第二部 人材開発の実践
Chap9 人材開発計画と研修企画の立案
[人材開発計画]
長期的経営計画から導かれる人材ポートフォリオと現状のギャップを埋めるためのアクションプラン。
☆ 事業ラインにおける人材開発計画・研修計画
[人材ポートフォリオのレベル]
同時に人材開発理念を明確化することが望ましい。
第一レベル:1~2年程度の部門人員数の予測はあり
第二レベル:3~5年程度の部門別人数の予測はあり
第三レベル:中長期経営計画にリンクした人員数と能力の組み合わせでポートフォリオを描いている。
第四レベル:上記に加え、幹部の後継者計画(サクセッションプラン)を毎年見直している。
○ Case NECの人材開発理念
「自立と共同の精神、先取と変化の勇気」を持ち、それに基づいて包括的な「人材開発体系」がある。
それは、「人材計画」「評価/処遇」「人材活用」からなる「人材管理(HRM)」と、「人材開発(HRD)」の両者がスパイラルで展開されている。
「人材開発(HRD)」では、「プロフェッショナル認定制度」と研修制度が二本柱となっており、認定制度によって社員の能力開発の方向性を具体的に示すと動じに、その獲得のためのモチベーションを高めることを狙っている。
それを後押しする施策としてさまざまな研修メニューが用意されている。
○ Case 花王の人材開発の考え方
「社員一人ひとりの限りない英知を結集し、新しい発想で組織を運営することで、ここの力が統合されてより大きな力になります。個人の目標達成への努力が、組織の目標達成の努力となるような環境と風土を整備すること、それが花王の人材開発の基本です」
⇒本社人材開発部門の強いリーダーシップの元、この基本方針の実現のための詳細活一貫性のある人材開発体系が構築されている。
◎ 人材開発計画の司令塔たるCLO
:社長室直属の独立した部署で課題の解決を目指す部門
日本企業における人材開発体系上の問題
a. 人材マネジメントに包括的責任を負う責任者が不明確
b. 人材を資産として包括的に見る部署はあまり見られない。
○ Case 新生銀行2006年4月より
CLO室の設置 CLO トマス・ぺダーセン氏のコメント
「CLOは、人材開発だけではなく、組織開発まで深く踏み込む。経営トップと直接意見を交わしながら、3~5年先の会社のあるべき姿を描き、それに合致した人材作りや組織作りを目指す。」
◎ 人材開発体系に盛り組む視点
① 研修以外の各種人材開発手法との組み合わせを重視
② セグメントごとに方針と施策を整理
⇒環境変化
:現場主体で能力ギャップを認識し、それを埋めるアクションをとることが必要。
◎ インタラクショナル・デザイン・プロセス(ID)
IDをプロセス化して最も有名なモデルがADDIEEモデル
Analyze「分析」:学習者の性質や学習課題の分析など
Design「設計」:学習目標の設定、教授アプローチの選択
Development「開発」:学習活動のための教材の作成
Implement「実施」:揮発した教材を利用した教授の実施や教材の配布」
Evaluate[「評価」:学習活動が当初の目的を達成したかどうかの確認
⇒重要な点は、実施・評価がフィードバックされ次の設計に反映されること。