<続き>
<フェイ・メータム陶磁>
●焼成陶磁
以下、前回までと同様にKriengsak Chaidarung氏の著述内容に従って紹介する。メーガートークワーク村の南に位置する窯址調査によると、焼成室の内部では、陶片が少ししか見つからなかったが、その大部分が鍋、水差し、小鉢であった。無釉で硬く焼いたものは、白化粧(Slip)してから、それを掻き落として文様を表していた。
(出典:「陶磁器・パヤオ」 Kriengsak Chaidarung氏によると、白化粧した水差しの陶片で、周囲には象の文様が掻き落としで表現されている)
更に粘土を練って、文様として貼り付け(貼花文)しているものもある。それは透明釉がかかり、釉下に黒い粘土で模様が描かれている。
(出典:「陶磁器・パヤオ」)
この窯の器類の胎土の状態は何種類もある。陶工が、何ヶ所もの採取場から原料を集めたためだと思われる。よって陶磁器の胎土の色がそれぞれ異なっているのだ。見つかっているのは、淡い黄色、灰色がかった茶系統の色で、すべての種類の胎土は肌が細かく、砂の粒が非常に小さく、空隙も小さい。特に淡い黄色の胎土は質の高いきめの細かい土である。これらの理由から、出土した陶磁は、薄く硬い。
この他の興味深い点は、陶磁器の文様が変わっており、ランナー地域の他の窯で目にするものとは異なる点である。それぞれの盤や壷等に描かれた文様は、商取引目的のための陶磁製品というより、芸術品のほうに近い。出土したすべての陶片に同じ文様はなく、象の文様と鹿の文様は芸術性が高い。しかし残念なことは、この窯址からは、まだ完器が出土していないことである。
う~ん。これらは、著述内容通り興奮すべきものであった。最初の写真にある白化粧掻落とし技法の初出は磁州窯で、これを<白掻落し>と呼んでいる。黒土の貼花鹿文は、磁州窯<白地黒掻落し>と同様な視覚的効果を生み出している。北タイ諸窯に磁州窯の影響など歯牙にもかけていなかったが、再考が必要である。当件に関しては当該シリーズの最終回に見解を述べたいと考えている。
これらの完器が出土していないことだが、陶片は数カ所で実際に見ることができる。まずジャオ・マーフーアン古窯址に建つウィアンブア文化センターである。
白枠は<白掻落し>で、緑枠は磁州窯でいう<白地線彫り>である。以下の3点はワット・リー付属博物館で展示されている。


当該シリーズでこれまでにウィアン・ブア窯群、モンオーム窯群、フェイ・メータム窯群と紹介してきた。いずれも、その窯群で特徴のある製品や意匠をみることができた。パヤオは北タイでは特異な存在であることを伺わせている。
<続く>
<フェイ・メータム陶磁>
●焼成陶磁
以下、前回までと同様にKriengsak Chaidarung氏の著述内容に従って紹介する。メーガートークワーク村の南に位置する窯址調査によると、焼成室の内部では、陶片が少ししか見つからなかったが、その大部分が鍋、水差し、小鉢であった。無釉で硬く焼いたものは、白化粧(Slip)してから、それを掻き落として文様を表していた。

更に粘土を練って、文様として貼り付け(貼花文)しているものもある。それは透明釉がかかり、釉下に黒い粘土で模様が描かれている。

この窯の器類の胎土の状態は何種類もある。陶工が、何ヶ所もの採取場から原料を集めたためだと思われる。よって陶磁器の胎土の色がそれぞれ異なっているのだ。見つかっているのは、淡い黄色、灰色がかった茶系統の色で、すべての種類の胎土は肌が細かく、砂の粒が非常に小さく、空隙も小さい。特に淡い黄色の胎土は質の高いきめの細かい土である。これらの理由から、出土した陶磁は、薄く硬い。
この他の興味深い点は、陶磁器の文様が変わっており、ランナー地域の他の窯で目にするものとは異なる点である。それぞれの盤や壷等に描かれた文様は、商取引目的のための陶磁製品というより、芸術品のほうに近い。出土したすべての陶片に同じ文様はなく、象の文様と鹿の文様は芸術性が高い。しかし残念なことは、この窯址からは、まだ完器が出土していないことである。
う~ん。これらは、著述内容通り興奮すべきものであった。最初の写真にある白化粧掻落とし技法の初出は磁州窯で、これを<白掻落し>と呼んでいる。黒土の貼花鹿文は、磁州窯<白地黒掻落し>と同様な視覚的効果を生み出している。北タイ諸窯に磁州窯の影響など歯牙にもかけていなかったが、再考が必要である。当件に関しては当該シリーズの最終回に見解を述べたいと考えている。
これらの完器が出土していないことだが、陶片は数カ所で実際に見ることができる。まずジャオ・マーフーアン古窯址に建つウィアンブア文化センターである。




<続く>