杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

地産地消でプチぜいたく!

2010-12-20 22:06:22 | 地酒

 先日、飲み会で久しぶりに輸入ワインを飲んだとき、最初の一口で妙に薬品臭が鼻につき、「これ、酸化防止剤かなぁ」とつぶやいたら、ワインに詳しいお店のママさんに「さすがお酒の専門家」とビックリされ、こちらがビックリしてしまいました(苦笑)。自分はもしかしたら普通の人よりは少しばかりいい酒を試飲する機会に恵まれているかもしれないけど、きき酒の専門家ではないし、プロのきき酒能力のトンデモナイ凄さを目の当たりにしているので、自分ごときが他人に感心されるなんて予想もしていませんでした。

 ただ、思い当たるとしたら、ふだん、酸化防止剤のような人工添加物をいっさい使わない地酒しか飲まないので、添加物に敏感に反応した、ということかもしれません。これは特別鋭い味覚や臭覚がなくてもわかることでしょう。「・・・ふだん口にしているものって大事だな」って改めて思いました。

 

 

 思い返すと、日頃の食生活はホントに貧しい限りですが、調味料選びだけは結構ゼイタクしてるんですね。ちょっと点検してみたら、酒、味噌、醤油、塩、茶、ドレッシング、ジャム、みりんはすべて静岡県産。県外産モノは砂糖(ヨーグルトに添付されているもの)、マヨネーズ、七味唐辛子ぐらいでした。イレギュラーに買う生鮮食材(野菜、肉、魚、豆腐、鶏卵)もほぼ静岡県産。・・・私の地産地消率って表彰されていもいいくらい高いんじゃない!?ってニヤニヤしてしまいました。

 これはやっぱり、20数年、地元の農家や蔵元や食品加工業者さんを取材してきたローカルライターの、職業履歴といえるのかもしれませんね。こういうものが自分の味覚を鍛えてくれたとしたら、本当にかけがえのないものです。

 

 

 

 今日は、数年ぶりに懐かしい食材に再会できました。

 藤枝の旧商店街の一Imgp3481 角にあった『戸塚豆腐店』は、10数年前、各市町の昔ながらの豆腐屋さんを取材したとき見つけ、志太地区の酒蔵に行く時は店主自慢の「国産にがり&大豆の木綿豆腐」を手土産に買って行って喜ばれたものでした。ところが数年前、火事で店が焼失し、店は閉店。志太美酒を買って帰るたびに、戸塚さんの冷や奴があったらなぁとため息をついていました。

 

 

 

 今日、焼津(旧大井川町)の食品関連メーカーに取材に行った時、戸塚豆腐店の名前が出て、「大井川の近くにも戸塚さんってお豆腐屋があるんだ…」と思っていたら、藤枝の戸塚豆腐店が移転し新規開業されたと知ってビックリ!その足で訪ねてみたら、懐かしいご主人&奥さまが白衣姿でお元気そうに働いておられました。改めてご挨拶したら「取材の後もよく買いに来てくれてたねぇ、覚えているよ~」と笑顔で応えてくれて、「出来たての汲み豆腐、食べていくかい?」と言われて飛び上がってしまいました。

 店を失った後、いろいろご苦労があったと思いますが、KOマート(志太・榛原地区の食品スーパー)の支援を受けて、今はHACCPも取得しての立派な豆腐工房に。以前にも増して食材にこだわり、商品アイテムを増やし、焼津と大井川の合併記念に開発した「かつおドーナッツ」が話題になるなどエネImgp3479ルギッシュになった戸塚さん(詳しくはこちらを)。

 大井川での復活を今になって知って、自分のリサーチ不足がちょっぴり恥ずかしくなりましたが、それよりも何よりも、戸塚さんの国産木綿がまた食べられる喜びで胸一杯になりました。

 

 

 

 

 Imgp3477 作りたての戸塚さんの豆腐は、大豆の自然の甘みと天然にがりが引き出すコクが凝縮された、スイーツのような味わいでした。

 この旨味豆腐には新酒よりも熟成酒のほうが合うかな~なんてウキウキしながら、我が家の冷蔵庫の中で、志太美酒と戸塚さんの豆腐をふたたび並べることができた幸せをしみじみ噛みしめています。

 

 

 

 今年のクリスマスやお正月は「プチぜいたく」しようと、高級食材が結構売れてるみたいですね。…私のプチぜいたくは、地産地消率がまた少し上がった冷蔵庫。地元産の食材を買うのがぜいたくってのも、考えてみると妙な話ですが