私が敬愛する編集者で、いつも京都旅行にご一緒する平野斗紀子さんが、かねてから準備されていた地域新聞「たまらん」を創刊されました。2011年11月11日のイチ並びの日に創刊し、戸田書店や吉見書店等で販売されています。ご覧になった方もいらっしゃるかな?
体裁はタブロイド版8ページ(モノクロ)で、1部100円。記念すべき創刊号の特集は、平野さんが静岡新聞社時代から追いかけていた地域農業について。静岡パルコ前の小梳神社で毎月開催する「サンデーサニーピクニック」(地場産品マルシェ)、平野さんが10月に旅行したドイツ・フランクフルトのマルクト事情、静岡市の中山間地・水見色のエリア情報、静岡のモノづくり職人さんやオトコマエ農家、私もお世話になったスノドカフェ・柚木康裕さんが創刊するアート批評誌の紹介など、取材・編集のプロが足で稼いで得た地域のディープ情報を、プロのデザイナーのセンスですっきり読ませてくれます。
平野さんの思いは、編集後記にコンパクトに紹介されていました。一部抜粋すると、
『仕事で農家や飲食店などの取材をしてきたが、本や雑誌の存在を、ほんとうにその情報を欲している人たちに知ってもらえないことが長年の悩みだった』
『全国規模の流通システムで機械的に配られるのではなく、顔の見える読者に直接渡せるような小さな発行物が理想だった』
『昭和50年代以降、日本は急速に地方文化を失った。一極集中で東京が考えたモデルを全国そろってコピーしたからだ』
『地方には地方の必然性に基づいた、悠長で効率の悪い文化があったはずだ。そんな疑問を抱いている人は潜在的に多かったのではないだろうか。それが、今年の東日本大震災と原発事故で確信に変わった』
『いまこそ地域に根差した暮らしを取り戻す時である。いや次の時代は地方が創るのかもしれない。その知恵や志は小さな地域の、たった一人の人間の中にある』
『個で知恵を絞り、技を磨く農家や商店の主と話をしながら、個で考える消費者に紹介しようというのがこの新聞の意図である』
大新聞は相手にしない小さな地域の個の存在、フリーペーパーは扱わない“悠長で効率の悪い”テーマ、ウェブでは保証されない情報の質と深さ・・・私自身も日頃から感じていた既存活字メディアの不満解消に、フリーランスの身でたった一人で立ち向かい、ちゃんと答えを出した平野さん。大先輩ながら“アッパレ!”と花輪を贈りたい気持ちです。
・・・といっても、私の身の丈では、せいぜい広告協力ができる程度ですが、ぜひぜひご支援をよろしくお願いいたします(ちなみに光栄にも1面にしずおか地酒研究会の広告を掲載していただきました。2面はアンコメさん、3面は青島酒造さんです)。