飯坂温泉駅に着きました。
医王寺駅からは1000系電車(東急電鉄1000系)に乗って来ました。
車内も賑やかなペイントです。
さて夕方になったので駅前の観光案内所で温泉旅館を紹介してもらいました。
ご隠居は旅行ではだいたい東横インとかルートインなどビジネスホテルが多くて温泉はどうでもいい人です。
いつもはあっちこっち見て回って遅く着くので温泉旅館だと夕食は最後になっていて、せわしなくお客はもう卓球などやってくつろいでいます。
しかし今回は久しぶりで露天風呂など入りゆっくりしました。
翌朝温泉街を少し散策しました。
やっぱり芭蕉さんの像がありました。
駅のわきを流れる摺上川には砂防ダムらしきものがあったりしてかなり山の中なのかなと思いました。
十綱橋から見た温泉街。
川沿いに温泉宿が立ち並んで典型的な日本の温泉地という感じです。左の建物が波来湯(はこゆ)です。1200年の歴史がありますが老朽化していたので2011年に立て替えて日帰り温泉になっています。
川沿いに少し歩いて行くと花水館があります。
「俳聖芭蕉ゆかりの地入り口」の標柱の脇の小道の石段を降りていきます。
小さな公園があり碑には「・・・・芭蕉は5月2日に飯坂に泊まりました。
その頃はすでに温泉地として栄えていましたが芭蕉は土間にむしろを敷いたような、貧しい家に一夜を過ごしました。
その場所が滝の湯であったと伝えられています。
今この滝の湯跡に記念碑を建て・・・・」と書いてあります。
少し戻り鯖湖神社の方に歩きます。
道路が綺麗に整備されていて散策しやすいようになっています。
昔はどこの温泉地でも射的場や古い台を置いたパチンコ屋、ストリップ小屋などゴチャゴチャしていましたが最近は温泉リゾートという感じです。
土産物屋さんなんかも少なくなりました。巨大なホテルの中の売店で買ってしまうのでしょうか?
ちょっと昔が懐かしい感じもします。温泉入った後、ほろ酔い気分で浴衣に下駄をはいてカラコロカラコロ・・・・。
今や夜散歩するにもシャネルの浴衣でも着て(あればの話ですが)出かけるようでしょうか。
鯖湖神社(さばこじんじゃ)。この辺が飯坂の古い元湯があったといわれています。
左側にお湯かけ薬師如来像が立っています。
鯖湖の碑の由来を記した説明板です。
この頃どこでも足湯がありますね。朝早いので誰もいません。
鯖湖湯(さばこゆ)、共同浴場になっています。日本最古の木造建築共同浴場だそうです。
平成5年に改築され御影石の湯船とヒバの香りが素晴らしいそうです。朝っぱらから温泉に入ると疲れそうなので入るのは止めました。
芭蕉も元禄二年にここで入湯したそうですがどんな感じだったのかな?
更には「旧堀切邸」に寄ってみました。
立派な屋敷ですが入館無料です。ボランテァの案内する人もいました。
旧堀切邸は江戸時代から続いた豪農・豪商の旧家です。
邸内はきれいに整備されていて掃除なども行き届き気持ちのよい空間です。
主屋。
近代国家に尽くした堀切家の人々。
堀切善兵衛(衆議院議長、イタリア大使)は我国の近代政治史に名を残しました。
堀切善次郎は(東京市長、内務大臣)は関東大震災後の東京復興に尽力しました。
堀切久五郎(衆議院議員)は福島経済界に大きな役割を果たしました。
1775年建築の県内で現存する最大最古の土蔵(十間蔵)。(外壁はリニュアルしています)
中の蔵。道具蔵。
ここにも足湯がありました。
維持費が大変そうですがどこから予算が出ているのかガイドの人に訊くのを忘れました。
気持ちのよい町です。もう少し歩いてみました。
町中桜が綺麗です。
芭蕉は「雷が鳴り、雨が降り、寝ている上から漏れ、蚤や蚊がつつき回り眠るどころではない」と書いています。
医王寺で感動した後なので贅沢なことは表現できなかったのでしょうがそれにしても飯坂温泉の人達には気の毒です。
ご隠居が飯坂温泉を褒めてあげたいのですが世間に影響力のない爺さんなのでしょうがないですね。
八幡神社。ちょっと写真がまがってしまいました。
この神社の秋の例大祭は、その激しさから「けんか祭り」と言われています。
神輿を先頭に入り乱れると、神輿の宮入りをはばむ屋台が激しくぶつかりあうそうです。
(飯坂温泉のパンフレットから)
境内に堀切家をたたえる碑がありました。桜によく合っています。
なんだか懐かしい看板です。栄川は福島の銘酒ですよね。ネットの広告より暖かい感じです。
こちらは古い伝統に新しい感覚です。
楽しい街歩きでした。旅は楽しいですね。
飯塚の里(後半)
その夜、飯塚に泊まる。
飯塚は飯坂温泉のこと
温泉あれば湯に入りて宿を借るに土坐にむしろを敷きて、あやしき貧家なり。
灯なければ、囲炉裏の火かげに寝所を設けて臥す。
夜に入りて雷鳴り、雨しきりに降りて、臥せる上より漏り、蚤・蚊せせられて眠らず、持病さえ起こりて、消え入るばかりになん。
短夜(みじかよ)の空もやうやう明くればまた旅たちぬ。
なほ夜のなごり心進まず。
まだ昨夜の苦痛が尾を引いて気分も進まない
馬借りて桑折の駅を出づる。
遥かなる行く末をかかへて、かかる病おぼつかなしといへど、羈旅辺土の行脚、捨身無常の観念、道路に死なん、これ天の命なりと、気力いささかとり直し、道縦横に踏んで、伊達の大木戸を越す。
はるかなる前途を控えて心もとないが元来が苦しい旅、田舎道を歩き、代を捨てて無常を観念しているから路上で死んでも本望です。気を取り直して頑張ろう。