杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

喜久酔の皆造祝い

2008-04-01 09:46:14 | 吟醸王国しずおか

 昨日(31日)は、喜久酔の醸造元・青島酒造の皆造祝いを『吟醸王国しずおか』で撮影させてもらいました。

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  青島秀夫社長と久子夫人、専務で杜氏の孝さんと4人の蔵人計7人の宴席は、両親と5人の息子のファミリーパーティーのよう。同じアットホームな雰囲気でも、社長、杜氏、従業員の立場の違いや規律がしっかりしている磯自慢とは、また違った温かさが感じられました。

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  本来なら、厳しい酒造りがひと段落し、しかも静岡県知事賞受賞の成果をひっさげての晴れやかな酒宴になるところ、終始、カメラが回り続けていたのですから、ハメをはずしてせいせい呑む、という気分になれなかったと思います。なんだか申し訳ない気分でしたが、カメラ越しに見る限り、社長夫妻も5人の“息子”たちも、ふだんと変わらず、なごやかに語り合い、時には声を上げて笑います。

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  とりわけ嬉しかったのは、私が、社長の口から語ってもらいたいな~とひそかに思っていた、20数年前から酒の冷蔵貯蔵の重要性に着目して様々な工夫をこらしたこと、原酒や生酒しぼりたてを日本で一番早く商品化し、当初、醤油醸造の専門用語だった「一番しぼり」を、しぼりたてのネーミングに使い、それが回りまわってキリンビールにパクられたという逸話、吟醸用洗米機の開発秘話などが、会話の流れで自然に出てきたこと。

 

 

  息子の孝さん自身、「初めて聞く話もあるなぁ」と感心すると、社員蔵人の原田さんが「専務が今まで知らなかったってのはマズいでしょう」と突っ込み、片山さんは「今は当然のように使う設備や道具が、社長と奥さんの苦労と工夫の結晶だったということを、知って使うのと、知らずに使うのでは、全然違うと思う。今日、みんなでそういう話を聞けて本当によかった」としみじみ答えます。確かに、第三者の私が知っていて、蔵人衆が知らないのはマズいですよね(苦笑)。

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 カメラの成岡正之さんは、「息子や従業員に、自分たちの苦労話を自慢するような性格じゃないんだなぁ、いいなぁ」と品性ある社長夫妻のキャラクターに魅了されたよう。「この蔵はずーっと追いかけていきたい、2年でも3年でも通い続けたい」と嬉しい感想を残してくれました。

 

 

  青島酒造の酒造りは、酒を搾った後もまだまだ続きます。酒を低温で貯蔵するため、現場で身体を張って汗を流した社長夫妻の賜物ともいえる『瓶詰め・貯蔵工程』、6月から本格的に始まる松下明弘さんの『米づくり(山田錦栽培)』、全国の取引業者を直接訪ねて今期の造りについて報告したり酒の会に顔を出すなど、売り手・飲み手ときめ細かな情報交換をする孝さんの『営業支援活動』…。私と成岡さんの撮影の旅もまだまだ続きます。

 

 

 

*吟醸王国しずおか映像製作委員会 会員募集

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