<続き>
<ウィアン・ブア陶磁>
●ジャオ・マーフーアン&ポーユイ・ターエン古窯址(2)
ー焼成陶磁ー
サーヤン・プライチャンチット氏による、2005年3月-4月に於ける調査報告を資料に紹介する。
Tao Gao Ma-Fuang窯の発掘期間中に、その廃棄物捨て場(物原)から多くの種類の陶磁や陶片が出土した。それらは発掘現場の博物館に展示されている。約5,000点に及ぶ陶片や瓶の破片が物原から出土した、それぞれどこから運ばれたのか将来の課題である。
多くの種類の陶磁が発掘で発見された。しかし窯廃棄物については、更なる調査が必要である。それは製造のどの段階で廃棄されたのか、それらのことはどの陶磁がどこで焼成されたかを明らかにするためにも必要である。
ウィアン・ブア窯群では3つの種類の陶磁が生産された。一つは青磁釉のグループ、そして褐色釉グループと焼締陶グループである。
青磁釉
パヤオ-ウィアン・ブア陶磁の中で、青磁は量的に多くかつ特徴を持つグループであり、これらは窯群を通して焼成された。色調は灰から暗緑色、暗くて黄色がかった緑、更には半透明の明るい緑まで幅広い。
これらの陶磁の全般的な器形は盤、浅い鉢、壺、球形の瓶や蓋付壺等である。盤や鉢は鍔縁が多く一つの特徴をなす。ウィアン・ブア窯群の鍔縁の盤は、チャリエンであるMON陶やサンカンペーンの鍔縁の盤とよく似ている。
全般的で基本的な盤や鉢の装飾は、内壁やカベットに放射状の線が表されている。これは太陽光か太陽のきらきらとした輝き、ないしは法輪のスポークを代表しているであろう。
盤や鉢の多くは、見込に動物をモチーフとした図形や宇宙論を代表するような吉兆文様を帯びている。ウィアン・ブアの盤や鉢で、良く知られている代表的な陶磁は、釉下に印判を押し付けた装飾を持つ。他の装飾技法に刻文がある。
装飾文様としては、宇宙論的要素を示す太陽文、法輪文の仲間、吉兆を示す動物図形、多様な渦巻文様が描いてある。特徴ある動物文様は魚、シンハか想像上のライオン(獅子)、虎、象、馬、赤い鳥(ガルーダ)ないしは不死鳥そして正体不明の幸運な動物である。
個々の特徴ある文様で、Tao Gao Ma-Fuang窯以外のパヤオ窯群で見かけないものは、シンハないしは想像上のライオン(獅子)、虎である。
(ウィアン・ブア窯群のジャオ・マーフーアン窯址から出土した、印花シンハ文盤片)
(これはサンカンペーンの盤で、トラのようにも見えるが、尻尾の房をみると獅子文であろう。このように北タイではパヤオに限らず、獅子(シンハ)はポピュラーな文様であった)
発掘現場で出土した浅い盤や鉢の胎土は暗い色である。暗い発色の胎土を持つ器胎の装飾過程は以下の通りである。先ず、白化粧されそれは口縁の外側面に及んでいる。二つ目に、装飾文様は印判を押して表されたり、切込みで刻花(劃花)されたりした。そして自然乾燥されたのち低温で素焼きされた。
(このサーヤン・プライチャンチット氏の見解は、再検証が必要であろう。当該ブロガーが2015年11月初旬に当該窯址を訪問し、譲って頂いた盤片は、印花双魚が押されていたが、それは素焼きの素体に白化粧され、その上に印判がおされていた・・・白化粧はサーヤン氏が述べるように生掛けであったのか?双方が存在したのであろうと考えるが、更なる追及が必要である。)
素焼きした器胎を選択し、釉薬をかけて本焼した。本焼は口縁と口縁、高台と高台の重ね焼きで、この方法は北タイとチャリエン、シーサッチャナラーイで13-18世紀の間に使われた。
青磁の盤や鉢で白色系の器胎を持つ破片もまた、Tao Gao Ma-Fuang窯址で発見された。また青磁壺の陶片、瓶そして動物図形の青磁盤の破片が発掘された。
特徴ある形状で内面にも釉がかかっているものや、内面無釉の青磁壺が焼造された。その特徴とは、須弥山を表現した宇宙論モデルを肩部に表した壺である。
ここに掲げるイラストは、ウィアン・ブア窯址群から出土した陶片の文様を復元したものである。これらは解説によると宇宙論を表現しており、具体的には太陽(日輪)であるという(但し左下は双魚文)。
シンハ文様盤:鍔縁で胎土は暗灰色、明るい褐色釉で高台に釉はなく、釉下にシンハないしは想像上のライオンを見込中央に、カベットには鎬文を表す。この文様はTao Gao Ma-Fuang窯にのみ見られる。
