杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

dancyu創刊20周年日本酒大試飲パーティー

2010-03-29 00:35:37 | 吟醸王国しずおか

 京都への夜行バス往復で、26日(金)は丸一日、眠気との戦い。地酒研メンバーの一人が、自分が属する組織の送別会でホテルセンチュリーの大宴会場に400人集まるから、会場で『吟醸王国しずおかパイロット版』を流したいと言ってくれて、その準備に奔走しました。

 

 

 翌27日(土)は東京の新高輪プリンスホテルで開かれた月刊dancyu創刊20周年記念の日本酒大試飲パーティーに参加。早めに行きたかったのに、疲労や眠気が取れず、開宴ギリギリの到着になってしまいました。 

 

 

 Imgp2071 全国から78蔵、4県の酒造組合が出展し、2000人の読者を集めての盛大なパーティー。日本酒だけの宴会で、これだけの規模は、バブリーな時代なら珍しくなかったものの、今のご時世では特筆モノです。私もこの20年、いろんな酒のイベントに顔を出してきましたが、最近では、静岡県酒造組合静酉会が一昨年、静岡県地酒まつりIN東京10周年で、東京国際フォーラムに1300人集めたとき以来の活況でした。

 

 今回はdancyu誌上で、読者対象に参加者を募り、応募者殺到で大きな宴会場に急きょ変更したとか。参加蔵元も、当初は30社ぐらいに声をかけたところ、出展希望が殺到したとか。dancyuという雑誌のネームバリューもさることながら、長い間コツコツと日本酒特集を続けてきた、その立役者である元編集長里見美香さんの功績に違いありません。

 

 知り合いがいないかと会場を見まわしたものの、いつもの酒イベントとはなんとなく客層が違う感じ・・・。いわゆる酒オタクっぽい人は少なくて、女性やカップルの割合が非常に高かった。酒の業界ルートで集めた客ではないからですね。

 dancyu誌上で特集紹介された「松下米」の松下明弘さんが、招待されていると聞いていたので、彼を必死に探してようやく見つけました。 

  

 静岡からは磯自慢、初亀、喜久醉の3蔵が参加し、会場の国際館パミール崑崙のセンターポジションにブースを設置。里見さんは「この場所になったのはたまたまですよ」と笑っていましたが、私は里見さんの「静岡愛」をビンビン感じ、会場で里見さんを見つけた時は思わず合掌してしまいました(笑)。

 

 

 里見さんにちゃんと20周年のお祝いとお礼を言いたかったのですが、この日、里見さんは、VIPゲストの中田英寿さんをエスコートし、会場内のブースを巡回していました。

 磯自慢、喜久醉、初亀を黙って試飲していたヒデさん、どんな印象を持たれたのかしらん・・・。全国の、カプロン酸華やかな酒や、パンチのある酒をいろいろ飲んだ後だと、静岡の酒は印象が薄いだろうなぁと心配になりつつも、こういう人が日本酒に興味を持って足を運んでくれるってありがたいですね。

 

 そういえば、何かの雑誌で、今年の注目男子でもある福山雅治さんが「純米大吟醸にハマっている」と書いてあったのを思い出し、先月、里見さんにお会いした時、「dancyuの力で龍馬さんを呼べないんですかぁ」などと妄想話をしてしまいました(笑)。

 Imgp2077

 

  いつもの酒イベントなら、磯自慢のブースに異様なほどの長蛇の列が出来るのですが、この日は列の長さが若干短め・・・。後で蔵元に訊いたら、「静岡で日本酒って造っているんですか?」と聞く客もいたとか。常連しか来ない酒イベントよりも、新規ファン獲得にとても有意義な機会になったのではないかしら!!

 

 こういう場所で『吟醸王国しずおか』のPRが出来たらなぁ~と指をくわえつつも、勝手に宣伝活動なんかしたら、主催者や蔵元に迷惑になると思い、グッと こらえ、純粋に客として愉しみました。

 

 

 こちらは松下圃場に見学に来たことのある山口県の「貴」の永Imgp2082山貴博さん(右)と松下さん。

 原料(酒米)へのこだわりは、日本酒のメーカーなら当然と言えば当然ですが、米の作り手のスキルが注目され始めたのは、松下さんの存在が大きいし、だからこそ全国の心ある蔵元がわざわざ彼のもとへ見学に来て教えを乞い、dancyuが特集で取り上げたわけです。永山さんは、自ら米を作り酒を醸す、心ある酒造家のお一人ですね!

 

 

 13時に始まったパーティーは15時30分にお開きとなり、食事を全くとらずにひたすら飲みまくっていた私は、さすがに空腹と眠気でクラッときて、松下さんと食事へ。

 「宝くじが当たったら足りない映画資金を全部出してやる」と豪語する松下さんを、それなら試そうじゃないかと西銀座チャンスセンターに誘い、2人でスクラッチを買ったものの、彼は3枚買って300円、私は10枚買って500円しか戻らず・・・。やっぱり地道にコツコツ集めるしかないねぇと笑いながら、有楽町のヴィノスやまざきの売り場を見て、有楽町のガード下の定食屋へ。ごくフツウのチェーン定食屋なのに、ごはんの炊き具合をちゃんとチェックする彼を見ていたら、もっと気の利いた店を探しておけばよかったなぁと反省しきりでした。

 

 

 パーティー会場では、喜久醉のブースで、ふだん愛飲する特別本醸造ばかり飲んでいた松下さん。青島さんが「せっかくなら、他の大吟や純大クラスを試飲すればいいのに」と呆れる傍で、「これがやっぱり一番」と満足しきっていました。

 この日の顔ぶれは、さすがdancyu登場蔵が中心だけに、有名無名問わずキラリと光る個性ある酒蔵が揃っていましたが、それでもやっぱり静岡の銘柄を飲むとホッとする…。

 豪華な酒が立ち揃う試飲会でも、自分が米を納め冬場は蔵人として働く喜久醉のレギュラー酒をひたすら愛飲し、銀座のど真ん中でも、白いご飯にホッとして、その炊き具合を気にしてしまう松下さんの心情が、なんだかとっても理解できます。・・・もっとも、試飲会では滅多に飲めない「亀」「松下米40」「磯自慢純大」を卑しくガブ飲みした私ですが(苦笑)。

 

  

 

 なお、dancyu日本酒大試飲パーティーの写真は、吟醸王国しずおかブログ『杯が満ちるまで』にも掲載してありますので、併せてご覧くださいまし。