。彼を褒め称える場合の決まり文句が(私は認めない珍妙な表現)「二刀流」であっても、類い希な俊足の選手であるという話を聞いた事がない。彼がファイターズの頃でも、エインジェルスの頃でも、ダジャースでも走る練習に時間を割いたという報道はなかった。だが、50―50を達成して、凄いと言うしかない走力を見せていた。

敢えて言うが、長嶋茂雄選手も大谷翔平選手も同じことで、天与の素質・才能・体力・体幹に加えて、走力も兼ね備えていたのである。要するに「走力とは一流以上のスポーツ選手になる為の数ある素質の重要な一角を占めている」という事なのだ。

ここまで述べてきた事は、言わば当方の持論の導入部なのだ。即ち、「陸上球技の短距離/長距離の種目で才能を発揮して見せている選手たちは、もしかすると長嶋茂雄選手や大谷翔平選手のような球技にも適した走力以外の素質と体力を備えているのではないのか」と言いたいのである。高校から大学を経て社会人になっても、走力一本で過ごさせる(過ごす)のは勿体なくはないかという事。

私は自分が過ごしてきたサッカーの世界でも「足が速く、他の球技をやらせても大学の一部リーグ校で一本目を張れただろう」と評価した凄い人を沢山見てきた。アメリカに話を飛ばせばフットボールのプロになった選手は「野球とバスケットボールのどれを選ぼうか」と迷うほど、複数の種目に長けているという選手が多い。

ようやく結論のような事を言うのだが、あの駅伝競走で何人抜きとかいう抜群の走力を備えた選手たちを、走る事だけに限定しないで、その才能を試す狙いで、フットボール系の球技やバスケットボールなどをやらせてみたいのだ。より解りやすく(解りにくくなるかも知れないが)言えば、単能機の選手として育成するのではなく、複合機に育てて見たらどうかという事なのだ。

例えば、大谷翔平選手にバスケットボールをやらせれば、忽ちNBAの一流のシューターになっただろうし、NFLに行けば投げて良く、走っても良いという類い希な才能を発揮するQBになる走力を備えていると思うのだ。それとも、走力を一層鍛えてオリンピックに出て100mの世界記録を打ち立てて貰うか。

1月19日 その2 再度クリーブランドクリフス社ゴンカルヴェスCEOの暴言に対して

2025-01-19 13:56:27 | コラム
林芳正官房長官殿、それじゃ駄目なのですよ:

遅まきながら、林官房長官のゴンカルヴェス氏の暴言に対する発言を聞いて、大いに落胆したと言おう。失礼を顧みずに言うと「ハーバード大学の大学院で修士号を取られたのにも拘わらず、『外国の民間企業の方の発言に対して政府は一々言及しない』などと言われたのでは、アメリカと如何に交渉すべきかを学んでこられなかったのですか」と問いかけたい思いなのだ。

察するに、クリーブランドクリフス社(CC社)は既に一度USSの買収に失敗していたし、今回もまた買収をかけたが日本製鉄が$55/株の価格を提示したのに対して、CC社は$30台で買い負けの状態なので、感情的にもなったのかと見える。

当方は15日と16日に「ゴンカルヴェスCEOは何かを誤解しているか、アメリカの製鉄業界の地位が世界市場でどれほど低下したかをご存じではない様子だ」と真っ向から批判した。その際に当方が手抜かりだったかもしれない点もあった。

それは、アメリカの企業と折衝する場合には「彼等の提案乃至は抗議する発言に対して、何らの反論も異議も唱えずに沈黙していれば、「その提案は受け入れます」または「異議は認めました」となってしまうのだという事を付記しなかった点だ。これは、彼等と交渉するか何事か話し合う場合に忘れてはならない大原則で常識なのである。

ゴンカルヴェス氏に好き勝手な誤った発言を許し、言われっぱなしでは駄目なのだ。林官房長官が礼儀正しく、あのような緩い事を言えばゴンカルヴェス氏に「そら見ろ。宝山鉄鋼にアメリカ向けに安売りしろと唆していたじゃないか」と勝ち誇らせてしまうのではなかろうか。

再度林官房長官に申し上げたい事は「このような初歩の交渉術乃至は駆け引きをご存じでなかったでは済まない事態になりませんか」という点なのだ。我が政府は何とも歯がゆい事態にしてしまったようだと嘆くのは当方だけか。

今からでも遅くはないから、武藤経産大臣か事務次官をオハイオ州に派遣して、ゴンカルヴェスCEOに厳重抗議させたら如何か。我が国を悪し様に罵り、嘗てはわが国を代表する企業だった日本製鉄の名誉を傷つけられたままに放置して良いとは思えないのだから。

ピアニスト・辻井伸行君を讃える

2025-01-19 06:50:16 | コラム
辻井伸行君が弾く英雄ポロネースの「魂の響き」:

ここ数日の事で、YouTubeで偶然に引き当てた辻井伸行君が弾く「魂の響き」とつけられたショパンの英雄ポロネースを、毎日のように聴いている。この曲は「自分の葬式の時にかけて欲しい」と言った事があるほど好きなので、辻井君の素晴らしい演奏は何度聴いても飽きない。

辻井伸行君は目が不自由なピアニストである事は、彼が子供の頃に将来は名ピアニストになるだろうと期待されて登場した頃から聴いている。その頃は未だ素質で弾いているだけの少年で、この英雄ポロネースで聴かせてくれているような「魂が籠もった」かのような演奏をするまで名手の域には至っていなかった。その頃のCDも持っている。

だが、今回聴いた35歳になっていた頃の辻井君はその技術(技巧)も凄味を持つようになっていたし、「物凄い」と形容したくなるほどの気迫がこもっていた。今日までにルビンシュタインや反田恭平君の英雄ポロネースも聴いてきたが、この辻井君が醸し出しているような「英雄」を感じさせてくれる演奏ではなかった。因みに、この画面にはフジテレビのロゴマークが見える。

このコメント欄に「ピアノの音が惜しい」というのがあった。何回か聴いているうちに、私の耳にも確かに音質が良くないのか、録音に問題があったのか不明だが、高音が割れているように聞こえた。まさか、あのような演奏会でスタインウェイ&サンズのピアノの調律が狂っているとは思えないので、録音のせいだとしておこうかと思っている。

YouTubeには他に辻井伸行君のモーツアルトのトルコマーチの素晴らしい演奏が出てくるが、私には他に興味を感じた事があった。それは、この画面の奥に辻井君の演奏振りに見入っている(魅入られている)バイオリニスト、即ちオーケストラの楽団員までが何とも言えない表情で聴き入っている様子が、とても印象的だった点なのである。