時代の趨勢としては、G2(=中国・アメリカ)、Bricsへの注目がどちらかというと高い中。
大前氏はEUの将来的な可能性というのを徹底的に論じる。本書を読もうと思ったきっかけは、グローバルマーケットの方向性を知るひとつの軸を得たかったからです。
◎ プロローグ
EUは、これまでの国民国家の定義に当てはまる項目を満たしてきた。
もはや、「地域国家」とでも言うべき存在になっている。
それは、
<国境を持つ>
<憲法を持つ>
<軍隊を持つ>
<通貨を発行している>ということである。
Chap 1 超巨大マーケットの圧倒的パワー
EU=連邦スタイルの巨大国家
:アメリカ合衆国の隔週が自治権を持つのに近い。
⇒EUは人口・GDPですでにアメリカを抜いている。
2008年現在。すでにEU域内全体の名目GDPは世界一になっている。
★ EU統合への意志
=EUの今日を見ると、非常にクレバーでビジョナリーな人たちが要所要所で活躍している。そういう人たちが作ってきた大きなビジョンに、各国の政治家たちが協力し、それぞれ実現に向けて動いていくという形が生まれた。
⇒フランスのジスカールデスタンやフランソワ・ミッテラン、あるいわドイツのヘルムート・シュミットやヘルムート・コール。
【EU略歴】
1988年:ボッコーニ大学 パオロ・マッキーニ
マッキーニ報告
「およそ260のルールを変えなければ、EUは単一市場にならない。
99年:ユーロ導入
2003-04年:東方拡大
a. ロシアに対してギリギリまで境界を広げていっていた。
b. 旧ソ連諸国の加盟:工業生産上のメリットをEUは獲得しつつある
04年:欧州憲法条約
09年:EU大統領の新設
■ロシアのEU加盟の可能性
:ロシア企業は日本から技術を求める中国企業のように、技術をEUに求めている。
A. プーチンのドイツ語力、メルケルのロシア語力
B. EUに新しく加わった旧共産圏のロシア語教育
C. 経済的プラス側面
D. EU側にもロシアの石油と天然ガスといったエネルギー資源に魅力を感じている
ということもある。
⇒現実味のあるステップとしては、「ヨーロッパ・アライアンス」といった名称で、ルールや関税などを協定し、EUとCISで経済の一体化を進めていくというのが現実的。
【日本成長の鍵はEUにあり】
現在の27カ国にロシアとトルコも将来的に加われば、ロシアは、日本の隣接国にもなる。
人口的にも市場規模もアメリカの二倍以上になり、地域別で比べたとき圧倒的な世界一となる。