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「陶磁器・パヤオ」シリーズ・22

2016-02-16 15:42:14 | 北タイ陶磁
<続き>

<モンオーム陶磁>
●モーンオーム窯群の製品

モーンオーム窯群で見つかった製品は、多くが盤や皿、鉢で数少ないものでは、水差しや小鉢がある。施釉されたもの無釉のもの、双方が出土している。青磁釉は、濃い緑色がかった褐色、黄緑色、茶系統、翠色、黄色がかった褐色である。
釉薬は厚いものから、薄いものまであり均一でない。これは陶工の技術の熟練度の違いであろう。施釉は内面だけや、内面と外面の両方があるが、後者は少ない。他に分かっているのは、白化粧をして素焼きをしたもので、それなりの数が見つかっている。さらに、無釉のものは、焼くと赤みがかった茶色または鉄銹色の混じった灰黒色になる。
(白化粧した盤。見込みに魚文のスタンプがあり、魚文の周りに波線が囲む。胎土は茶色で、皿の直径は22.5センチメートル。パヤオ県ムアン郡メーガー地区モーンオーム窯群にて出土。出展:陶磁器・パヤオ)
下の写真はモンオーム古窯址で採取した陶片である。大きな陶片は採取しつくされている印象で、写真のような細片しか採取できなかった。
左上の陶片は、ハニージャーと呼ばれる二重口縁壺の口縁であることから、モンオーム窯ではハニージャーを焼成していたことが分かる。その胴片と思われるのが左下の陶片で、褐色釉に覆われている。上右はモンオームでは少数である、翠色に覆われた盤片である。
その盤片の外側面は褐色釉に覆われている。訪問時には採取できなかったが、モンオームの代表的な盤は以下のような盤である。
          (出展:陶磁器・パヤオ モンオーム窯址出土)
(出展:Ceramics of Seduction これと同じ意匠で同じ褐釉の盤を福岡市美術館が保有している)
2枚の盤は同じ意匠であるが、黄褐釉と褐釉の違いがある。いずれも白化粧が乾かないうちに櫛で、見込みに波文を表し、竹ヘラのような道具にてカべットに蔓草を刻んでいる。これらの文様はパヤオでは、モンオーム窯でのみ見ることができる。




                                  <続く>