リスタートのブログ

住宅関連の文章を載せていましたが、メーカーとの付き合いがなくなったのでオヤジのひとり言に内容を変えました。

ファニー・カンパニー

2011-07-24 08:38:26 | オヤジの日記
伝説のバンド・キャロルと同じくらいの時期に、ファニー・カンパニーというバンドがデビューした。

当時、ムッシュ・かまやつがDJをしている番組があって、キャロルが、まずムッシュお薦めの新人バンドということで出演した。

ムッシュの「目指すは、ビートルズかな?」という問いかけに、矢沢永吉は「いや、僕たちはあくまでもキャロルを目指してますから」と、お馴染みの矢沢の口調で、力強く答えた。

その後、ムッシュがどんな質問をしても「僕たちキャロルの音楽は・・・」で始まる矢沢の主張に、ムッシュが苦笑していたのを覚えている。

日にちを置いて、ファニー・カンパニーが出た。
「どんな音楽を目指しているの?」というムッシュの質問に、ボーカルの桑名正博は、「俺たち、目標なんてありませんわ。俺たちは、ライブバンドなんで、お客を目の前にして歌うことが、好きなんですよ。だから、客によって、同じ曲でも全く違う曲になってしまうんですわ」と屈託のない調子で語っていた。

キャロル・ブランドにこだわる矢沢と、ただただライブにこだわるファニー・カンパニー。

デビュー・アルバムを聴き比べると、外側の衣だけがロックを装ったキャロルと、骨太で荒削りなファニー・カンパニーの音作りは、まったく対照的と言ってよかった。

ドライブ感あふれるギターと、ソウルフルな桑名正博のボーカル。
ほとんどが大阪弁で歌われる、どこかルーズなファニー・カンパニーのサウンドには、ルーズではあったが、そこには間違いなく「魂」がこもっていた。

つまり、ロックだった。

同じようにロックン・ロールを模倣していながら、キャロルは形だけがロックで、根本にあるべきはずの「ロックの魂」が見つけられなかった。
おそらく、オリジナリティにこだわるばかりに、曲に「魂」が宿らなかったのだろう。

それに対して、ファニー・カンパニーは、オリジナリティにはこだわらずに、「俺たちのやりたいことをやる」ということに徹していたから、その単純さが、彼らの歌に「魂」を与えた。

たった2枚のオリジナル・アルバムを出しただけで解散したファニー・カンパニー。
おそらく、ほとんどの人が、その存在を知らなかったと思う。

メンバーの中に、一人でも矢沢永吉のような商売人がいれば、名を残すことができたかもしれないが、彼らは心底ロックンローラーだったから、疾走しただけで終わってしまった。


野暮ったく疾走するだけのロックンロール・バンド。

私は、そんなファニー・カンパニーが、好きだった。