杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

2011秋・古都の旅その1~奈良古社めぐり

2011-10-24 20:58:42 | アート・文化

 先週末、奈良・京都に行ってきました。いつものようにJR夜行バスを使ったんですが、今回、「早割21」というお得なチケットがあることを知り、平日ネット予約なら静岡―京都間が片道2940円!土日分も3820円でゲットできました。席数限定で1ヶ月前の朝10時から予約購入ができるので、関西方面への出張・旅行には賢く利用したいですね!詳しくはこちらを(ワタシはJRバスの広報の回し者か・・・)

 夜行バス利用者にとっての悩みの種は、朝5時に京都に着いて、どこで時間を潰すか。また帰りは京都発23時59分発だから、深夜まで(なるべく浪費せずに)どうやって時間を潰すか。

 私の場合は、当ブログでも何度か書いたように、早朝発のローカル鉄道に乗るか、早朝営業の銭湯へ行きます。今回は、30日に開催を控える玉露の里『酒と匠の文化祭Ⅱ』の成功祈願に、奈良の大神神社へ行こうと5時30分過ぎの近鉄の各駅停車に乗って、終点の天理まで、夜明けの平城盆地を車窓から楽しみました。大神神社の最寄駅・JR三輪には、天理で乗り換えが便利です。

 

 

 天理に着いたのがちょうど7時過ぎ。駅前ならファストフードか喫茶店でモーニングでもやっているかなと思ったら、天理駅前ってそれらしい店がまったくなくて、見かけるのは道路を清掃する天理教の信者らしき方や、天理教総本部の前をきちんと一礼する通学途中の学生たち。フツウの地方都市とは雰囲気が違い、ここはまるごと信仰の町なんだなあと実感しました。

 

 

 携帯ネットで「天理 喫茶店 モーニング」で検索してみたら、駅から徒歩20~30分ぐらいの石上神宮(いそのかみじんぐう)に隣接したカフェレストラン「カフェ・ド・レーヴ」が8時からモーニング営業していると判り、とりあえずブラブラ歩いて石上神宮へ。

 

 

 石上神宮は『日本書紀』に2つしか出てこない神社の一つ(もう一つは伊勢神宮)、つまり日本最古の神社の一つ。当世風に言えば日本最強のパワースポットの一つ、という感じかな。

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 境内に入ろうとしたら、鶏が放し飼いになっていて、「コケコッコー」とけたたましいモーニングコール。鶏がこれほどハッキリ、コケコッコーって鳴くの、子どもの頃に母の田舎で聞いて以来かなあ。こちらが近寄っても、ぜんぜんビビらなくって、思わずこっちが「すみません、入らせてもらいやす・・・」と低姿勢になっちゃうくらいの威勢の良さでした。

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 早朝の神社の境内って、人はいないし清々しい空気に満ち溢れて、鶏の鳴き声だけが響いている・・・本当にパワースポットの霊気を独り占めしたように気持ちがいいですね。思わず絵馬に「心願成就」って書いてお納めしました。

 

 

 

 

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 8時を待って、カフェ・ド・レーヴへ。外観は和の古民家だけど、中はお洒落なホールで、レストランウエディングやパーティーも出来そうな、素敵なカフェでした。バターの香りたっぷりの、厚めのトースト・・・喫茶店メニューならではのぜいたくです。いつも朝食はパサパサの雑穀パンに何も塗らずに食べるので、食パンってこんなに美味しいのか~と感激しちゃいます。

 

 

 

 

 

 

 天理駅へ戻ってJRに乗り換え、三輪で下車して、徒歩5分の大神神社へ。30日の玉露の里での『酒と匠の文化祭Ⅱ』の成功と、協力してくださる岡部のみなさんのご多幸をお祈りしました。岡部には大神神社の分霊である神(みわ)神社があり、初亀醸造の橋本社長が篤く信仰されているご縁で、『吟醸王国しずおか』の映像でも紹介しているんです。

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 今回は御神水の井戸で霊水をいただきました。生水なので持って帰ることはできませんでしたが、パワースポット中のスポットのパワーをしっかり体内に注水しておきました。

 

 

 

 

 お昼に奈良市街へ戻って、奈良市内に住む高校時代の同級生と久しぶりに再会。東大寺~春日大社の間に広がる緑の木立の中にあるラ・テラスというフレンチレストランでランチをいただきました。前夜の夜行バスからほとんど寝ていなかったせいか、スパークリングワインを2杯飲んだらほんわかイイ気分。オープンテラスの席で、このままお昼寝したくなりました。ここは、1300年前は最先端の国際文化センターみたいな場所で、異文化の人もたくさんいた訳ですよね・・・。そんな場所でいただくフレンチ&ワイン、なかなかオツなものです。

 

 

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 次いで今月オープンした東大寺ミュージアム で、これも久しぶりに日光・月光菩薩さまと再会しました。

 1300年以上、お住まいだった東大寺法華堂から、博物館の展示場に移られて、なんとなく別人のような感じ・・・。法華堂でお会いするときは、いつもこちらを叱咤されるような厳しさを感じたものですが、ここではやわらかく、ふっくらおだやかに見えます。暗い法華堂の中では、菩薩さまのお顔やお姿にも陰影があって、それがこちらの心の映し鏡のように思えたんですね。・・・本当に、こちらの心の持ちようによって、仏さまの顔って違って見えるんです。

 

 

 

 ミュージアムでは俳優の国村隼さんが音声解説を担当されていて、そのお声が雰囲気にとてもマッチしていて、さすがドラマで聖武天皇を演じられただけある!と感じ入りました。

 神さまと仏さまが共生する古都。和風と洋風、伝統とモダンが融合する暮らし。日本人は二極化をくっきり分けてしまうのではなく、上手に、複雑に、巧みに噛み合わせる能力に長けている民族だなあと改めて実感した奈良の一日でした。