ドナルド・トランプ新大統領について思う事を:
本稿の趣旨としては「トランプ大統領の政策と方針についての論評はしていないつもりで行こう」なのである。
トランプ氏は日本時間では昨日になる20日に、第47代目のアメリカ合衆国大統領に就任された。これからトランプ大統領がアメリカをどのように統治して行かれるかは黙って見ている他ないと思うし、論評など烏滸がましいと思う。
付き合って見れば良い人なのに:
こういう見方はトランプ氏が未だ前任の前の泡沫候補呼ばわりされ、多くの(一部の?)知識人に嫌悪されていた頃の話である。NY在住のエコノミストEH氏が「個人的な知り合いであり、本当は良い人だ。だが、現在この街で迂闊にこんな事を言えば、後ろからナイフで一突きされそうな雰囲気」と語っていたのが忘れられない。誰にでも多面性があるという事らしい。
正直な人だと思う:
「歯に衣着せぬ」という言い方がある。これはそのままトランプ氏の発言に当てはまると思っている。即ち、トランプ氏は支配階層のアメリカ人の特徴であると受け止めている「社交辞令」か「お世辞」が言えない人のようなのだ。トランプ氏は何時も思い付いた事柄を本音で、何らの修飾語や形容詞もつけずに、其の儘剥き出しで言ってしまう正直な人だと思っている。
その発言がどれほど広範囲に波紋を広げるかなどは意に介していないようだとすら感じさせる。だが、もしかすると、波紋が広がっていく事が狙いではなかったのか、あるいは楽しんでいるのかと思わせる辺りが怖いのだ。
物事を深く考えているのかと疑わせる人:
これまでに数多くのアメリカの企業社会における能力が高い優れた経営者や管理職に出会ってきた。彼等には「良くそんな思い切った政策を打ち出せるものだ」と本当に感心させられた。だが、思い切った手を打てば、コインの裏側には失敗もあるのが当たり前。だが、彼等は思いきった手を打って玉砕するのではなく、万が一を考え抜いて彼等が“contingency plan”と呼ぶ、二の矢・三の矢を慎重に用意して事に当たるのが常道。
トランプ氏が中国を危険な存在と看做しているのだからこそ、dealとやらの一つの有力が武器になると信じておられる、60%もの関税(私は何故かこれをtariffと呼んだ人を知らない)をかけると主張されたし、この方針を撤回されるという話は聞かない。これほどの高率の関税で中国からの輸入品を減らし(減るのかな)輸入品の価格が大幅に上がった場合の事態を、何処まで想定されているのかと思う。
先日も触れておいたのだが、クリントン政権が中国・インドネシア・韓国・ブラジル等々の新興国からの高品質で低価格の印刷用紙の輸入に100%を超える関税で閉め出したが、需要が国産紙に戻ってこなかったし、折悪しく盛んになったインターネットに圧倒された印刷媒体が低迷し、印刷用紙の需要が減退して国内のメーカーが総崩れで、会社再生法の保護を申請する結果になったのだ。
問題点は「輸入を高率の関税で閉め出せば、国産品に需要がどれほど戻ってくるか」という事までを見極めておく必要があるのではないのかという事。
マスコミが騒ぎ立てている既に打ち出された政策:
不法移民の強制送還は、私は良い事だと思っている。アメリカ中何処の大都市に行っても、単純反復労働のような職種にはスペイン語を話す者たちが圧倒的に多い。オバマ元大統領は不法の流入者に英語の試験をして合格すれば大罪を許したとか。バイデン前大統領も寛容策だった。トランプ氏がこれを継承する訳がない。
私はここ新宿区百人町/大久保に雲霞の如くに増殖しているモズレムを中心にしたアジア系の者たちが増えている流れを嫌う論調を展開しても、何処からも賛同して貰えないのが残念だと思っている。根拠はこの流れは決して良い傾向とは思っていないのだから。
だが、インバウンド様を崇め立てる政府は一向に玉石混交ではなくて、石ばかりが入ってくる入国者の管理方式を改めようとはしない。この界隈に巣喰う連中が我が国の税収の一助になるとは到底思えないのだと、何回非難した事か。
石破政権もトランプ新大統領に倣って「外国人の国外追放/退去」(=deportationというのだと、トランプ氏から学んだ)の策を講じて欲しいものだ。
グリーンランドの買収も「対中国」と「対ロシア」の自国のsecurityを考えた時に、誤った考え方ではないと思う。だが、トランプ次期大統領の頃の表現は、余りにもそのものズバリの剥き出しで、デンマークの首相の感情を害していた。トランプ氏も政治家になろうというのならば、もう少し社交辞令の使い方を学習しておくべきだっただろう。
我が副社長と交渉の方法として申し合わせて使った喩えは「反対されそうな厳しい事を申し入れる時には“糖衣錠“(sugarcoating)のように甘く感じさせる言い方で行こう」だった。
カナダを51番目の州にしようという件については、既に触れた。私が不安に思う事はトランプ大統領が「カナダの国王がチャールス三世である事」を何処まで尊重しておられるかである。次は「カナダからの輸入に高率の関税をかけて貿易赤字削減に成功した事のコインの裏側に何があるか」に、何処まで考えが及んでいるのという疑問なのである。
結び:
「何だ。批判ばかりではないか」と言われるだろう。私としてはトランプ大統領が打ち出された政策と方針の裏側に何があるのかを考えて見ただけに過ぎない。徹底した事前の調査と熟慮の上で思い切った策を打ち出され、contingency planまで準備されているのだと考えている。因みに、contingencyとは「予期せぬ事が起きる」という意味だ。