杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

2011秋・古都の旅その2~京都ショップ探訪

2011-10-26 10:51:01 | アート・文化

 先週末の報告つづきです。奈良で一日過ごした後、京都へ戻って河原町三条のホテルで平野斗紀子さんと合流。夜はホテル近くの大衆酒場『よしみ』と、先斗町の小料理屋『余志屋』をはしごし、眠気に勝てず、午前零時前にホテルへ戻ってバタンキューでした。

 

 

 朝型人間の私は、翌朝、早々に目が醒めて、平野さんを部屋に残して河原町通り沿いにある老舗珈琲店『六曜社』1階でモーニングをいただきました。バターたっぷりの厚めのトーストにゆで卵。シンプルだけど、淹れたてのコーヒーにこれほどマッチする軽食はありませんね

 

 ・・・にしても、満席の店内は熟年男性ばかり。女性客は私一人という珍しい光景でした。以前、夜行バスで静岡へ早朝戻ってファミレスでモーニングを食べた時、店内が熟年世代のシングルorカップルばかりだったのに驚いたことがありました。朝食を外でって今のシニアのトレンドなのかなあ~

 

 

 

 10時に寺町通りの鳩居堂で平野さんと待ち合わせ、2人して茶道の勉強に必要な、利休百首が書かれた茶席用扇子、袱紗、黒文字を買いました。お茶の道具って贅沢しようと思ったらし切れないんですよね。私は道具に凝るよりも、学問や哲学として茶道の精神を学びたいと思っているので、安くて必要最小限のもので十分。

 

 ・・・といっても、歴史好きとしては、真贋を見極める眼は持ちたいと思うのが正直なところ。京都にはホンモノを展示する博物館や資料館がいくつもあるので、鑑賞する努力はしようと、三条通りを西へブラブラと歩いて、釜座町の『大西清右衛門美術館』へ。約400年にわたって茶の湯釜を造り続ける千家十職の釜師・大西家の名品と茶道具を鑑賞しました。

 

見た目は一見、地味~なお茶の釜。茶道具の審美眼を身に着けるって、もちろん、一朝一夕には叶わないと知りつつも、こういうものは解る人に案内してもらうほうがいいのかなあと実感しました。日本酒もそうでしたが、解らないなりに、ホンモノをたくさん見ておけば、おのずと解ってくるといいんですけど・・・。

 

 

 

 近くのイタリアン『オステリア・ソニドーロ』で軽いランチ(パスタが細め&やや硬めで実に私好みでした~)をいただいた後、地下鉄烏丸線で北大路駅へ。駅から歩いて数分の、酒器窯元『京都今宵堂』さんを訪ねました。

 

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 今宵堂の上原ご夫妻は、こちらの記事のとおり、静岡での震災復興チャリティ酒宴でお会いし、一度おうかがいしたかった窯元。仕事場は、「築70年ちょっとなんでまだ新しいんですよ~」と通された町家でした。築70年で新しいって、さすが京都(苦笑)。坪庭がいかにもらしくって、縁側でひと息つく平野さんを思わずパチリ。お着物姿だったら、もっと画になっていたかも・・・

 

 

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 上原夫妻の酒器は遊び心があるし、シンプルだけど日本酒の美味しさを膨らませてくれる、そう、どことなく酒袋のような優しさを感じます。

 展示レイアウトもすっきりシンプルで、私はこの中央にある小さなちゃぶ台が気に入って、上原夫妻に購入先のアンティークショップを紹介してもらっちゃいました。

 

 

 

 作品は酒器と酒肴用の小皿のみ。あれも欲しい、これも欲しいと目移りばかりしてしまいましたが、一昨年の駿河湾沖地震で大事にしていた酒器コレクションを失っImgp5036たトラウマがまだ癒せず、イチバン頑丈そうな、この貧乏徳利をゲット。平野さんは友人の結婚祝いに数種の酒器セットを選んでいました。

 

 上原夫妻に「スズキさんのところへお嫁入りできて、この子も幸せです」と喜んでいただいたこの徳利、10月30日の『酒と匠の文化祭Ⅱ』でお披露目しますので、観に来てやってくださいね。