<続く>
<ウィアン・ブア陶磁>
●ジャオ・マーフーアン&ポーユイ・ターエン古窯址(2)
ー焼成陶磁ー
サーヤン・プライチャンチット氏による、2005年3月-4月に於ける調査報告を資料に紹介する。
Tao Gao Ma-Fuang窯の発掘期間中に、その廃棄物捨て場(物原)から多くの種類の陶磁や陶片が出土した。それらは発掘現場の博物館に展示されている。約5,000点に及ぶ陶片や瓶の破片が物原から出土した、それぞれどこから運ばれたのか将来の課題である。
多くの種類の陶磁が発掘で発見された。しかし窯廃棄物については、更なる調査が必要である。それは製造のどの段階で廃棄されたのか、それらのことはどの陶磁がどこで焼成されたかを明らかにするためにも必要である。
ウィアン・ブア窯群では3つの種類の陶磁が生産された。一つは青磁釉のグループ、そして褐色釉グループと焼締陶グループである。
青磁釉
パヤオ-ウィアン・ブア陶磁の中で、青磁は量的に多くかつ特徴を持つグループであり、これらは窯群を通して焼成された。色調は灰から暗緑色、暗くて黄色がかった緑、更には半透明の明るい緑まで幅広い。
これらの陶磁の全般的な器形は盤、浅い鉢、壺、球形の瓶や蓋付壺等である。盤や鉢は鍔縁が多く一つの特徴をなす。ウィアン・ブア窯群の鍔縁の盤は、チャリエンであるMON陶やサンカンペーンの鍔縁の盤とよく似ている。
全般的で基本的な盤や鉢の装飾は、内壁やカベットに放射状の線が表されている。これは太陽光か太陽のきらきらとした輝き、ないしは法輪のスポークを代表しているであろう。
盤や鉢の多くは、見込に動物をモチーフとした図形や宇宙論を代表するような吉兆文様を帯びている。ウィアン・ブアの盤や鉢で、良く知られている代表的な陶磁は、釉下に印判を押し付けた装飾を持つ。他の装飾技法に刻文がある。
装飾文様としては、宇宙論的要素を示す太陽文、法輪文の仲間、吉兆を示す動物図形、多様な渦巻文様が描いてある。特徴ある動物文様は魚、シンハか想像上のライオン(獅子)、虎、象、馬、赤い鳥(ガルーダ)ないしは不死鳥そして正体不明の幸運な動物である。
個々の特徴ある文様で、Tao Gao Ma-Fuang窯以外のパヤオ窯群で見かけないものは、シンハないしは想像上のライオン(獅子)、虎である。
(ウィアン・ブア窯群のジャオ・マーフーアン窯址から出土した、印花シンハ文盤片)
(これはサンカンペーンの盤で、トラのようにも見えるが、尻尾の房をみると獅子文であろう。このように北タイではパヤオに限らず、獅子(シンハ)はポピュラーな文様であった)
発掘現場で出土した浅い盤や鉢の胎土は暗い色である。暗い発色の胎土を持つ器胎の装飾過程は以下の通りである。先ず、白化粧されそれは口縁の外側面に及んでいる。二つ目に、装飾文様は印判を押して表されたり、切込みで刻花(劃花)されたりした。そして自然乾燥されたのち低温で素焼きされた。
(このサーヤン・プライチャンチット氏の見解は、再検証が必要であろう。当該ブロガーが2015年11月初旬に当該窯址を訪問し、譲って頂いた盤片は、印花双魚が押されていたが、それは素焼きの素体に白化粧され、その上に印判がおされていた・・・白化粧はサーヤン氏が述べるように生掛けであったのか?双方が存在したのであろうと考えるが、更なる追及が必要である。)
素焼きした器胎を選択し、釉薬をかけて本焼した。本焼は口縁と口縁、高台と高台の重ね焼きで、この方法は北タイとチャリエン、シーサッチャナラーイで13-18世紀の間に使われた。
青磁の盤や鉢で白色系の器胎を持つ破片もまた、Tao Gao Ma-Fuang窯址で発見された。また青磁壺の陶片、瓶そして動物図形の青磁盤の破片が発掘された。
特徴ある形状で内面にも釉がかかっているものや、内面無釉の青磁壺が焼造された。その特徴とは、須弥山を表現した宇宙論モデルを肩部に表した壺である。
ここに掲げるイラストは、ウィアン・ブア窯址群から出土した陶片の文様を復元したものである。これらは解説によると宇宙論を表現しており、具体的には太陽(日輪)であるという(但し左下は双魚文)。
シンハ文様盤:鍔縁で胎土は暗灰色、明るい褐色釉で高台に釉はなく、釉下にシンハないしは想像上のライオンを見込中央に、カベットには鎬文を表す。この文様はTao Gao Ma-Fuang窯にのみ見られる。
<続く>