2月3日は東京ビッグサイトで開催中の『第7回グルメ&ダイニングスタイルショー~ニッポンいいもの再発見!』に、4日は東京ドームで開催中の『テーブルウェア・フェスティバル2010~暮らしを彩る器展』に行ってきました。景気が悪い悪いと言いながらも、どデカイ会場に所狭しと並ぶ新開発・ニューデザインの商品群を眺めていると、日本の底力は大したものだと実感させられました。
まず先のブログでもご紹介した『第7回グルメ&ダイニングスタイルショー』では、静岡県商工会連合会が開発したデザート用ふりかけのマーケティング調 査をお手伝いしました。10時過ぎから17時ぐらいまで、途中休憩をもらいながらも立ちっぱなしで200人以上のアンケート調査をするって、運動不足の身にはけっこう来ました。立っていただけなのに、夜ホテルで靴下を脱いだらしっかりマメが・・・(苦笑)。4日間の期間中、職務とはいえ、ぶっとおしでブース番をする商工会スタッフの方々には頭が下がります。いつもは言いたい放題ばかり言っちゃって、本当にすみません・・・。
デザート用ふりかけの名前はご覧のとおり『ふりーらフルーら』。愛称“ふり フラ”で決まりました。“フルーツのふりかけをふる”に、静岡弁の“~ら”をくっつけて、「ふりかけフルら?」って意味を込めてみました。いかにも苦肉の策って感じでしょう?(苦笑) ブログでネーミング変更の顛末を書いたのは、前案『デコフリフリ』が新聞発表されてしまって、私のところにも問合せがあったから。正直なところ、『デコフリフリ』ってどーなのよ?って思いは個人的にもありましたし(苦笑)。
名前はともかく、会場では、なんといっても、ふりかけをアイスクリームやヨーグルトにふって、紅ほっぺや三ケ日ミカンやアメーラとまとの味に変身させるというアイディアが大いに受けました。
豆腐とかゼリーとか、スタンダードな食品ならば、ちょっとネーミングやパッケージで遊んでみたりすることで斬新さを打ち出す価値もあるんでしょうけど、この商品は、発想そのものが斬新だから、ネーミングなんて二の次三の次なんだろうなぁと落ち込みつつも、試食した人の好反応には素直に感激!名のある販売店さんや流通業者さんから「大量注文できるか?」「卸価格は?」と具体的な質問を次々にフラれて、ふりかけ加工業者さんも目をフリフリさせていました(笑)。
川勝知事は、食と農の6次産業=1次(農業)+2次(加工技術)+3次(販売企画)の重要性をさかんに述べているようです。この商品はそのお手本になれるのでは、と、会場の反響を肌で感じながら確信しました。
静岡県内の発表会は2月22日(月)に県産業経済会館で開催予定です。県内の流通業者やマスコミのみなさま、ぜひご期待くださいまし!
翌4日は、午前中、東京ドームの『テーブルウェア・フェスティバル2010~暮 らしを彩る器展』へ。静岡市の伝統工芸作家のみなさんが共同でテーブルセッティングの提案を行っています。詳細レポートはこちらをご覧いただくとして、著名な料理研究家やテーブルコーディネーター、俳優や空間プロデューサーたちが提案する華やかな食卓デザインも魅力的でしたが、アマチュアデザイナーた ちの斬新なアイディアや、日本酒を注ぎたくなる、日本酒を楽しむ空間に使いたくなるモノたちに大いに惹かれました。
こちらはテーブルウェア大賞(コーディネート部門)を受賞した長野県の中村麻子さんの「おんばしら祭に」。テーブルの真ん中に木板をドンと据え、祭りと日本酒を見事に伝統マッチングさせていました!
木材利用では、華やかなブースが多い中で、この桶榮(東京・深川)の木桶だけの世界観もハッとさせられます。四角錐の木のとっくり、いいですよね~。
昨年もこの会場で記憶に残した嘉久房窯 (長崎・平戸)の美しいフォルムの白磁。静岡吟醸の最上級クラスを注ぎたくなります。
今年はこの木製酒器に感動しました。木材のきれはしだけで造った岐阜の河村寿昌さんの「ぐいのみいろいろ」。
日本酒は、原料の米が土の力で育った ものだから、注ぐ器も土から作られる陶磁器がベストだろうと思っていましたが、米から酒に発酵するとき、とくに核心部分である麹造りでは、木製の麹蓋を“寝床”にする。枡のようなちょっと飲みにくい形状でなければ、木製のぐいのみもいいなぁと最近思い始めていたところ。木材によってこんなに種々さまざまな表情が楽しめるなら、静岡県産の木材の余り部分を再利用して、オリジナルの酒器が出来ないだろうかと想像を膨らませました。
天竜川水系や大井川水系、安倍川水系、富士山水系と、酒蔵の水源地は木材産地でもあります。環境を考える上でも、木材業者さんや木工職人さんたちと共同で何か仕掛けられないかと思います。…関係する方がいらしたらぜひ一考願います。
食卓に並ぶ食品や器は、金額にしたら景気を左右するほどのものではないかもしれませんが、消費者がふだんづかいのものに、いくら使うか、どんな基準で商品選びをするかは、とても大事だと思います。小さな器ひとつ、食品ひとつに懸命に知恵とデザインを凝らして、新しい価値を生み出そうとするクリエーターたちのモノづくりパワーと、東京ビッグサイトと東京ドームに詰めかけた人々の“ヒット商品を発掘したいパワー”は、日本人の底知れぬしたたかさを伝えてくれました。