杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

下田の街歩き

2011-11-07 17:48:50 | 地酒

 11月第1週の先週は、あちこちバタバタ飛び回っていて、報告が追い付かず終いでした。31日(月)は静岡県朝鮮通信研究会、1日は伊豆下田の取材、2日は浜松・静岡文化芸術大学の取材&茶道研究会、4日は市内で打ち合わせ&県立図書館で資料探し、5日は静岡市民文化会館大ホールで上川陽子さんの活動報告会のMC。3日と6日の日祝日も原稿執筆に追われました。関係各所でお世話になった方々には、この場を借りてお礼申し上げます&「ブログを楽しみにしてます」のエールにすぐにお応えできず、申し訳ありません・・・。

 

 今日はとりあえず、下田の取材でお世話になった方々へのお礼も込めて、1日の下田取材について報告します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 下田を訪ねるのは昨年5月に、植松酒店さんのお声掛けで『吟醸王国しずおかパイロット版』試写会をやらせていただいて以来(こちらの記事)。昨年は大河ドラマ『龍馬伝』の影響で、下田も「下田龍馬伝」というまちおこしで盛り上がっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 下田といえばペリーが日米和親条約を結び、ハリスが初代アメリカ総領事としてやってきた黒船開国ゆかりの町。ペリーの艦隊に乗り込んで密航しようとした吉田松陰や、ハリスの世話役になって数奇な半生を送った唐人お吉、そして、勝海舟が山内容堂に坂本龍馬の脱藩の罪を許してもらおうと、飲めない酒をイッキ呑みして赦免を勝ち得たという、歴史ファンにはたまらないお宝エピソード満載の町ですね。今回、依頼された取材は、下田の日帰り旅をフリーテーマで紹介するものなので、好きな歴史めぐりを満喫し、グルメやお土産モノを植松酒店さんにアテンドしてもらっちゃいました。

 

 

 

 

 

 

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 この時期の平日なので、観光客はまばらでしたが、ポカポカ陽気で街歩きには最適。少し汗ばむくらいでした。

 お吉と龍馬ゆかりの「宝福寺」も、日米和親条約締結の「了仙寺」も、ペリーロードの柳並木も、前回、初夏の花ざかりに訪れたときに比べると色彩に欠けるというか、ちょっと寂しかったかなあ。紅葉する落葉樹が欲しいところですが、気候的に難しいのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 了仙寺からペリーロードを進むと、行きつく先は下田公園の小高い山。階段を上がると、写真機の開祖・下岡蓮杖の碑が待ち受けます。

 

 

 

 さらに公園内に進むと、日米の国交の始まりを記念した「開国記念碑」が。昭和28年に下田開港百年を記念し、建立されたもので、題字は当時の吉田茂首相。ペリー、ハリス、マッカーサー、カーター元大統領の言葉も刻まれているんですね。この公園はあじさいで有名で、花のないこの時期に訪ねるのは初めて。誰もいない静かな公園に、日本の近現代史を動かした、その名を知らぬ人はいないアメリカの偉人たちのレリーフ・・・このアンバランスさが面白Imgp5129
かったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 沿岸道路まで降りて、港湾の一角にある「ペリー艦隊上陸記念碑」を撮ろうPhotoとしたんですが、海をバックに撮ろうとすると、ペリーの顔が見事に逆光になります。精一杯加工して、これがやっと。無理やりよじ登って撮ろうとしたら、カメラを手にした家族連れがやってきたので、そそくさと退散しました・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 商店街では、以前もおじゃました、植松さんや同志の楠山たちが活動するNPO法人下田にぎわい社中の事務局を訪ね、アンテナショップ「にぎわい交流館らくら」と、隣接する昔の看板ギャラリー(土藤酒店)、下田で一番勢いのあるひもの屋さん・小木曽商店、人気お土産ナンバーワンの下田あんパン(平井製菓)、ハリスの足湯(無料足湯スポット)等を回りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 植松さんがプロデュースする下田自酒倶楽部オリジナル酒『黎明(れいめい)』は、下田産キヌヒカリを原料にした純米吟醸で、以前は富士高砂酒造(富士宮市)に委託製造してもらっていましたが、今年から高嶋酒造(沼津市)で造ることになりました。若く、意欲的な蔵元杜氏・高嶋一孝さんの手によるオリジナル酒、“自酒倶楽部”らしさがますます発揮されるんじゃないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 お昼には植松さんが紹介してくれた大衆割烹なかがわで、キンメダイの煮付け定食を頼んだんですが、このサイズにはビックリ! でも味付けは見た目ほど濃口ではなく、ふっくらした身は食べ応え十分。ごはんがホイホイ進んで、残さずたいらげてしまいました!。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

 

 

 日帰りImgp5077温泉スポットを紹介するコーナーには、金谷旅館の千人風呂を取り上げました。名物の千人風呂は、本来は混浴で女性も入れるんですが、女性専用の「万葉の湯」が出来てからは、男性しか

入らなくなったそうです。私も以前、万葉の湯には入ったことがあるんですが、千人風呂は写真でしか観ることはありませんでした。

 今回は、植松さんの紹介ということで、特別に千人風呂の写真を撮らせてもらいました。しかも入浴中のお客さん付き(笑)!もちろんお顔はわからないよう、ストロボ発光オフで撮らせていただきましたが、ホント、貴重な経験でした・・・(笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 以前、同様の取材で真鶴を訪ねた時、町の酒屋さんに(事情通だと期待して)リサーチをかけようとしてアテが外れ、そのことをブログに書いたら、真鶴の人から「町の酒屋に聞くなんて・・・」と批判コメントをもらいました。でも植松さんのような酒屋さんもいるんです。私が知っている酒屋さんは、ほとんどそうです。生産者の姿勢を見て、自分の舌を信じて商品を選びぬく、商人としての矜持をきちんと持った酒屋さんは、同じような姿勢の商店とつながっているし、町を良くしようと活動する人々との人脈がある。そういう酒屋さんがいる町を取材するときは、本当に楽しいし、リサーチも楽だし、何度も通いたくなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 植松さんのような酒屋さんが一人でも増えることで、観光地で地酒取扱店が増え、地酒ファンが増えることを心から期待したい。その意味で、今回の取材で本当に紹介したい主役は、植松さんなんです。植松さん、本当にありがとうございました。