伝説のバンド・キャロルと同じくらいの時期に、ファニー・カンパニーというバンドがデビューした。
当時、ムッシュ・かまやつがDJをしている番組があって、キャロルが、まずムッシュお薦めの新人バンドということで出演した。
ムッシュの「目指すは、ビートルズかな?」という問いかけに、矢沢永吉は「いや、僕たちはあくまでもキャロルを目指してますから」と、お馴染みの矢沢の口調で、力強く答えた。
その後、ムッシュがどんな質問をしても「僕たちキャロルの音楽は・・・」で始まる矢沢の主張に、ムッシュが苦笑していたのを覚えている。
日にちを置いて、ファニー・カンパニーが出た。
「どんな音楽を目指しているの?」というムッシュの質問に、ボーカルの桑名正博は、「俺たち、目標なんてありませんわ。俺たちは、ライブバンドなんで、お客を目の前にして歌うことが、好きなんですよ。だから、客によって、同じ曲でも全く違う曲になってしまうんですわ」と屈託のない調子で語っていた。
キャロル・ブランドにこだわる矢沢と、ただただライブにこだわるファニー・カンパニー。
デビュー・アルバムを聴き比べると、外側の衣だけがロックを装ったキャロルと、骨太で荒削りなファニー・カンパニーの音作りは、まったく対照的と言ってよかった。
ドライブ感あふれるギターと、ソウルフルな桑名正博のボーカル。
ほとんどが大阪弁で歌われる、どこかルーズなファニー・カンパニーのサウンドには、ルーズではあったが、そこには間違いなく「魂」がこもっていた。
つまり、ロックだった。
同じようにロックン・ロールを模倣していながら、キャロルは形だけがロックで、根本にあるべきはずの「ロックの魂」が見つけられなかった。
おそらく、オリジナリティにこだわるばかりに、曲に「魂」が宿らなかったのだろう。
それに対して、ファニー・カンパニーは、オリジナリティにはこだわらずに、「俺たちのやりたいことをやる」ということに徹していたから、その単純さが、彼らの歌に「魂」を与えた。
たった2枚のオリジナル・アルバムを出しただけで解散したファニー・カンパニー。
おそらく、ほとんどの人が、その存在を知らなかったと思う。
メンバーの中に、一人でも矢沢永吉のような商売人がいれば、名を残すことができたかもしれないが、彼らは心底ロックンローラーだったから、疾走しただけで終わってしまった。
野暮ったく疾走するだけのロックンロール・バンド。
私は、そんなファニー・カンパニーが、好きだった。
当時、ムッシュ・かまやつがDJをしている番組があって、キャロルが、まずムッシュお薦めの新人バンドということで出演した。
ムッシュの「目指すは、ビートルズかな?」という問いかけに、矢沢永吉は「いや、僕たちはあくまでもキャロルを目指してますから」と、お馴染みの矢沢の口調で、力強く答えた。
その後、ムッシュがどんな質問をしても「僕たちキャロルの音楽は・・・」で始まる矢沢の主張に、ムッシュが苦笑していたのを覚えている。
日にちを置いて、ファニー・カンパニーが出た。
「どんな音楽を目指しているの?」というムッシュの質問に、ボーカルの桑名正博は、「俺たち、目標なんてありませんわ。俺たちは、ライブバンドなんで、お客を目の前にして歌うことが、好きなんですよ。だから、客によって、同じ曲でも全く違う曲になってしまうんですわ」と屈託のない調子で語っていた。
キャロル・ブランドにこだわる矢沢と、ただただライブにこだわるファニー・カンパニー。
デビュー・アルバムを聴き比べると、外側の衣だけがロックを装ったキャロルと、骨太で荒削りなファニー・カンパニーの音作りは、まったく対照的と言ってよかった。
ドライブ感あふれるギターと、ソウルフルな桑名正博のボーカル。
ほとんどが大阪弁で歌われる、どこかルーズなファニー・カンパニーのサウンドには、ルーズではあったが、そこには間違いなく「魂」がこもっていた。
つまり、ロックだった。
同じようにロックン・ロールを模倣していながら、キャロルは形だけがロックで、根本にあるべきはずの「ロックの魂」が見つけられなかった。
おそらく、オリジナリティにこだわるばかりに、曲に「魂」が宿らなかったのだろう。
それに対して、ファニー・カンパニーは、オリジナリティにはこだわらずに、「俺たちのやりたいことをやる」ということに徹していたから、その単純さが、彼らの歌に「魂」を与えた。
たった2枚のオリジナル・アルバムを出しただけで解散したファニー・カンパニー。
おそらく、ほとんどの人が、その存在を知らなかったと思う。
メンバーの中に、一人でも矢沢永吉のような商売人がいれば、名を残すことができたかもしれないが、彼らは心底ロックンローラーだったから、疾走しただけで終わってしまった。
野暮ったく疾走するだけのロックンロール・バンド。
私は、そんなファニー・カンパニーが、好きだった。